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石川県加賀市 白山神社巨木群(小塩辻白山神社のケヤキ)


SONY α7III / TAMRON 17-28mm F/2.8 Di III RXD

こちらは先日紹介した「十村屋敷跡のスダジイ巨木群」から目と鼻の先。実はスダジイ巨木群の記事、冒頭の写真の右手道路の先にあるこんもりとした緑の塊がこの白山神社なのですが。距離にして50~100mくらいでしょうかね。ここまで来たら当然こちらにも立ち寄らなければ損というものです。

たったこれだけの距離とはいえ駐車したままでは具合が悪かろうということで車を移動しようと試みたのですが、まさかの駐車場無し。ええ、玉垣の前に少しだけ横付けさせてもらってもいいのかもしれませんが、そこは自称常識人の私ですからどうも、ねえ。ということで結局駐車スペースを探して周辺をぐるぐると彷徨ってしまいました。そこまで長時間の滞在にはならないかと思いますので、素直に十村屋敷跡付近に停めたまま徒歩で参拝する方がよろしいのではないか…というのが私の結論。


さて。「白山神社巨木群」として加賀市の天然記念物に登録されていますが、巨樹サイトなどでは「小塩辻町白山神社のケヤキ」と紹介されていることの方が多いようです。この鳥居真横にそびえる巨大なケヤキがそれであることは間違いない。

これはなかなかいい神社だな、なんてぽけーっと眺めていたら近所の爺様が嬉しそうに「どこから来たんだい?」なんて声をかけてくれましてね。本音を言うと今回は新型コロナ流行中だったこともあって出先では極力他人と会話しないよう心がけていたので、嬉しさ半分…というところではあったのですが。しかし現地でナマのお話が聞けるというのはやはり有り難いものです。


まずは解説板に目を通す。主に目立つのがケヤキ、スダジイ、タブの巨木。樹林そのものも相当に学術的価値があるものだと書かれています。


とても気持ちの良い空間ではある。しかし巨木群というには、うーん。マニア的な視点では十村屋敷跡のスダジイ巨木群と比べるとどうしても見劣りする感が否めません。決してケチを付けたいわけではないのです。でも巨木群と聞いて期待すると…という感じでした。


解説板には記載がありませんでしたが、一の鳥居をくぐってすぐ右手にあるこちらのスギはもし健在なら巨樹クラスだったものと思われます。幹周は5m前後でしょうか。爺様のお話によると50年ほど前に落雷によって倒壊したのだとか。50年前に切断されたスギがこれだけキレイな姿で残っているとは驚きです。


拝殿右手にあるこちらのタブノキが解説板に書かれていたものかと。完全に枯れて全身満遍なく着生植物に覆われており、既に息絶えているように見えました。どうも自力だけで生きるタブはこの5m前後というサイズで朽ちてしまうものが非常に多いような気がします。


そしてこちらは幹周6.6mのスダジイ。あまり高さがなくこぢんまりとした印象ですが、これはなかなか立派なもの。先人のログに寄ると枝葉が少なく樹勢も良くなさそう…とのことでしたが、樹勢は随分と盛り返しているように思えます。すぐ近くの十村屋敷跡にこのクラスのスダジイがゴロゴロしているので強く印象に残らないのが残念ですが、帰宅してから思い返すとこのスダジイはもっとじっくり見ておくべきだったように思えてなりません。ちょっと勿体なかったな。


しかしながらやはり最も目立つのはこのケヤキ。幹周はそこまでではありませんが、美しい樹冠が境内から大きく身を乗り出した姿はどうしても目を引きます。


巨樹データベースによると幹周6.0m。とはいえ実際に見た印象だと6mもあるかな…というのが正直なところ。既に立ち枯れて樹皮だけの残骸と化していますが、べったりと張り付くように別のケヤキが生えていたようにも見え、6mというのは恐らく合体樹として健在だったこの隣のケヤキを含めた数値なのではないかと推察します。現在の姿だと幹周は4m台後半くらいではないでしょうか。


樹皮だけとなったケヤキが途中から完全に融合しており、これはこれで面白い。いつかはポロポロと崩れ落ちてしまうのか。その頃にはこの残骸の力添え無しに幹周6.0mを超えるほどに成長しているのかもしれません。


樹皮に触れ、空を見上げる。ケヤキはやはり春から夏の間にかけてが一番美しい。


この立派な樹冠ですが、ご覧のとおり電線をまたいで大きくせり出している状況。近年は毎年のように人知を超えた天災が続いていますから、この大枝をバッサリ切り落としてしまおうという議論が尽きないそうです。この大枝が折れたときには電線が千切れるどころか下手したら電柱もなぎ倒して…大惨事になるであろうことは間違いありません。巨樹愛好家としては残念ですが、ひょっとしたらこの姿を見られるのもあと僅かな期間なのかもしれません。人里の巨樹と人間との共存。難しい問題ですね。

