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石徹白巡礼 2020


SONY α7RIII / SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art
PENTAX K-1 / PENTAX HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW

去る9月23日、今年も行ってまいりました。石徹白巡礼。
皆さまご存知のとおりこんな昨今ですからね。流石に今年ばかりは無理なのではないか…一時はそんなふうに諦めかけてもいましたが、為せば成る。車中泊という荒業をもってすれば他人と一切接触せずに訪問することも可能なのです。結論から申し上げてしまいますがもう本当にたった一言です。「行ってよかった。」その至極シンプルな一言に尽きる。これで今年も気持ちよく年が越せるというものです。


夜明け直前、早速やって来た登山客の車のエンジン音で目覚める。ええ、今回も街灯一つ無い闇黒の石徹白大杉登山口で就寝していました。ここの星空がまた格別なのですが、今回残念ながら曇天で星空を拝めず。朝食は車に積み込んだ非常用カップスープとドリッピコーヒーです。簡素な朝食ですが、これが冷え切った体に染みわたる。最高気温25℃前後まで上がる時期にこの登山口早朝の気温といったらなんと3℃でしたからね。そろそろレギュラーガスでは湯を沸かすのも難しくなる気温ですよ。早朝はダウンジャケットが欲しいくらいの寒さ、下山した後はTシャツ一枚で巨樹をめぐるという何とも体のぶっ壊れそうな一日の始まりです。


ここに来るのももう4度目?5度目?あの長い石段は省略しますが、おおお…相変わらずの神々しい立ち姿には、つい深々と頭を下げてしまう。今年も来ましたぜ、大杉さんもお元気そうで。


挨拶代わりに真正面から写真を数枚。大地に突き刺さった誰にも抜けない聖剣を思わせる神聖さ、そして存在感があります。


ただ大きい巨樹というならそれなりに多くのものを見てきました。しかしこの巨樹の神聖さはそのどれとも種類が違うのです。少なくとも巨樹という存在の中に「神」を感じるのは、私にとってこの石徹白大杉ただ一つ。外観が白骨化しているだけでなくその魂まで浄化され、樹木という存在から神や仏にまで昇華しているかのように見える。そのため、どうしても訪問や探訪ではなく巡礼という言葉を使いたくなってしまいます。


剥がれ落ちた樹皮を被せて損傷を隠していると思われる。被せた樹皮の裏側には僅かに仄暗い空間が見えますが、ひょっとすると内部は外から見える以上に空洞化が進んでいるのかもしれません。


裏側から。多くの着生植物を抱えた姿がまた聖母を思わせる美しさ。他の巨樹なら痛々しく見えるところが、大杉のおおらかさでそう見させないのが凄い。いや、いいんだよ。これでいいんだ。と巨樹が語りかけてくる。


正面から見ると枯れ木のようにも見えますが、裏側から見るとしっかり生きている。これから来たる長い冬に向けて少しでも多くの養分を蓄えておかねば、そんな強い意志すら感じられます。


流石に何度も来ていますから、撮影はそこそこにして流れる雲を眺めたり。雲の流れがとてつもなく早い。風で枝葉がそよぐ音。小鳥にシカ、サルの鳴き声。本当にそれだけしか聞こえてこない。当たり前ですがけたたましいバイクや車のエンジン音も聞こえなければ人間の足音すら聞こえません。こんなところで暮らせたら…とまでは流石に想像できませんが、やはり年に何度かはこういう場所に身を置いて心のリセットボタンを押したいものです。


過去の石徹白巡礼も全て夜明けとともにスタートしているわけですが遠く白山連峰の稜線から朝日がすうっと上がってくると、何となく自分の中でそろそろ潮時だな、という感覚になります。名残惜しい気持ちを抱えながら、また来年来ますと頭を下げて下山する。来年もまた静かな早朝に来られることを願って。


そしてもちろん白山中居神社にも立ち寄ります。ちなみに参拝時間が早すぎるため未だに御朱印をいただけておらず。来年は石徹白に宿をとって、のんびり一日過ごすのも悪くないかもしれない。


何より驚いたのが、あのめちゃくちゃ滑る浄安杉への坂道が綺麗に整備されていたこと。何度ここで転びそうになったことか。


当然この御方も健在です。石徹白大杉とは全くベクトルが違うけど、浄安杉もとんでもない杉ですよねえ。本当なら地域を代表する一本になっていてもおかしくない迫力。


これだけ綺麗な合体杉が他にありますかね?これだけ均一にド迫力な幹が立ち並ぶ様は見たことがない。ある種この杉も奇跡の一本ではないかと思うのです。ところで、私の訪問時間的に毎回このあたりで強烈な朝日が差してきて撮影が困難になるんですよねえ…次回はやはり一泊して時間を気にせずのんびり境内散策、でしょうか。この浄安杉とも思う存分対峙してみたい。


