和歌山県新宮市 佐野のホルトノキ

SONY α7RIII / SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art

昨年の2月に訪問した巨樹。訪問して随分と時が経過した最近になって巨樹ログを書き始めていますが、正直申し上げると当時筆が進まなかった一番の理由がこの巨樹にあったりします。何度この巨樹を無視して一気に書き進めてしまおうかと悩んだことか。しかしせっかく訪問してその姿を見たのに、何も見なかったことにしてスルーを決め込むのもいかがなものかと。ああ、書きたくねえなあ 笑

それではまず他人様の記事で恐縮ですが、こちらをご覧ください。
【巨樹と花のページ 佐野のホルトノキ】

ええ、立派なホルトノキですよね。そもそも京都の民にとってホルトノキの大木という時点で珍しい。なので今回の訪問を楽しみにしていたんですよ。まあ他人様のサイトの記事まで引っ張ってきちゃったら他に書くことなくない?ということからも既にお察しのことと思いますが…それでは「佐野のホルトノキ」について書き進めてまいりましょう。

海沿いの国道42号線沿いにある巨大なオークワの北側に位置するため、道中のペットボトル水補充も兼ねて少々駐車場をお借りしました。三重県方面から南下しても那智方面から北上しても、このエリアでは異様に目立つ建造物なので見逃す心配はないかと思います。

そして視界に飛び込んできたのがこの姿。先程のサイトの管理人様が訪問されたのが、わりと最近とも言っていい2018年。ええ…たった2年の間に何が起こったんだ。

真新しく見えた赤い柵は全て取っ払われ、枝という枝をバッサバッサと切り落とされたトーテムポール状態。正直申し上げて落胆以外の感想を挙げることが困難な有様でした。2018年といえば途轍もない勢力を誇る台風が関西圏で猛威を奮ったのが記憶に新しい。ひょっとすると柵はなぎ倒され、大枝が倒壊して危険な状態になったため伐採を…ということなのかもしれません。

新宮市指定天然記念物のホルトノキ。こちらの表記は幹周3mですが巨樹巨木林DBによると4.70m。測定する場所によって数値が大きく変わりそうな樹形ですが、個人的な感想を述べるなら高さ1.3m地点での数値は3mの方が近いのではないかと感じました。それにしても稀少な個体だけに、このような姿になってしまったのは残念でなりません。

その立派な根回りからは、樹齢不明ながら数百年生きたであろう威厳の片鱗がかろうじて感じられる。生命維持のためにこれだけ根をはろうとも、肝心の枝葉がごっそり無くなってしまったのでは無念であろうな。

どの時期に眺めてもところどころに古くなった赤い葉が見られるのがホルトノキの特徴なのだとか。江戸時代にかの平賀源内がオリーブと間違えて日本に持ち込んだのが始まりだと言われています。そう考えると国内に存在するホルトノキはまだまだ若いものばかりなのかもしれない。その語源はポルトガルの木→ポルトの木→ホルトノキ。ホントカヨ。ちなみに残念なことにオリーブオイル的なものは採取できません。

見れば見るほどに無念で。俺は一体何を撮ってるんだろう…なんて途方に暮れたのをよく覚えています。

ということで、まあ実際のところあまりオススメできる巨樹ではありません。それでも国道42号線沿いのオークワを見かけた際には是非ともこのホルトノキの存在を思い出していただき、ほんの少しでも立ち寄ってもらえると彼(彼女?)も喜ぶのではないでしょうか。まだまだ大きくなるポテンシャルを持っているはずなので、せめていつまでも健康でいてほしいものです。

