徳島県名西郡神山町 松坂の妙見杉(神山妙見杉)

FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 35-70mm F4.5-5.6 WR

「左右内の一本杉」を訪れた後に目指した巨杉、妙見杉。
歩き遍路で焼山寺を目指す途中なら話は別として、県道43方面から一本杉に会いに来たなら是非とも立ち寄っておくべき存在でしょう。

と思って近くまでやって来たのですが「何だこれ。一体どこにあるんだよ 笑」

案内板の類が一切ありませんがGoogleMapsの登録情報によるとこの細い側道を進んだ先に妙見杉(妙見神社)がある。らしい。
軽自動車であれば突撃可能ですが普通車は無理だと思います。
轍を見る限り軽でギリギリかつ右手が急斜面のポイントがありましたので止めておいた方がよいでしょう。

なお写真左手の離合スペースに車を駐車してしまうと迷惑になるはず。
私の背後数十メートル先が道幅にかなり余裕のある区間だったので、そちらに駐車させていただきました。

地図で見るとこんな感じ。

しかし側道をドンツキまで進めば神社の参道が続いていると考えていたのですが、普通に行き止まりではありませんか。この先は崖。
ワタクシこの時点で途方に暮れてしまいましてね。ドンツキ手前の最終民家で聞いてみようにもお留守のようで。
番犬の黒柴さんに吠えられまくる始末。ああ、確かに今完全に不審者だよなあ…と悲しくなってきます。

最終民家手前に荒れ果てた林道があり、この先にあるに違いない!とそちらへ突入してみたり。
10分程度歩いてみたもののGPSを確認するとMap登録上の巨樹ポイントからどんどん離れていくではありませんか。さあ、選択肢は2つだ。

・巨樹はこの先だ!GoogleMapsの登録ポイントが間違っている!(このケースもわりとよくある)
・まず己を疑え!いいから一度冷静になって考え直してみろ!

ええ、私は後者を選択しました。
一度ドンツキポイントに戻り、こうなったらGPSを頼りに気合で道なき道を突き進んで登録ポイントを確認してみようと。
しかし…↑の写真に既に答えを記載してしまったのですが、よく見ると例のドンツキから獣道?みたいなものが続いているようです。

これ、写真で見ると道にしか見えませんが現地で見るとマジで道でも何でもないんですよ。
分かるかこんなもん 笑

獣道を数分歩き続けると左手に土砂に埋もれて遺跡化した石垣のようなものが見え始め、そこを抜けるとこの光景が!
冗談抜きに感動しましたね。巨樹の迫力よりも発見できたことの喜びが勝った感がありますけれども。
とはいえ探索だって巨樹めぐりの醍醐味の一つであることには違いなく。

実際歩くと僅かな距離ですが道幅が非常に狭く、倒木を乗り越えたりする箇所もありましたので足腰に自信のない方は決して無理をなさらぬよう…

神山町指定天然記念物「松坂の妙見杉」。GoogleMapsには「神山妙見杉」として登録されていました。
流石にこの立地もあってか巨樹サイトではほとんど紹介されておりませんが神山町のサイト内、神山町の文化財一覧のページに少しだけ記述があります。

樹齢は推定500年、樹高25m、幹周は7.7mとのこと。
いつ測定された数値か分かりかねますが、私の目測でも7~8mくらいに感じられたので現在の数値とそう離れていないと思われます。

書籍にもWeb上にもあまり情報のない巨樹で、そこまで期待せずにやって来たのが正直なところですが、これはなかなかの迫力。
枝ぶりがいいですね。小綺麗に整えられたものが多い神社の御神木としては珍しい、いや、むしろ野性味しか感じられないこの立ち姿よ。

根本は空洞化し、柔らかいはらわたを食い破るかのように別の杉が成長している。
うん。お上品な街中の御神木スギではこの感じは味わえない。諦めずに探し回った甲斐があったというものです。
(正直、荒れ果てた林道を彷徨っていたときは今回はもうスルーして出直してもいいかな、と諦めムードだった)

真下から見上げた姿がいいですね。うおお…と声が漏れる。

スギの背後に鎮座する社殿は扉が壊れ、中も荒れ果てていました。
今では地元の方ですらここまでやって来る方はもうほとんどいないのではないか。
神山町の情報サイト「in Kamiyama」の特集記事によると、かつてはそれなりの規模の集落だったようですが…

20年後、30年後には人々の記憶から忘れ去られ、静かに独り佇む森の守り神となっているのかもしれない。
そんなことを考えながらぽけーっと眺めていました。うん、やはり今回会えてよかった。

昔はこの辺りまで集落が広がっていて、もっと歩きやすい参道もあって、子どもたちがスギのまわりを走り回っていたのだろうか。
去り際に眺める姿がどこか寂しげに見えて仕方ないのは気のせいか。
「また来ます。お元気で。」と声をかけて帰路へ。いい巨樹だった。

もっと有名になってもおかしくないスギ巨樹だと思います。
むしろ何故ここまで知名度が低いのか理解できない、と言いましょうか。

私のようにわざわざ遠方から来て「左右内の一本杉」を目指すなら是非ともセットで。
妙見杉周辺はマムシが好みそうな雰囲気だったので足元にご注意を。(ここで噛まれたら色々と面倒くさそうだ)

2025/3/10訪問
「松坂の妙見杉(神山妙見杉)」
樹齢 推定500年
樹高 25m
幹周り 7.7m

徳島県名西郡神山町下分字松坂

2件のコメント

  1. 周囲の若い杉たちとは異質、存在感があっていいですね!
    確かにこれはひとりでに声が漏れそうです。
    空洞化した内部から別の杉が育っているというのも驚き。
    油断も隙もない自然界の厳しさを垣間見た気がしますね。

    しかし道がヒドイ(笑)。
    私だったらドンツキ地点で間違いなく撤退してますねぇ。
    かろうじて見えた獣道(正規ルート)を発見したとしても先に進めないでしょう。
    山に関してはかなりビビってるので、冒険心はむしろ邪魔だくらいには思ってますから(笑)。

  2. > RYO-JIさん
    どんな巨樹なのかよく分からぬまま向かいましたが想像以上に良かったですよ。
    ただ大きいだけの直立杉をイメージしていたら、いい意味で期待を裏切る個性的な一本でした。
    枝張りがどことなくヒノキっぽくて山奥の巨樹ならではの迫力があります。

    道は…もうこの辺全域とにかく狭いです 笑
    離合スペースの少ないワインディングが延々続き、正直日中はあまり走りたくありません。
    山歩きは本当に「石橋を叩いて、結局渡らない」くらいの慎重さが大切ですよね。
    無理のない範囲から少しずつ登山スキルを磨いていきたいです。

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