2020/6/23訪問
「白山神社巨木群(小塩辻白山神社のケヤキ)」
加賀市指定天然記念物
樹齢 推定500年以上
樹高 19m
幹周 6.0m(恐らく現在はそこまでない)

石川県加賀市小塩辻町子10

コメント:4

RYO-JI 20-09-01 (Tue) 21:48

石川県は縁遠いエリアなので全くと言っていいほどノーチェックなんですが、
巨木群が隣接していていいですね。
加賀市は観光も併せて楽しめそうで色々と余裕ができれば回りたいです。
コロナ禍で人との接触が敏感になりますけど、ここでの収穫はやっぱり地元の爺様との出会いでしょうね。
ただ訪問しただけでは知り得ないような情報がわかって、とても有意義な時間だったと推測します。
ケヤキの巨樹は、空洞ができ朽ちかけてきてからが凄みや貫禄が備わってきて見応えがあるように思います。
幹周10m前後のケヤキがゴロゴロ転がっている甲信越地方は別としても、これくらいのサイズでも壮絶な姿に目を奪われてしまいますね。

to-fu 20-09-02 (Wed) 14:24

> RYO-JIさん
加賀といったら山中温泉に山代温泉、その他多数の温泉に九谷焼もありますし、巨樹だけで済ませてしまうには惜しいですよね。
地元の方からの情報は本当に有り難いです。稀に離脱できず困ることもありますが…(昨年の長野では1時間以上捕まりました 笑)
その瞬間生きていた方からナマの話が聞けるなんてのは本当に贅沢なことですよね。
解説板にあるただの文字列が風景になって浮かび上がってくるような、何とも言えない感覚があります。

北陸の猛者たちというとやはりウラスギの大物のイメージで、実際に初回はほぼウラスギだけで回りきってしまったのですが、
こういったいぶし銀の巨樹たちにもダークホースがいるのは他の地域同様でした。石川は能登など含めるとまだまだ奥が深い
ところなので、今後じっくり攻めてみたいと思っています。(一体いつ行けることやら…ですねえ。)

20-09-04 (Fri) 22:59

石川県もいいですよねえ。石川巨樹の会が全国のそれをも凌駕する大組織であるのを見てもわかるとおり、けっこう見どころがあり、岐阜や福井にも近いし……ああ好き勝手行ってみたい。

巨樹入りの社叢ということで、単独の強者を訪ねたような興奮はないはずですが、to-fuさんがひとつひとつ落ち着いて丁寧に見て回っている感が伝わってきました。
徐々に巨樹行を再開させるぞという意気込みと、感覚を取り戻そうというような感じかなと。共感できます。
これまでも朽ちつつ生きるケヤキを見ましたが、このケヤキはずいぶんと妙なことになっていますね。笑
途中で裏返ってしまったのでしょうか。中心部はすでに死んでいつつ生き続けるという、樹木というものの生を皮肉ったような姿ですね。
現地の方の声を聞けるのも、いろいろとその巨樹その場所についての印象を濃くしてくれますね。
僕もつかまったことはあったと思いますが笑、それでもやはりそういう追加エピソードがある・ない、どちらが良いかといえば、ある方が良いですね。
いや、まてよ、全てにおいてそうか? いや……うーん。苦笑
自然や歴史とともに、今そこにいる人にも触れに行っているのだなあと感じますね。

to-fu 20-09-05 (Sat) 8:59

> 狛さん
石川もなかなか奥が深いですよね。
海側山側、そして能登。同じ県内でも気候から文化まで様々なので味わいつくそうと思うと大変なことになりそうです。

撮影そのものも楽しいですが、こうなってしまうと現地ではまず何よりも巨樹の麓に立てる喜びを噛みしめてしまいます。
一時は近所の巨樹、いえ、過去に撮影した巨樹写真のデータですら見返す気力がありませんでしたからねえ。
もしかするとこのケヤキは朽ちた表皮だけの部分が元々の本体だったのかもしれない、とも思いました。現在の本体は元あったケヤキの
ひこばえなのかもしれないなと。もし世代交代に成功した結果なのだとしたらなかなか興味深い個体なんですけど…うーん。

まず巨樹という目的があって、それをきっかけに遠くの風土や歴史に触れてその地に生きる方のナマの声を聞く。
その土地のグルメを味わったり観光名所にも立ち寄れますしね。趣味に格もクソもありませんが、これは凄い趣味と
出会ってしまったなとしみじみ思います。ああ、やっぱり巨樹って面白い。そろそろ地に足つけつつ再開しますよ!

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