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滋賀県湖南市 弘法杉


SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G

ずっと前から行こう行こうと思いつつ足が伸びなかった巨樹。いえ、別にこの巨樹に何か問題があるわけではないんです。どうも滋賀県南部・東部の道が嫌いなのですよ。やたらと大型トラックやダンプばかりが走っていて空気が悪いわうるさいわでどうも気が滅入る。しかしこの「弘法杉」にはどうしても会っておきたかったため、重い腰を上げて出発したのでした。


滋賀県は湖南市。大沙川(おおすながわ)のほとりに立つ弘法杉。ん、川のほとり?頭上より高いところに生えてないか?そうなんです。大沙川は旧東海道の上を流れる天井川なのです。かつては当然トンネルなんていう人類の叡智があったはずもなく、人々はこの大沙川を渡るためにわざわざ土手を登り、小橋か浅瀬を渡って川越えしていたのだということです。この三雲地区は天井川の多い地域だったようで「人馬通行の難所たるは衆人の熟知するところ」、つまり何処に出展しても恥ずかしくないくらいの難所だと語り継がれていたのだとか。この土手に掘られた所謂「隧道(ずいどう)」…難しい言葉ですが、まあトンネルですね…は地元では「吉永のマンボ」と呼ばれ、今でも親しまれています。


現在の大沙川は大雨が降った際以外は水の枯れた水路としてその姿を残すばかり。そもそも天井川の成り立ちは何なのか、という話なのですが、奈良県のお寺や大津市の名刹石山寺の造営時にこの辺りの木々を切り倒したため禿山となり、大雨の度に土砂が流れ込んで少しずつ川底が上がった結果、天井川になったと伝えられています。何だか巨樹から随分と脱線しつつありますが、巨樹を巡っているとこのように地域ごとの民俗や歴史、風習なんかを知れるのも結構楽しみだったりするのです。


さてこの弘法杉。巨樹巡りをされている方であれば既にお察しのことと思いますが、ええ、そうなんです。かの弘法大師空海さんがこの地で昼食をとり、その際使用した杉箸をぶっ刺したところ巨樹に成長しました。という言い伝えが残されています。はて?お箸なら2本生えていないとおかしい。そうですね?かつてはこの地に対となる同じくらいのサイズの弘法杉がもう1本生えていたのですが、残念ながら大雨によって堤防が決壊した際に倒壊してしまったのだそうです。


率直に申し上げて流石に空海さんの時代から生きているようには見えませんでしたが、ゴツゴツした樹形が個性的でなかなかに見応えのある巨樹でした。幹周は6mということですが、実際こうして対峙すると数値以上に迫力を感じます。


立体的で色も深く締まっていて貫禄があります。頭頂部付近から根本まで落雷による傷と思わしき亀裂が走っていますが、樹勢自体は良好でとても健康的なスギです。


欠損した部位もありますが、頭上付近の大枝はかなりの迫力。もしこの大枝が無かったとしたら受ける印象が大きく変わってしまうのは間違いありません。この1本の枝こそが樹形のバランスを保つ要であるように見えました。


どの枝もがこんもりしたブロッコリーのように大量の葉を付けています。周囲に日光を遮るものなど何もありませんからね。落雷の不安こそありますが、このままメキメキと成長を続けていってほしいものです。あと300年もするとこの樹皮の貫禄、樹形から見るにツワモノとして全国で名を馳せるスギになっていそうな気がします。まあ僕は当然この世を去っていますけどね。

麓にある小さな小屋のようなものは弘法大師の銅像を祀ったお堂です。中にはかつての弘法杉の写真や、この「大沙川の隧道」の資料をラミネートしたものも置かれていました。(あ、何故か週刊少年ジャンプまでありました。少年たちの秘密基地的にも使われているのかもしれません。)


落雷で頭頂部が欠けたのでしょうか。樹高こそ大したものではありませんが、大男がどっしり腰を落として仁王立ちしているかのような重厚なスギの巨樹です。


土手を降りた旧東海道は抜け道になっているのか車の通行量が多く(それも狭い道をみんなアホみたいに飛ばしやがる…免許取り上げろよ。)、お世辞にも気持ちの良い散歩道だとは言えませんが、土手さえ登ってしまえば眼下の喧騒がウソのような心地良い空間でした。ここまでの道のりを考えると気が萎えるのが正直なところですが、この景色を思い返すとそれでもまた足を運んでもいいかという気分になってくるから不思議です。

「弘法杉」
湖南市指定天然記念物
樹齢 約750年
樹高 26m
幹周り 6m

コメント:4

RYO-JI 18-10-26 (Fri) 0:31

空海さんがぶっ刺した箸が後々に大杉となった事例はたくさんありますが、
これは名称がズバリ弘法杉ですから疑いを感じさせるスキがありませんね(笑)。。
いや、冗談抜きにしてもこれは是非見ておきたい巨樹として注目してました。
名称だけではなく、その立地は独特で興味をそそられていましたので。
写真を拝見する限り、実際の幹周以上の存在感がありますね。
その姿も個人的には好きなんで、機会があれば必ず見に行きます!

18-10-26 (Fri) 13:05

これも出現シーンでワクワクさせてくれそうですね。仰ぎ見る立地で、なおさら迫力ありそうです。
to-fuさんも書かれていますが、樹皮の色や質感といい、緑のつき方といい、独特な感触の杉ですね。
やけにこんもりしているし、折れたせいで高くないのもあるでしょうが、どこかビャクシンを思わせる姿ですね。
杉で6メートルというと、リストの中から探していると、今回はどうする? ついでなら寄る? みたいに思ってしまう悪い習性があったのですが、最近では玄人化し、このクラスこそ個性派ぞろいなのだと思うようになってきました。
なので、これはどんな個性があるんだ? と書籍やサイトのちっさい写真をよく見て検討するわけですが、そここそ本来データベースの出番ですよね。笑
to-fuさんのフォローアップで魅力が伝わると思いますし、DBに来ている=巨樹に興味がある人は、面白い杉だなと思ってくれるのではないですかね。

この小屋も面白いですね。
大きな杉がある秘密基地?で遊んでた記憶なんて、絵的にも、とてもいいなと思います。
きっと独特なものになって子供達の中に残ると思いますね。

to-fu 18-10-26 (Fri) 17:15

> RYO-JIさん
あの勝山の「西光寺の大杉」も通称弘法杉だったように記憶していますが、はい、こちらはまんま「弘法杉」です。
熊野のタコ杉に行かれたRYO-JIさんならやはり弘法杉もチェック済みですよね。
サイズで見るとどうもパッとしない湖南エリアの巨樹の中で、このスギはストーリー性もあってやはり目を引きます。
是非見に行ってみて下さい!

to-fu 18-10-26 (Fri) 17:26

> 狛さん
はい、結構遠くからスギの姿は確認できるんですが、どうやって行けば良いんだろうと悩むのも含めて出現シーンはなかなか楽しめました。見えているのになかなか近づけないもどかしさ。これも魅力なのかもしれません。
言われてみると捻れるように波打った樹皮といい樹高そこそこにデブっとした姿はビャクシンぽいですね。

サイズに関しては僕も同感で、最初はどうしても天然記念物指定の有無やサイズをざっと見た中から目立ったものに向かいがちだったのですが、例え無指定であっても個性的でストーリーも持つ巨樹がたくさんあることが分かってきました。このクラスを回り始めると結構そこら中で巨樹が楽しめることも分かってきて、数が多いだけに厳選してルートを決めなければならないという嬉しい悩みが出てきました。

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