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福井県丹生郡越前町 螢ヶ宮の大カツラ


FUJIFILM X-Pro2 / XF 16-55mm F2.8 R LM WR

福井県丹生郡越前町。自分のような余所者からするとややこしいですが、福井県越前市とはまた別の地域です。(こういうパターンは全国的に結構聞きますが〇〇町と〇〇市って往々にして仲がよろしくなかったりするんですよね。この越前の場合はどうなんでしょう。いえ、別に仲が悪いことを楽しんでいるとかそういうわけではありませんよ。)立派なカツラが存在するとは聞いていたものの、ストリートビューやマップで調べてみてもいまいち場所がよく分からなかったんです。まあ最悪地元の方に聞けばいいだろうと、とりあえず向かってみることにしたのでした。


国道365号線を武生から西へ進むとこのカーブに出ますので、何となくこの光景を覚えておいてもらえば大丈夫だと思います。右手に「大かつら」の標識が立っていますね。左手のこんもりした森が大カツラとその仲間たちです。ちなみにこの螢ヶ宮に駐車場は無いので、国道沿いの大きな路肩スペースに停めてそこから歩きました。この手前に左折路があり螢ヶ宮の前まで繋がっているのですが、細い路地のドンツキに民家があるだけで結局バックで戻ることになりますのでご注意下さい。(経験者は語る)


福井県のカツラの巨樹と言えばやはり大野市の「白山神社のカツラ」がその筋では抜群の知名度を誇りますが、単純なサイズや見栄えではこちらも負けてはいない印象。立地的なこともあるとは思いますが白山神社のカツラほどの神々しさを感じない反面、もっと身近なところから優しく語りかけてくるような暖かさが感じられました。写真左側から大きな藤が絡みついているのが確認できます。


裏側に回ってみるとケヤキやカヤ、その他にスギなども着生しているのが確認できました。明らかに人為的にカツラの回りに植えられたものだと思うのですが、何か意味があるんでしょうかね。まだ記事には出来ていない京都のカツラの巨樹に「七色の木」という、やはり同様に様々な樹種と一体化したものがありまして、そういった何らかの信仰の形があるのかと少し気になりました。


信仰と言えばこの螢ヶ宮。実は社殿や社があるわけではないんです。このカツラの巨樹を神様とした空間そのものが螢ヶ宮なんですね。これは全国的に見ても結構レアなんじゃないでしょうか。梅雨時の蛍の火について伝承が書かれていますが、今でも実に自然豊かな風景が広がっていて、側には美しい清流が流れていましたので、梅雨時の夜には伝承のようなたくさんのホタルが観察できるだろうと思います。


地面は一歩脚を踏み出すごとにジュクジュクとソールが沈むように感じる、如何にもカツラが好みそうな水分をたっぷり含んだものでした。(ちょっとヤマビルが怖かったんですけど、今のところ福井県では出会ったことがありません。)


生命感溢れる、健康的で実に立派なカツラです。カツラの幹を絞め殺さんとばかりに藤が必死に巻き付いていますが、勝手にやってろよと気にも留めずグングン枝を伸ばしています。


正直ここまでのものだとは期待していませんでした。嬉しい誤算です。福井県のカツラは白山神社のカツラだけじゃないんだぜ!と触れ回りたい気持ちもあり、ここにこんな素晴らしい巨樹があるなんて広まったら大変だ!と胸に秘めておきたい気持ちもあり、何だか複雑な巨樹です。これは勝手な想像ですが、何となくこのカツラ自身はあまり有名になりたくない、目立つのが好きなタイプではないんじゃないか…そんな風に思います。


根本から天を仰ぐと緑のシャワーが心地良い。カツラの巨樹はやっぱり春、夏だよな…と今が落葉しきった真冬だから尚更思います。この越前町は他にも「八幡谷の二本杉」があったりと知る人ぞ知る巨樹スポットなんです。また暖かくなったら早起きしてゆっくり回ってみたいですね。

