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徳島県吉野川市 壇の大クス


SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G

徳島県のクスノキといえば国の特別天然記念物「加茂の大クス」があまりに有名ですが、こちらの巨樹だって相当なもの。この「壇の大クス」だって徳島県を代表するクスの1本ではないでしょうか。今回徳島県に行くなら是非見ておきたかった1本です。


徳島県平野部を東西に突っ切る国道192号線から外れてやや南下。高台の集落の入口にその巨樹はありました。ちょうど坂道の急カーブを登りきったところに突然現れるので、この登場シーンはなかなかテンションが上がります。ニクい演出じゃないか。(決してクスは演出なんかしてませんけど。)言わずもがな、とにかくデカい。今すぐにでも車を停めて駆け出したいところですが巨樹の付近に駐車スペースが見当たらないため、逸る気持ちを抑えて少し離れたところに駐車。即座にカメラと三脚を抱えて小走りで向かいます。


徳島県指定天然記念物「壇の大クス」。
こちらの解説板には記載されていませんが、平康頼のお手植えとされています。平康頼お手植えだとすると樹齢は850年くらい…うーん、ややズレがありますが、まあ900年前後と考えるとどちらも納得できる数値です。(平康頼さんといったら島流しにされて、歌を刻んだ卒塔婆を海に流したらなんと広島の厳島神社に漂着し、それを読んで感動した後白河さんによって都に連れ戻された…という逸話がありますが、あれ本当なんでしょうか。)

この巨樹の名は今回の四国遠征のためにリストを漁るよりもずっと前から何度も書籍やWebで目にしてきました。巨大な樹冠に、旧鴨島町を一望できるその景観。機会があれば是非ともこの目で姿を見てみたいと思っていた巨樹ですが、まさかこんなに早く訪問することが出来るとは。


様々なところで目にした情報によると、約10年前から樹勢が急速に衰えて衰弱していた模様。突然殆どの葉が落ちてしまったそうで、これはいかんと樹木医による治療が始まり少しずつ回復傾向にある…ということでしたが、ご覧のとおりすっかり生気を取り戻していました。全く情報を仕入れないままにやって来ていたなら、まさかこの巨樹が最近まで弱っていただなんて信じられないような姿です。恐るべし樹木医学。ウレタン塗装でべたべただったり全身支柱だらけだったり、そんな半サイボーグ化するような処置が施されていないところにも好感が持てます。


筋骨隆々とした逞しい幹。クスの巨樹の主幹らしい、優しい力持ち的な温かさが感じられます。よくパワーをもらえる、なんて言って巨樹がパワースポットのような扱いをされているのを見かけますが、個人的にはこのクスノキという樹種に関してだけは完全に同意します。パワーをもらえるというよりは安心して眺めていられる。守られているような気分になれる、と言った方が近いかもしれません。(スギやシイ、タブなんかからパワーをもらえるという感覚は私にはちょっと分からないのですが。)


この向かって左側の大枝、枝ではなく支幹ですかね。分かりにくいかもしれませんがこれ、ちょっとしたクスノキの主幹くらいの太さがあります。それが支柱も無しに大きく伸びている!驚きです。ホント。


正面からは見えませんでしたが、先程の大枝の裏側に隠れてもう1本の大枝が。途中で折損しているようですが、その大枝からも細かな枝葉が芽生えているので切除してしまうのは勿体無いということなのでしょう。いやいや、これらの巨大な枝を支えてる幹は本当に凄い。


根本に祀られているのは若宮神社の石祠。平康頼さんのお手植え伝説がありますが、康頼神社はここではありません。この写真奥の斜面の下、まあ実際には降りられるような斜面ではありませんので、坂を下ってぐるっと回り込むと康頼神社に辿り着きます。


裏側から見るとなかなか面白い樹形をしています。多数の細い枝が真っ直ぐに天を目指して伸びるような。


大枝が折損した際に樹皮が捲れ上がって剥がれたのでしょうか。枝の折損の他にはこのような小さな傷痕しか見られず、私には健康なクスノキであるようにしか見えませんでした。しつこいようですが、つい数年前まで深刻なダメージを負っていただなんて信じられませんよねえ。


ここ最近撮影された写真を全く見かけないので訪問するまで不安でしたが、まさかここまで健康的な姿が見られるとは思いもしませんでした。この姿を見る限りでは一安心でしょう。曇っていたので市街を一望できるというそのロケーション的には少し残念でしたが、この姿が見られただけでも非常に満足できました。でもせっかくなので、次回は晴天時に訪れたいですね。

2019/6/20訪問
「壇の大クス」
徳島県指定天然記念物
樹齢 推定950年
樹高 35m
幹周り 10.3m

徳島県吉野川市鴨島町森藤平山566

コメント:4

19-06-28 (Fri) 17:36

おおー、出ましたね。
僕も実際に見に行きましたが、とても好感の持てる立派なクスで印象に残りました。
前知識ゼロでろくに写真も見ずに行ったので、この大きさと、急速に成長したかのような勢いある外観に驚きました。
しかし、このクスがまさか過去弱っていたとは……僕もそうとは全然想像しませんでした。
それくらい現在の姿は活き活きとしていて、見るものも元気にしてくれます。

僕が訪ねた時は、昼に向かうにしたがってどんどん暑くなってきて、この樹の木陰で半そでに着替えました。
住宅地を見下ろすこの立地もすごくよかったです。
近くに住んでいたら、この樹の周りは思い出の場所になったんじゃないかなと思うような樹でした。

to-fu 19-06-29 (Sat) 14:51

> 狛さん
本当に立派で健康的なクスノキでしたよね。
10年ほど前に訪問された方の写真を見ると、まるで真冬のケヤキのような姿だったので心配でしたが
あの姿を見てしまうとまさか過去に弱っていたなんて想像すら出来ません。本当に同じ巨樹なの?と。

狛さんが行かれた最終日は天気も良かったし、もう最高だったでしょうね。
僕も近くに住んでいたら通ってしまいますよ。あんな巨樹が身近にあるという暮らしは実に羨ましい。
「波崎の大タブ」なんかも十分羨ましいですが、巨大なクスのあの温かさや心地良さは樹種特有のものである気がします。

RYO-JI 19-06-29 (Sat) 18:13

あの加茂の大クスを見て改めて思いましたが、クスノキにはやはり晴れが似合いますよね。
クスノキの性格(?)的にもこれはもう絶対ですよね(笑)。
曇りは残念でしたが、それでもこのクスの良さは充分に伝わってきますよ。
なんといっても力士のような力強さを感じます。
ちょっとやそっとではビクともしないし、頑丈そのもの。
それなのについ最近まで酷い状態だったなんてまったく想像できませんね。
樹木医の方がスゴイのか、それともこのクスの回復力がスゴイのか・・・。
見る限りまだまだ大きく成長していきそうで楽しみですね。

to-fu 19-06-30 (Sun) 10:16

> RYO-JIさん
加茂の大クスは本当にあの季節、天候で見ることができて幸運でしたね。
年間通してもあのシチュエーションがベストではないでしょうか。
その後の予定が無いなら日が落ちるまであそこでぽけーっと眺めていても良いくらい気持ちよかったです。

このお方も間違いなくさらなる成長を遂げてくれるでしょうね。
我々の身近なところでは大阪にクスが集中していますが、この巨樹や加茂の大クスのような悠々自適に生きる
クスノキを見てしまうと、都市部で窮屈に生きるクスたちがちょっと可哀想にも思えてしまいます。
もちろん人間に寄り添って生きる大阪のクスだって、魅力では負けてませんけどね!

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