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晩夏の瀬戸内旅 2024


PENTAX 645Z / PENTAX smc PENTAX-FA645 33-55mm F4.5 AL

たかが人間ごときが作ったカメラなる道具では到底写しきれないあの迫力。それでも全力で向き合うのです。
うろうろ歩き回りながら集中力を使い切るまで撮影すると全身が充実感と疲労感で満たされる。
そんなランナーズハイにも似た状態でベンチに腰掛けて、ぽけーっと大クスを眺める時間がたまらなく好き。


つくづく巨樹撮影はポートレート撮影とよく似ていると思う。
天候や時間帯が悪く光の状態がよくないと撮影側もテンションが下がるし、何より相手に失礼な気がして撮影枚数も少なくなる。
かといって曇り空を青空に加工するとかそんなインチキでは意味がないのだ。不自然な代物しか出来上がらないし、何より自分が楽しくない。

せっかく決して安くはないお金と時間を費やして遠征するのなら、その辺もっと見極めて撮影すればいいのに…
常々そう考えるのだけど、私は「今行きたい、今だ!」となったら道理を押しのけてでもその瞬間撮影しに行きたくなってしまうんだなあ。


ただ、無茶でも何でも熱意を持って動くとカミサマなのか何なのかよく分からない不思議な力が手助けしてくれることも少なくない。
ほら天気予報が外れて日が差し込み始めた。こんな小さな奇跡にいちいち喜び感謝することも写真趣味の醍醐味だと思うのです。
全ては計算どおり!だとたぶん面白くないのではないか。カミサマパワーが降りて来なくて敗走したとしても、それはそれで良い思い出だ。

晩夏の瀬戸内旅 2024


PENTAX 645Z / PENTAX smc PENTAX-D FA645 55mm F2.8 AL [IF] SDM AW

予報は曇りときどき雨。早速小雨がぱらつき始めていたけれど邪魔くさい傘は結局車に置いてきた。
ずぶ濡れになってもシャワーを浴びて洗濯してしまえばいいし、庭から薄靄でかすんだ海をぼけーっと眺めるのも悪くはない。
何より大クスさんが雨なんか降らせるわけないよなと変な自信に満ちていたのだった。


PENTAX 645Z / PENTAX smc PENTAX-FA645 33-55mm F4.5 AL

大量の荷物を置いて身軽になり、棒をブンブン振り回して巨大なクモの巣を払い除けながら近道(藪道)を抜けて大クスを目指す。
そこら辺に落ちた適当な落ち枝を探すのだけど、いい形の棒が手に入るとそれだけでテンションが上がるのだ。男の子なのでね。
手ぐすね引いて待っていた蚊の大群が久々の人間だぜえ…とゾンビの如く集ってくるので虫除けスプレーは必須装備ですぞ。


ファーストショット。
何度訪れても、すべり台のようにツルツル滑る階段を下った先に待つ大クスの姿が見えると「おおっ!」と声が漏れてしまう。
今回私の他に観光客はいなかったけどベンチに腰掛けてぼーっと大クスを眺めていると、皆さん同じポイントで「おおっ!」と声を上げていて面白い。

晩夏の瀬戸内旅 2024


PENTAX 645Z / PENTAX smc PENTAX-D FA645 55mm F2.8 AL [IF] SDM AW

目の前の名もなき離島。いえ、たぶん名前はあると思いますけど。
あそこには戦争中の砲台や防壁、防空壕がそのままの形で残っているのだとか。

志々島の「天空の花畑」をお世話されている孝子さんは戦時中京都、それも私が住むところから徒歩10分くらいの地区で生活されていたらしい。まさかの学区内の大先輩。「四条大宮で映画を見ていたらいきなり空襲警報でみんなパニックだよ。そんなことばっかりで、京都にはいい思い出がない。」なんと言いますか、言葉を失います。これがほんの数十年前の話なんだから。こういう歴史をしっかり認識した上で平和を謳歌したいものだなあ。我々が慢心すれば平和なんて一瞬でぶっ壊れてしまうのです。


