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和歌山県東牟婁郡那智勝浦町 熊野那智大社


SONY α7RIII / SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art

普段特定の寺社について子細に書くことはしていませんが、あの素晴らしい体験は是非とも記事にまとめておきたい。何より自分のためのログとして記憶が薄れてしまう前に。ということで、この「熊野那智大社」についてまとめておこうと思います。岐阜県の石徹白大杉と並んで自分の中での聖地と呼べる存在かもしれない。年に一度参拝することが出来たらどんなに幸せなことだろう。

さて、大門坂駐車場にて5:40起床。当然ながら辺りはまだ真っ暗なので、着替えて顔を洗ったりコーヒーを淹れたりして少しずつ頭を起こしていくことにします。夜明けの瞬間があまりに美しかったので三脚を立てて写真を撮ってみたり。うーん、なかなか難しい。ここ一年くらい色々なところ…主に街灯一つ無い山奥や海の目の前で車中泊をしてみて思うのが、今年はちょっとネイチャーフォトについて勉強してみようかなということ。星空とか夜明けの空、それに海とか。本当に美しいんですよ。これを撮らないのはあまりにも勿体ないんじゃないの?と思うわけです。あまり気合い入れすぎるとその後の予定(主に巨樹)に響くのでまあ軽く、ですけど。うん、話が脱線しすぎですね。私の悪いクセです。


7時を回って辺りも明るくなってきました。熊野那智大社へと至る参道の入口に早速巨樹が…ということを事前に調べていたので、この時間まで待っていたのです。ちなみに徒歩で登ると結構大変なので、このマップの「夫婦杉」を抜けて車道と隣接するところからバスに乗る方が多数を占めるそうです。(早朝すぎてほとんど人を見かけなかったので伝聞でしか知りません。)私ですか?愚問ですね。もちろん徒歩に決まってます。


途中にクスの巨樹が生えていたり参道自体も巨樹クラスを多数含むスギの大木が並んでいたりと、巨樹好きとしては徒歩で向かわない理由がありません。またこれは私の私感ですが、この参道を徒歩で登るのとバスや自家用車でスルーして参拝するのでは感動の度合いが大きく変わってしまうと思います。これは実際に徒歩で登られた方にしか分からない感覚かもしれません。(でも徒歩で登ったぞ、という方ならまず賛同してくれるのではないでしょうか。)


いやあ…もうこの参道の空気を吸っているだけでも、はるばる遠征してきた甲斐があったなと。今回はあくまで巨樹めぐりということでやって来ましたが、熊野那智大社を参拝したら直帰しろと言われてもまあいいかと思えるくらいには、参道を歩くだけで充足感がありました。


永遠に続くかと思われた(大袈裟な…)参道を抜け、またまた石段を登ります。所要時間ですか?たしかここまで30分程度という話ではありませんでしたかねえ。何だかお前本当に行ったの?と疑いたくなるような感想ばかりで申し訳ありませんが、私のケースは三脚構えて巨樹を撮ったりスギの大木を撮ったりと勤しんでいたもので、全く参考にならないと思うんですよ。


ここまで来ると感無量です。あの参道を抜けてとうとう俺はここまでやって来たんだ、と。特に意識して回ったことはありませんが西国三十三所巡礼というものがありまして、この地に建つ元々は神仏習合時代の修験道場だった「青岸渡寺」が西国第一番札所に指定されています。我がホームタウン京都にもいくつかの札所が存在しますが、え?一番札所ってここだったの?と、一発目からいきなりのハードルの高さに驚かされました 笑


巨樹についてはそれぞれまた後日まとめる予定です。色々と条件が厳しいことは承知の上で、是非とも参拝者の少ない早朝に参拝していただきたいですね。あの凛とした静けさとキリッと冷たい空気は本当にたまらないですよ。まさに筆舌に尽くしがたい。


