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愛媛県新居浜市 一宮神社のクスノキ群


SONY α7RIII / SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art

さて家族旅行でしまなみエリアにやってまいりましたが、前夜たらふく飲み食いして早々に就寝したのには理由があるのです。ええ、早起きして家族が動き出す前に一本だけ巨樹を訪問してしまおうという企み。起床後コンビニでパンとコーヒーを調達し、高速に飛び乗って新居浜市までやって来ました。市内中心部に位置する一宮神社。こちら「いっくじんじゃ」と読みます。「いちのみやじんじゃ」ではありませんぞ?

境内の拝殿手前、つまりはこの写真で言うところの左手奥にある駐車場に車を停め、作法どおり一旦鳥居の手前から仕切り直すことにします。国指定天然記念物のクスノキ群ということで早速道路を挟んだ目の前にモコモコしたクスらしき樹冠が飛び込んできましたが、少し待っていただきたい。そっちではないのだよ、とにかく後ろを振り返るんだ。


そう。幹線道路にぶった切られる形になっていますが、参道はもっと手前から続いているのです。それにしても…凄い!幹周5~6mはありそうな巨樹クラスのクスノキが何本も立ち並ぶ姿は壮観です。ワタクシ興奮のあまり車止めのポール?みたいなものが全く視界に入らず、思い切り躓いてしまったくらいですよ 笑


こちら参道南端にある一の鳥居。やはりここから参拝しなくては。呼吸を落ち着けて興奮を抑え、早朝のキリッとした冷たい空気を全身で味わいます。ああホントに早起きしてよかった。この心地よさは早朝しか味わえないんですよねえ。


国指定天然記念物「一宮神社のクスノキ群」と書かれた石碑が。こちらのクスは幹周6mを超えています。同程度のクスが立ち並んでいるから感覚が麻痺してしまいますが、これ一本でも御神木クラスですからね。ズッシリとした重量感あるクスがそびえる並木道は、近畿圏でよく見るスギ並木の社叢とはまた全然雰囲気が違う。参道ですから当然厳かではあるんですが、暖かさや陽気さのような…どことなくラテンのノリが感じられます。


和銅年間(708~715年)より続く歴史ある神社であること、あの大三島の大山祇神社に縁あることなどが書かれています。大山祇神社が伊予国(現在の愛媛県)一宮とされているので、この一宮神社という名称もその辺りが由来になっているのかもしれません。

ちなみに秋祭りの太鼓台。「豪華絢爛をもって全国に知られる」とありますが、これも物は言いようと言いますか、本当のところは相当にストイックな喧嘩祭りとして全国的に有名です。お祭りの時期になると全国各地に散らばった新居浜人たちが待ってましたとばかりに地元に大集結するのだとか。嘘か真か知りませんが、就職面接で「君は祭りと仕事のどちらを取る?」と聞かれて「仕事です。」と答えたら面接に落とされるらしいですよ。そんな地元愛の無い人間は要らないのだそうです。現地の飲み屋で常連さんに聞いた話ですが、いやはやすごい世界です。(どこまで本当かは分かりませんけれども。)


巨樹クラスがゴロゴロしているので、この一本を!と取り上げるのもどうかと思うのですが、こちらの拝殿右手のクスが最大のもののようです。


「一番樟」。一番太いから「一番樟」です。分かりやすくて良いではありませんか。幹周9.6m。昭和51年に立てられた先程の案内板では9.4mでしたから、現在の数値としてはこちらがより近いでしょう。ひょっとするともう10mは超えているかもしれません。樹齢1,000年と聞くとどうだろう?という気もするのですが、神社の成り立ちを考えたら1,000年というのも非現実的な数字ではないように思えてきます。


ずんぐりむっくりしたクスが多い中、縦に長くすらっと伸びているので一見そこまで太いクスには見えないかもしれませんが、実際目の前に立つと流石に数字なりの圧力が感じられます


うん、実に樹形のきれいなクスノキです。しかし樹高は29mもあるかなあ…というのが正直な感想。せいぜい20m強といったところではないでしょうか。落雷の痕がいくつも見られたので、かつてはもっと大きなクスだったのかもしれません。(こんなこと言ってもアレですが、一番樟裏手のマンションが悪い意味で目について仕方ありません。由緒ある神社の真裏にこんな悪目立ちするもの建てるんじゃねえよ…と残念に思いました。今の日本人って本当にカネカネカネばかりで、文化財や歴史に対する敬意が欠けてますよねえ。)


根本に鎮座する社は「楠木神社」。祭神は小女郎狸(こじょろうたぬき)です。こちらはその小女郎狸サンでしょうか。四国といえばやはり豊富に残るタヌキ伝説。こちらでは割愛させていただきますが、小女郎狸伝説もなかなか面白いお話だったので、興味のある方はぜひ「一宮神社 小女郎狸」などで検索してみて下さい。伝承を紹介するサイトがたくさん見つかるはずです。


こちらも根本まで大きく抉れた落雷の傷痕。それなりに大枝の折損や落雷の痕こそ見られましたが、葉の付きもよく樹勢はまだまだ上々だろうと思われます。


拝殿左手、摂社の並びに立つクス。こちらも大きい。幹周7mくらいでしょうか。


樹高はこちらがナンバーワンかと。ひょろっと長いクスで間違いなく30m以上の高さがありそう。少し不思議に思ったのは、愛媛県で見たクスはきれいに黄葉しているものが多かったんですよね。クスの黄葉って近畿圏ではあまり見ない光景です。冬でも温暖な気候がそうさせるのでしょうか。

