Home > SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G | クスノキ | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別) | 徳島県 > 徳島県吉野川市 西川田の大グス

徳島県吉野川市 西川田の大グス


SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G

「野神の大センダン」を堪能した時点でちょうどお昼時だったため、そのまま近くで目についた徳島ラーメンのお店で昼食を。大阪には煮物の出汁に中華そばをブッ込んだような味がする神座というラーメン屋がありますが、こちら徳島ラーメンはまるですき焼きに中華そばをブッ込んだような代物。決して嫌いではないんですけど、近所にお店があったら通うかと言われると私はきっと通わないような気がします 笑

さて、この「西川田の大グス」はこの日の目的地である美馬市までのちょうど道中にありまして、もし時間が余りそうだったら寄ってみようと思っていた巨樹。午前中が悪天候だったため一箇所ごとのんびり眺めることも出来ず、時間の余裕どころかここで昼寝してしまっても構わないくらいの時間が余ってしまいました。これはもう寄っておくしかないでしょう。


徳島市から吉野川南側を東西に突っ切る国道192号線。JR徳島線川田駅の駅前交差点辺りで裏手に入り、吉野川堤防に出る…までもなく、遠くからでもその巨樹は確認できました。うーん、大きい。これまた如何にも徳島県のクスノキといった風体。ここまで来るともう「徳島のクス」というものを一つのジャンルとして確立してしまってもいいような気さえしてきます。巨大かつ健康的、周囲は開けていて高層階の建造物があってはならない、みたいな。


前日に徳島入りしてから一体何本のクスの巨樹を見たんだろう…(数えてみたらこのクスで6本目でした。)何だか既に感覚がマヒしつつありますが、このクスもまた素晴らしく巨大であり健康的、1本にしてまるで森のような立ち姿。クスの巨樹として優等生的な1本であることは間違いありません。根本には楠木神社。その名称からも元々ここに在ったクスの巨樹を祀って後から建てられたものでしょう。


この巨樹なんですがね…実は名称で検索してもあまり記事がヒットしないんですよ。吉野川市指定天然記念物「西川田(にしがわた)の大グス」が正式名称のようなんですけど、巨樹データベースやGoogleMapでは「東川田の大クス」と登録されているし、巨樹巡りの先輩方は「西川田(にしかわた)の大クス」と呼んでいたりもする。ややこしや。何でそんなややこしいことになってしまったのかというと、元々ここは旧東川田村と旧西川田村の境界が複雑に入り組んでいた地域だったそうで、「立派なクス?ああ、東川田に生えてるアレか。」「いやいやお前さん、馬鹿言っちゃあいけねえや。アレは西川田のクスだろう。」なんて意見が錯綜していたことに由来するのだとか。

10年ほど前に訪問された方の記事を拝見すると、その時点では案内板が立っていなかったようです。ということは、ですよ?その後吉野川市教育委員会が正式に設置した案内板ということで現在は「西川田(にしがわた)の大グス」が正式名称であると考えてしまっても良いのではないかと。まあ巨樹は人間に何と呼ばれようと、そんなことどうでもいいだろうと思いますけどね 笑


非常に大きなクスですが、樹皮を見る限りまだまだ若い巨樹なのではないでしょうか。案内板によると根本の庚申塔が350年前に設置されたと書かれており、となるとその頃既に目印になるくらいの大きさであったことは間違いないようです。しかしクスの老木特有のあの中身がみっちりと詰まった感じは出ておらず、「壇の大クス」や「鳥屋の大クス」のような近隣の他のクスの巨樹と比較するとどうも貫禄に欠ける感が否めない。徳島県の情報によると推定800年ということでしたが、私の感覚ではせいぜい500~600年くらいではないかという印象を受けました。


単幹のまま天を目指すタイプではなく3本の支幹に分かれています。その3本のうち1本、先程の私との比較写真で見ると真ん中の支幹が途中で折損していました。とはいえ生気は失っておらず、そこからまた何本も枝を伸ばして葉を茂られている様子が遠景から確認できるはずです。実に葉が濃いですね。ちょっとした雨なら傘なんてなくても凌げてしまうくらい葉が生い茂っていました。


たくさんの植物が着生していますが気にも留めていない様子。多くの命を背負って伸び伸びと生長する姿がとても似合っていて良い。クスはこうでないと。繊細だとか洗練なんて言葉は他の樹種に任せておけばいいんです。


蔦でえらいことになってるんですけどね。まあ問題ないでしょう。楠木神社の小さな祠の脇には墓石が。あまり他人様のお墓をジロジロ見るのは人として如何なものか…ということで出来るだけ視界に入れないようにしていたのでどなたのお墓なのか分かりません。やはり神社にまつわる方のお墓なんでしょうか。


立派な立ち姿。貫禄には欠けますが、その分若さがほとばしる。残念ながらこの日は曇天。こういう巨樹は晴天下でこそ真価を発揮するような気がしますね。スカッと青空が広がっていたら、より一層印象的な巨樹となっていたかもしれません。


先程はセンダンの花の香り、今度はクスノキの花の香りです。どちらがいい匂いかと言われると個人的にはセンダンを推したいところですが、クスノキの花の香りには何だか不思議な安心感があります。嗅ぎ慣れたいつもの匂い的な?