2020/2/5訪問
「佐野のホルトノキ」
新宮市指定天然記念物
樹齢 不明
樹高 約20m
幹周り 約3m

和歌山県新宮市佐野3-8

6件のコメント

  1. こんばんは。
    これはまた無残ですね~
    せっかく行かれたのに残念でしたね。
    私も2018年6月、余呉の菅山寺に道真公お手植えのケヤキを見に行ったところ、
    山道を30分歩いてたどり着いたケヤキは、9か月前の台風で2本あるうちの1本が無残にも倒壊していて、
    ひどくショックを受けたことを今もよく覚えています。
    このホルトノキは悲惨な姿になりましたが、しっかり葉が茂っているのは救いですね。
    どのくらいかかるのかは分かりませんが、早く以前と遜色ない姿を取り戻してほしいものです。

  2. > れもんさん
    こんにちは。
    このホルトノキを発見した瞬間の悲しみといったら…ずっと視界に入っていたのに気付きませんでしたからね…
    菅山寺のケヤキというとウッディパル余呉の脇の林道を突き進んだところでしょうか。2年前に家族でウッディパルに泊まりまして、
    その際ぜひとも立ち寄りたかったのですが、子供を乗せて突き進むような林道ではなさそうだったので諦めた思い出があります 笑

    湖東、湖北エリアはこの数年台風の被害が特に凄まじいみたいですね。
    多賀大社の御神木「女飯盛木」というケヤキの巨樹もへし折れ、長浜の「唐川の野大神スギ」も倒壊してしまいました。
    自分の生きている時代に貴重な自然遺産が損なわれていく様を見るのは、なかなか辛いものがあります。

  3. あぁ、これは良くないですねぇ、残念としか言いようがありません。
    あまりの変わりように同じホルトノキとは思えません。
    何度見比べても別人です。
    記事が進まなかった理由がよく理解できますよ。
    せめて前向きなコメントをするならば、ここからどう復活するか?その姿を楽しみに再訪するのも悪くないかもしれませんね。

    ポルトガルの木→→→ホルトノキ・・・バンザーイ的な名称決定のくだりは面白いですね(笑)。

  4. カンボジア→カボチャ的なメタモル名称はどこかで読んだ記憶が蘇りましたが、源内センセイが絡んでいるとは。
    しかも誤認ゆえにオリーブほど有用植物ではなく、ホルトノキ自体の認知度は低い……というのはリアルな感触で興味深いです。

    リンク先の過去写真と比べ、樹冠と周囲の景観が損なわれてしまって、一気に散漫な印象になってしまっているのが残念です。
    よく田舎の小神社にある名前も知らない大木……みたいな印象。
    ひこばえも多いし、過去はそれなりの樹勢があったように見受けられるので、やはり人に執着が薄くなるとともに衰退してしまったのでしょうか。
    この先の想像とすれば、案外頑張って樹冠を取り戻していけば、周囲も開けていますし、それなりの絵になる樹として関心を惹いてくれるかもしれません。
    まだ枯死したワケではない! と、気軽すぎですが、元気づけたいところですね。

  5. > RYO-JIさん
    本当に残念としか言いようがありません。
    何が起こったのか分かりませんが、それにしてもここまで潔い姿に変えてしまう必要があったのか…
    ここまで酷い切られ方は、他には京都奈良間の24号線沿い「国道のエノキ」くらいしか思い浮かびません。あれも酷い。

    また数十年も経てばこんもりした森のような樹冠を取り戻してくれるかもしれませんね。
    ええ、せめてそう願いたいものです。

  6. > 狛さん
    カンボジア→カンボジャ→カボチャは知りませんでした!日本語ってこういうの多いですよね 笑
    ホルトノキは間違えて極東の島国まで連れてこられた上に、さらに有用性まで低かったというところに何とも言えない悲哀を感じます。
    ちょっと検索してみたら実を食ったチャレンジャーもいて、「今後戦争が起こったら食べてしまうかもしれない。」レベルの味だそうです 笑

    恐らくこの巨大オークワが出来て新興住宅街になり、あまり土地の歴史に執着のない住民が増えて…という構図でしょうねえ。
    まあ落ち葉の掃除とか大変なのは分かりますが、近くに立派な大木がある暮らしは気持ちのいいものだと思いますけどね。
    ここから盛り返してまた素晴らしい樹冠を見せていただきたいものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。