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香川県仲多度郡まんのう町 天川神社の三本杉


SONY α7RIII / SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art

早朝7時、丸亀市を出発して国道438号線を徳島県方面へ。長閑な田園風景が広がるその国道沿いに天川神社が鎮座しています。いきなり苦言を呈する形になってしまい恐縮ですが、大きく国指定天然記念物「樹齢700年の一本杉」と書かれたそれが何を指しているのかは最後まで分かりませんでした。すぐ隣の注連縄が巻かれた一本杉のことでしょうか。だとすると700年というのはいささか盛り過ぎなのではないかと…最も見応えのある「天川神社の三本杉」は神社の境内ではなく写真左奥、国道沿いの中央分離帯的なスペースにそびえているそうで。早速写真手前の駐車場に車を停め、身支度をしてまずは拝殿へと向かいます。


キリッとした冷たい空気に自然と背筋に力が入る。かしわでを打つ音がまるで空間を切り裂くかのように響くのが心地良い。早起きして良かったと実感しますね。11月も下旬に入り、そろそろ冬になろうかというのが嘘のような陽気が続いていましたが、この日の朝は金属製のカメラと三脚を持つ手まで凍りついてしまいそうな寒さだったことを思い出します。昨日まで日中は上着を脱いでシャツ一枚で歩き回っていたのに。


国指定天然記念物は冒頭の一本杉でも国道沿いの三本杉でもない。社叢全体をもって天然記念物指定されている点をまず先にお断りしておきます。あくまでもこの地に古来から根付く多種多様な植物が現存する環境そのもの、その学術的価値をもって指定されている、ということです。(ただ香川県は他県と比べて杉の巨木が極端に少ないので、巨木が散見することも選定理由に含まれているような気はします。)賢明な皆様のことですから既に何となくお察しいただけたかもしれません。


何はともあれこの社叢ですよ。私には学術的価値についての詳細は分かりかねますが、純粋に見応えのある社叢でした。


こちらの右手の杉も幹周4~5mクラスでしょうか。解説板に記載されていた”樹齢700年といわれる巨木が数本”の中の一本だと思われます。本当に700年かと問われると何も答えたくないというのが正直なところですが、この手の由緒ある神社としてはこういう「盛り」自体別に珍しくありませんからねえ。


さて、とうとう最大の三本杉へ。杉を迂回するように、ここだけ上下線が離れる形になっています。遠目に見ると実によく目立つ。ここを通ったことがある方なら例え巨樹に興味がなかったとしても、この写真を見ただけで「おお、あそこか!」と思い出すのかもしれません。


すらっと伸びた根元。幹周は約7m。こうして見ると立派な一本杉のようにしか見えない。


おお、三股に分かれていました。たしかに三本杉だ。


裂けてしまわないようワイヤーで保護されていますが、現時点では損壊に直結するような痛みなどは全く見られず。率直に申し上げると健康で気持ちのいい若い杉だなあと…それだけしか感じられませんでした。ええ、とうとう言ってしまいました。


比較的交通量があるので三脚を立ててのヒューマンスケール撮影を諦めていましたが、タイミングよく地元の方がお散歩に。すみません。根元はそれなりの迫力がある。樹高も文句なしに高い。しかし、うーん…こういうのはどうなんでしょうねえ。もちろん巨樹には何の罪もない。神社の方の気持ちだって分かる。社叢そのものも学術的価値を抜きにしても素晴らしかっただけに、樹齢700年というワードだけが喉に刺さった魚の小骨の如く心の中にずっと引っかかってしまうのでした。


目立たないので気付かず帰られる方も多いのではないかと思いますが、車道の下をくぐって隣の土器川へと降りる階段が続いています。これは壮観。個人的にはここからの眺めが最も素晴らしいと思うので、是非とも面倒臭がらず降りていただきたい。


これも香川県あるある、ほとんど水量のない河川。足元がかなりヌメヌメしていたので転ばないようにご注意を。日によっては増水して危ないかもしれません。


まあ国天の杉の巨樹を期待して来ると、ちょっと肩透かしかもしれません。社叢を散策するついでに三本杉も…くらいの余裕を持って。


私としては神社や巨樹よりもこの国道438号線沿いの田園風景そのものが一番のおすすめだったりします。そこかしこに日本の原風景的な集落が点在し、みんな大好き棚田もたくさん。実際私も何度も車を停めてカメラを持ち出してしまったくらいフォトジェニックなところでした。(あれ?巨樹紹介の記事では?)

