Home > FUJIFILM GF 20-35mm F4 R WR | スギ | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別) | 愛知県 > 愛知県豊田市 堂庭のスギ

愛知県豊田市 堂庭のスギ


FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 20-35mm F4 R WR

岡崎市の寺野の大クスから向かったのがこちら、豊田市の静かな山中にそびえる「堂庭のスギ」。
50mほど離れたところに車10台分くらいの駐車スペースを発見し、そちらに駐車しました。
早速近づいてみると…うおお、これは凄い。


すらっと直立する正統派なスギの木ではない。
しかしスギ巨樹として見ると、このデカさと枝張りで圧倒するスタイルは正統派と言ってしまってもいいのではないか。とにかくデカい!

私の初見の感想は「ここまで迫力だけで押してくるタイプの正統派スギ巨樹を見るのは随分久しぶりな気がするな。」でした。


説明文がすっかり色褪せてしまってますが、解説板を見つけたのでまずはそちらを。
薬師如来を祀ったお堂、堂庭から名前を取って「堂庭のスギ(堂庭の大杉)」と呼ばれていますが、地域の方々は親しみを込めて千年杉と呼ぶようです。


環境省が2005年に測定したデータによると幹周は8.7m。
急斜面にへばりつくように生えていることからレギュレーション上の数値では損をしている感もあり、実際その前に立つと10m級の迫力があります。

筋肉質な足のような力強い根が根本をグッと支え、その付け根の切断された枝が男根のように見える。
というか、むしろそう見せたいがために表皮を削られているようにも窺えましたが 笑
根本に立ち並ぶお地蔵さんがいいですね。いかにも集落の守り神という感じ。


最近新規巨樹を訪問する際はファーストコンタクトの感動を重視して、あまり下調べせずに向かうことが多いわけですが。
で、帰宅後そういえば堂庭のスギって県天だったのか?と改めて調べ直してみたところ、なんと無指定。

この1,000年生きると伝えられる(実際のところ1,000年はどうかと思いますが)規格外の大杉が天然記念物無指定とは…信じられません。
個人的には愛知県のスギ巨樹の中でナンバーワン。控えめに言っても県下を代表する大杉の一本であることは間違いないでしょう。
(恐らく県内最大のスギ後日紹介する予定の「貞観杉」幹周11.7mですが、私は堂庭のスギの方が見応えがあると思います。最終的には好みの問題になるものの、単純な数字や知名度だけでは魅力を測れないのが巨樹の面白いところです。)


巨大スギの一番の魅力がこの荒々しい樹皮ではないでしょうか。まあ異論は認めますが。
ところどころ隆起してうねったような樹皮の質感はそこらに植林された標準サイズのスギとは明らかに異なる。
同じ針葉樹でもヒノキやサワラの巨樹にこの威圧感はないんだよなあ…


裏側に回ってみると…あら、随分すっきりしてしまいましたね。
正面からの写真と2枚並べられて同じスギの写真だと言われても信じられないかもしれません。


当然のことながらデカい。苔むした幹が巨大な背中、そしてこの大枝が振り上げた腕といったところか。
雨の日に眺めると樹皮が黒々とした光沢を帯びて一層迫力を増しそうです。


解説板によるとスギの根は川を隔てた先の田んぼにまで達しているのだとか。凄すぎる。
遠目に眺めても非常によく目立つ巨樹で、何故これほどまでの大杉が天然記念物に指定されていないのか理解できません。


しかし、知る人ぞ知るダークホース的ポジションもこの巨樹の魅力の一つなのかも。
愛知巨樹界では広報のお仕事は「清田の大クス」や「貞観杉」がしっかりこなしてくれてますから…
おすすめ度高いです。

2024/3/13訪問
「堂庭のスギ」
樹齢 伝承1,000年以上
樹高 38m
幹周り 8.7m

愛知県豊田市葛沢町中本郷67

コメント:8

yuriy 24-05-16 (Thu) 20:51

ご無沙汰しております。
to-fuさんの記事を見て、「バス乗り継ぎ大変~」なんて言ってたら一生行けないと思い、
『寺野の大クス+切越の夫婦ヒノキ』をセットで見に行く事にしました。
名古屋からは最寄りの本宿駅まで名鉄ですぐなので、そこから手っ取り早くタクシー往復w。
双方をつなぐ林道の存在という貴重な情報も頂きましたし、
これは真夏になる前に行っとかなくちゃと。
(林道、坂が苦手なおばちゃんでも平気ですかね?)

こちら『堂庭のスギ』も見れば見るほど素晴らしい・・
根が小川越えしてるってところで「え」と声出ました。この距離をですか??
ほんとうに、自然には絶対的に勝てないってつくづく思います。
しかしまたここも公共機関派には相当ハードル高い(笑)

RYO-JI 24-05-16 (Thu) 21:03

これは非常に力強く個性的なスギですね!
直立不動の実直な一本杉とは違った魅力溢れる存在。
威圧感溢れるウラスギともまた異なる迫力を感じます。
にしても数値以上に圧倒してきますね。
根がそんなところまで伸びているという話にも驚かされました。
地中をも支配する様は想像を絶する勢力です。
裏側とのギャップも凄くて、その二面性がまたインパクトがありますね。

to-fu 24-05-17 (Fri) 14:57

> yuriy.さん
こんにちは。お久しぶりです。
おおお、あの2本に行かれますか!行くだけの価値は十分にあると思いますよ。それにしても近くて羨ましいです…
林道は真夏になると雑草が伸び放題で厳しいかもしれませんが、道中の足元自体は踏み固められていたので
入口にさえたどり着ければ迷うことはないはずです。

