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福井県丹生郡越前町 八幡谷の二本杉


FUJIFILM X-Pro2 / XF 16-55mm F2.8 R LM WR / Film Simulation PROVIA

越前市役所の辺りから国道365号線をしばらく西へ。最初のトンネルの手前左手にある大きなドライブインが目印です。この画像中央やや右側に見えるのが目的の「八幡谷の二本杉」なんですが、ドライブインの敷地を抜けないと到達できそうもありません。車を停めて普通に歩けばいいじゃないかと思いますよね。実はこのドライブイン、3年前に廃業してしまったんですね…車を手前の路肩に停めてお住いの老夫婦に奥のスギを見せてもらいたいと聞いてみたところ、快く了承していただけました。

お留守の時、勝手に入り込んでしまうとトラブルの元なので絶対やめましょう…
留守中は断念するしかないということで、アクセスが容易な反面到達難易度が微妙に高い巨樹です。


これまた凄いのが来たな。やはりウラスギだと思われますが物凄い枝っぷり。根元からも幹(枝?)が突き上げ、その先端の鋭さを見るにこれはもうケモノの牙のような様相。これはウラスギの中でもアシウスギとはまた違った品種なんでしょうか。伏状更新ではなく種子から幹が生じているように見える。それともやっぱり個体差の範囲なのか。スギの品種も調べてみると奥が深そうです…


樹齢に関しては諸説あるそうですが、ドライブインの(そしてこの二本杉の)管理者であるご主人がこの案内板の後者にあたる内容の古文書を所有されているそうです。ざっくり説明すると織田信長の祖父がこの辺りを治めていた頃この二本杉の立っているところには京都へ続く街道が通っていて、このスギを境界に織田の領土・大虫の領土が区切られていたのだとか。現在も街道だった頃の名残として踏み固められた轍のようなものが、わずかに山の斜面に残っていました。


その伝承を元に樹齢を推察すると約700年でしょうか。西暦1500年頃には少なくとも「目印になる姿で存在していた」ということになりますから。2本の合体樹の幹周が7.9m、樹齢が700年か…ちょっと厳しい気も。なんて野暮なことを考えてしまいましたが、だからといって若いスギだと断定できないような厳めしい樹皮をしていたりと相応の貫禄も感じられるわけで、誰が何と言おうと僕はご主人の説を推したいなと、そんな事を思うのです。


正面から見ると合体樹ではなくて1本の巨杉が落雷で裂けたようにも見えましたが、背面に回ってみると確かに2本の杉が癒着したもので間違いなさそうです。


ただ本当に、やたらと貫禄のあるスギなんですよね。ちなみに枝が縦横無尽に伸ばしっぱなしになっているのには理由があって、昔から枝を剪定しようとすると必ず不幸が起こっているのだそうです。邪魔な枝も全て自然に枯れてくれるのを待っている、と仰っていました。一番右の牙みたいな奴なんてほとんど白骨化してますが、これもやはり倒れるのを待つんだとか。


スペースの隅にはおびただしい量の枝が。
全て自然に落ちたものなんでしょうね。


落下した枝の量を見ると健康状態が心配になってしまいますが、上を見上げる限り意に介していない様子。このスギに至っては枝なんて抜けても無尽蔵に生えてくる髪の毛のようなものなんでしょう。ここまで細やかにニョキニョキと枝を伸ばすスギは初めて見ました。このスギの個性のように見えるので、それがそのまま樹勢に直結するのかどうか分かりませんが、健康状態は悪くないようです。


ほぼ毎朝、日課のようにスギの周りを整理して下さっています。
少し離れると藪のように雑草が伸びていましたが、このスペースは本当に丁寧に整えられていました。こうしてスギに触れられるのもご夫婦のおかげなんだよな。分かりにくいと思いますが結構な急斜面なんですよ。共に80は超えているであろう高齢なお二人にとって恐ろしく大変な作業なはず。本当に自慢の樹なんだろうな…というのが良く伝わってきます。

農作業で多忙な中、わざわざ手を止めてスギのことを説明して下さいました。僕は樹木医でも学者でも何でもないのに、何だか悪いことをしてしまったなあと思わなくもないのですが、それ以上に感謝の気持ちで一杯です。(奥様いわく僕はムスメさんに似ているのだそうで、家で茶菓子でも食べてくか?なんておよばれしてしまいました。ムスメ???と思ったけど、彼女の年代からすると30代の人間なんてみんな同じような顔なんだろう。流石にそこまでしてもらうわけには…でもありがとうございます 笑)


こうやって離れて見ると健康そうなんだよな。これもスギとしてはなかなか個性的な1本で、見に行って良かったと納得できるものでした。またしてもウラスギの奥深さを思い知ることになるとは。それぞれ個性があって本当に見飽きませんな。

(ということで。勝山巨樹巡りの執筆途中ではありますが、そこでお聞きしたことを記憶が薄れてしまわないうちに書き上げてしまいたかったのです。)

