- 2019-04-28 (Sun) 14:01
- SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G | スギ | 岐阜県 | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別)
SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G
岐阜県の名だたる巨杉の中でも、やはりこのスギは外せません。「神の御杖杉」。その響きが良いではありませんか。「○○(地名)の大スギ」という安易とも受け取れる名称でなくこういった呼び名が付けられているものはそれだけでリスト上でも目を引きます。神の杖ってどんなスギなんだろう、と。石徹白を訪れた際、行くならこの機会しかないだろうと白鳥から南下してやって来たのでした。遠目にも分かりますね。ああ、もうあのスギしかない。
近付くにつれて高まる胸の鼓動。落ち着け、落ち着け。まずは車を停めて支度からだ。
ちなみにこの写真の左手が「神の御杖杉」を所有する熊野神社の参拝客用駐車場になっています。
国指定天然記念物「神の御杖杉」。
奈良県に御杖(みつえ)村という地名がありますが、こちらは御杖(おつえ)杉と読みます。そもそも関西人にしか分からないネタかもしれませんが。害獣除けフェンスで周囲を覆われていますが、横の鉄製扉から自由に出入りすることが出来ます。扉の下部が地面に接触していて開け閉めに結構力が要りましたので、女性やお年寄りにはちょっとしんどいかもしれません。フェンスの上にわざわざ電撃トラップまで仕掛けてあることから察するに、シカやイノシシ除けというよりはサル除けなんでしょうか。ここ郡上市はやたらとサルの多い土地で、たった数時間のうちに何度もサルを見かけました。イノシシも怖いですが野生のサルも怖いですねえ。戦ったら瞬殺される自信があります。
撮影するには微妙にフェンスが邪魔でどの角度から撮ると一番見栄えが良いのか判断が難しいところですが、恐らくこの角度から眺めると一番迫力が伝わりやすいのではないかと思います。1本にして森のような姿。まさに巨躯。国天の称号に相応しい巨樹です。
神の御杖杉の由来。解説版のすぐ目の前にフェンスがあり正面から撮影することができませんでした。熊野の比丘尼俊応がぶっ刺した杖が成長したものがこのスギであると伝えられているそうな。釈迦に説法かもしれませんが、比丘尼(びくに)は人の名前ではなく尼僧、つまり女性の僧侶という意味合いです。女性の僧侶の俊応さんがぶっ刺した杖、ということですね。まあ全国的によく聞く杖のぶっ刺し伝説ですが、尼僧がぶっ刺したという話は初めて目にしました。大体が弘法大師 空海さん、ここ岐阜の地でしたらやはり白山信仰の祖 泰澄さんの名が挙がることが多いですね。
枝が逆向きに地面を目指すように伸びるのが特徴のいわゆる逆さ杉ということですが…うーん、どうなんですかねえ。だってほら、逆さに…見えませんよねえ 笑
別の角度から見てみると、逆さに伸びている枝もあるにはあるかなあ…という印象。逆さ杉と呼ばれるものは今までにも多く見てきましたが、うん、確かにこれは逆さ杉だな!と納得できるほどのものを正直見た記憶がありません。私がいちいち物事を穿って見過ぎなのか、昔の人の想像力や発想が現代人よりもずっと優れていたということなのか。
非常に枝ぶりの良いスギの木ですが、道路に面しているので道路側の枝はバッサリと落とされています。これが並のスギの木ならもったいないな、なんて感じてしまうわけですが、流石にこれだけ枝ぶりが良いと全く気になりませんでした。樹齢約1,000年。余程の天災に見舞われない限り、まだまだ成長を続けてくれるはずです。
恒例の自分比較。幹周9.5mということですが、地上1.2mというと恐らく私が手を触れている根元の大枝の太さも含んでしまっているため、ちょっとズルいなという気がしなくもありません。実際に見た印象としては幹周8mクラスですかねえ。もっとも地上10m辺りから大枝がせり出して横の迫力を増しているので、巨樹としての見応えは充分なものです。なんとなく以前見た兵庫県の「大将軍杉」に似ている印象。
根元の大枝の白骨化した部分。彫刻のような造形が面白い。ニワトリの頭?
