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兵庫県丹波市 常瀧寺(じょうりゅうじ)の大イチョウ


FUJIFILM X-T20 / XF 10-24mm F4 R OIS / Film Simulation PROVIA

丹波市青垣町の古刹、常瀧寺(じょうりゅうじ)から約1kmの山道を登ったところにそびえ立つ関西最大の大イチョウ。まず声を大にして申し上げたい。約30分の苦行に耐えるだけの価値がある!十二分にありますよ。相対した刹那、疲れなんて一瞬で吹っ飛ぶし、その興奮といったら帰り際にじっくり読もうと思っていた巨樹の案内板のことが記憶の彼方にすっ飛んだくらいですよ。(結構長々と大イチョウについて書かれていたっぽいんです…再訪して読まないとなあ。)

周囲がやけに人工的に開けているような印象ですが、天正5年に明智光秀の丹波攻めで燃やされてしまうまでは常瀧寺の古寺が存在していたそうで、この大イチョウは養老年間(725年頃)に法道仙人が開山された際に手植えされたものだと伝えられています。その伝承を信じるならば樹齢約1,300年。その樹齢が本当に正確なものなのか自分には分かりかねますが、この迫りくるような老木の威圧感から察するに、それが単なるハッタリではないだろうということは伺い知れます。


1本のイチョウにして森のような様相。腕のように大きく横に広げた枝からは幹が立ち上がっているわ大きな乳柱が垂れ下がるわで迫力充分です。

愛称は「ちちの木さん」。乳柱を煎じると母乳の出が良くなるのだとか。(実際、明らかに削り取られた痕からまた新たな乳柱が垂れ下がっている箇所がいくつも確認できました。)イチョウの古木にまつわる話として日本中で聞きますね。「さん」付けされているのが関西らしくて良い感じ。


その垂れ下がった腕がとうとう地面に接触し、そこから根を張って幹を生じていました。伏状更新という奴ですね。


いや本当に凄い迫力ですよこれ。枝から幹が直立してる。
奥に見えるのは屋根付きの休憩スペース。隣にはボックストイレも設置されていました。山奥の巨樹に会う場合何よりも切実なのがこのトイレ問題なので本当に有難い。


別の角度から。支幹が根元から欠損している他、主幹も大きく空洞化しています。これだけの老木ですから仕方のないことでしょう。それに主幹が朽ちようがこのイチョウ本体は一切気に留めていないようにも見えます。


この樹勢ですよ。主幹が朽ちたところで「われら四天王の中で最弱の主幹が落ちたか…」「全く、我々の面汚しよ。」くらいにしか感じてないんじゃないでしょうか。


麓にある像は恐らく開祖である法道仙人を模したものだと思われます。お賽銭が置かれていたので自分も便乗しようか悩みましたが、うーん。どうも自然の中に人工物を置いて帰ることに抵抗があるのですよ。今回は手だけ合わせて、下山後お寺さんの賽銭箱に入れておきました。


どれが枝でどれが幹やら…

最近思うんですが、カツラとかイチョウの巨樹ってちょっと卑怯ですよね。造形が複雑だから適当に構図を作って適当にシャッターを押しても様になっちゃう。単純に図体が大きくて見た目のインパクトがあるスギやケヤキにも言えることなんです。つい「うわーすげー」なんて上っ面だけ見てしまいがちですが、本質(そもそも本質とはいったい何なのか…)を見誤らないよう気を付けたいものです。いや…でも、対峙することで「うわーすげー」と思えたなら、それだけで充分素晴らしいことだわな。大人になると感動できることなんて早々無いもの。(何か写真や絵画と似てるかもしれない。「見る」「感じる」だけでなく「読む」が出来るようになると、より奥深く楽しめるということは対象が何であれ一緒なのかな。)


この根もまた凄い。きっとこの一帯、地中は完全にこのイチョウに征服されてるんだろうなあ。水分を多く含む、ふかふかで肥沃な土のように見えました。今後さらに勢力を増していくことでしょう。


本当に見ていて飽きないんですよ。1本の木の中にたくさんのドラマがある。
この辺の幹なんか、これはもう本店から独立した直営店の店長みたいなもんですよ 笑 完全に別の個体としての生を全うしているように伺えます。


1枚目とほぼ一緒ですが…すみません。この角度から見るのが一番格好良い。なるほど、だから休憩所をこっち側に作ったのか。(僕が見忘れた巨樹の案内板は休憩所の壁に貼ってありました。)


凄いでしょ?これ。これが1本のイチョウですよ。そして実物はもっと凄いんだよなあ。これ見ちゃうと理屈なんかどうでもよくなりますから。ぜひ皆さんにもこの感動を体感してもらいたい。