前日の今頃はまだ自宅にいたのに、なんてところまで来てしまったんだろう。なかなか感慨深いものがあります。旅っていいですねえ。直線距離にすると僅か200km程度でしょうか。たったそれだけの距離を移動するだけで文化も風土も何もかも違う。例えばWeb上でコメントのやりとりをしているだけだと相手も自分と同じ生活をする日本人、という意識しかありませんが、実はこうして何もかも私とは全く違う想像もつかないような暮らしをしている方なのかもしれないわけで。日本って実はめちゃくちゃ広い国なんだなーと実感させられます。面白いですねえ。


那智の滝。写真で見るとショボいですが実物は凄かったです。あそこまで迫力があるとは思いませんでした。もちろんせっかくなので近くまで行きましたが、私はここから眺める景色の方が好きでした。いくら眺めていても飽きない。しまったなあ、那智勝浦にももう一泊分宿を取っておくべきだったと後悔したくらい。熊野那智大社だけでも余裕で一日過ごせます。


とはいえ、まだまだ本日の見どころが手ぐすね引いて待っているわけですから先を急がねばなりません。那智飴ですか?私こう見えて(どう見えてるのか知りませんが)おばあちゃんっ子なもので、売り子のおばあに話しかけられたらもうダメなんです。買ってしまいました。いえ、足腰悪いお年寄りがここで暮らすのは本当に大変なことだと思うんですよ。頑張ってこれからも長生きして下さい。


龍宮城を去るときのウラシマタロウさんはこんな気持だったのかもしれません。あまりに現世とかけ離れたところにいたもので、頭の中がどうにもふわふわしたまま下山するのでした。ああ、ついさっきまで自分は凄いところにいたんだよなあ。そして帰路のスギもやっぱりデカい。つい足を止めてパシャパシャやってしまいます。


体に少しずつ蓄積された心地よい疲れ、そしてここまでに見てきた数々の風景…この夫婦杉まで戻ってきたところで色々な感情が一気に爆発したかのように溢れてきて、不覚にも涙しそうになりました。ああ、とうとうこの体験も終わるのか、と。始まりのスギ、そして終わりのスギ。それはまるで異世界と現世とを結ぶ門のような存在にも感じられます。このスギの真価は入口としてよりもむしろ出口としての役割にあったんだなあ。時間と労力をかけて徒歩で登っていなかったら、きっと味わえなかった感動です。


早朝とは随分印象が違います。現実世界に帰ってきてしまったんだなあ。何でしょうね、某ジブリ映画の神隠し的な?ラストのトンネルを抜けて戻ってきたシーンのような寂しさですよ。うん、でもまあいい。また来ればいいんです。


滞在時間はだいたい2~3時間くらい。私は今回2時間半で戻ってきましたが、実のところカメラだけ持って一日潰してこいと言われても余裕で行けてしまうくらいの見応えがあります。獲得標高は階段75階分程度(京都の愛宕山、1,000m級の低山登山が300階行かないくらいでした。)なので、まあそこまでハードな道のりでもありません。体力的、そして時間的に余裕があるならぜひとも徒歩で参拝してみて下さい。熊野三山の中でも個人的には別格と言っても差し支えないくらい素晴らしい体験ができましたので、本当におすすめです。

コメント:6

20-02-17 (Mon) 21:30

有名な那智の滝の周辺はこういう雰囲気になっているんですね。
奈良の室生寺などもそういう感じがありましたが、やはり歴史の深みでしょうか、樹々の立ち姿を見ても霊力がありそうな感じを受けます。
それらが森をなしているのだから、その場の空気はやはり外とは全く違うものになってくるのでしょう。
本殿近くこそ流石に金比羅さんにも近いような多くの人に開かれた空気感がありそうですが、これはぜひこの古道然とした参道を歩きたいものですね。
こういったところに数時間身を置いて下界に出てくると、ふっと緊張が解けて愕然となったり、ポカンとしてしまったり……石徹白でもそういう感じを味わいましたが、これもまた大切にしたい感覚だと思います。
ああ、またそういう感じを味わいに旅をしたいものです。これは巨樹の方も大変楽しみです。

