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茨城県石岡市 佐久の大杉


SONY α7II / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G

まず初めに懺悔しておきたいのですが、元々この巨樹は絶対に見おきたい!という類の巨樹ではありませんでした。全国的な知名度もあるとは言い難いでしょう。難なく日帰りでアクセス出来そうなところにある、それなりに見応えのありそうな巨樹。それだけの理由でこの巨樹を訪問する計画を立てています。この巨樹がまた思いも寄らない名木で驚くことになろうとは…


石岡市中心部から随分と離れたところに位置する佐久の集落。周囲には田畑が広がり、真夏に訪れたにもかかわらず火照った体を冷ます爽やかな風が吹いていました。その集落中央に鎮座する鹿島神社の境内に、今回の目的である佐久の大杉がそびえ立っています。


入口付近に車1台分の駐車スペースを発見。先行者は誰も居ないようなのでそこに停めさせていただきます。車から降り立ってすぐに見える光景がこれなのですが…巨樹巡りをする者であれば誰もがここで心踊ってしまうのではないでしょうか。大杉と拝殿を正面に見据えたこの光景。これを見て冷静でいられたなら、それはもうモグリというものです。何あれ?もしかして結構凄いんじゃないの?すぐさまカメラと三脚を担いで駆け寄ってしまいました。


これは…いや凄いよ、このスギは。実のところ数日前にスギのレジェンドクラスである「石徹白のスギ」や「浄安杉」を見たばかりだったもので、スギの巨樹に対するハードルがかなり上がっていたと言いますか今の俺は並大抵のスギじゃあ満足できないぞ、なんて調子に乗っていたのですが、その慢心が早々にして打ち砕かれました。


茨城県指定天然記念物「佐久の大杉」。
伝承によると大化の改新(645年)の頃に大和朝廷からこの地に派遣された国司の子孫によってお手植えされたスギだと言われています。神社が創建された1427年、室町時代には既に樹齢1,000年近いスギであると知られていたそうです。この鹿島神社の境内からは皿や杯など供献用の須恵器が多数発見されており、古代社会において祭事を執り行う神聖な場所として扱われていたのだとか。近隣では遺跡も発掘されていて、最近の調査でそれらが奈良・平安時代の集落だと分かっています。

とすると奈良・平安時代にはそれなりに目立つシンボルとなるまでにこのスギが成長していた、ということでしょうか。なかなかスケールの大きな話になってきましたが、このスギに刻み込まれた多くの古傷を眺めていると、それが出鱈目なハッタリだとも考えられません。樹齢1,300年…なんて聞いてしまうと、それこそスギとしてはレジェンドクラスなんじゃないの?と眉にツバを付けたくなってしまいますが、このスギに関してはそれなりに根拠のある数字に思えます。


今まで数え切れないほどの嵐に耐え、落雷を受けてきたのでしょう。それらは大きな傷となって幹に深く刻み込まれ、その半身は既に白骨化していました。その白い樹皮は痛々しさを通り越して美しさを感じるほどで、どことなく「石徹白のスギ」のように樹木であることを超越しつつあるかのような神々しさが感じられました。まるで樹木以上神様未満といった趣で、この大杉を勝手にカテゴリーに入れるなら「霊樹」のカテゴリーに入れたいところです。


鉄塔のような支柱によって大枝が支えられていますが、この大枝も大部分が白骨化しており、既に朽ちつつある枝を保護するというよりは枝が落下して参拝客に直撃しないようにするための配慮のように見受けられました。もしこれがポキっと折れて頭上に落下してきたなら…まあ痛みを感じる暇もなく即死でしょう。


遠目に見るとあまり目立たないものの頭頂部や根本の空洞化も進んでいる模様で、セメントか何かで埋められている箇所が多く見られました。


ちなみに大杉に直接触れることはできませんが周囲をぐるっと歩道が囲んでいるので、周囲を回ってゆっくり観察することができます。こちらは先ほどの反対側。こちらから見ると白骨化しているのは半身だけで、残る半身はスギの樹木としてしっかり生きているのだということが分かります。根本に育つ苗木はこの大杉の子孫。いずれは佐久の大杉と癒着し、さらなる巨樹としてこの地で名を馳せているかもしれません。


20年ほど前から地域と樹木医が一丸となって樹勢回復に向けた治療に取り組んだ結果、今では樹勢も随分と回復し、枝葉の量も年々増え続けているのだそうです。頭頂部の色濃い葉からはまだまだ強い生命感が感じられます。


落雷による亀裂がそうさせたのか、こちら側の樹皮にも大きなうねりが生じていました。この見事な立体感。どことなくビャクシンを思わせるうねりです。


しかしなのか、やはりなのか。健康な側の樹皮ももちろん立派なものですが、それでも大きく胸を打つのはこちらの白骨化してる側なんですよね。いやいや、これは本当に神々しい。つい手を合わせて拝みたくなってしまいます。


