- 2024-08-31 (Sat) 17:20
- FUJIFILM GF 20-35mm F4 R WR | モチノキ | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別) | 徳島県
FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 20-35mm F4 R WR
全国でも貴重なクロガネモチの巨樹。加速度的に樹勢が衰えていると聞くため、早いうちに見に行かねばと考えておりました。
GoogleMapsにも登録があるので道に迷うことはありませんが、現地周辺恐ろしく道が狭いのでくれぐれもご注意ください。
GoogleMapsナビに従って裏道からやって来たら田んぼに脱輪するんじゃないかって極細道を通らされるわ「いや、これ車ではムリでしょ…」という、せいぜい自転車や原付が通れる程度の畦道(もはや道路ではない)にぶち当たって他所様の土地で転回させていただいたり(これは流石に一言ことわってます)…とにかくまあ難儀しました。
ちなみに、頑張ってやって来たものの現地付近に駐車スペースは存在しないようで。
私は冷や汗かきながら周辺をぐるぐる回った挙げ句、近くの牛島体育館に停めさせていただきました。
巨樹。読んで字の如く「巨大な樹木」というわけですが、巨樹を期待して訪問されると間違いなく拍子抜けでしょう。
しかし幹周4.37m。あまり大きく育たないクロガネモチとしては全国でも目を見張るサイズといっていい大物です。
見てのとおり幹は人ひとり雨宿り出来るくらいに空洞化しており、どう贔屓目に見ても樹勢はよろしくありません。
しかしこれ、大きさはなかなかのものですよ?
恐らく現在は5m近くに達しているのではないでしょうか。
興味のない方が見ればただの「弱った木」であるに違いなく。お、これは凄いと足を停める方はまずいないのではないかと。
これでも推定樹齢600年と伝えられる老木の中の老木です。今まで何本かのクロガネモチ巨樹を見てきた経験からすると実樹齢とそう離れていないのではないか。
決してデカくはないけど、樹齢相応の風格がある。
一個体の生命としてはそろそろ限界に近いはず。
現在進行系で内部から崩壊が進んでいるようで周囲には幹の破片が散乱していました。
もし今この瞬間「八坂神社のクロガネモチが倒壊」というニュースを見たとしても、私は即座に「そうだろうなあ」と納得することでしょう。
とにかくデカくて迫力ある分かりやすい巨樹にばかり目が向いてしまいがちですが、我々の感覚からすると悠久にも感じられる時を生き、人間の営みを見守り続けてきた巨樹。そんな偉大な巨人たちが滅びゆく様を見届けて記録することもまた、意義ある行為だと思うのです。
このゴツゴツした樹皮に一体今までどれだけ多くの人が触れてきたのだろう…と思いを馳せる。
個人的に漆喰を塗りたくったようなクロガネモチの樹皮はわりと好みだったりします。
遠目に見るとほとんど朽ち果てているようにも見えるけれど、新芽が芽吹いた枝葉を見ればまだまだ懸命に生きようとしていることが分かる。
しかしこれは…約10年前に「巨樹と花のページ」さんが撮影された写真と比べるとどうしても悲しくなってしまいますね。
もっと早く立ち寄っておけばよかった。
これが率直な感想ですが、逆に今こうして見ておいてよかった、とも思うわけで。
奥に見えるのはクロガネモチの二世樹なのか。地域の方に大切に扱われているのは間違いなさそうです。
一日でも長く生き続けてほしいと願うと同時に、今までお疲れ様でしたという想いも湧き上がってきました。
何であのとき立ち寄らなかったんだろうと後悔しないためにも。
優先的に見ておいて損のない巨樹だと思います。
2024/4/18訪問
「八坂神社のクロガネモチ」
樹齢 推定600年
樹高 14m(現在は10mに満たないように見える)
幹周り 4.37m
徳島県吉野川市鴨島町牛島1533
コメント:4
- RYO-JI 24-08-31 (Sat) 21:37
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満身創痍・・・見た瞬間に頭に浮かんだ言葉ですが、そんな四文字だけでは言い表せないほどの歴史を持ったクロガネモチなのでしょうね。
空洞というにはあまりにも大きくえぐれた幹は、もはや皮だけでかろうじて立っているようにも見えます。
今回の台風で倒壊していても全然おかしくない、むしろ無事である筈がないと思ってしまいます。
心配ではありますが、実際はどうなんでしょう。
もし倒壊していてもひっそりとニュースにもならずに知ることもないかもしれませんね。
10年前の姿と比較すると悲しくなりますが、それも生あるものの自然な姿でもある訳ですからしっかり受け止めねばなりませんね。 - to-fu 24-09-01 (Sun) 13:34
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> RYO-JIさん
同じような状態のムクやケヤキを見かけることは珍しくありませんが、ここまで満身創痍なクロガネモチの存在自体が貴重に思えます。
仰るように最早皮だけ。ここまで来るともう治療する術もなく、あとは自然に任せるのみといったところでしょう。
天然記念物にも指定されていないので倒壊してもただ地域の方が静かに片付けて終わりなのでしょうね。
それはそれで家族葬のようで、一つの命の終わり方としては幸せなのかもしれません。
もっと早く見ておけばよかった!が無いよう。何より樹木より遥かに薄命な我々が健康なうちに、多くの巨樹を見ておきたいものです。 - 狛 24-09-01 (Sun) 20:11
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一目見て、ムクかエノキの老巨樹かと思わせる姿だなと。それがなんとクロガネモチ。
この樹種はこれまで身が締まってどっしりしたものが多い印象だったので、こりゃよっぽどだなと。
ここまで老朽すると復活は望めないでしょうし、過去の写真と比べるとどうしても落胆してしまいますが、巨樹の生の最終版の姿、確かにこれは生き物で、これまでずっと生き続けてきた証でもありますね。
強烈な台風や地震が連発する中では、初対面の機会を得る前に消えてしまう巨樹もいくつも出てくるわけで、このタイミングでの写真と探訪記が残るのも貴重だと言えると思います。
この写真の風景や雰囲気、クロガネモチは特に園芸的な樹種でもあるし、人が育んだ巨樹という面が濃くあると思います。
であれば、人が看取って終焉とするのも、それはそれで正しい形と言える気もしました。 - to-fu 24-09-01 (Sun) 21:26
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> 狛さん
ノーマル(庭木)サイズのクロガネモチはここまでの状態になる前に、まず根本からバッサリいかれますからね…
そしてこれがムクやエノキならとっくにキノコ軍団に侵食されて倒壊していたかも。
本当に毎年のように巨樹倒壊のニュースを耳にするこの時代。今この瞬間、巨樹の世界に興味を持てたことは本当に幸運だと思っています。
数十年後には今の名だたる大物がどうなっているか分からないし、そもそも日本中廃村だらけでクルマでは多くの巨樹まで辿り着けないでしょう。
マイナー巨樹は特にWebに現存する写真が恐ろしく古いものばかりだったりしますから、我々の手で少しでもアップデートしていけたらいいですね。
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