- 2018-07-08 (Sun) 3:35
- FUJIFILM XF 16-55mm F2.8 R LM WR | イチョウ | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別) | 福井県
FUJIFILM X-Pro2 / XF 16-55mm F2.8 R LM WR / Film Simulation PROVIA
西光寺の大杉からやや岩屋観音方面へと戻り向かった先が「薬師の大イチョウ」。こちらも西光寺の大杉同様、薬師といいながら白山神社の境内にそびえています。この大イチョウに関しては終始大雨が降り続いていたため、写真が結構酷いことになってしまいました。雨宿りしてみたけど弱まる気配が無かったんですよね。まあその辺の臨場感含めて楽しんでいただければと思います。
まず気になったのがイチョウの木といえば神社ではなくお寺に植えられているイメージ。白山神社境内、大イチョウの側に小さな薬師神社がありましたが恐らくこれは明治維新以前、神仏習合の時代にはお寺のお堂だったのではないでしょうか。神仏分離で取り壊されないよう、いやいやこれは神社ですから…という事にして体裁を保ったのではないか。そんな風に想像します。
大イチョウ定番の伝承、乳柱を削り煎じて飲むと乳の出が良くなるという言い伝えもあり子育ての木、乳母神の宿る木として大切に扱われてきたそうです。そんな有難い乳の木さんなんですが、こちらのイチョウはギンナンのならない雄株のようですね。乳の木さんなのにオッサンだったなんて…
6本の枝に分かれた支幹は樹勢も旺盛でかなりの迫力。根元だけでなく枝分かれする途中からもひこばえが伸びていて、葉っぱの形さえ違うもののカツラの巨樹を思わせるような生命感が溢れています。
各所から生じるひこばえ。ここまで来ると葉が茂りすぎていて木としての形状が分からない。完全に緑の塊と化していました。
根元が見えない。土はやや粘土質でねっとりした質感のものでしたが、相当に栄養豊かなものだと思われます。地元京都ではあまり見かけないタイプの土質だけどきっと巨樹の育成には適してるんでしょう。
こちら側は極端に日当たりが悪いのか、反対側の根元にはほとんどひこばえが見られず。一昔前に流行ったアシンメトリーヘアーみたいだ。僕が立っている後ろには小さな沢が流れていて、根の多くはそちら目掛けて這っていました。
足元には多くのサワガニが。普段家族で川遊びしているのが京都京北の清流なので見慣れてしまったサワガニだけど、よくよく考えると綺麗な水場でしか生きられないんだよなあ。実際に訪れてみないと分からないものの一つがこの「巨樹を育む環境」で、巨樹そのものだけでなく素晴らしい環境から元気をもらえることが多々あるわけです。(逆に巨樹そのものは素晴らしいのに何かここダメだ、早く帰ろうって場所もある。)この巨樹の場合、その環境については文句無しにお墨付きを与えたいですね。
さすがの生命感。これだけの大雨にもかかわらず、傘が無くてもまあ何とかなるかな…くらいには雨を凌いでくれました。
白山神社本殿から眺めたところ。境内には「薬師の大イチョウ」の他にもう1本それなりに目立つイチョウの巨樹と、なかなか迫力のあるスギの巨樹が立っていました。これだけでも充分に見応えがあると思います。
空でダムが決壊したんじゃないかってくらいの雨が降り始めたので、最後の1枚を撮らせてもらって車に退避。着替えがあるから濡れる分には構わないけど流石にこの雨だとカメラが壊れるよ。ゆっくり散策できなかったのが心残りだけど良いイチョウでした。
薬師の大イチョウ
勝山市指定天然記念物
樹齢 500年
樹高 20m
幹回り 7.7m
勝山市野向町薬師神谷48-1 白山神社
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コメント:4
- 狛 18-07-08 (Sun) 20:57
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ものすごい雨ですね。この災害級の大雨では勝山市もかなり危なかったのではと……。
「常瀧寺の大イチョウ」などと比べるとスタンダードなのかな? と思います。
ひこばえをガンガン増やして巨大になっていく様はカツラと競合しますが、さすが古代植物というのか、変形したり更新したり、銀杏の自由自在さは驚異的です。
そうそう、乳の樹とか言いながらなぜか気根は雄の樹が多いんですよね。それでもありがたいもんか……。笑
銀杏の巨樹の見時はいつなのか……正確なデカさを見るなら枯れてる冬という話がありましたが、まあ確かに夏は緑が大爆発で正体不明な感じになりますね。でも、銀杏の緑はきれいだと思います。
薬師なのに神社というのも興味深いですね。そうして残ってくれたおかげで良い環境が維持されたのだと思います。 - to-fu 18-07-09 (Mon) 14:35
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> 狛さん
すさまじい雨でしたよ。正直この前の「西光寺の大杉」を見終えた後なんか、危ないし帰ろうかと真剣に悩みました。
仰るとおりこのイチョウは良くも悪くもとても標準的なイチョウの巨樹だったと思います。気根も液体のようにダラダラと大量に垂れ下がっているほどではなく、あと2~300年も経てば古木としての威圧感が出てくるのかもしれません。環境は申し分ないので土砂崩れや落雷さえなければ1,000年以上軽く生きてしまいそうな巨樹に見えました。
そうなんですよ。薬師神社?という感じで、イチョウが植えられていることからも多分これ寺だったんだろうなと想像しました。この地域はやはりお上以上に白山神社の勢力が強かったからなのか、他所の地域と比べると寺社が取り壊されることなくそのまま残ってるなあという印象を受けます。巨樹巡りする者からすると感謝感謝ですね。 - RYO-JI 18-07-09 (Mon) 21:34
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ここまで雨がひどいと本当に撮るのを諦めてしまいそう・・・。
カメラは壊したくないですからねぇ。
特に一人だと色々大変で・・・ご苦労様です。
まだまだ元気そうで、今後が楽しみなイチョウですね。
あの巨樹王国福井の中にあっては、特別目立つ存在じゃないかもしれませんが、
充分に立派なイチョウだと思います。
巨樹の周囲の環境って大事ですよね。
もちろん巨樹の生育にも大事ですが、我々のような輩にも(笑)。
ずっとその場に居たくなるような場所って、そんなにしょっちゅうある訳じゃないですが、
一旦そんな場所に出会うと長居しちゃう。
ここはそんな場所のひとつだったんですね。
先人達の写真やブログでは、巨樹そのものにしか焦点を当てられていないもばかりなので、
そういう点にも着目して巨樹巡りをしていこうと思えました。 - to-fu 18-07-11 (Wed) 16:03
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> RYO-JIさん
僕もここが近所だったら確実にカメラ仕舞って帰ってましたね 笑
勝山の巨樹なんてそうそう出会えるものじゃないぞ、という一心だけで粘っていました。
福井県って意外と立派なイチョウが少ないんですよね。お隣の岐阜なんて相当なものなのに。
鯖江の「三峯の大イチョウ」が見事なものだったようですが、30年以上前に雪の重みで倒壊して県の天然記念物指定を解除されてしまったのだとか。この「薬師の大イチョウ」は福井県下では現在トップクラスのイチョウだと思うので、このまま全国に名を馳せるくらいまで頑張って長生きしてもらいたいものです。
巨樹そのものの魅力を伝えたいのが第一ですが、それと併せて細かい現地の情報もあったらより面白いんじゃないかと思うんですよね。「ここに行くならアレを食え!美味いぞ!」とか 笑
少しでも巨樹巡りの楽しさが伝わるような文章を書きたいものですね!
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