忌憚なき意見を述べさせていただくなら、遠方から巨樹目当てでやって来てルートを組むとなると、近隣の他のクスと比較しての優先度はやや下がるかなと…ええ、嘘はつけません。単体で見ると素晴らしい巨樹ではある。でもどうしても個性に欠けるんですよね。せっかくの気持ち良さそうな堤防上の道路も車の抜け道になっているのか意外と交通量がありました。そしてまたこの手の道を抜け道と称する輩って、往々にしてアホみたいに飛ばす奴が多いわけで。巨樹には何の罪もないポイントではありますが、ちょっと残念ですね。

訪問される際はGoogleMapに登録されている「東川田の大クス」を目的地にすると確実です。

2019/5/20訪問
「西川田の大グス」
吉野川市指定天然記念物
樹齢 推定800年
樹高 22m
幹周り 12.35m

徳島県吉野川市山川町槻原27-2

コメント:4

RYO-JI 19-07-13 (Sat) 22:27

神座はねぇ、子供の頃はよく行きましたが、もう長い事行ってませんね。
本社は奈良でむしろ地元といってもいい会社なんですが、スープがどうもダメで・・・。
徳島ラーメンもまぁ、ちょっと、苦手です(汗)。

いや、これ写真で拝見する限りではかなり立派なクスだと思うんですが、もう完全にマヒされているのかもしれませんね(笑)。
確かに徳島のクスジャンル設立を提唱したくなる土地柄ですから、どうしても優先順位が低くなってしまうのはある意味不幸。
というか、そんな徳島はほんと恐ろしい(笑)。
名称の東西対決ですが、外野からの意見としては東西関係なく普通に『川田の大クス』で良かったんじゃない?って思ってしまいます。

to-fu 19-07-14 (Sun) 1:37

> RYO-JIさん
神座は奈良の企業だったんですか!大阪だとばかり思い込んでました。
地方に行くとついつい名物を食べたくなるんですが、徳島ラーメンは何処の店で食べても微妙です…徳島で一番の当たりだったのは刺し身の端っこに付いていた鳴門産のワカメですね。あれはメインの地物のサワラよりずっと美味かった 笑

確かに「川田の大クス」がベストですね。よくある隣町同士のアレみたいに仲悪いんでしょうか…
徳島平野部は、それこそ何日にも分けて巨樹以外の観光地を絡めつつゆっくり回るべきなのかもしれません。
クスが延々と続くので、私のシングルコアの脳では処理が追いつきませんでした。
決して飽きるわけではないんですが、九州遠征のときの狛さんの気持ちが少し分かったような気がします。

19-07-15 (Mon) 8:59

12メートル越えがまだ出てきますか!
一見するとそこまで大きいようには感じませんでしたが、鳥居がこんなに小さく見えるというのは……ヒューマンスケールも納得。
今回の遠征の計画を立てるまでは徳島の巨樹全体に関しての印象はそこまでパッとしていなかったのが正直なところですが、自分の見る目がないんだなあと痛感せざるを得ません。
こうしてよく開けた空間に快適に成長しているのが、to-fuさんのいう通り、これがまさに徳島のクス、徳島スタイルなのだなと思います。
九州のクスもいろいろな個性がありますが、もっと人の生活が巨樹のもとに密着していた印象がありました。

壇の大クスや別所の大クスのように巨大な主幹を誇示するタイプと比較すると迫力に欠けるかもしれませんが、川の風景の中で生育している姿はまさに自然体でいいですね。
ウチの近くにだってデカいのがあるぜ! と、地元のおっさんの話にのぼったり思い出されたりするタイプの巨樹。
第一線に出る巨樹ではないかもしれませんが、徳島の原風景の中に忘れず描き加えておきたいですね。

to-fu 19-07-15 (Mon) 17:42

> 狛さん
温暖な地方だけあってクスの宝庫ですよねえ…
でも関東からの距離を考えたら、そりゃあ自分でもきっと四国よりまず九州に向かうだろうと思いますね 笑
「加茂の大クス」はじめ四国のクスも凄まじいですが、九州のレジェンドたちはまた別格なイメージがありますから。
あちらはもう神々の域に達していそうですが、徳島のクスはもう少し人間に近いところで行きていた印象ですね。

この方は本当に、おらが村の自慢の巨樹的な親しみやすさがありました。
東西でクスの領有権を主張し合ったというのも、このクスを見ると気持ちが分かるような気がします。
無理に格式高いものにしようとしない。気持ちのいい巨樹との付き合い方だと思いますし、個人的にもすごく好きですね。
それこそ徳島は地域ぐるみであの平山さんのように、共に生きる隣人として巨樹と向き合っているところが多かった印象です。

コメントフォーム
Remember personal info

トラックバック:0

このエントリーのトラックバックURL
https://withphotograph.com/wp-trackback.php?p=10033
Listed below are links to weblogs that reference
徳島県吉野川市 西川田の大グス from with photograph

Home > SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G | クスノキ | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別) | 徳島県 > 徳島県吉野川市 西川田の大グス

CATEGORIES

Return to page top