はい。興奮冷めやらぬうちにダーッと書いてしまおうと。
「常瀧寺の大イチョウ」でした。

帰ってから気付いたけど何やねんこれ!
「常瀧寺の人イチョウ」て。字面がマヌケすぎるわ。「今は昔、常瀧寺に伊調といふ者ありけり…」みたいな?誰かマジックで横棒を書き足してあげて下さい。(ふと「大」という字を「犬」に書き足すしょうもないイタズラがあったよなあとか思い出す。)

・2018/11/14 再訪しました。

常瀧寺の大イチョウ
兵庫県指定天然記念物・関西最大のイチョウ
樹齢 約1,300年(伝承による)
樹高 約30m
幹回り 約11m

「常瀧寺」 兵庫県丹波市青垣町大名草481

コメント:4

18-05-30 (Wed) 22:44

うわっ、なんじゃこりゃあ、凄え!! と、思わず立ち上がってしまいましたよ!
写真でこの驚きですから、現地では興奮を通り越して過呼吸ものではないでしょうか(何だそれ)。
これだけの躍動感と成長力がありながら、この地形にずっと縛られ続けている。がためにこのような奇怪なことを成し遂げてしまう。
しかし、これは銀杏だからで、さすがはジュラ紀から存続している古代種、いっそ平らなところに移動しちまえよ! あんただったらホントはできるんだろ?! とか、そう言いたい。
長く伸ばした腕をぶっ刺して倒れそうになる自分を支え、その先や下からも戦略的に大きく育とうとしている。
自然現象の結果と説明されようとも、明確な意思があるとしか思えない光景ですね。かっこいい。

歴史にあるのか、精神性にあるのか、はたまた科学にあるのか。
色々な本質を抱え込んで千年を生きる巨樹は、その表層に驚異をみなぎらせて武装している。
立ち向かって読み解こうとしても、せいぜいどれか一つずつの欠片しか解けないのが我々人間のような気がします。
だから惹かれるんでしょうね。
本当の意味で、「大きいもの」という感じです。

それにしても、あの旅ではお二人のおかげで深い満足があり、その感動を大切にして深追いはやめて帰ろう……となったわけですが、あの先にこんなツワモノが潜んでいたとは。
これは兵庫の西側や山陰もよく見てみる価値があることを示しているのか……ホント、侮るまじ巨樹、という感じですね。
道の駅あおがきは、あの続きがあれば泊まろうとしていたとこでした。笑

RYO-JI 18-05-31 (Thu) 20:17

いやぁ、これマジですか!
確かに仕事している場合じゃないかも(笑)。

冗談抜きでも本当に目を疑うレベルの姿です。
何だろう、例えるならラピュタのロボット兵?
古代兵器で、滅びた帝国を今も守っているという佇まい(ここでは常瀧寺か・・・)。
でも何かあれば今にもその溜め込んだパワーを炸裂させそう。
風格があって圧倒されそうです。

手持ちの巨樹本にも掲載されているイチョウですが、to-fuさんのこの写真ではそれ以上の迫力を感じます。
巨樹写真の常で、実物を見るともっともっとスゴイことは想像に難しくないですが、
更にその想像を超えてきそうな感じがしてゾクゾクしてきました。
あるんですねぇ、こんなイチョウが。
ヤマビルというハードルがあるのが難点ですが、これは死ぬまでに絶対に見ておかないといけないですね。

to-fu 18-06-01 (Fri) 17:44

> 狛さん
これホント凄いでしょう。
これだけの大きさであってもサイズでは全国トップクラスのイチョウには及びませんが、巨樹部門ではなく奇樹部門があったならかなり良いところまで行くんじゃないかと思います。

「表層に脅威をみなぎられて武装している」ですか。ストンと胸に落ちました。ええ、そんな感じです。
わずか100年も生きられないような人間が彼らのヒミツを紐解こうということ自体が恐れ多い行為なのかもしれませんね。しかし、だからこそ面白い。

あの日はあそこで撤退して正解だったと思いますよ。このイチョウまで行ってしまうと、たぶん撮影中に日が落ちてました。まあ一緒に車中泊ならぬリアル野宿するのも、それはそれで楽しかったように思いますが 笑

to-fu 18-06-01 (Fri) 17:50

> RYO-JIさん
いやもう仕事なんかしてる場合じゃかったですよ 笑
うちとの取引と木とどっちが大事なんだ!って怒鳴られたら「そんなもんイチョウに決まってるだろ!」と即答します。

僕の写真なんてこの巨樹の本当の魅力を1%も拾えてないんじゃないかという気がします。それくらいにド迫力かつ奥深い巨樹でした。
滅びた帝国を守っている…明らかに人工的なスペースで静かにたたずむ姿は、まさにそんな感じです。
RYO-JIさんにもぜひ見て頂きたい1本です!(結構ハチもいましたけど…)

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