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三重県鈴鹿市 地蔵大松(地蔵大マツ)


SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G

過去訪問した未掲載巨樹シリーズ。2019年2月に訪問したクロマツの巨樹です。
三重県鈴鹿市。以前は客先のイベントに招かれて毎年家族で顔を出していたのですが、コロナ禍による生活習慣の変化もあって最近はすっかりご無沙汰に。
またの機会に…がいつになるやら分からないため、思い立ったが吉日ということで記事にまとめてしまうことにしました。


巨樹界では有名な「長太の大楠」から車で10~15分程度でしょうか。
GoogleMapsにも「地蔵大マツ」として登録があるため迷うことはないはずです。駐車スペースあり。

車を降りて早速視界に飛び込んでくるその姿は、とにかく普通にデカい!いえ、これはマツ巨樹に対する最上級の誉め言葉ですよ?
マツの巨樹はサイズの面で言えば迫力に欠けるものが多く、巨樹巨木というよりは名木カテゴリーに属するものも少なくない。
しかしこの地蔵大松、このお方はもう文句なしの巨樹です。遠目に見てもまごうことなくデカいわけです。


右手に立つ普通サイズのマツ(まずまず立派なマツだと思う)と比較すれば一目瞭然でしょう。
これがマツ…だと!?

幹周は6.7m。恐らく2024年時点では幹周7.5mの山形県「東法田の大赤松」に次いで日本第二位のマツの巨樹ではないかと思われます。
かつては香川県の「円通寺の黒松」など大物も存在しましたが、残念ながらマツ巨樹の上位陣は多くがこの数十年内の間に枯死してしまいました。
東法田の大赤松は名前のとおりアカマツですから、こちらの地蔵大松はクロマツとして日本一のサイズを誇るはず。

※「東法田の大赤松」は2019年に枯死判定、2021年に伐採されているようです。いつか見てみたい巨樹だっただけに無念すぎる。
現在はこちらの「地蔵大松」が日本一のマツの巨樹ということになりそうです。

ただし、最近の調査では単一の巨大クロマツではなく寄せ植えされたクロマツ同士が癒着してこのような姿に成長した可能性が高いと言われているようです。


地蔵大松と呼ばれるくらいなのでもちろん隣に鎮座するのは地蔵堂。
僅かばかりのお賽銭を入れて手を合わせ、せっかくなのでお堂に置かれていた台帳に記名しました。
驚いたことに後日、地蔵大松保存会の方からご丁寧に御礼のはがきが届きましてね。こういうのは嬉しいなあ。
如何にマツが大切に扱われているかが伝わってくるし、余所者の自分としては訪問者が邪険に扱われていないことも当然嬉しい。


たくさんの支柱に支えられたこの立ち姿ですよ。全方位に張り巡らされた枝張りはまさに壮観。
根元だけ見ると随分マッシヴな印象ですが全景を見たときの風流さはやはりマツだなと。
巨樹が持つインパクトと日本の詫び寂び的な美しさが一度に味わえてしまうのは、かなりお得かつ貴重な体験ではないでしょうか。


解説板には名の由来が記載されています。
このマツの木が蘇我氏、物部氏の時代から…と考えるとロマンがありますが、流石にどうでしょう。

幹周6.7mということですが私の感覚だと7.5mくらいはありそうに見えました。
次回訪問時に管理者の方がいらっしゃったら、許可を得て是非とも実測させていただきたいものです。


実際眺めていたときはあまり痛々しさを感じなかったものの、Web上に残る20~30年前の写真を見ると蓋で埋められた箇所の大枝も当時は健在だった様子。
かつての姿と見比べてしまうと健康状態が不安に思えてしまいます。


まだまだ見事な大枝たち。
今となっては本当に貴重なマツの巨樹。何とかこの状態を保ってもらいたいものです。


マツクイムシによる松枯れ対策に鈴鹿市、大松保存会、ファイザー社が共同で薬剤の投与を行っているという新聞記事の切り抜きが置かれていました。


スギの巨樹にケヤキの巨樹。私が巨樹をめぐり始めて以降の期間だけでも多くの巨樹が倒壊、枯死してしまいました。
ただ間違いなく、その中でも待ったなしのスピードで日本から滅びつつあるのがこれらマツの巨樹ではないかと思います。

優先的に見ておくだけの価値があるマツ。
実際にこのマツや新聞記事を見て何かを感じ、我々が投じる僅かばかりのお賽銭も積み重なればマツの寿命を延ばすことに繋がるかもしれません。
塵も積もれば山となることを願って。いつまでもお元気でいてほしい。

国としての魅力ってでっかいハコモノ観光地で推し出すものではなく、各地にこのマツのような存在が残っているところにこそ在ると思うんだけどな。
カネカネカネばかりで生きていると、この国が本来持っていた豊かさが少しずつ損なわれていくのです。

2019/2/14訪問
「地蔵大松(地蔵大マツ)」
三重県指定天然記念物
樹齢 不明
樹高 約20m
幹回り 6.7m

三重県鈴鹿市南玉垣町5536-1

コメント:8

24-03-06 (Wed) 22:36

こりゃええ! と、普段使いもしないニセ関西弁で感嘆しました。
このありえないほど極太の幹が山でも木立の中でも寺社でもなく、なんだか住宅地みたいな風景にあるのがミスマッチです。
青い支柱が目に入って、ひょっとして公園の鉄棒? とか思ってしまいました。まあ、やけに鉄棒だらけの公園だということになってしまいますが……。苦笑

