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徳島県名西郡神山町 左右内の一本杉


FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 35-70mm F4.5-5.6 WR

流石は大物ひしめく巨樹王国、徳島県。
その控えめな幹周とアクセス難度を考慮して後回しにしてきましたが、果たしてその実力や如何に。


焼山寺へと続くここ左右内(そうち)集落の山道はかつて歩き遍路の難所でしたが、今では車でその近くまでアクセスすることが可能です。
一本杉擁する浄蓮庵のやや南側、左右内集落の大松神社からほんの少しグネグネ道を登ると、このような分岐路に至ります。

ええ、一本杉手前まで車で突っ走ることも不可能ではない。不可能ではないが事前情報によると「軽トラでもないかぎりやめておけ」とのこと。
私の立ち位置のすぐ真後ろに小さな墓地があり、その横に車2~3台停めても離合するには迷惑にならない程度のスペース発見。今回そちらに駐車しました。
運動不足解消のためにも徒歩で向かってみることにします。


林道は終始こんな感じ。
ところどころ離合ポイント(ただし落石だらけ。極力車を寄せたくはない)があるので特別バックが苦手な方でなければ対向車が来ても地獄を見るほどではありませんが、基本的には落ち葉や落枝満載な車ギリギリ1台分の道幅が続き、大きな落石や倒木でもあろうものなら完全に詰むことになりますので徒歩推奨です。

写真を撮りながらのんびり歩いても30~40分ほどでしょうか。
特に急な箇所もなく、景色の楽しめる林道ではありませんがカモシカの親子がいたりと、まずまず気持ちのいい軽ハイキングでした。
四国の山中はクマがいないので安心して歩けるのがよいですね…
(厳密に言えばゼロではないが限りなくゼロに近い。何故か四国の山中では繁殖しにくいそうでツキノワグマ自体の学術的価値が高いそう。)

登り切るとかなり広めの駐車スペースあり。一応公衆トイレもありました。


そしてご対面!
これは…すごい!歩いてきたからこその感動もあると思いますが、予想を遥かに上回る迫力に嬉しくなってしまいました。
かつては歩き遍路の一部の人間にしか知られていなかったであろう巨樹。
荒れた山道を歩き回った先にこの光景が待っていたのだな…などと想像するだけで胸が熱くなります。


徳島県指定天然記念物「左右内の一本杉」。
こちらには記載がありませんが弘法大師空海が杖をぶっ刺し生長したものがこの一本杉である。そんな伝承もあるそうです。
全国各地で見られる高僧のお箸ぶっ刺し伝説ですが、空海さんお膝元四国で聞くとなんとなく有り難く聞こえてしまうから不思議。
樹齢は不明ですが空海さんお手植え(あるいはぶっ刺し伝説)を信じるとするなら樹齢1,200年ほど、ということになるでしょう。


巨樹撮影だというのに目立たない服装でやって来てしまい申し訳ありません…
しかしこれ、デカくないですか?これで幹周7.6mってこたあないだろう。
いえ、興奮のあまりつい口調が荒くなりましたが、測定されたのは恐らく昭和29年時点ということもあり、現在はもっと大きくなっているのは確実かと。
私の目測だと8.5~9mくらいはあるのではないかなあ。

ちなみにこの時代の「樹高30m」も怪しいものです。
でっかい杉は30m、もっとでっかい杉は50mでいいだろう…みたいな時代の話なので。
そろそろ正確な数値を再測定してもいいのではないでしょうか。


特に信心深くもない私ですら南無大師遍照金剛…と唱えたくなる神々しい姿。
大昔、受験の際に今は亡き祖母が弘法大師さんの護符を送ってくれたことを思い出してしまい、眼の前の光景の美しさも相まって不覚にも涙が出そうになる。
とんでもないところに生えていることもあり人生に一度くらいは…と覚悟してやって来ましたが、これは何度でも拝みたくなる巨樹だ。うん。


這いつくばるように真下から煽って撮影してみたり、色々と試行錯誤もしてみたのですが。
なんかもうそういうの止めない?正々堂々行こうよ。と、小細工を見透かされたような気持ちになる。

必要以上に迫力を誇張したり背景をぼかしてみたり。
そんな小細工が通用しない、馬鹿馬鹿しく感じられるのは、やはりこの一本杉がホンモノだからなのだろうな。


何故このような姿に至ったのか。実際のところどんな経緯があってこの地に植えられたのだろう。
謎の多い巨樹ですが、そんな細かいことどうでもええやろと雑念を吹き飛ばしてくれる堂々とした姿が痛快でした。
俗に言うパワースポット的なものではなく、こんな凄いモノを見せられたら細かい悩みなんて忘れてしまうぜ!的な気前の良さを感じる。
こういうところもストイックでダイ・ハードな武闘派僧侶、空海さんらしいなあと。


ベンチに腰掛け、しばし歩き遍路の長く困難な道のりに思いを馳せて帰路につきました。
うん。こんな生っちょろい林道じゃあないもんな…文明の進歩に感謝だ。そしてそれに慣れきってしまってはいけない。


2025年初めての新規巨樹でしたが、早々に今年のナンバーワンに出会ってしまった感がすごい 笑
これは絶対また再訪したくなるなあ。神山町が大物揃いすぎてヤバい。どこもかしこも山道の狭路っぷりがヤバすぎて心臓に悪いのが難ですが。
四国の山中で巨樹をめぐっていると冗談抜きに軽トラが欲しくなります。

2025/3/10訪問
「左右内の一本杉」
徳島県指定天然記念物
樹齢 伝承1,200年
樹高 約30m
幹周り 7.62m(恐らく現在はもっと大きい)

徳島県名西郡神山町下分 浄蓮庵

コメント:1

RYO-JI 25-03-14 (Fri) 21:28

空海さんは後にこんなスゴイ杉に成長するとわかっていたんですかねぇ。
そして自身の銅像?も一緒に建てられるとも。
そんな杉と銅像が写った一枚目の光景に見惚れてしまいました。
他では見ない組み合わせなのに、やけにしっくりくるというか違和感がないというか。
杉が炎のように見え、まるで不動明王さんみたいに感じました。
わざわざ林道を歩いて行った甲斐がありますね。

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