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徳島県三好市 五所神社の大スギ


SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G

「桃原の牡丹杉」を堪能した我々が向かった先は日本三大秘境・祖谷の山奥に位置するこの「五所神社の大スギ」。長いようで短かった二日間の三人旅もとうとうこの巨樹で最後となりました。ああ、個人的には単独で動いていた「別宮八幡神社のクスノキ」から数えると四国に上陸して四日にもなるのか。これだけ長いこと過ごしていると何やら感慨深いものがありますが、それ以前にここへ到達するまでの道のりがとにかくまあ大変なのでした。


何しろ立地がこれです。これ。五所神社もやはりGoogleMapに登録があり、離合困難な狭路こそあれまず迷うことはないだろうと思っていたら迷うわ迷うわ。あれ?ここさっき通った道じゃない?なんて言いつつ大の大人が三人も雁首揃えていやあ迷う 笑

恐らくストレートに辿り着ければ決して難度の高いルートではないのでしょう。地元のママさんが幼稚園のお迎えかな?ごく普通の軽自動車でスイーっと運転してましたからね。しかしもう一度行けと言われても、やはり前回同様迷う気しかしないんですねえ。


そこへ突如ドンッ!!とばかりに現れるのがこの規格外に巨大な杉ですから、これはもう興奮しないわけがありません。全員が我先にと少年のように目を輝かせながらカメラを握りしめて車を飛び出しました。ええ、この巨樹を前にして興奮しないなんて奴はモグリですよ。断言できます。パッと見た瞬間にこれはとんでもない巨樹だと理解できる、それほどまでに立派な杉です。


我々がやって来たのは写真左奥から。見通しの悪いカーブを恐る恐る抜けると、視界に巨大な何かが飛び込んでくる…一瞬理解が追いつかないんですよ。そして私の出来の悪い脳ミソも「もしやあれは…」「まさか…」「おおおお!!」と徐々に理解することになります。本当にあの瞬間の興奮といったらもう。言葉にすることは不可能ですね。こうして思い返しながら書き連ねているだけでもニヤニヤしてしまいます。


「杉の大杉」もあるのに県内随一?そう、ここはもう高知県ではなく徳島県なんですね。徳島県を代表する杉の巨樹といったら恐らくこの「五所神社の大杉」と、我々は残念ながら今回未訪問ですが東祖谷の「鉾杉」の二強になることでしょう。幹周12.2m。これは県内随一どころか全国的に見ても上位陣とも肩を並べるレベルの杉の巨樹です。


事前に10mを超える大杉であるということは知った上での訪問でしたが、いざ目の当たりにするとこれが本当に規格外にデカい。さらには如何にも気候の厳しい山中で耐え忍ぶ巨杉といった風情で、樹皮から伝わる貫禄が半端ではありません。とはいえ写真では大きさが伝わりにくいかもしれませんね。


これでどうでしょう。まるで天空まで届かんばかりの塔を見上げているかのような迫力。巨大な樹木というよりは最早建造物と対峙しているかのような気分になってきます。


解説板によると幹周12.2mということでしたが、我々が測定したところ実測値は12.9mでした。解説板が設置されたのが約15年前。15年間で70cmほど成長したと考えるとそれなりに辻褄も合うように思えます。幹周約13m。これはあの特別天然記念物「石徹白大杉」と同等のサイズですから、その圧倒的存在感は推して知るべし、です。


ちょうど地上50cmほどの地点から3mの辺りにかけてゴッソリと巨大な枝が欠けた跡が確認できました。平成3年の台風で大枝が折損したらしいのですが、もしそれがこの大枝だったとするなら大枝健在時点では幹周が14~15mはあったのでは?などと想像も膨らみます。


解説板に書かれていたとおり主幹には大きな亀裂が入っており、裂けてしまわないよう結束バンドのようなもので保護されています。この器具を外してしまえば即座に倒壊してしまうかもしれません。我々人間はこの神とも怪物とも受け取れる巨樹と対峙することで心揺さぶる何かを受け取り、逆に巨樹に対しては極力長生きしてもらえるよう大切な存在として敬意を払う。都市部で生活していると何かと邪魔者扱いされがちな樹木ですが、最低限の敬意を払って付き合っていけば我々の中の何かがもう少し豊かになるのではないか。そんな気がしてなりません。


幹の亀裂を除けば樹勢は旺盛で、その枝ぶりを見ても弱々しい印象は一切感じられません。


この辺りも冬になるとそれなりに積雪するのでしょう。雪の重みによって歪曲した巨大な腕のような大枝からは冬の険しさがひしひしと伝わってくる。のどかで牧歌的な田舎…そんな印象からかけ離れた険しい秘境。この地に育たなければこれほどまで壮絶な姿に成長することはなかったのだろうと考えると、目の前の存在が放つスケールの大きさに言葉を失います。


それにしても本当に凄い杉でした。同日一発目に見たのはあの特別天然記念物「杉の大杉」。その後に見る杉が全ていまいちに見えてしまうのではないか。そんな心配を抱えながらの巨樹めぐりだったわけですが、完全に杞憂に終わりました。やはり巨樹の魅力は単純なスペックだけで測れるものではない。日頃分かっているつもりでも実際こうして体感すると、この趣味の奥深さが身に染みて幸せな気分になるのです。


それぞれ撮影を終え、少し離れたところからしばらくぽけーっと巨樹を眺めていました。もちろん我々はこの素晴らしい風景を記憶に焼き付けてもいたのですが、何よりこの濃密極まりない二日間を思い返して感傷に浸っていたのではないでしょうか。え?私だけですか?嫌だなあ 笑