本日、今季初めて虫対策以外で長袖を羽織った。初めて秋の到来を感じた一日。
田んぼベンチの爺さんズも「これで夏も終わりやろ!」と騒いでおりましたとも。(聞き耳立てなくても声がでかいから聞こえてしまう)
旅先でこれくらいの気候だとベストだったのですが。
まあ、汗だくになって歩き回ったのも夏の締めっぽくてよいではないか!と思えば、そう悪くもないか。

晩夏の瀬戸内旅 2024


FUJIFILM X100VI

一応10月も半ばなので秋の瀬戸内旅なんてタイトルを付けておりましたが、街行く人はみんなTシャツだし誰がどう見ても秋ではない。
せいぜい晩夏だな、ということでタイトルを変更しました。今日で観測史上最も遅い真夏日を更新!なんて地域もちらほら見られるようで。
幸い京都は朝から雨で真夏日までには至りませんでした。その分湿度が極悪で蒸し暑いですが。


神社を参拝し、近くの防波堤に腰掛けて深夜の静かな海を眺める。
これが冬だったら寒すぎて5分で車に戻りたくなるわけで、ぼけーっと夜の海を眺められるのは数少ない夏の利点と言えましょう。


5月6月は3時台に起きないと夜明けのいいところを見逃してしまうけれど10月ともなると5時に起きてもまだまだ余裕。
今の時期だと美味しい時間帯は5:50~6:20くらいですかね。地域によって多少前後するのでしょうが。
夜明け少し前に起きて寝間着のまま防波堤に腰掛けてコーヒーを淹れ、日の出を眺めながらパシャパシャ撮っていると得も言われぬ幸福を感じる。

結局この日は綺麗に焼けなかったので6:10に切り上げてハローズ善通寺店まで食材の買い出しへ。
マルナカやピカソは定期船乗船までに開いてくれないので、24時間営業のハローズは実に有難い存在。
え?同じく24時間営業のラ・ムーですか?いやあラ・ムーはちょっと…(別に宗教云々での話ではなく安すぎて何となく怖い)

秋の瀬戸内旅 2024


PENTAX 645Z / PENTAX smc PENTAX-FA645 33-55mm F4.5 AL

無事帰宅。最高の4日間でございました。
結局赤穂ではスーパーとホテル以外どこにも立ち寄らないまま高速に飛び乗って脱出してしまいましたが。
あの辺りを通ったかぎりだと備前の日生諸島なんかとても雰囲気が良さそうで、今度時間を作ってじっくり回ってみたい。

前回姫路まで海沿いをダラダラ走った感想として、岡山県から兵庫県入りすると色々萎えるので備前ICから高速に飛び乗って帰るのがベストかなと…
余韻に浸るという意味で今回の赤穂泊はアリだったけど、これなら牛窓に泊まって翌日ブルーライン→備前ICから帰宅の方がよかった。
兵庫県の海側はごみごみしていてどうも肌に合わんのです。中部北部は大好きなんですけどね。


しかし秋の瀬戸内旅なんてタイトルを付けておきながら、一瞬たりとも秋を感じない4日間だったなと。
昨晩のニュースでも「この先も全国的に10月としては異例の暑さが続く、秋はいずこ」なんてやってましたっけ。
もう地球規模でぶっ壊れているので仕方ありません。ここから逆ベクトルに地球がぶっ壊れてくれることを願いましょう。

しかし去年の今頃志々島に泊まった際は明け方あまりにも寒すぎて上着を被りガタガタ震えながら日の出を撮影した記憶が。
今年は夜明け前からTシャツ余裕。というか蒸し暑すぎて上着なんて着ていられませんでした。去年も記録的猛暑だったのに。


このまま直帰するのも…と一箇所だけ立ち寄ってみたカヤ巨樹のあるお寺に、まさかのこんな看板が。
三脚関係なしに一言ことわっておいた方が良さそうだぞと撮影許可は得ましたが、カメラマン自体にあまり良い印象を持ってなさそうな感じ。
私のシックス・センスが「これはさっさと用を済ませて撤収した方がいい」と囁いてきたので、閃きに従うことにしてサッと撮影を済ませて帰路へ。

たっぷり海を眺めて一晩旅の余韻を反芻したら、あとはもうその熱が覚める前に高速でシュッと帰るべし。というのが今回の感想。

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