八幡谷の二本杉
越前町指定天然記念物
樹齢 約700年?(伝承による)
樹高 30m
幹回り 7.9m

コメント:4

RYO-JI 18-07-04 (Wed) 22:06

根元からも幹が!
まるでマンモスの牙みたいですね。
猛々しい感じがします。
現に枝を剪定しようとすると必ず不幸が起こるって・・・。
人間などがどうこうしようとすべき存在じゃないのでしょうね。
そんなスゴイ巨樹があるんですねぇ。

管理者の方からお話が聞けたのも貴重ですね。
to-fuさん、持ってますね(笑)。
ご苦労もあると思うのですが、こんな立派な杉を管理するってどういうお気持ちなんだろうと妄想しちゃいます。

to-fu 18-07-05 (Thu) 21:09

> RYO-JIさん
斬るとたたりが…的な逸話は各地で耳にしますが人間の何倍も何十倍も生きている彼らのことですから、現代の科学では解明できないような力を持っていたとしても何ら不思議ではないようにも思えますね。このフォルムを見ても黙って斬られてくれそうにはありませんし、やれるもんならやってみろや!なんて結構好戦的なタイプなのかもしれません。

きっとお二人にとっては己の誇りがそのままそびえ立っているかのような自慢の杉なんでしょうね。
僕には技術的な手助けなんて何一つ出来ませんが、こうして魅力を伝えることで何処かの誰かが、たった一人でもこの巨樹に興味を持ってくれたら恩返しになるのかなあとか考えたりしています。恩返しできたらいいなあ。

18-07-06 (Fri) 11:50

探訪の記録により、巨樹を取り巻く人間模様や思いを知ることができると、やはりそのモノを見るだけじゃないんだよなあと思いますね。
本や画像を見てただ「知ってる」と言うだけでは、まだ何にも旨味を感じられていない。
こうして枝を切らない(切れない)のもそのひとつというわけで……それを知ることができたのは幸運でしたね。
本当はいちいち側にいる人に伺いたい。いや、そうするべきなのか? とも。
人が誰もいないこともかなりありますけどね……。笑

そして来た、お箸ぶっ刺しケース。なんだかこのお箸は日本武尊の孫にあたる人のお箸らしいですね。
ごちそうさま! と、一膳揃えてぶっ刺す性質の方だったということが、この巨樹を見ると伺えます。
食後にお箸を揃えるなら持って帰ろうよ……イヤイヤ、この樹がそれで出来上がったなら、それはそれかな!笑
祟りで切れないことによって、余計に迫力のある風貌になってしまっていますね。
思うに、こうした細枝は剪定されるか折れてくれた方が、大枝に栄養が集中してより大きく育つはずですよね。
(そこからしても名だたる大杉の巨大な枝は、なんらか人の手が加わっていると見る)
しかし、この杉は、伝説とともにこの形で生き続けて行くのでしょうね。
だとすれば、むしろその旨も解説板にあった方が杉にとってもいいのでは、とも思いました。
祟りが怖いとかではなく、伝説込みのこの姿を正しく理解できてこその解説板じゃないかなあ、と。
越前市がこうした記念物に再注目し、再編集されることを願います。

前回、日本海に出る時この国道通ったのかな? と思いましたが、なんかその一本下を通ってました。笑
明らかにこっち365の方が道が良さそうで、あほナビめと思いましたが、おかげで深夜の中央分離帯で「千足杉」に出くわしました。
真っ暗ですごく怖かったですが!

to-fu 18-07-07 (Sat) 1:13

> 狛さん
そうなんですよね。そのものの迫力を感じるだけにとどまらず、歴史や背景であるとか、関わる人々たちの想いを窺い知れることが巨樹探訪の醍醐味だと思います。そればかりはどんなにリアルで美しい写真集を眺めていても絶対に触れることが出来ませんからね。

なるほど。そうですね。栄養を細部まで送らないといけない分、成長が滞っているのは確実にありそうですね。
越前市のこの案内板なんかは結構まともな方で、酷いのになってくると「数百年生きた立派な杉です。以上。」から「大杉。以上。」みたいなのまで見かけますので、もうちょっと文章で装飾してあげるといいのになと思うことは多々ありますね。姿を見て感動したら、どんな生き方をしてきた巨樹なんだろうって気になりますから。天然記念物指定する以上は責任を持ってその魅力をアピールしてもらいたいものです。

あれ、やっぱりこの辺りの道でしたか!
越前の海に出たときに「これ狛さんがスナップ撮ってた辺りじゃねえか?」なんて思ったんですが、あの手の漁師町ってとにかく街並みが似てるので確信が持てませんでした。いやあ、あの辺で街頭に照らされた杉の巨樹なんて見つけても僕だったら怖すぎてスルーするかもしれません。ホラーすぎる。

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