こちらのイチオシはやはりタヌキ伝説も残る「一番樟」なのかもしれませんが、個人的にはあの参道のクス並木を推したいところです。私が立つこの位置の左手が駐車スペースなんですけど、結局歩いて戻ってもう一度あのクス並木を歩いてしまったくらい気に入りましたからね。車でアクセスすると下手したらクス並木に気付かないまま参拝して帰ってしまいそうですが、ぜひとも南端の一の鳥居から参拝するのをお忘れなく。気持ちのいい神社でした。

2020/3/26訪問
「一宮神社のクスノキ群」
※代表して「一番樟」の数値を記載。
樹齢 伝承1,000年
樹高 29m
幹周り 9.6m

愛媛県新居浜市一宮町1-3-1

コメント:4

RYO-JI 20-06-09 (Tue) 21:42

杉並木はよくありますが、楠並木は珍しいですねぇ。
しかもそれぞれが巨樹クラスで見応えありそう。
単樹で魅せる巨樹が多い中、これらはクスノキ群としてその価値が認められているというのも嬉しいじゃないですか!
グーグルマップで確認しましたが、確かに見逃してしまう恐れがありますね。
一番樟だけ見て満足して帰ってしまいそうです。
いえ、その一番樟だけでも充分に楽しめそうですが、やはりこの群としての巨樹の魅力を堪能したいものです。
ご家族に配慮しつつ、早朝からわざわざ突撃されるお気持ちもよくわかります(笑)。

境内で遊んでいる子供達がいる光景がまたいいですねぇ。
気になったのが、一の鳥居の足元?に鉄柵がしてあるのが不思議で。
ひょっとして犬の小便対策なのかと勘ぐってしまいますが、それだとしたらちょっと残念です。

to-fu 20-06-10 (Wed) 9:35

> RYO-JIさん
クスの並木道は見かけませんよね。
スギよりも太い上に樹冠がかなりのスペースを取るので、普通の住宅地では育てるのが難しそうです。落ち葉も凄いでしょうねえ。
せっかくの参道を道路がぶった切ってしまっているのが惜しいです。都市計画の段階で何とか出来なかったものか…
あの参道はぜひともRYO-JIさんにも歩いていただきたいですよ。きっとニヤニヤしてしまうと思います。

鳥居の鉄柵は全く気付きませんでした。仰るように、きっと犬の小便対策でしょうねえ。
「神社に犬連れてくる族」は全国各地で見ますけど、本当にどういう教育を受けてきたんでしょうか。
いえ、普通に生きていたら誰かに教わらなくてもそこがどんな場所なのか想像が出来るものだと思うのですが。

20-06-14 (Sun) 6:30

いちのみや神社じゃないんか……と、ここにも遠くまで来た感を感じますね。
半年ほど前に東京を歩いてみた際、東京にはこんなにクスノキがたくさんあったのかと驚きましたが、本郷、東大の周囲なんかはあのまま100年保たれればこちらの神社みたいな風景になるかもと……いやしかし東京は絶対ムリですね。切っちゃうよなあと。
この参道の風景はやはり歴史風土と結びついたもので、守られるにふさわしいとして天然記念物の称号を得たように見えました。

一見するとこのクスの豊かさから九州を彷彿としますね。祭りが荒っぽいところも。笑
しかし、どちらかというと樹高方向に成長していっている印象。しまなみの気候ゆえなのか。
旅先でしかクスにお目にかからないので何とも言えませんが、たしかに黄葉している印象もないですね。きっと九州の人はイヤというほどクスを見てるでしょうから、このあたり、聞いてみたいものです。
その点だと、マンションなど神社外の背景の風景に目がいくto-fuさんはなるほど京都住まいの人だと思いました。
でも確かに……僕も昨日、巨樹を撮っていて、巨樹ではなく写って欲しくないような背景に大変苦労させられました……。
それでも、広々として、子供達も出てきて、いい雰囲気ですね。身を置いてみたい空間です。

to-fu 20-06-14 (Sun) 19:32

> 狛さん
どう考えてもいちのみや神社ですよね…
クスはとにかく落ち葉の量がとんでもないので、都市部で巨樹として生き残るのはなかなか難しいようですね。
京都ですら街中のクスは切る切らないで揉めているのを見ます。後から越してきた人間が先住民たるクスにあーだこーだ言ってるのを
見ると馬鹿じゃあるまいかと思ってしまいますが。街路樹が常緑樹ばかりになってしまうと風情の無い街並みになってしまうと思いますけどねえ。

気候的にも風土的にも九州と似たものを感じますよね。同感です。
そういえば去年滞在した高知。あそこもどことなく鹿児島的なものを感じました。
RYO-JIさんのお話ではありませんが、あのマッチョな風土はやっぱり合う合わないあるだろうなあと思いますね 笑

京都でも歴史ある神社が敷地を売ってマンションを建てる建てないと論争になったりもしてまして…
日本の観光名所ってもうちょっと周辺の景観まで配慮してくれてもいいんじゃないの?と思うことが多い気がしますね。
巨樹も神社もなかなかのものですし、この周辺の昭和くさーい街並みはきっと狛さんの琴線にも触れるのではないかと。
機会があればぜひとも立ち寄っていただきたいです。

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