体力的にはあれだけ精力的に動き回られているyuriy.さんなら大丈夫でしょう。虚弱体質な私でも大丈夫でしたから。
愛知東部には魅力的な絶景ポイントがたくさんありますが、とにかく交通の便が悪いのが難ですよねえ…

to-fu 24-05-17 (Fri) 15:07

> RYO-JIさん
この1年くらいの間で見たスギ巨樹はストレートにズドンと伸びるスマートなタイプばかりだったので、目の前に立った瞬間
おお、久々に来たな!とテンションが上がりました 笑 急斜面から身を乗り出す佇まいがどことなく勝山の「岩屋の大杉」のようで、
雨の日に眺めたら一層重厚感が増しそうだと感じました。

根が田んぼまでという解説は巨杉のスケールを表す表現としてシンプルでいて実に強烈ですよね。
スギを眺めて驚いて、ええ?根があそこまで!?とまた驚ける。訪問者へのもてなしとしては最高の一文と思います。

24-05-17 (Fri) 15:21

すばらしく野性的な、撮り甲斐あるスギ。これは最低でも県天でしょう。
何か特別の事情がないのなら、自治体がおさぼりしていると言われても仕方ないレベルですよ。(とはいえ、どういう流れで天然記念物指定がなされるのか、よくわからない)
こういった、斜面から見下ろしてくるタイプの大杉の背中部分には言いようのない力みを感じますね。張りがあるし、かなり動物的に見えるとも思いました。
対して正面側は、いや、こちら側もかなり動物的か。笑 
東北にも陽物信仰は多くありますが、この場合、派手というか露骨というか。祭でもないのに表現がストレート。
その点で新潟の「下来伝の大杉(ほだれ大神)」を思い出し、Googlemapで検索したら、ストリートビューにボカしが入ってて噴きました。笑
こういう例や乳銀杏信仰なんかを見ていると、昔は植物と動物、自らと神仏や自然との区別なんてなかったのかもなあ……とも。少なくとも距離はもっとずっと近く、直につながっていたんでしょうね。

to-fu 24-05-18 (Sat) 19:23

> 狛さん
我々の感覚からすると県天ですよね。
天然記念物指定の基準や流れには不可解な点が多いですが、このスギに関しては将来にわたって保護していくためにも
出来ることなら天然記念物指定してあげてほしいです。

この大杉の股間(股間って…)のアレは明らかにアレを意識して祀られてました。
あまり接写すると生々しいので引きで撮影しています 笑
って、ほだれ大神を見てみたら本当にボカシが入ってる!!
おいおいそのボカシのすぐ横にボカシ部分よりストレートな石像がいくつも置いてあるじゃねえか!と笑ってしまいました 笑

この手の信仰が全国で同じように見られることからも、現代よりずっと身近な存在だったのかも…というのは考えられますよね。
そして大昔から現代に至るまでそんなことばかり考えてるあたり、人間って結局大した進化も変化もしてないんだなと。

yuriy. 24-05-19 (Sun) 14:46

お言葉に背中を押され、さっそく二か所とも行ってまいりましたよ!東三河最高。
まずは寺野。いやぁ凄いですね。写真で見るのと実際目にするのとではやはり全然違いますね。
根がもう小山じゃないですか。
現地に到着した際、タクシーの運転手さんがその大きさに驚いて、
「日頃は通り過ぎるだけで全く気付かなかった。せっかくだからちょっとだけ自分も見に行きます!」といって、
根を触りながら「今度女房を連れてゆっくり見に来ますわ」とはしゃいでおられました。

次に林道をざくざく歩いて、無事に須佐之男神社へ。「すっげーー」と声出ました笑。
神がかった光景に唖然とし、足元の悪さにドキドキしつつも必死に撮影しましたが、
あの階段にカメラ置いて撮るなんて私には無理でした・・
そして、神々しくも美しいあの木々を目にした時に私がまず思ったのは、
「ヤーー!!!(byダチョウ倶楽部)じゃん。これ」。
勝手に「ヤーの木」と命名しました。

to-fuさんの記事がなければ絶対に行けてないので、本当に感謝しかありません。
ありがとうございました!

to-fu 24-05-20 (Mon) 14:21

> yuriy.さん
早っ!!いえ、思わず声が出ました 笑
寺野の大クスは目立ちますけど、日常的に通られている方は多分わざわざ車を停めて立ち寄ったりしませんよね。
あの壁のような迫力と高台に立ったときの心地よいそよ風だけで、十分立ち寄る価値があると思います。

須佐之男神社は…あちらは特に知ってないと絶対に辿り着かない神社ですね。無事到着できたようで何よりです。
あれスゴイですよね。私もあのヒノキがあると知ってて行きましたけど、実物の神々しさは想像を遥かに上回りましたもの。
ヤーの木は笑いました 笑 (たしかにそう見えますが。というか、もうソレにしか見えなくなってしまったではありませんか 笑)
次回見に行ったら思い出して吹き出してしまいそうです。あんなに神々しいのに。

それにしても、あの2本がちょっとしたお出かけくらいの距離のところにお住まいなのが羨ましいです。
私の知人の愛知県の巨樹ファン(私以上に経験豊富です)の方は愛知県イチオシの巨樹に寺野の大クスを挙げられてました。

コメントフォーム
Remember personal info

トラックバック:0

このエントリーのトラックバックURL
https://withphotograph.com/wp-trackback.php?p=34038
Listed below are links to weblogs that reference
愛知県豊田市 堂庭のスギ from with photograph

Home > FUJIFILM GF 20-35mm F4 R WR | スギ | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別) | 愛知県 > 愛知県豊田市 堂庭のスギ

CATEGORIES

Return to page top