- 2023-06-03 (Sat) 19:35
- FUJIFILM GF 32-64mm F4 R LM WR | スギ | 京都府京都市 | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別)
FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 32-64mm F4 R LM WR
できれば外出したくない土曜日ですが、貴重な梅雨の合間の快晴ということで散歩がてら出かけることにしました。
京都市北区といえば金閣寺(鹿苑寺)や上賀茂神社、北山通りにはレストランが並び…と市内でも比較的人気の高いエリアですが、実はとても広大なのです。
こちら中川地区は完全に山の中。基本的には市内中心部からは車かバイク、公共交通機関ならバスでしかアクセスできません。
そんな中川に面白いスギの木が生えているというではありませんか。
人混みや渋滞に巻き込まれる心配もない。これは行ってみるしかないでしょう。
目的の「北山大台杉」はGoogleMapにも登録があるので迷うことはないはずです。
というか、白状すると私も今朝退屈しのぎにGoogleMapを眺めていてその存在を知ったわけですが。
こちらの右側の狭路を登った先にあるようなのですが、どう見ても離合不可能な細さなので私は分岐路の手前(京都市内側)100~200mほどのところにある路肩に駐車して現地まで歩くことにしました。駐車してよいものか悩むも、フェンスに「またお越しください 中川地区」的な用紙が貼ってあったので問題ないと判断。結果的には道中離合ポイントこそあるものの駐車スペースが皆無だったため、車で向かうべきではないと思います。
そもそも台杉とはなんぞや?という話。
こちらの解説板に簡単にまとめられていますが、もし興味がありましたら京都北山丸太生産組合のサイトをご一読下さい。
このような手法で針葉樹から木材を生産しているのは世界広しと言えどここ京都の中川地区だけ、ということで実に希少なものなのです。
おお、あれか!
まあ訪問前から分かっていましたけど、明らかに巨樹カテゴリーではなく名木カテゴリーに収まる樹木ですね。
根元が繋がっているので辛うじて一本の樹木とは呼べるものの、幹周はそれぞれ甘めに見積もっても1m強ではないでしょうか。
正直に言ってしまうと現地では「これが推定樹齢400年?盛りすぎだろ。」と苦笑いしたものですが、先述の丸太生産組合のサイトの中で紹介されていた樹齢500年とされるシロスギの母樹と比べると、どうやら元々そこまで大きく成長しないタイプのスギのようですね。となると400年という数字も決して眉唾というわけではないのかもしれません。一口にスギと言っても実は様々な姿をした品種があることに驚きます。
京都市内では庭木として見かけることも多いこの台杉。しかし改めて見てみると、これはなかなか面白い姿だなと。
台風一過で風の強い一日だったこともあり、まっすぐ伸びる枝(幹?)たちがユッサユッサと揺れる様がファニーで自然と笑みがこぼれます。
先程このスギを名木カテゴリーだと言ったが違うな。これは珍木カテゴリーかもしれない。悪くないぞ。
今日の動機は天気がいいから散歩したい、買ったばかりの三脚を試したい、リリースされたばかりのFUJIFILMの新アプリ「X App」でライブビュータイマー撮影を試したいという巨樹めぐりの本筋から離れた不純な?ものばかりだったものの、これはこれで悪くないものが見られたのではないかと。
今朝まで存在すら知らなかったこの「北山大台杉」。
実は知る人ぞ知る観光スポットだったようで、検索してみると私が想像していたよりずっと多くの紹介記事がヒットするではありませんか。
皆さんスゴイですねえ…どうやって知ったんだろう。そして、意外と樹木に興味がある人って多いのかもしれない。
地域を代表するでっかい巨樹を見てぶったまげるのは実にエキサイティングで素晴らしい体験だ。
だけど、決してそれだけではない。そんな浅い世界とは違うのだよ。
京都=寺社仏閣。
それもまあいいんですけど、人混みに疲れたら日程の一日くらいはこんなところに来てぼけーっと過ごすのも悪くないのではないでしょうか。
美味しいパン屋で軽食を買って、バスでのんびり京都の山奥へ。ここの手前の高雄地区にはツウ好みの良いお寺さんも揃ってます。
一番有名なのは国宝・鳥獣戯画を持つ高山寺?しかし残念、高山寺に展示されている鳥獣戯画はレプリカなのだった。
(オリジナルは東京、京都の国立博物館に分割して保管。ごく稀に一般公開されます。)
2023/6/3訪問
「北山大台杉」
樹齢 推定400年
樹高 目測約10m
幹回り 二股に分かれた幹のどちらもせいぜい1m強だと思います
京都府京都市北区中川北山町243
コメント:8
- れもん 23-06-03 (Sat) 22:47
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これはこれは!
関市板取に株杉の森というのがあるのですが、その株杉と同じような杉があるのだとビックリしました。
こちらでは、意図的にこのようにして木材生産しているのですね。
株杉のような迫力はありませんが、
真っすぐに伸びた杉が可愛くて、株杉の盆栽版といった感じで是非見に行きたいものだと思いました。
で、2枚目の写真に何となく嫌な予感を覚えながら場所を確認したら・・・
やはり予感は的中。
というのも、この杉から直線距離にして100mくらいの木造倉庫群へ、1年半前に行ったばかりだったのです (^^;;
あの時、確かGoogleMapを眺めていたはずだったのですが、気付かなかったこの不覚!