全国的に見てもトップランカーたちに引けを取らない巨杉。もし祖谷を訪れることがあれば、かずら橋と大歩危・小歩危だけでなくこの五所神社にも立ち寄ってみて下さい。我々愛好家が樹木を見て一体何を騒いでいるのか、その魅力の片鱗がきっと伝わるのではないかと思います。

2019/5/22訪問
「五所神社の大スギ」
徳島県指定天然記念物
樹齢 1,100年
樹高 30m
幹周り 12.2m(実測値12.9m)

徳島県三好市西祖谷山村上吾橋310
※GoogleMap上では「大宮神社」として登録されています。

コメント:4

20-02-02 (Sun) 20:37

矢継ぎ早にすごい執筆力です、to-fuさん。笑 いや、自分ももっとやりたいなと思いました。
この「五所神社の大スギ」が出てくると、ああ、あの充実した2日間も終わりか……という気分が蘇ってきます。
人の記憶には擦り込みというものがありますから、もし次回訪ねても、自動的にちょっと寂しい気分になったりして。

そういう、その時の心の動きというのが強く印象に残ってるものの、改めて見るとほんとすごい巨樹です。
偽りなく幹周囲12メートル超え。樹高も高く、生きてきた証を刻むような容姿の凄みもある。
to-fuさん、RYO-JIさんとも交わし合った意見ですが、この杉のためだけに訪ねても、その価値があると言ってしまえる……。
秘境ゆえ道がわからず、反対側から出会ってしまいましたが、この下から2枚目の方向からの姿、まさに我々が初見した姿がこの杉のベストアングルだと思いますね。
僕もこの角度でRYO-JIさんと杉を撮ってるんですが笑、これは巨樹に興味がない方をも驚かせ、引き寄せるすごい絵だと思います。
……そして、遠景ですよね。この傾いてきた日と。すごいとこを走り回ったもんだなあ、と、僕もしばし放心しました。

有名ではないが、こうして存在感のある巨樹と風景にたどり着くことができたのは、本当に有意義な旅だったなと思います。
四国の巨樹にはそれぞれそういうセットがあったようにも思いますね。
これは独特な感じだと思いますし、ぜひまた訪ねてみたいものですね!

to-fu 20-02-03 (Mon) 16:01

> 狛さん
実は夜遅くにちまちま現像だけ済ませて寝ようと思っていたところ巨樹の写真を見てテンションが上ってしまい、
結局そのまま訪問記の執筆が止まらなくなって、翌朝は早く起きる必要があるのに睡眠時間が大幅に削られたという裏話があります 笑

この巨樹は全国的に見てもかなりのものですよね。山奥の巨杉というだけでも凄い巨樹が多いですが、この杉はそれらの中でも
特に印象に残るレベルの一本だったと思います。大きさ、樹形をはじめとした見栄え、周辺環境。その全てが最高水準でした。
あの発見したときの興奮は本当に忘れられませんよ。あれだけ迷った後だからこそ一層強く記憶に焼き付いています。
この杉が最後の一本で本当に良かった。締めくくりに相応しいと言いますか、最後が別の巨樹だったらあの日の「まとまり」
みたいなものは随分違う印象になってしまったのではないかという気がします。満足できずに無理してもう一本回っていた、とか。
それはそれできっと楽しい思い出になったんでしょうけど、でも何か違うんだよなあ。

次回徳島、高知を回るなら…という仮想巨樹めぐりを頭の中で何度もしているんですが、高知市を出発して徳島県に戻る
ルートを想定すると、どうやってもあれ以上のルートが思い浮かびません。(強いて言うならこの五所神社対岸の山奥にある
「熊野神社のアカガシ」を追加するくらいでしょうか。でも余程出発時間を早めない限り時間的にあれが限界だと思います。
そうなると時間帯的にひばり食堂を諦めないといけないのか。うーん、却下 笑)

RYO-JI 20-02-03 (Mon) 22:31

このスギを語るうえで外せないのは、遠景(最後の写真)だと思うのです。
近くから見てその大きさや迫力を目いっぱい堪能するのも好きですが、周囲環境を含めた遠景が素晴らしい巨樹は少ないので貴重。
そういう意味でもこの五所神社の大スギは満点です。
濃密な旅のラストという感傷を抜きにしも素晴らしい眺めでした。
もちろんスギ自身も旅の主力を張れるレベルのモンスターでしたから、満足度は最高クラスでした。

あの旅とまったく同じルートを再度辿っても、また絶対に大満足するでしょうね(笑)。

to-fu 20-02-04 (Tue) 0:38

> RYO-JIさん
あの遠景は結構長い間ぽけーっと眺めていたこともあって、ちょっと特別な思い入れがありますね。
ただでさえ立派な杉があの途方も無い環境に生えていて、さらにはそれが旅のラストだというのですから本当に出来すぎです 笑

RYO-JIさんも書かれていたのを覚えてるんですけど、自分も「杉の大杉」の後に敢えて杉の巨樹だけを回るという暴挙(と言い切ってしまいましょう)が
ずっと不安だったんですよ。頭がふわふわしてしまって何も感じないのでは?とか、変に陳腐に見えちゃったらどうしようとか。
いやー、それがまさかあそこまで一本一本がそれぞれ素晴らしいとは。四国の杉を完全になめてました。
次回もしルートを弄るとしたら…敢えて希望を挙げるなら二軒目はしごするときにあのゴチャゴチャしたバー?に行ってみたいくらいですかねえ 笑

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