2018/7/3訪問
「螢ヶ宮の大カツラ」
越前町指定天然記念物
樹齢 約600年
樹高 約30m
幹周り 9.8m

コメント:4

18-12-17 (Mon) 19:20

こんな大カツラもあるとは! 福井は深い、to-fuさんのカツラ探訪も深い。笑
簡単に合併が進んだうちの方(茨城)はともかく、千葉県側では反対する動きが盛んだったらしく、地名が入り組んでややこしくなってます。そう、で、連中は互いに仲が悪い。
どっちかを間違えると嫌な顔をされたりして。知らねえよ、どっちでもいいんだよ。笑

他の県に存在する大カツラたちに何ら引けを取らないレベルである上、この樹を御神体とした独自の信仰体系が興味深いですね。
蛍にまつわる話がいかにも水際の樹というカツラによく合っていると思います。今でも蛍が飛び交っているといいなあ。
おそらくまだまだ育っている途中で、幹周もこの解説板の数値よりも大きくなっているのではないかと思います。

背後に回ると、なんだかガヤガヤといろんなものを植えた感じ。
どれかが大きく育つだろうと賭けた結果、カツラが環境に合って大きくなったのか……それとも多種の合体樹を作ってみたかったのか。
フジもものすごい勢いで驚きました。もうじきこのフジ単体でも巨樹に登録できるようになるのでは……。
これだけやられても不安にならないのはカツラならでは、豊富な清い水ある限り負ける気がしないと言ったところでしょうか。勇ましい景色だと思いました。
何度見ても、カツラの葉は綺麗ですねえ。

RYO-JI 18-12-17 (Mon) 21:44

結構ムリされていると思いますが、それでも早起きして行ける距離感が羨ましいです。
さすがにこっちからだと福井県は日帰り圏外ですから(笑)。

そしてカツラといえばto-fuさんですね!
そんなto-fuさんの忌憚のない意見だからこそ、このカツラが只者ではないことが伺えます。
しかも、自分的に今年見た巨樹ベスト10には確実にランクインするあの白山神社のカツラに負けていないですと・・・。
ただ確かに印象はちょっと違いますね。
やはり周辺環境の差もあると思うのですが、これだけの巨樹ですからカツラそれぞれの個性の違いもありそうですね。
また、藤に絡みつかれているのは心配ですが(それも大きいやつに)、それすらも意に介さないほどの姿をしているだなんて
ちょっと想像を超えるパワーを秘めてそうで目にしたくなる気持ちがますます湧いてきます(笑)。

to-fu 18-12-18 (Tue) 20:56

> 狛さん
ふふふ。奥が深いでしょう。
福井はどうしても山の深い東側に注目してしまいがちですが、西側にもポロポロと大物がいるんですよ。
カツラはわりと寛容な樹種なのか自身の間近に着生されてもあまり積極的に攻撃しないといいますか、しょうがねえなあと全て受け入れてしまいますよね。違った樹種同士の勢力争いを見るのもまた一興ですが、カツラの巨樹のお前はガンジーか!と突っ込みたくなるくらいに全てを受け入れる姿勢も見ていて気持ちの良いものです。

千葉県は何か松戸、柏あたりと千葉市側でもそれぞれが我こそが千葉の主流だ!と主張し合ってるようで、その辺も仲が悪かったりするみたいですよね。
ホント知らねえよ、どっちでもいいだろうと言いたいです 笑

to-fu 18-12-18 (Tue) 21:05

> RYO-JIさん
越前はだいたい3時間くらいなので、車中泊するほどではないけど早朝出ないとキツいかな…という距離ですね。
いえ、僕も一昔前なら確実に1泊している距離ですよ!
某茨城の先輩に当てられて何かが狂ってしまったとしか思えません 笑

カツラは色々見てきた限りだと、幹周10mあたりを超えてしまうともう大きさの差異は分からないというか、最早どうでもよくなってくるんですよね。仰るようにデカい!凄い!よりも、その木から個性を感じ取ったり勝手に擬人化して妄想するようになってきました。この巨樹はとにかく慎ましい女性ですね。きっと。クラスの中では目立たないけれど、ちょっと服装やメイクを整えただけで大化けするタイプです。社会人になって再開したら垢抜けていて、ああ…何で俺はこの子の魅力に気付けなかったのか…なんて。いや、一体何の話をしてるんだろう俺は。とにかく福井県の巨樹の中では見に行って損のない1本だと思います!

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