根本だけでなく、すぐ側でも佐久の大スギ2世を育てる計画が進められています。数百年後には佐久の大杉を中心としたスギの巨樹群になっていたら…ロマンがありますよねえ。


この巨樹を見に京都からも来てるんだぜ!と参拝ノートに記名して帰ろうと思ったのですが、ボールペンのインクが切れていて記名できませんでした。無念。普段ならペンくらい持ち歩いてるんですが、この日は旅先ということもあってカメラと三脚、あとは財布くらいしか持ってなかったんですよねえ。この日以来車には適当なボールペンを何本か放り込んでおくようにしています。こういう機会に出くわしたら次の方のために置いて帰れるかなと。


少し離れたところにはベンチも。座って眺める巨樹というのもなかなかオツなものです。いえ、本当に良い意味で期待を裏切ってくれた素晴らしい巨樹。実際相対してきた者の感想としては国天クラスの見応えだと思います。国天指定されるにはスギとしてはサイズが足りないんですかね…もっと有名になってもおかしくない巨樹です。

2018/8/12訪問
「佐久の大杉」
茨城県指定天然記念物
樹齢 伝承1,300年
樹高 28.6m
幹周り 8.9m

茨城県石岡市佐久622

コメント:4

19-02-14 (Thu) 14:17

これなんだろう、カレーかあ! と思ってたら、佐久の大杉が!! 笑
「期待を良い方に裏切った巨樹」という部門に絞って2018年のランキングをつけたら、この大杉はかなり上位にランクインするだろうと思います。
茨城県内の巨樹を調べていると当然目には付くわけですが、僕としても、老いさらばえた杉を見てもなあ……などと生意気な先入観にとらわれてしまって後回しにしていました。
to-fuさんからポジティブな印象をさらっと伝えて頂いたおかげで気になり始め、見にいってみれば、とても気分の良い探訪になりました。

周囲の方々が本当に大事に考えていて、杉もそれに健気に応えようとしているように見える。
終わりかけでも決して諦めていないというような……巨樹を見て元気をもらえるというのは、例えばこういうことなんだろうなと感じました。
巨樹と人との関係、健全な営みというお手本を見たような気分がします。しかも、それが住んでいる県内だから嬉しい。笑

巨樹そのものとしても、結構見ごたえがあったと思います。
半身がもう死んで白骨化しているというのも、また個性。
先達の方の写真よりも自分が訪れて撮ったものの方が状態がよく見えた……なんてのも、とても嬉しくて記憶に残りました。
これからも、多くの人にこの感じを味わってもらいたいですね。

to-fu 19-02-14 (Thu) 20:51

> 狛さん
僕もそのランキングでは間違いなく上位に食い込んできます!
この巨樹は紙やWebでざっくりと見てしまうとちょっと引きが弱いんですよねえ。
地域の方も相当に力(カネも…ですね)を入れていることが窺えるので、ここは是非とも我々で押していきたいところです。

生命としてはとうに曲がり角を越えていると思うんですが、悲壮感が感じられませんでしたね。
懸命に人が治療にあたり、巨樹もまた懸命にそれに応えようとしているようで温かい気持ちになれました。
いくつも巨樹を回ってると「本当にこの巨樹はここまでの治療を望んでいるの?」と思わずにいられない、これは人間のエゴなんじゃないか…と、逆に巨樹が苦しんでいるかのように痛々しく感じるものも多いんですが、この大杉の場合はきっと人間のことをわりと気に入ってくれているのでは?と感じられました。思い込みなのかもしれませんが、そう感じられる巨樹ってサイズとか格とか抜きに、とてもシンプルに良い巨樹ですよね。ああ、何だかまた行きたくなってしまいました。

RYO-JI 19-02-14 (Thu) 22:20

大杉と拝殿を正面に見据えた光景・・・これ、自分がイヌだったら嬉ションしてるレベルです(笑)。
いやー、冗談抜きでこれは歓喜に身が震えそうですよ。
スギとしてのサイズも立派ですが、この見た目の神々しさといったら・・・。
白骨化していればしているほど印象に残ってしまうような気もします。
巨樹にとってはツライ状態でしょうが、それでも生き続けるその姿に感動したり、神格化してしまうからでしょうけど。

そんなスギを放ってはおけないと保存会や樹木医の方々の手厚い治療には感銘さえ受けますね。
国天ならともかく、歩道まで設置するのは並大抵の想いではできないと思うのです。
そんな状況もあってか、このスギの周囲には良い気が流れているようにさえ感じ、to-fuさんのようにベンチでボーっと眺めていたい巨樹ですね!

to-fu 19-02-15 (Fri) 17:14

> RYO-JIさん
いやこれは本当に失禁モノでしたよ 笑
あまり期待していなかった巨樹が予想外の姿で現れてくれると興奮しますよねえ。
前日に狛さんと巨樹巡りしてただけに、もう電話して呼びつけようかと思ったくらいでしたから 笑

白骨化や朽ちたものは生命感まで損なわれてしまうと見るに堪えない痛々しさを感じてしまいますが、懸命に生きて樹勢が回復しつつあるものは見ていて気持ちがいいですね。本当にこの地面から浮かせた歩道とか凄いですよね。樹木医さんが寄贈したものなんだそうですが、事務的に仕事として治療しているのではなく、この巨樹が好きだという気持ちが伝わってきます。治療に携わる人々にも「大当たり」を引いたこのスギは本当にラッキーだと思います。次こそはボールペン持参で、ベンチでゆっくり眺めたいですねえ。

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