- 2018-06-25 (Mon) 13:11
- FUJIFILM XF 16-55mm F2.8 R LM WR | カヤ | 奈良県 | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別)
FUJIFILM X-Pro2 / XF 16-55mm F2.8 R LM WR / Film Simulation PROVIA
奈良市都祁吐山の集落にあるカヤの巨樹。
都祁吐山は奈良市と言えど市内中心部からは車で約1時間、桜井や宇陀に行くのと大差無い時間がかかります。奈良市内に行く機会が比較的多い自分ですら失礼ながらこの吐山の集落を通るのは初めてのことでした。
「ヒダリマキガヤ」という樹種が存在するわけではなく、あくまでもカヤの変異種に対する通称のようなものです。普通のものよりも種子が大きく、種子の殻の表面に見られる螺旋状の線に左巻きのものが多く見られるのがその所以なのだとか。ヒダリマキガヤは学術的に見ると非常に貴重なもので、近畿地方の有名なものだと兵庫県にも「建屋のヒダリマキガヤ」という巨樹が存在します。(ずっと行きたい場所リストに入れてあるのですが、他の巨樹群からちょっと孤立した場所にあるので足を運べていません。)
スギやムクノキ、カツラのように誰が見ても巨大でいかにも迫力ある樹種の素晴らしさは語るまでもありませんが、個人的にこのカヤやビャクシン、カゴノキなんかは地味ながらも結構好みなものが多いんですよね。サイズだけ見ると大したことがない個体が多いながらも樹皮が素敵なんです。彼らの特徴的な樹皮には初見のインパクトだけでは窺えない数百年の歴史が刻まれているように感じられます。
幹周6.6メートル。これはカヤとしては相当な巨木なのでは?なんて期待が膨らむところですが、根の辺りから幹が一気に分かれて炸裂したかのような広がりを見せて幹周を稼いでいる(別にカヤは数値を飾り付けたくて幹を別れさせたわけではないでしょうが。)ため、実物からは数値ほどの大きさを感じられませんでした。単幹でズシンと屹立するタイプのカヤと比較するとやはり巨樹としては迫力が足りないなあ…という感が否めません。学術的に見ると非常に価値のある樹木ではありますが、巨樹ではなく名木と呼んだ方がしっくり来るタイプでしょう。
樹勢はなかなかのもので、むしろこの生きの良さから察するに結構若いカヤなんじゃないでしょうか。この方の樹皮からはまだまだ年老いた樹木らしい貫禄が感じられず、健康そのものといったように見受けられました。(つまり見応えとしてはちょっとイマイチだったと言わざるを得ない。)
カヤの実。何個か確認してみましたが、螺旋状の左巻き模様というのが何を指しているのかよく分かりませんでした。実の表面からでは確認できないのかな。
ということで足元に転がっているカヤの実の種子をまた何個か確認してみました。しかし何がどうヒダリマキなのか理解できません。うーん。
学術的興味がある方にとっては貴重なサンプルなのでしょう。が、正直なところ巨樹として見る分には立地を考えてもこの1本のためだけに足を運ぶのはちょっとオススメできないかな…比較的カヤに好意的な自分ですらそう感じました。集落内全てとにかく道幅が狭いので、訪れる際は吐山郵便局あたりの路肩に車を停めさせてもらって歩いた方がベターだと思います。
吐山のヒダリマキガヤ
奈良県指定天然記念物
樹齢 不明
樹高 約15m
幹回り 約6.6m
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コメント:4
- RYO-JI 18-06-25 (Mon) 21:50
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すごいマニアックなところに行きましたね(笑)。
もちろんその存在は知っていましたが、わざわざ行くほどでも・・・とか思ってしまって
未だに訪問したことのない巨樹なんです。
to-fuさんの記事を拝見して、ますますその思いが強くなったような(笑)。
いや、ほんとは自分で確かめないといけないんですけどね。 - to-fu 18-06-26 (Tue) 13:01
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> RYO-JIさん
ただでさえ地味な人間なので好きなんですよね、カヤ。ついつい優先して寄ってしまいます。
が、このカヤは…うーん。もし次回目の前の国道を通ってもスルーしてしまうかもしれません。
100年後くらいに再訪出来たらもっと迫力ある姿を拝見出来そうですが、残念ながら僕がこの世にいないですからね。もう少し貫禄があるだろうと期待して訪れただけに残念でした。 - 狛 18-06-27 (Wed) 8:37
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分岐して6.6メートルというと、確かにそのもの自体の迫力だけでは物足りない印象かもしれませんね。
ただ、カヤはやっぱり5メートル台あればだいぶ大きい部類だと思いますし、独特な落ち着いた感じがあって、渋いかっこよさがあると思いますね。
そして、ヒダリマキガヤというのは、種子が関連してたんですね。ネットで引けばすぐわかったのかもしれませんが、もちろん身近にその個体がないので、調べずにいました。
勝手に「カヤはよくグルグルねじれて成長しておる。日本は北半球だからこれが右巻きなのだ。ところがヒダリマキガヤはどうしたわけか左巻きの南半球仕様……」という珍説(自分で勝手に考えた仮説)で納得しておりました。勉強になりました。笑
ここはひとつこの個体の乾燥した種子を入手していただいて、これがヒダリマキガヤの由縁なのだよ! と周囲に説明し、迷惑がられてください!笑
ヒダリマキガヤという名称も、7文字で俳句に組み込めそうだからか、日本人的感性に触れるワードですねえ(僕だけ?)。オハツキイチョウといい勝負。
ユニークだと思いました。雑草に埋もれないといいなと思います。 - to-fu 18-06-28 (Thu) 16:12
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> 狛さん
勝手に6.6mの主幹が2~3m地点で枝のように分かれている姿を想像して来てしまったので、思った以上に根元で分岐する姿にちょっとがっかりしてしまいました。書籍やセンパイの資料から姿を勝手に想像してしまうのも善し悪しですね…もっと新鮮な気持ちで出会えていたら、良いカヤだなあなんて思えたのかもしれません。
僕もヒダリマキは幹のシワ、捻じれの向きのことを指していると思い込んでいました。ちょっと調べてみると薄皮が種子ではなく殻に張り付いているカヤとか色々な変異種がいて結構面白かったです。種子をまいても普通のカヤしか生えてこないとか…こいつら一体何なんでしょうね。
オハツキイチョウも近所にあるのですが、オハツキのオハツキたる葉っぱ付きのギンナンに未だ出会えたことがありません。どうみても普通のギンナンなんですよ 笑 変異種になる実の中でもごく一部にしか発言しない現象なんでしょうか。確かにヒダリマキガヤの種子は自力で見つけてみたいですね。
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