熊野神社側から見た全体像。道路側から見ると分かりませんでしたが途中で二股に分かれています。
落雷で二股に裂けたのかと思ったのですが、焦げ目も見られないしそういうわけではなさそうですね。片方の幹は強風の被害なのか途中でへし折れてしまっています。折れた箇所を見る限りそう古い傷でもなさそうなので、ひょっとすると昨年の台風21号の被害なのかもしれません。
杖…という感じはあまりしなかったけれど、いかにも雪国のスギらしい立派な一本でした。個人的には同じ岐阜県の「石徹白のスギ」や「浄安杉」と比べるとやや格落ちする感が否めないのですが、これだけの健康さですから今後の生長にも期待できる巨樹です。車で横付け可能、と簡単にアクセスできてしまうことから到達難易度的なワクワク感に欠けるため、そう感じるのかもしれません。もし熊野神社境内の奥にひっそり佇んでいたなら受ける印象も随分違ったような気がします。
「神の御杖杉」
国指定天然記念物
樹齢 約1,000年
樹高 約42m
幹周り 9.5m
コメント:4
- RYO-JI 19-04-29 (Mon) 21:39
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まずはじめに言わせてください。
御杖村って関西人はおろか、奈良県人でも知っている人は多くないんじゃないですかね。
むしろ知っているto-fuさんがオカシイかと(笑)。
あの石徹白の近くにこんな特徴的で見るべきスギが他にもあるんですねぇ。
憧れの石徹白は弾丸日帰りになると思うので、こちらに寄るのはかなり厳しそうです。
フェンスは確かに邪魔ですが、サル避けに必須とあらば仕方ないですね。
サルは本当に怖いですから。
このスギは横にニョキっと伸びている幹があってこそですね。
形としてはすごく楽しめそうで、杖伝説が生まれてしまうのもわからないでもないです。
逆さに生えている幹って、ヒューマンスケールのto-fuさんの頭上にある伐採された太い幹のことなんでしょうか。
ニワトリも面白いなぁと(笑)。 - to-fu 19-04-30 (Tue) 11:09
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> RYO-JIさん
御杖村ってそんなにマイナーな場所だったんですか?いいところなのに!
でも奈良県南部や京都府北部、兵庫県北部辺りは本当に秘境ですよね。
地図で見てるだけでも危なそうだし行くのやめとこう、みたいなところが多すぎます 笑
石徹白と同日にこのスギに行くのはあまりおすすめ出来ないかなあ…というのが正直な感想です。
国天指定のスギですが、意地悪なことを言ってしまうと県指定くらいが妥当なんじゃないの?と…
あの辺りは温泉が多いので、石徹白の感動を温めながら体もゆっくり温めて直帰するのが一番かもしれません 笑
逆さに生えている幹、よく分かりませんよね。
むしろほとんどの枝が普通に天を目指しているようにしか…いえ、僕の目がおかしいのかもしれません。 - 狛 19-05-01 (Wed) 18:29
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「みつえ」だと勝手に思い込んでいましたが、実際to-fuさんの写真で見ると、これはまた逞しいスギですね。
形が月瀬の大杉に似ていると思いました。
谷状になった地形にあるあちらと違って周囲が開けているのがちょっと気がかりですが、このままもっと長生きしてもらえれば、きっと数百年後には近しい姿になるかもしれません。
逆さ杉……うーん、そうですね、当時は下を向いてたのかも? 立ち直ったのかな? 笑
下を向いてませんが、枝のこの剛腕ぶりは巨樹ならでは。
ならでは、って変かもしれませんが、こういう太さを見るたび、巨樹と普通の樹はやっぱり決定的に何かが違うなと感じるのです。
僕もとにかく石徹白!と思ってそれきりになっているので、懐の深すぎる岐阜をもう一度ゆっくり回ってみたいです。
でも、とにかく石徹白! ももうぜひ一度やりたいです。
それもこれもはできないでしょうが……岐阜は広いし深いですね。
令和におかれましても、to-fuさんのいっそうのご活躍をお祈りしています。
ともに楽しく遊びつつ、何かしら探求し続けられたらいいなあと、それだけ願っております。笑 - to-fu 19-05-01 (Wed) 20:32
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> 狛さん
僕はまだ未訪問の巨樹ですが、確かに写真で見た月瀬の大杉とよく似ています。
根元から突き出した大枝なんてシルエットだけ見たら本当にそっくりです。
あの辺りと郡上市の山間部は気候的にも似ていると思うので、このような形状で育ちやすいのかもしれませんね。
数値だけ見てもあちらの方が一回り…いえ、二回りは大きいので、是非とも見てみたい1本ですよ。
(月瀬の大杉が国天ならやっぱりこっちは…なんて思ってしまうわけです。)
岐阜や長野は険しい山が多すぎるので、数を回ろうと思うと迂回に時間がかかって厳しいんですよね。
どうしてもメインの1本を決めて、あとはまあ行けたら行こう(絶対行かないやつ)になってしまいがちです。
こちらこそ、今後とも宜しくお願い致します。
これからも楽しく、そして何よりこんな趣味を持ってしまった以上、怪我の無いよう健康に過ごしたいものですね。
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