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兵庫県養父市 別宮の大カツラ


FUJIFILM X-Pro2 / XF 16-55mm F2.8 R LM WR

こちらもずっと気になっていたカツラの巨樹。兵庫県北部は本当に魅力的な巨樹で溢れているため、少しずつ西へ西へと進んでいたらここを訪れるのも随分後回しになってしまいました。本来であればいの一番に駆け付けたいくらいだった巨樹です。実はここを訪れたのは先の超大型台風21号が上陸する前日のことでして、この機会を逃してしまうとしばらく会うことが出来なくなるのではないか…最悪の場合、倒壊して二度と会えなくなることだって有り得る。そんなことを考えていると居ても立っても居られなくなってしまい、例の如く深夜に出発して夜明けとともに巨樹と対峙したのでした。


ここ別宮(べっくう)地区は氷ノ山(ひょうのせん)を望むハチ高原に位置しており、周囲には多くのスキー場、ペンションが立ち並んでいます。標高は730m。この日も京都市内はまだまだ真夏の暑さだったにも拘わらず、早朝は10℃台まで冷え込んでいたのを記憶しています。目の前に広がる棚田と青空、そして高原特有の肌が切れそうなくらいキリッと澄んだ空気。本当に気持ちの良いところです。写真趣味で見ると巨樹目当てで撮影しにくるよりも棚田を撮影しに来る人の方が圧倒的に多いでしょう。僕が到着した時点でも既に年配の方が先着していて、棚田を撮影されていました。このパターンで先着されたのは初めてのことで驚いたのですが、なんと4時には現着してシャッターチャンスを狙っていたと仰っていました。すげえ。


こちらの案内板には別宮(べっく)の大カツラと記載されていますが、ここが別宮(べっくう)地区であること、養父市のサイトでも別宮(べっくう)の大カツラと紹介されていることから、私もここでは「べっくう」読みを推したいところです。

かの弘法大師 空海さんが諸国巡礼の折にこの地に教海寺を開いて別宮を発足させ、このカツラの木を水の神木であると告げたという伝承があるそうです。空海さんがご存命だったのは大雑把にいうと西暦800年前後。そうするとこの巨樹は伝承樹齢1,200年というところでしょうか。生き生きとした姿を見るともっと若そうな気もしますが、それでもこのサイズですからね。糸井の大カツラが樹齢約2,000年と言われているから遠く離れているとも言い切れないか。うーん、正直なところカツラの樹齢はいまいちよく分かりません。


よく分からないことになっていますが、僕の右側に立っているものが全てこのカツラの巨樹です。別の植物が着生して完全に森と化しています。この一本の巨樹の中に一つの生態系ピラミッドが出来ているような様が大好きなんですよね。カツラの巨樹はちっとも苦しんでいるように見えず、むしろこの一帯の全てを受け入れている。さながら大地の母であるかのような大らかさすら感じます。


根元には豊富な湧き水が流れていて、下流にある棚田を潤しているそうです。すぐ下流にある東屋の脇ではこの湧き水を堪能することが出来ました。カツラの巨樹のそばには清流が流れていることが多く、自分の場合この湧き水コーヒーを堪能するのも巨樹巡りの楽しみの一つだったりします。この日もここともう一か所、実に美味なコーヒーを味わうことが出来ました。


流石にこれだけの大きさのカツラ、さらには枝ぶりも隆盛と来ると、日陰に入ろうものなら木漏れ日もほとんど差し込んできません。写真を撮る者からするとシャッタースピードを稼ぐのが非常にしんどいんですよね、ホント。これだけの晴天下にもかかわらずISO1600、3200に頼ることになりました。一昔前のデジタルならISO400辺りまでしか使えずヒーヒー言っていたことでしょう。技術の進歩にただただ感謝。


本当に立派なカツラ。健康状態も申し分なく、国内でも最高クラスのカツラの巨樹であることは間違いありません。


サイズだけで言えば県内にだってもっと大きなカツラはある。幹周19mを超える国天「糸井の大カツラ」にしても、それはもう立派なものです。しかし環境の良さや樹勢などを複合的に見ると、私はこの「別宮の大カツラ」が兵庫県ナンバーワンであるように思うのです。圧倒的なサイズによる感動だってあるわけですが、だからと言って大きければ良いというものでもない。そこが難しいところであり、巨樹巡りの楽しさでもあるんですよねえ。


同じような全体像ばかりになってしまいますが、細部のディテールよりもやっぱりこの美しい樹形が目を惹くんです。とにかく言葉にならないくらい神々しい。新緑の時期にこそ行くべきだったと少し後悔しています。


