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奈良県奈良市 奈良豆比古神社の楠


SONY α7RIII / SONY FE 24mm F1.4 GM SEL24F14GM

昨年の梅雨の時期も訪れていたクスノキの巨樹。昨年は異常な暑さのせいか蚊が大量発生していて撮影に集中できなかったので即刻退散したのでした。そして今回満を持して一年越しのリベンジ。奈良市には親族が住んでいることもあって比較的頻繁に訪れるのですが、ここ奈良豆比古(ならつひこ)神社は何しろアクセスがよろしくないのです。近くに駐車場はありませんし、最寄り駅の近鉄奈良駅から歩くにしても緩い登り坂を2kmくらいですかねえ。体力にはまあまあ自信がある私ですら、真夏はちょっと行きたくないなと思ってしまうくらいにはしんどい。

さて、いつものように参拝を済ませてからクスノキへ向かうことにしましょう。ご自由にお持ち帰り下さいと書かれた御札が置かれていたので、有難く一枚頂戴しました。クスの巨樹は神社の境内ではなく本殿裏手の社叢の中にそびえ立っています。分かりますかね?壁にかかった牛乳ビンを入れる青い袋の上に矢印が書かれているのが。(いや、よく分かりませんね 笑)そちらから壁に沿って左側へ回り込みます。


まず飛び込んでくる姿がこれなんですが、良い意味で驚いてしまうと思いますよ。クスの巨樹も当然立派ですが、何よりも奈良市内の住宅街のド真ん中にこんな静かな空間があったのか!と。数十年前までは辺り一帯森だったのだろうと想像できますが、今となっては本当に貴重な空間です。近くの鴻ノ池運動場(ならでんフィールド)辺りも緑が多いですが、この静けさはまたちょっと別格ですね。空気が美味しい。ただし蚊も多い。


つい社叢の素晴らしさに目を奪われてしまいましたが、もちろんクスの巨樹だって相当なもの。周囲には特に目立つ大木がないこともあって非常に迫力があります。正直ここまで見応えのあるクスだとは想像していなかったので、良い意味で期待を裏切られることになりました。


目を引くのはやはりお供えのワンカップ大関。人々に愛される巨樹の側に日本酒あり、です。たまに豪快に一升瓶が置かれているのも目にしますが、何はともあれ日本酒であることが大切。根本が朽ちて柔らかくなったところにアリが巣を作っていたので少し心配ですね。幹にダメージが無いと良いのですが。ところで徳島県の巨樹巡りをしていたとき巨樹の周りにやたらと使用済み(と思われる)電球が散乱していたのですが、ここにも供えられています。いえ、それも不法投棄的な感じではなくて、どことなく巨樹への愛情を感じるんですよね。灯籠とかそういうのに使われた電球なんでしょうか。ただまあ割れると危ないので、特にお供えする理由がないのなら持ち帰って処分したいんですが、どうなんでしょうね、これ。


愛される、と言えば神社にこんな写真がかかっていました。こういうのを見ると来て良かったなあと気分が良くなります。あと、やっぱり写真っていいなと。最近は個人情報だ肖像権だのと面倒臭い人も増えたのでこの手の写真を撮るのは難しくなってしまったかもしれませんが、いいですよねえ。写真とは本来こうあるべきだと思います。


クスを真横から。傷痕も目立ちますが堂々とした立ち姿。訪問したのが雨上がりだったこともあって苔の緑が生き生きしています。古木の樹皮に映えますね。


案内板によると樹齢は1,000年余り。サイズだけで見るとやや首をかしげたくなるところもありますが、神社の成り立ちや樹皮の風格を見ると確かに相応の風格を感じます。少なくとも1,000年という数字は大きく誇張したものでは無いでしょう。


見るからに筋肉質で重厚そうな支幹。葉の付きはまずまず。この時期にしてはちょっと少ないか?という気もします。


逆側の側面から。大きく根を張って斜面にへばりついているのが分かります。とにかく明るいイメージの付きまとうクスですが、この巨樹に限ってはどことなく「陰」の気配も感じられるような。これはまあ薄暗い社叢の中という立地が影響しているのだと思いますが。


