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滋賀県犬上郡多賀町 井戸神社のカツラ


SONY α7II / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G

近隣の巨樹シリーズ。まあ近隣というほど近隣でもないわけですが。この「井戸神社のカツラ」は滋賀県のカツラとしては最大のもの。カツラ好きのワタクシとしては当然気にならないはずもなく、この日も夜明け前に出発したのでした。


井戸神社は滋賀県が誇る多賀神社の末社。その多賀神社より東の山中、芹川源流域に位置します。かつては向之倉という集落があったそうですが、残念なことに現在は廃村になってしまいました。ターコイズブルーに透き通った芹川が実に美しい。カツラの巨樹抜きにしても絶景ですよ、これは。わざわざ早起きした甲斐があったというものです。源流をさらに奥へと進むと「河内の風穴」という滋賀県唯一の鍾乳洞もあったりしますが、そこまで行ってしまうと井戸神社へ向かうには行き過ぎです。(実際に位置が分からず風穴手前まで直進してしまった経験談。)もっと手前に細い橋がかかっていて、井戸神社はその橋を渡った先の中腹にあります。


これは帰り道に撮影したものなので写真では下りですが、離合困難な細い坂道をグネグネと登っていくことになります。途中で離合用スペースが設けられているので山道慣れした方なら何てことないと思います(近くの「杉阪の大杉」へ至る山道はほぼ離合不可能で遥かにヤバい)が、山道の運転に自信の無い方や大型車での訪問は止めておいた方が無難かも。先が廃村なので対向車と出会うのも稀でしょうけど、巨樹マニアの方とバッティングする可能性もゼロではありませんからね。

あと見てのとおり落石注意、ですね。実際自分も二度車から降りて巨大岩石を道路の端にどけました。まあ頭上に落ちてきたら注意もクソもありませんけれども。どんどん芹川から逸れていくので、大丈夫かいなこれ…とドキドキするかもしれませんが、信じて進んで下さい。駐車スペースまで辿り着くと写真1枚目の看板が立っています。転回スペースも充分あるので、ご安心を。


車を降りたらもうすぐです。徒歩でほんの2~3分。
いきなりヒューマンスケールの全景を載せてしまいますが、実に素晴らしい。視界に飛び込んできた瞬間に感動間違いなしですよ、これは。流石に山奥だけあって聞こえるものは鳥のさえずりと、風がカツラの枝を揺らして軋む音のみ。見つけた瞬間に興奮でカメラを構えたくなる巨樹ではなく、まずは一息つこう、心を落ち着けて向き合おうと思うタイプの巨樹。当然ですが喧しい車やバイクの走行音なんて一切聞こえません。数十分前までの街の喧騒が嘘のよう。人間のいない異世界に迷い込んだのではないかと疑ってしまうほど。まずはこの環境に溶け込むよう心をフラットに落ち着けることにします。


案内板のとおり、まさに壮観。ひこばえがやや寂しい気もしますが、それぞれの幹が一様に天を目指す形状が美しいんですよね。樹齢400年ほどということですが、周囲にカツラの木が見られないことからも、神社が建立された際に人の手で植えられたものではないかと思われます。


カツラの麓にある小さな泉。こちらも美しいコバルトブルーですが、決して機械油が浮いてこの色になっているわけではないんですよ。もちろんこれは自然の色。芹川のターコイズブルーといい、この辺りの地質の影響なんでしょうか。本当に魅入ってしまうくらい美しい。この湧き水こそが井戸神社という名の由縁でしょうね。案内板に「蛇にまつわる言い伝え」と書かれていましたが、この泉(井戸?)には蛇が住んでいて、年に一度の水替えの際に蛇がカツラの木に移るのだそうです。この地域に限らず井戸の側に植えられた木には神様が宿るという信仰がありますので、恐らくこの泉に住み着いていた蛇がその信仰の対象になったのでしょう。


根回りも非常に力強い。日当たりが良いとは言えない環境ですが、じわっと大量の水分を含んだ柔らかな土は栄養もたっぷり含んでいそうです。


廃村の神社の御神木でありながら、とても丁寧に手入れされているのが見て取れます。寂しく見えたひこばえも実は生えてこないのではなく、丁寧にカットされているだけだったりするのかも。この薄暗さですから、自然に任せて放置してしまうと日光も栄養も行き渡らず枯れてしまうのかもしれません。