RYO-JI 20-02-17 (Mon) 22:01

ここについては全くの同感です。
私はこれまで二度行ってまして(ひょっとして子供の頃にも)西国三十三所巡礼で行った時に徒歩で回りました。
もうそれはそれは素晴らしい体験でしたね。
強行日帰りだったのであまりゆっくりできなかったのが悔やまれます。
一日時間を掛けて参拝し、海辺の宿で一泊したいもんです。

to-fu 20-02-18 (Tue) 16:23

> 狛さん
大門坂(参道)は確かに室生寺のあの雰囲気に似ているような気がします。
とにかくスギの平均値がデカい。なので巨樹を見ても逆にこんなもんなの?と感じてしまうという。良くも悪くも、ですねえ 笑
本殿まで登りきったときは私も金毘羅さんを思い出しました。あの石段はここ以上にハードだった記憶があります。
途中であの土産物屋群にも飽きてくるからかもしれません。で、奥社までがまた遠いんですよね、あれ。

石徹白にも言えることですが現地の雰囲気もさることながら、そこへ至るまでの苦難が大きなスパイスになりますよね。
スパイスというかもう脳内麻薬と言ってもいいかも。石徹白もあの落石を放り投げながら進み、あの石段を登るからこその
感動というものがあるように思います。ああ、旅はいいですねえ。また行きたくなってきたではありませんか 笑

to-fu 20-02-18 (Tue) 16:44

> RYO-JIさん
二度ですか!何とも羨ましい…
そして西国三十三所巡礼をされてたんですね。ひょっとすると京都の善峯寺もその巡礼の一環だったのでしょうか。
巨樹めぐりをしていると狙わずとも札所を参拝することがままあるので、私もカウントしてみたら既に13ヶ所は
巡礼していました。札所はとにかく辺境の地が多いだけに、当時巨樹にも興味があったら!と悔やまれますね 笑
私も次回は那智勝浦だけで一日過ごしたいと思います。もちろん早めにチェックインしてお風呂、そして新鮮な海の幸と
地酒を…ああ、今すぐにでも行きたい。え?目的は酒だろ、と?いやいやいや、まあ半分くらいは、ですかね 笑

yuriy 20-02-18 (Tue) 23:30

那智大社、本当に素晴らしいですよね。
次回は泊まりで熊野古道を歩きたいです。
日が傾いたころの、誰もいない境内はまさに無音で、
周囲が次第に青くなっていく中、杉に囲まれてバス停に向かった時の離れがたい気持ちは、
未だにはっきり覚えています。
山間の寺社なら他に幾つも見てきたのに、
あそこは別格というか、次元が違うというか。
浄土に限りなく近い場所 のような気がします。
遥か昔から多くの人々が熊野に詣でてきた気持ちが、よく分かりました。

to-fu 20-02-19 (Wed) 16:59

> yuriyさん
あそこは別格。私も全くもって同感です。
私があれだけの神々しさを感じたのは、那智大社以外では岐阜県の山奥にある「石徹白大杉」くらいしか思い浮かびません。
熊野詣に白山信仰、やはり昔から変わらず崇められているものには相応の理由がある。その場に身を置くと強く実感できますね。
夕暮れも実に美しいでしょうねえ。想像しただけでも涙が出てきそうです。本当に朝から晩まで過ごしてみたいですよ。

熊野古道は私も生きているうちに(そして五体満足なうちに)踏破するのを目標にしています。
熊野本宮はゆっくり回れなかった&巫女さんの印象があまりに悪かったこともあって正直ピンと来なかったんですが、
やはり熊野古道を歩いて到達した先に待つ姿こそが真の姿なのではないかという気がしています。
車で乗り付けるのは楽ですが、楽をしているようではそれなりのモノしか手に入らないよ…と神様に言われているようでもあり、
歩いて三山回ったときに初めて、自信を持って「私は熊野三山を参拝した」と言えるのかもしれません。

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