全景を撮りたいのですがこれ以上下がるわけにもいかず、上手く収めることができません。流石に大きいな。ズドン!と真っ直ぐ空を目指す姿は神々しくもある。


ゴツゴツとした支幹は空に向かって立ち上る煙のようにも見える。制空権は完全にこのクスのものですね。他の樹木に日光を取らせまいと大きく枝葉を広げていました。


頑張って撮った全景。それでも収まり切りませんでしたが。真っ直ぐ空を目指し、そこからぶわっと横に広がって日光を確保する。T字?傘?のような形状。しかしこんなクスが住宅街のド真ん中にあるあたり、奈良の懐の広さを実感しますね。この近くだと春日大社の側にも幹周10mオーバーの「若宮大楠」があったりしますが、私の好みで言うと今まで見てきた奈良県のクスではこのクスが一番好きかもしれません。この素晴らしい社叢ごと子の世代、孫の世代へと残していっていただきたいものです。

2019/7/4訪問
「奈良豆比古神社の楠」
奈良県指定天然記念物
樹齢 約1,000年
樹高 30m
幹周り 7.5m

奈良県奈良市奈良阪町2489 奈良豆比古神社

コメント:4

19-08-06 (Tue) 21:48

周囲状況と広角レンズのおかげか、写真の第一印象はさほどでもないのか? という感じでしたが、やっぱりヒューマンスケールは効果的ですね。
その第一印象が覆るカタルシスがたまらないです。
でかい。そして背が高く見えるタイプのクスなんですね。
陰な感じのする樹ながら、巨樹として人々に認知されて親しまれているところが、見ていてうれしく思います。
誰にも見られず、雑木に埋もれるようにして生育しているものと比べると、やっぱり相が違ってくるように見えます。
電球のお供えはまさしく謎ですが笑、この集合写真は素晴らしいですね。
この辺のみんなと巨樹。それだけで、ずっと見ていたくなるような写真になるんだなあと。

RYO-JI 19-08-06 (Tue) 23:24

あの徳島で疑問に感じた電球問題、ここにもあったとは。
どういう意味合いがあるのか知りたいですね。
クスにしては珍しく私も初見から「陰」のイメージを抱きました。
おっしゃるように社叢の雰囲気からくるイメージでしょうね。
そう思う一方、このクスの大きさがそもそも暗くしているんじゃね?とも(笑)。
全景は私もムリでした。
やはり超広角ズームが必要なのか・・・(汗)。
数値以上に大きく感じたクスですので何度でも楽しめそうですが、そう、アクセスが良くないんですよねぇ。
自転車で行く京都南部パン屋巡りのついでに寄るのが良さそうです(笑)。

to-fu 19-08-07 (Wed) 21:35

> 狛さん
徳島の大物たちを見てきてしまったので数値だけ見ると物足りなさを感じるのは否めませんが、それでもやはり
眼前に迎えると圧倒されますね。社叢が深いためか頭頂部以外は枝葉が付いていないのでひょろ長く見えてしまいますけど
近付くにつれて「ん?んんん…?マジか!」とテンションが上がってくるタイプのクスです。

じめーっとした印象のクスですが、やはり人々に大切に扱われている巨樹というのは悲壮感が感じられないものですね。
蚊が多すぎるので連中のエサである私にはじっくり眺めることができませんが、じっくり眺められるだけのポテンシャルを秘めていると思います。
こういう巨樹こそ将来に残していっていただきたいですね。

to-fu 19-08-07 (Wed) 21:40

> RYO-JIさん
電球…あれは本当に何なんでしょう 笑
たまに割れていたりするので理由が無いなら訪問ついでに持って帰りたいんですが、神様へのお供え物かもしれないので
躊躇してしまいます。あの山奥のカゴノキにしてもこのクスにしても、電球を使いそうな電灯の類も見当たらないんですよねえ…

RYO-JIさんもこのクスは随分前に紹介されてましたよね。
自転車で再訪されるなら、パン屋ではなくぜひ近くの例の食堂に行ってレビュー記事をお願い致します 笑
(いえ…本当に行ってみたいんですよ。すごく興味あります。)

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