検索してみると、現在でも元気なようで何より。ホッとしました。
確かに、クロマツでここまでの巨樹はぱっと浮かびませんね。いや、アカマツ、マツ科全体でもなかなか……。
「東法田」は行こうと思っていたうちに枯死・伐採されてしまいましたし、その他もリサーチ→既に存在せず……を繰り返したせいで、マツ巨樹は3メートルクラスからでもできるだけ見ておこうと思うようになりました。
この大松もそうですが、大切にされて今も健在なマツ巨樹は実に絵になる。数値が必要なくなるほど撮り甲斐があり、見られた満足感が非常に高いです(にしても、お礼はがきまで届くなんて凄い……)。
そうして撮った写真が貴重な資料に……なんてことになってほしくはないし、想定したくもないですが、この大松は全樹種から候補を絞ったとしても純粋に見に行きたい一本だと言えますね。

RYO-JI 24-03-06 (Wed) 22:37

この松はとても印象に残っています。
巨樹界では肩身の狭い松ですが、これは充分な存在感を持っていますよね。
幹周も実測ではもっとあるかもしれませんから是非とも計測してみたいものです。
あとやっぱり超巨大盆栽チックな姿に圧倒されました。
目立つ支柱の数は類を見ない多さで、それも記憶に残っている理由のひとつかもしれません。
国レベルで貴重な樹木を後世に残す施策に期待できない現状はとても残念。
海外からも観光客を呼べる屋久杉くらいに知名度が高い存在じゃないと厳しいでしょうね。
そういう意味でも保存会の活動は貴重だし、心から尊敬し応援したくなりますよ。

to-fu 24-03-07 (Thu) 10:22

> 狛さん
うおおおお…本当だ。東法田の大アカマツが枯死しているではありませんか。それも原因不明とは。
私もいつか見に行こうとマップにチェックしていた巨樹なので残念でなりません。
かつて日本一だった香川県の「岡野マツ」が枯死して東法田が繰り上がり1位になりましたが、
今度はこの地蔵大松が繰り上がり1位に…これはちっとも嬉しくないですねえ。悲しすぎます。

仰るようにマツは幹周関係なしに周辺の景観(だいたいお寺さん)と併せて絵になることも多いので、撮影目的で
訪問するなら小さめのものでも十分楽しめますね。巨樹クラス未満でも枯れ始めると本当に一瞬で枯死してしまいますから
油断なりません。気比の松原や三保の松原も一体いつまで気持ちよく散策できるのでしょうか。

日本の気候風土がマツの生育にとって良くない方向に変わり始めているのかもしれませんね。
改めて身近なところにあるマツの名木をリストアップしてみたくなりました。

to-fu 24-03-07 (Thu) 10:38

> RYO-JIさん
インパクトありますよね。これがマツの巨樹か!!と。
そして気になるマツ巨樹を回り始めて、地蔵大松が実はマツ界のトップランカーだったことに初めて気付くという 笑
私が先日計測した「常宮神社のスダジイ」でも6.5mありましたから、これで6.7mということはないと思うのですが…

支柱が悪い意味(色味よ…)で目立ってしまいますが海をイメージしたとか何か意味があるのでしょうかね。
祖母の家のガレージの塗り直しをペンキ屋にお任せしたら、これと似たような青色にされて「なんでやねん」となった
記憶を思い出しました。有名寺社のすぐ脇にでっかいマンションが建ったり、国が率先して日本の魅力を
喪失させているとしか思えないんですよね。外国人だって神社の社殿目当てでやって来るのではなく、街の景観を
含めた空間として神社を味わいに来てるだろうに。目先のカネより未来を見据えた街づくりをしていただきたいですねえ。

yoji.koyama 24-03-12 (Tue) 1:14

自分のデータベースで全国の松を調べてみましたが、2023年だけでも5m以上の松、2本は倒木してました。以前から感じてはいたものの本当に急ぐ必要がありますね。
一度、全国の松を近日調べ上げてみようと思います。

to-fu 24-03-12 (Tue) 12:07

> 小山さん
数年前の情報を元にマツを訪問するととっくに倒壊している…私も何度も味わいました。
強烈なインパクトのある樹種ではないので遠征では後回しになりがちですが、マツをとりまく状況を考えたら最優先に見ておいていいくらいですね…

123 24-04-06 (Sat) 2:31

地蔵大マツ良いですねえ
一度は拝見したい大松
単幹だろうが合体幹だろうがそんな事はどうでもよくなる造形です

松枯れはマツクイムシの影響を押してますがそれ以外にも環境の変化や人的な鉱業、整備等による
栄養状態の変化等も大きく影響してると言われているようですね
今のうちに回れる所は回っておかねば

to-fu 24-04-06 (Sat) 21:58

> 123さん
本当に見事なマツでした。仰るように合体樹であろうが、ここまで来るとどうでもいいことですね。
私が巨樹巨木に興味を持った時点で既に多くのマツ巨樹が枯死していましたが、近年加速度的に状況が悪化している気がします。

最近まで日本一のマツだった「東法田の大アカマツ」はマツクイムシの被害も全く見られず、専門家が見ても枯死した
原因が全く分からなかったのだそうです。対策をしても枯れてしまう以上、我々にできることは少しでも多くのマツを
この目に焼き付けておくことくらいしかありませんね…悲しいことですが。

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