さて、少し離れて遠景を。近くにはたくさんのベンチが用意されており、腰を下ろしてカツラの巨樹と棚田、そして氷ノ山を楽しむことが出来ます。こうやって思い返してみても何て贅沢な空間なんだろう。もちろん僕もここでコーヒーを飲みながら朝食を摂りました。至福の時間ですよね。


兵庫県で絶対に抑えておいた方が良い巨樹を数本選ぶとしたら、確実に上位に選定することになりますね。この近くにもカツラの巨樹が密集しているので、一日がかりでカツラ巡りをするのも楽しいと思います。近くの香美町には名勝「猿尾滝」があり、自分は時間の都合上行けなかったのですが、地元の方いわく「ここは本当におすすめ。絶対に行くべき。」なのだそうです。冬が訪れる前にもう一度養父市に行っておきたいなあ。

2018/9/3訪問
「別宮の大カツラ」
兵庫県指定天然記念物
樹齢 不明(伝承約1,200年?)
樹高 27m
幹周り 14.5m

兵庫県養父市養父市別宮中畑1324番地

コメント:4

RYO-JI 18-10-18 (Thu) 22:44

さすがカツラ王国の兵庫県。
恐るべしですね、こんなカツラが存在するとは!
そんな中でもこのカツラは立ち姿がひと際いいですね。
想像するに、新緑の時期だともう神々し過ぎて拝んでしまいそう(笑)。
清らかな水が流れていることから自然も豊かな場所で、カツラもまだまだ長生きしてくれそうですね。
見た感じ老木というほどの樹齢は感じません。
それよりも、変な表現になりますが瑞々しさすら感じます。
そんなカツラを見ながらのコーヒーは最高でしょう!
しかも湧き水でですか・・・いやぁもう贅沢、至福の時ですね。

to-fu 18-10-20 (Sat) 1:00

> RYO-JIさん
本当にこの辺りをうろついているとカツラの巨樹には困らないんですよ。
石を投げれば日大生…いえ、まあ適当にドライブしてたらカツラには会えるだろう、くらいの感じです。
この辺りから山陰地方山間部にかけてはカツラの巨樹群生地になっているようですね。

ちょうどこの根元から湧き水が湧いているようで、まさに瑞々しいという表現がピッタリかもしれません。
大雨の後など根がごっそりと洗われて倒れてしまいそうな気がするのですが、流石に逞しいものです。
カツラやイチョウは余程の外的要因でもない限り枯れるということが想像できませんよね。
この巨樹も糸井の大カツラのように樹齢2000年クラスになることは間違いなさそうな気がします。
このカツラは来年こそ新緑の時期に必ず再訪しようと決めている巨樹の一つです。

18-10-20 (Sat) 10:51

本当、こんな規模のが次々出てくるとは……土地の豊かさを象徴しているんだろうなあと思わずにはいられません。
北海道でも原生林の中でカツラを見ましたが、これとは全然違いますね。
やはりカツラといえば、豊かで清らかな水をじゃんじゃん使ってこうなりました! というような、この単独で森的な姿。
これが見たいと思ってしまいます。

それにしてもすごい量感と規模のデカさ。やはり、もはや樹という単位、存在感からは完全に飛び出してしまっていますね。
これだけのモノを撮るというのもすごく難しいと思いますが、流石にカツラ経験値を積まれたto-fuさんだなあと感心です。
最後のモノクロなんて、もはや日本の写真という感じがしませんね。中国の秘境かどっかを探検してこの度発見された巨大樹というような物凄さを感じました。
湧き水を味わってみることで、よりカツラが巨大に育つことができた理由を実感できたのではとも思います。
いいなあ! 笑

to-fu 18-10-21 (Sun) 10:37

> 狛さん
見せていただいた北海道のカツラや東北の「権現山の大カツラ」、「向川寺の大カツラ」などを見るに、寒い地方では単幹のカツラが育ちやすいのかもしれませんね。少なくともこちらでは単幹タイプのカツラの巨樹は全く見たことがありません。こういう傾向の違いも学術的に検証してみたら面白そうです。

これはもう本当に森ですね。1本の巨樹としてカウントすると何だか卑怯な気もします。
だからこそランキングから除外されているわけですが 笑
しかしながらその雄大さ、圧倒的な質量というものは人の決めたランキングなどで測れるようなものではなく、実物を見ると理屈抜きに何てとんでもねえ巨樹だ!と驚かされました。個人的には兵庫県のカツラの中ではトップだと思いますよ。

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