- 2018-11-10 (Sat) 11:29
- FUJIFILM XF 10-24mm F4 R OIS | FUJIFILM XF 16-55mm F2.8 R LM WR | イチョウ | 京都府(京都市以外) | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別)
初回 FUJIFILM X-Pro2 / XF 10-24mm F4 R OIS
再訪 FUJIFILM X-Pro2 / XF 16-55mm F2.8 R LM WR
随分と前に訪れていた巨樹です。なんと6月訪問。
京都市の西隣である亀岡市に、京都府の企画「天上の木 10選」に選ばれたイチョウの巨樹があるということで訪問したのでした。
丹波国分寺跡。聖武天皇時代に各地に建立されたとされる国分寺の名のとおり、かつては当地で相当な隆盛を誇っていたのだそうです。無人の状態になって久しいですが境内に過去の建造物の貴重な礎石が残っているということから発掘調査が行われ、平成18年には寺域のほぼ全域が国の史跡に指定されて保護されています。写真からも無人の寺にしては手入れが行き届いているのがお分かりいただけるかと思います。記事として掲載する順序が逆になってしまいましたが、8月に「出島のシイ」の茨城県・長福寺を訪れた際はこの丹波国分寺跡のことを思い出しました。空気や時間の流れが似ている。何となく夏の終わりの夕暮れ時が似合うような、そんな諸行無常の響きが感じられる場所です。
失礼ながらオハツキイチョウというと”お葉付き銀杏である”ことがその価値(希少性)の全てであり、巨樹として見ると別段見どころのないものであるという先入観しかありませんでした。マニア垂涎の記念切手みたいなもので、一般人からすると知るかよ切手は切手だよ、はい82円ねペター。みたいな。しかしどこかの「天上の木」特集で見たこのイチョウの姿は、なかなか個性的で一見の価値があるなと。木そのものを見ても充分に魅力的な姿だと思うのです。
そう、オハツキイチョウということはギンナンがなりますよね。ということは雄株ではなく雌株です。一般的に雌株は栄養をギンナン生成に充ててしまうので気根が出来にくいとされていますが、このイチョウの幹からは実に見事な気根が垂れ下がっているではありませんか。
イチョウ恒例の乳の出が良くなる伝説もしっかり伝えられています。大抵の乳の木伝説ではイチョウの雄株、つまりオッサンの乳が持て囃されているのに対して、こちらはしっかり女性の乳です。どうせ祈願しに来るなら何となく女性の乳の方が縁起が良いような気がしませんか?
率直に申し上げると「天上の木 10選」なんて言われてしまうといささかオーバーである感が否めませんが、立派なイチョウであることは間違いありませんでした。しかしですね…
つい最近になって再訪したんです。オハツキイチョウのお葉付きたるギンナンを見てみたかったのですよ。(結局1個も発見できず…)あの数々の被害をもたらした台風21号によって、こちらのオハツキイチョウも被害を受けていました。2本の大枝がへし折れてしまい、イチョウの側にある手水舎も半壊しています。
季節柄葉が落ちていることもあるのでしょうが、明らかに6月に訪れた頃よりも元気がありません。葉も黄葉が進む前に枯れ落ちてしまっている印象を受けます。相手が自然災害なのでちっぽけな人間風情がどうこう言っても仕方ありませんが、黄葉が楽しみだっただけにこれは残念です。
イチョウはタフな植物ですから来年以降また生気を取り戻してくれるといいのですが。丹波国分寺跡では周辺の環境整備が進められていて、いずれは観光名所として多くの人がやって来るような場所にしたいのだそうです。その頃にはまた元気なオハツキイチョウが見られると良いですねえ。
ちなみに境内にあるこのムクノキと
カゴノキもなかなかのものです。
6月はヤブ蚊天国だったので新緑または紅葉の時期がおすすめかもしれません。
2018/6/19訪問・2018/11/1再訪
「丹波国分寺跡のオハツキイチョウ」
亀岡市指定天然記念物
樹齢 不明
樹高 22m
幹周り 4.3m
京都府亀岡市千歳町国分
コメント:4
- RYO-JI 18-11-11 (Sun) 0:04
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オハツキイチョウはヒダリマキガヤと同じように希少性が・・・的な事実がありますね。
なかにはそれでも巨樹の仲間入りをし、我々の目を楽しませてくれるものもいる訳ですが、
これがまさにその一本ですね!
幹周≒樹齢から判断するに、乳の発達具合が不自然なほど顕著ですね。
いや、お葉付きだからこそ、そんなアンバランスな姿になるんですかねぇ。
風格もありますし、黄葉の姿も見てみたいです。
しかし、あぁ、21号を恨みます。
自分も先日、その被害にあった巨樹を見ましたが、本当に悲しい思いでした。
その惨状にすぐにでも立ち去りたい気持ちになりましたからね。 - to-fu 18-11-11 (Sun) 18:50
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> RYO-JIさん
オハツキイチョウ、ヒダリマキガヤ、ハダカガヤ…一応近くを通ったら寄ってはいるものの、巨樹として見るとちょっとアレですよね。しかもお葉付きも左巻きも現物を見ても「???」なんです。どこが左巻きやねん!と一度詳しい方に聞いてみたいです。
このイチョウは本当にオハツキ抜きに良い巨樹だったんですよ。残念です。
やはりそちらでも台風の被害が出ていましたか。立ち去りたい気持ち、分かります。痛々しくて見ていられません。
もう少し早く来ていれば!と後悔するんですけど、後悔しようが反省しようがその巨樹はもう居ないわけで、今後心掛けるしかありませんね… - 狛 18-11-11 (Sun) 21:44
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この気根の有様はオハツキでなくても見に行きたい気にさせられますね。
イチョウは液体だ! という怪説を広めようとしているわけですが、この樹もその証拠として役立ってくれそうですよね(?)。
確かに、ちゃんと雌の樹で気根があるのも珍しいように思いますね。
台風の被害は衝撃的ですが、イチョウであることと、それこそ学術的に貴重な存在であることを活かして(活かしてってのも変ですが)、ピンチを切り抜けて欲しい。切に願います。
ムクノキやカゴノキも大きい。見所あると感じる寺跡です。 - to-fu 18-11-13 (Tue) 1:10
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> 狛さん
イチョウは液体だ!凄い言葉ですが「ネコは液体だ!」くらい説得力がありますね。
凄い気根だなと思うと大体オスですよね。
この方はオハツキであることを無視しても結構貴重だと思うんです。
ムクノキは胸を張って巨樹を名乗れる太さですし、カゴノキもこの裏から見るととても綺麗な鹿の子模様が確認できました。このまま整備してちょっとした公園のようになれば、それなりに人も訪れるようになる気がします。今回台風の被害を受けたのを前向きに捉えて、これを機に老朽化していた箇所を整備してやるか!くらいの気持ちで頑張っていただきたいものです。
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