とりあえずto-fuさんの写真を何度も繰り返し拝見させていただくことにします。 - to-fu 23-06-04 (Sun) 15:47
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> れもんさん
株杉の森!ええ、存じ上げております。と言いますか、以前ブログのコメント欄で教えていただきました。
行きたいと思いつつあのエリアは暑い時期のヒルが怖くて未だ行けておらず…なのです。
京都市(の外れ)にも「伏条台杉群生地」というものがありまして、恐らく株杉の森はそちらに近いのではないかと想像します。
(もう5年も前に書いた記事で恐縮ですが、伏条台杉群生地です→ https://withphotograph.com/?p=4728 )
仰るように私もこれは大きな盆栽だ!と感じました。
庭木にこれのミニチュア版があるのですが、どう育てるか考るとなかなか奥の深そうな世界ですね。
って、ええ!?あの材木屋の木造倉庫群に来られたんですか?
いつもながられもんさんの物凄いリサーチ力には驚かされます。
あの日本遺産のような光景が見世物としてでなく現役で稼働している様にはロマンがありますよね。 - 狛 23-06-04 (Sun) 21:27
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へええ、面白い樹があるもんだなあ……と変なため息が出ました。
スギ巨樹界のあがりこ大王と言ったらいいのか、悪いのか。
あの伏条台杉群が印象に強いこともあり、一見してとてつもなく巨大な巨樹なのでは? と疑いましたが、そうでもないのですね。
姿ひとつでこの地域特有の林業の技を語る学術的・産業遺産的価値で大切にされている……にしてもこのフォルムはあまりにも奇妙だ。
Googlemapで見ましたが、その木造倉庫群もこの地域を知るうえで重要ですね。
近くを歩くだけでスギ材の香りがしてきそう。
ただドンとある巨樹を見るのみならず、それにまつわる時空を立体的に体感できるなんて、今やとても貴重だと思います。 - RYO-JI 23-06-04 (Sun) 21:57
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見れば見るほど不思議な形状で我が目を疑います。
北山杉というのは何となく聞き覚えのあるワードですが、こんな奇妙な杉が存在していたとは!
珍木カテゴリー・・・いいですね(笑)。
そのカテゴリーのレギュレーションは曖昧ですが、まさしくこれは珍木に値しますね。
巨樹だけではなく他にも珍木を探したくなってくるではありませんか(笑)。
しかし400年も前から続く独自の林業が残っているだなんてさすが京都。 - to-fu 23-06-05 (Mon) 14:30
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> 狛さん
そうなんです。とてつもなく巨大…ではありませんでした 笑
この地域に残る台杉仕立てという文化財と言ってもいい手法のシンボル的存在で、学術的価値は非常に高いと思います。
この大台杉の樹齢=北山杉の歴史そのものだと考えるとロマンですよね。京の都まで歩いて商売に出られるその立地など
様々な条件が重なることで生まれた手法が、現代にもリアルに生きている。すごいことです。
まあ現代人の私なんか「木材担いで山道越えて日帰りで?ムリムリ!」と根を上げてしまいますが。
木材倉庫群も見ごたえがありますよ。
観光資源としてプッシュするにはマニアックかもしれませんが、実はあれ結構写真映えすると思うのです。 - to-fu 23-06-05 (Mon) 14:40
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> RYO-JIさん
ただたくさんの材が収穫できるだけでなく、密で丈夫な材に育つ…
昔の人って本当にとんでもない発想と行動力を持ってますよね。この台杉仕立てにしてもアイデアが浮かんだとして、実際に
材として育って検証出来るまでに何年もの時間を費やすわけで。普通、思いついても試してみようと思えないですよ。
茶室に特化した木材…北山杉は今のライカ的なブランドだったのでしょうかねえ 笑
珍木、迷木カテゴリーを回るのも面白そうですよね。
先人の巨樹リストにしても、初回は数字を見てスルーしていたサブ的な巨木が実際行ってみたら大物並みに良かった!
なんてわりとよくあることなので。価値基準が大きさだけになると取りこぼす魅力的な木がまだまだありそうです。 - 123 23-06-05 (Mon) 18:44
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基本的に盆栽感が強くなってしまっている巨木は興味がわかないのですが
これはなかなか特徴的な形状で面白いですねえ
過保護や狙った上での人為的な造形ではなく
材木利用による結果というのがなかなか味が合って良い
単純なサイズだけでは無いのも巨木巡りとしての醍醐味ですね - to-fu 23-06-06 (Tue) 10:33
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> 123さん
作品として樹木を造形するのではなく、林業の一手法として生まれた姿というところがロマンですね。
正直巨木としての感動は全くありませんが祖谷の武家屋敷のように文化財としての価値は高いのではないかと。
効率や物量で海外産に負けて衰退しつつある日本の一次産業が一点特化で生き延びている様は、何やら感じ入るものがあります。
圧倒的なサイズの巨樹を見た感動から始まったこの趣味ですが、必然的に日本各地の歴史や風俗を知るきっかけになるのも醍醐味と言えるかもしれません。
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