2020年の初めにいくつかの今年の目標…というか目的地を決めてたんです。富山県の「洞杉群」と香川県の「志々島の大楠」、そして最後が毎年恒例にしたいこの石徹白巡礼でした。立地が離島ということもあって残念ながら「志々島の大楠」を訪れることは叶いませんでした(そして島のお年寄りに不安を与えること確実と考えると、年内の訪問もほぼ不可能)が、こんな一年だったにしてはまずまず満足かなと。

来年もまた石徹白巡礼へ。そして来年こそは「志々島の大楠」へ。余談ですが志々島の手前に粟島という小さな島がありまして、そこはかつて写真仲間のなっちゃんにto-fuさんは絶対気にいると思うとオススメしていただいた島なんです。10年ほど前に訪問したワタクシはその島で一日過ごしたことでコロッと人生観が変わってしまいましてね…それから当時所属していた会社を辞めて生き方を変えたという。そんな島もあるので、どうせ志々島に行くなら粟島に一泊したいんですよねえ。

何だか11月にして今年の総括みたいになってしまいましたが、どんな小さなものでも目標や目的のある人生とは素晴らしいものです。来年も目標達成のために頑張りますぞ。

コメント:4

RYO-JI 20-11-07 (Sat) 12:11

私はまだ一度しか石徹白へ足を踏み入れていませんが、あのエリアが発する不思議な空気感は印象深いものとなっています。
大杉に近付いて行くにしたがってそれがますます濃密なものになっていき、あの神を思わせる姿を目にした途端・・・。
あぁ、まさに巡礼と呼ぶに相応しい心境と行動でしょう。
こうやってto-fuさんの巡礼を拝見していると、今年行かなかったのを悔やんでしまいますねぇ。

目標や目的のある人生・・・それらがないと生きている意味がないとまでは断言しませんが、やっぱりそれらがある人生にしたいものです。

20-11-08 (Sun) 9:19

きわめて即物的反応ですが、まず、浄安杉へのあの短そうでハードな道が整備されたのか! と、「今」を感じてしまいました。あの短そうでハードな道が。
まだ見ぬ巨樹を次々訪ねたいという意欲がある一方で、石徹白は何度でも心の居住まいを正してくれるまさに聖地だと思います。
高樹齢の樹もいくつも見ていますが、to-fuさんに同じく、石徹白大杉ほどの変化を経ている樹はまだ他に知りません。
個性と精神性が見えるのみならず、それが別の上のクラスのものに思えてならない。それこそ超常的な存在というしか表しようがないなと思う。
それを大袈裟だとか褒めすぎだと思うたびに、自分の目でもう一度確かめに行きたくなるんですが、行くと、逆に感動が深くなってしまうという。すごいですよね。やっぱり。

西日本が決定的に遠い1年になってしまいましたが、連続で訪ねすぎると膨満感あるクスの巨樹たちにも、無性に会いたくなってきましたよ。
「志々島の大楠」はその中でも目指す先ですね。瀬戸内の島の風景や環境とともに、いつか近いうちにその存在を体験してみたいです。

to-fu 20-11-08 (Sun) 11:00

> RYO-JIさん
福井県側からも岐阜県側からも隔絶された秘境。白山を臨むあの立地だけでも特別な空気がありますよね。
我が家からだとそう遠くもない(遠くないとは言い切りません 笑)ので状況が許す限りは毎年の恒例行事にしたいと
思っています。生きているうちに一度は白山登頂を成し遂げたいものですが、約半分の距離の別山まででも往復21kmと考えたら
流石に私の体力で成し遂げられるとは思えず。大昔の登山道すら整備されていない時代の巡礼者はとても同じ人間とは思えません。

どんな些細な目標でも目の前にぶら下げておかないと、何だか人生に虚しさを感じてしまいますよね。
何を為しても何も為さなくても平等に時間が過ぎ去っていきますから、どうせなら充実した人生を過ごしたいものです。

to-fu 20-11-08 (Sun) 11:10

> 狛さん
やっぱりそこに感動しますよね 笑
あの一見ぬるそうで実は石徹白の石段よりハードなんじゃないの?という浄安杉へ道のりが多少整備されていました。
前々からあれほどの大杉なのに社殿から離れすぎているため我々のような愛好家にしか見てもらえないなんて勿体ないと
感じていたので、これはかなり嬉しかったです。相当な化け物杉ですからねえ。ぜひとも多くの方に見てもらいたいですよ。

仰るとおりで、自分も今年こそは関東の「姥樫」へ!とか、また千葉北部のシイを回るのも…なんて夢想していたので
そろそろ欲求がピークに近付いています。たしかにこう寒くなってくると、あの瀬戸内の有無も言わせぬ巨大なクスたちに
会いたくなってきますね。実は今年最後の遠征の目的地に「加茂の大クス」も候補に入ってるんです。近くに宿をとって
あそこで缶ビールでも飲みながらボケーッと過ごすのも悪くないなと。本当は志々島まで渡りたいんですけどねえ…何とか行けないかな。

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