2020/11/17訪問
「天川神社の三本杉」
国指定天然記念物(社叢全体)
樹齢 伝承700年
樹高 約30m
幹周り 約7.0m

香川県仲多度郡まんのう町造田 天川神社

コメント:4

RYO-JI 21-01-07 (Thu) 18:02

サイズだけで見ると遠方まで行ってわざわざ・・・と思わなくもないですね。
しかしそれが落とし穴であることをもう知ってしまっているので簡単に除外できない・・・そんな存在かと思いました。
確かに〝盛って〟しまっていることによってかえってマイナスポイントになっていますが、
珍しい場所に存在する三本杉は見てみたいと思いました。
一般の人もドライブ中に見かけたら記憶に残るんじゃないですかねぇ(その感覚を失っているので勝手な想像ですが:笑)。
巨樹だけじゃなくて雰囲気の良さそうな社叢、周囲の田園風景込みで楽しめそうです。
興奮することはないでしょうが、しみじみと噛み締めジワジワと良さが感じられるような気がします。

to-fu 21-01-07 (Thu) 19:55

> RYO-JIさん
この杉を見るために香川県までと考えるとかなり厳しいものがありますが、四国で大物ばかりを狙ってルートを組んでいくと
どうしてもクス→クス→クス→クス…になってしまうので、口直し的な意味でも貴重な存在かもしれません。
盛りは国天あるあるですよね…国天指定されたいがために盛ってしまうのか、指定後にちょっと見栄を張ってしまうのかは定かではありませんが。
見に来た人間に勝手にがっかりされる杉さんの気持ちを思うと、なんか気の毒だなあという感じが否めません 笑

しかし国天という称号を抜きにしたらなかなかの三本杉ですよね。
仰るようにドライブ中偶然見つけたら興奮して車を飛び降りてしまうと思います。

21-01-08 (Fri) 15:47

導入の雰囲気から、これは詐……いや、ひょっとしてもう失われてしまったとか、そのようなパターンだろうかとすら思いましたが、この三本杉はなかなかの存在感ですね。
もっと社叢の奥にあるとか、御神木然とした位置にあるだけで受ける雰囲気がだいぶ変わったかもしれませんよね。
東北の寒さと地質ではスギも生長がだいぶ遅れるとのことですが、香川ではそれこそ水不足で生長のスピードが遅くなるのかも。
いや、それでもわかりやすい根拠を提示してほしいものです。それがなく誇示するものだから、どうしても引っかかるじゃないですか。ねえ。
社叢の豊かさは素晴らしいですね。全体として国天と理解がゆきます。

香川の水不足はほんと異次元みたいですからね。
以前の同僚が香川県の水泳部でしたが、在学中一度もプールに水が入らなかったとか。爆笑を通り越して唖然としました。

to-fu 21-01-08 (Fri) 22:06

> 狛さん
鳥居をくぐってまず「樹齢700年の一本杉」という誇らしいキャッチコピーを見て、気分が少し落ちましたからね。
三本杉を合体樹ではなく一本の巨樹としてカウントしてるのかな?それならまあ700年説も分からなくはないか?なんて勝手に
咀嚼していたところ、解説板によると社叢には700年クラスが何本も、と。うーん 笑
仰るように水不足と絡めた伝承でもあったら実に面白いんですけどねえ。立派な三本杉だっただけにちょっと不憫でした。

一度も水泳できない水泳部はヤバいですね。何やら哲学的な趣すら感じられます。
工業地帯だから海は海で泳ぐ感じでもなさそうですもんねえ。ひたすら筋トレとかランニングとかしてるんでしょうか…(それってもう陸上部では…)

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