- 2020-01-06 (Mon) 21:28
- SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G | スギ | 奈良県 | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別)
SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G
金剛山の麓に広がる田園地帯のど真ん中に立つ「大川杉」。和歌山方面の巨樹をめぐり、のんびり京都に戻ろうかと北上していたらたまたま発見したのでした。とはいえご覧のとおり当日は酷い大雨。今回は諦めてまた次回に、とも思いましたが巨樹との出会いも一期一会。とにかく今日は見ておく。そしてまた再訪すればいいと結局足を運びます。ちなみに大川杉の麓を田んぼを這うように伸びる狭路は転回不可の袋小路です。駐車場所を探してさまよい、挙げ句数百メートル延々とバックで戻る羽目になった私の二の舞にならないよう充分ご注意下さい。
少し離れた丘の上に車を停めて近付いてみたものの、え?これどうするの?と途方に暮れてしまいました。物凄い深さの藪。一応獣道的なものが続いていることは続いているのですが、この天候で足元が悪いこともあって流石に躊躇してしまいます。
目の前の藪を少し掻き分けて超広角で全貌を確認してみましたが…正直よく分かりません。そしてこれ、簡単に突入できそうですが実際には切れ味の鋭そうな笹の葉で埋め尽くされており、さらにここは急斜面。接近することは困難です。
幹周6mクラスというとスギの巨樹としてはそこまで目立ったサイズではありません。しかし急斜面に立つからか根本は非常に発達しており、根回りを見ると数値よりもずっと迫力を感じます。
根本から見上げてみました。ええ、笹が傘になってしまって樹形も何も全く分かりません 笑
ひとまず引き返し、根本に立っていた解説板に目を通します。昔は大川神社が立っていたようですね。そしてかつては対となるもう1本の大杉が存在したと。現在は少し離れたところにある高嶋神社の所有地となっていて、この大杉もその高嶋神社が管理しています。元々は井戸杉として植えられた杉のようで、根本からこんこんと湧く冷水が現在も田畑を潤しています。
こちらには書かれていない情報ですが、地元では代々「この大杉に触れると大川の水が出なくなり、その一年は不作になる。」と言い伝えられているようなのです。ひょっとするとこの余所者を寄せ付けまいとする深い藪は、その伝承を由来とするものなのかもしれません。
斜面の上側からは比較的容易にアクセスできました。(訪問前にもののサイトで「余所者近付くな伝説」を見ていたら無理して近付くこともなかったと思うのですが、このときはそれも知らずとにかく近付いてみたかったのです。失礼なことをしてしまいました。)不思議な形状をしています。写真左側、枝の根元の股の部分から自らの種子が根を張ったのか、そこから触手のような太い根がウネウネと地面を目指して大川杉本体と癒着しているんですね。スダジイなんかではよく見かける現象ですが、スギで見るのは初めてかもしれません。
超広角で撮影しているので細く見えますが、実際には樹齢相応の迫力がありました。なぜ超広角で撮ったのか。ええ。実は足場がこの僅かなスペースだけで、すぐ真後ろがもう藪なんです。24mmワイド端でないと撮影自体不可能だったのですよ。迫力を上手く伝えられず申し訳ありませんが、ご容赦下さい。
大きな力でひしゃげたように歪曲した枝。豪雪地帯に多く見られるウラスギ的な趣があります。この辺りは奈良県内でも積雪する方なのでしょうか。周辺では同じようなスギが全く見られないので不思議な光景でした。まるでどこかの山奥から一本だけ連れて来られたかのような違和感があります。
この深い藪の中ですから当然日当たりは悪く、白骨化している枝も多く見られます。
ヒノキのように鋭く尖った枝。日当たりが悪いのがここ最近だけの話だとは思えず、やはり好き勝手大杉に触れられないよう大昔にバリケードとして竹を植えたのではないかと想像します。いやあ、身をもって思い知りましたけどこれは立派なバリケードですよ 笑