裏側に回ってみました。本当にフォルムが美しい。


とにかく健康で気持ちのいいカツラ。この先何百年も成長を続けるのでしょう。いつまで地元の方が気にかけてくれるだろうか…というのが少々不安ではありますが。


分かりにくい場所にあるしアクセスも良好とは言い難い。でも本当におすすめできる巨樹です。今まで見てきた滋賀県の巨樹では環境含めて個人的に一番好きかもしれません。ただ自分は運が良かったのですが、ここ井戸神社はヤマビル出没スポットとしても名高いようなので、来られる際はヒル対策をお忘れなく。(自分はこの後「杉阪の大杉」でヤマビルに襲撃されたので、生息しているのは間違いないと思います。)

2018/7/11訪問
「井戸神社のカツラ」
滋賀県指定天然記念物
樹齢 約400年
樹高 約40m
幹周り 11.6m

滋賀県犬上郡多賀町大字向之倉字東反尻63番地

コメント:4

18-10-08 (Mon) 8:22

立ち上がっている幹それぞれも力強く、これもまた見逃せないカツラですね。
立ち姿も美しいし、もはや特に言うべき事もないような完成された存在感を感じます。
神秘的な泉も魅力的。道中の心細さを押しのけて見にいきたいですね。
いつも見る巨樹おじさんが09年に記録したのを読むと、ひこばえも枯れ幹も放置、今後が心配……と書かれていましたが、現在の方がだいぶ管理が良くなっているように見受けます。
災害や異常気象、過疎とネガティブ要素が重なる現在において、これは嬉しい。
管理されている方々の努力に頭がさがる思いです。

to-fuさんが探訪した記事を見ると、カツラが好む気候や地形の特徴がわかって来るような気がします。
ほんと、これほどのカツラは東には全然無いな……と思うようなのが次々出て来ますね。
数は少ないながら東北方面にも孤高のカツラがあるようですので、いつか行ってみたいと思います。

to-fu 18-10-08 (Mon) 11:04

> 狛さん
遠目には分散した株立ちのようでいて、それでもしっかり巨樹の一個体として塊感がある。
まさにカツラの巨樹の見本のような一本でした。

過去放置されていたものが管理されるようになったのだとしたら喜ばしい限りですね。巨樹巡りをしていると、ここ10年内くらいの手入れで樹勢が回復傾向にあるものが多く見られますが、観光資源として活かそうという意識が広がっているのでしょうか。何百年も生き続けてきた巨樹が我々の時代で朽ちてしまうというのはやはり悲しいことですから、これは本当に素晴らしいことだと思います。

一番心配なのは、ここへ至るまでの山道がいつまで保つだろう…ということですね。見てのとおり落石が酷いですが、もし道路の法面など崩れたとしても廃村のためにわざわざ修繕されるとも思えず、そうなると数十年先には事実上アクセス不可能な場所になってしまうのではないかと…どこか数十年後の地方の縮図を見ているようで、色々と考えさせられる巨樹でした。

RYO-JI 18-10-08 (Mon) 21:53

素晴らしい!
人気のなくなった場所に佇む巨樹ですが、風格がありますね。
廃村&悪路というワードに躊躇していた場所なんですが、本当にこれは素晴らしいです。
貴重な情報をいただいたんで自分の遠征時に大いに参考にさせてもらいます(笑)。
好天を選んで行きたいですが、うかうかしていると本当に道が通れなくなっているかも・・・。
今年の台風でダメになっていないことを願います。

to-fu 18-10-09 (Tue) 16:14

> RYO-JIさん
大野の「白山神社のカツラ」とはまた環境の雰囲気も巨樹のタイプも違いますが、このカツラも決して引けを取らないものでしたよ。悪路に関してはとにかく落石に気をつければ後は問題ないと思います。

本当にあとは道が塞がれていなければ…ですよね。こういった山奥の巨樹は地元の方々が藪を刈ったりして下さるおかげで我々のような軟弱シティ・ボーイでも踏破できるくらいの難易度に収まってくれているわけで、彼らの管理下を離れてしまうともう訪問出来る自信がありませんね。車にカマとかナタとか積んでおくしかないんでしょうか。職務質問されたら一発でアウトになりそうです 笑

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