巨樹界の先輩方が10年以上前に書かれた訪問ログを拝見するとここまで藪が深くはなく巨樹の樹形ももっと分かりやすかったようなのですが、現状では巨樹の詳細を確認するのは困難な状態でした。でもまあ、別にそれはそれでいいと思うんですよねえ。この眼下に広がる素晴らしい絶景…まあ悪天候で伝わらないと思いますが。ここから見下ろす景色が本当に美しいんです。この棚田の風景と見事に調和した大杉はきっと、自分なんかを見つめるのではなくこの景色全体を楽しんでほしいと願っているのではないでしょうか。次回はもっと天気のいい日に改めたいですね。
2019/3/4訪問
「大川杉」
奈良県指定天然記念物
樹齢 450年以上
樹高 約24m
幹周り 6.59m
※麓の比較的新しい解説板が最新のデータと思われるため、そちらを準拠しました。
奈良県御所市大字西佐味
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コメント:4
- 狛 20-01-08 (Wed) 10:26
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RYO-JIさんの記事にシンクロするようにしてto-fuさんも取り上げるとは、縁を感じさせる何かがある大杉なのだろうなと推測します。
しかも、帰り道でたまたま見つけたとのこと。杉が呼んでいるのかもしれませんねえ。
しかし、RYO-JIさんの写真でも思いましたが、すごい竹藪だな……杉と竹の取り合わせなんて珍しいですねとか言う気にもならず、これはほんと絵的にも実際的にもバリケードですね。
竹藪との戦争で思い出すのはスダジイですが、どこかスダジイ的陰の要素を持っていそうな杉です。
もとは御神木、しかも水を引っ張る杉の伝説があった。その末の姿と書くとわびしさがありますが、杉自体は竹にも負けず、大きく伸び上がっている。
側で見るのと全体像を見るのとで、印象がだいぶ違って見える樹ですね。 - to-fu 20-01-08 (Wed) 16:52
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> 狛さん
実を申し上げるとRYO-JIさんの記事を読んでこの巨樹のことをまとめようと思い立ったのでした 笑
この近辺だろうとは知っていたのですが詳細な場所までは調べていなかったので、田んぼにぴょこんと飛び出た塊を発見したときは
流石に心が踊りましたね。ひょっとして巨樹か?でも車置く場所がないぞ…なんて焦りましたけども。
ウラスギっぽい野性味溢れるスギで数値以上にずっと魅力的な巨樹だと思うのですが、全貌が全く分からないというのは
ちょっと残念な気がしますね。もっとたくさんの人を惹きつけるだけの力を持っていると思うんですよね。
人海戦術を得意とする竹も流石にスギの高さには敵わないのか、何となく具合良さそうに共生する姿は仰るように珍しいし悪くありませんでした。 - RYO-JI 20-01-08 (Wed) 21:25
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あぁ、これは有難い。
とても参考になる写真ですよ。
こうなっていたんですねぇ。
ずっと遠方からしかその姿を見ていなかったので、かぶりつきで見てしまいました(笑)。
想像よりも荒々しい姿で驚きました。
山の麓なんで盆地よりはキビシイ自然環境ですが、まさかここまで野性味溢れる状態だったとは。
数値上は平凡な杉ですが、周囲の環境と合わせて見るととても惹かれるものがあります。
そういう巨樹をこれまでにもいくつか見てきましたが、ふとした拍子に訪れたくなる巨樹になるんですよね。 - to-fu 20-01-09 (Thu) 13:26
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> RYO-JIさん
そう言っていただけると苦労して不審者と化した甲斐があります 笑
山奥のスギを思わせるような姿ですよね。それしても、やはりこの辺りは市街地とは気候が違うんですね。
この辺りは車で回るよりもバイクであるとか、RYO-JIさんのように自転車で回る方がずっと気持ち良さそうです。
私も絶対に再訪しようと思っているので、次回は車をどこかに停めて自転車でぷらぷら回ってみるつもりです。
油長酒造と絡めて回れたら楽しそうですが…きっと飲みたくなるし、御所近郊に宿を取っておいたほうがよさそうですね 笑
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