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愛知県豊田市 大野瀬の子持ち桂


SONY α7III / TAMRON 17-28mm F/2.8 Di III RXD

巨樹をめぐりながら関東を目指した昨年の夏。まずは第一の目的地である「月瀬の大杉」目指して京都南ICから高速に飛び乗ります。本当は極力高速道路を使わず巨樹を経由しながらのんびり向かいたいところなのですが、慢性的に渋滞している四日市~名古屋をショートカットするために止むを得ず、です。豊田藤岡ICから先は高速が通っていないので国道153号をひたすら東へ。途中「ほうらいせん 吟醸工房」に立ち寄って地酒を購入したりしながら岐阜県、長野県との県境にほど近いところまでやって来ました。北へ2~3キロで岐阜県、東へ2~3キロで愛知県という立地。ここに巨大なカツラの巨樹があるということで、これは立ち寄らないわけにはまいりません。車はこの右側のスペースに駐車させてもらいます。

なお、私は近くまで到達できたもののこのカツラへ至る道を発見できず一度は数キロ先の月瀬の大杉まで突っ走ってしまい、そこから戻って再度探索という失態を犯しました。Google Mapに登録のある「子持ち桂」を目的地に指定すると恐らく「コガイト」という集落の辺りでルートが途切れてしまうと思います。「まいにちブルーベリー」の手前に野入川へと下る狭路があり、その先にある橋を渡って冒頭の写真の場所に行くことが出来ます。地味に迷ってしまいましたので念のため。


清流の流れる心地良い山道を歩いてカツラを目指す。昨年の夏といったらそれはもう信じられないくらいの暑さでして…ここでタオルを絞って顔を洗ったときの爽快感は今でもはっきりと脳裏に焼き付いています。本当に暑かったなあ。


数百メートル歩いた先でご対面。おおお、これは!これだけのダイナミックな立ち姿、当然駆け寄ってしまいました。実はこの辺りに到着した時点で夕暮れ時が差し迫っていたので、月瀬の大杉を存分に味わうためにも今回こちらはスルーしようかとも悩んだのですよ。結果的には月瀬の大杉を翌日の早朝に回してでもカツラを見に行こう!と決めて強行したのですが、強行しただけの甲斐がありました。これをスルーするだなんて今では考えられません。


カツラの麓には小さな祠が。このカツラを最初に発見した方は山の神だ!とさぞかし興奮したことでしょう。私は特定の何かに対して特別な信仰心を持たない人間ですが、アニミズム的な考えといいますか万物に神が宿るという日本人的な宗教観に対しては大変好ましく思っております。


「子持ち桂」ということなので周辺にポコポコと幹周2~3メートル級のカツラでも生えているのだろうと勝手にイメージしていました。そうではなく、多くのひこばえを束ねたその姿をもって子持ち桂と呼ばれるようになったようですね。無粋なことを申し上げるならカツラの巨樹としては別段珍しい立ち姿でもありません。それでもこの姿を眺めていると子宝信仰の対象となることには納得してしまいます。


うーん、これは素晴らしいカツラだ。カツラの巨樹というと数値上の幹周はすさまじいけれど実際には株の多くが朽ちてスカスカになっているものも珍しくありませんが、これだけびっしり揃って立ち並んでいると流石に壮観です。それに、デカい。とにかく背が高い。17-28mmの超広角をもってしても簡単には全体像が写しきれないくらいの大きさ。


シュッと立ち並ぶこの姿は、これぞカツラの巨樹の醍醐味だと言わんばかりの美しさ。少し前にあまり一本の巨樹という感じがしなかった、と大阪の「出灰 素戔嗚神社のカツラ」を紹介しましたが、こちらの子持ち桂くらいにまとまりがあると、これは文句無しに一本の巨樹なんだという説得力があります。


射し込む太陽の光が本当に神々しい。雨の日の薄もやがかった神秘的なカツラも良いものですが、晴れの日のカツラだって素晴らしいものです。


樹冠の形も全体のバランスが良く美しい。これは正直文句の付けようがない。


本来ならここに腰かけてコーヒーやパンを…と出来たら最高なんでしょうねえ。残念ながら私が訪問したのは真夏。こうして撮影している最中も蚊の大軍が猛攻を仕掛けてくるもので、ここで休憩しようとは思えない状況でした。


谷底に立つカツラということで谷の上側からもカツラを眺めることが出来ます。正直既に汗ダラダラで瀕死の状態だったので、ええ…これ登るのかよ…と躊躇っていたんですけど、流石にこの立派な巨樹を上からも眺めてみたいという欲求には抗えませんでした。


はあ………。

いやー。これには本当に言葉を失いましたね。階段を登って息が切れてるからじゃないかって?いやいやいや。ここからの景色を眺めて心底思いましたからね。下手したらこのカツラをスルーしてたのか…何て勿体ないことを、と。さてこうして離れて眺めると、あれだけパーフェクトな姿かと思われた子持ち桂でさえも、実は主幹を失って内部が空洞化していることがよく分かります。とはいえカツラの古木は数百年生きて主幹を失ってからがようやく本番、みたいなところがありますからね。ここからまだまだ大きく成長してくれることでしょう。

で、ですよ。この景色を見たらヒューマンスケール写真に挑戦してみたくなりませんか?


うおりゃー!デカいぞすごいぞ子持ち桂!恐ろしいことに三脚は下のベンチに置きっぱなしだったので走って階段を往復しましたよ。そしてさらに到底タイマーダッシュなんて間に合うような距離でもなければWi-Fiが繋がるような距離でもないわけで、本当に苦労して撮った一枚なのです。撮り終わった頃にはもう全身、それこそパンツまで汗でビショビショですよ。こんな山の中で一体何やってんだホント 笑

え?結局どうやって撮ったのか、ですって?
恥ずかしいので企業秘密です 笑


こちら入口の案内板。私は車を停めて周遊道を歩きましたが、どうもあのまま林道を突っ走ったらあのカツラの谷の上まで車で行くことが出来たみたいですね。(ろくに見てませんでした。)まあ自分が歩いたから言うわけではありませんが、個人的にはあの気持ちのいい周遊道を歩いて向かうのが一番だと思いますね。そして谷底から空を仰ぎながらカツラの姿をじっくりと舐り回し、とどめの一撃にあの上からの全景を眺める!というのは結局ベストだったような気がしています。月瀬の大杉を再訪する際はこの巨樹も外せない、そう決めている一本です。

2019/8/6訪問
「大野瀬の子持ち桂」
豊田市指定天然記念物
樹齢 不明
樹高 40m
幹周り 14.2m
※樹高20m台、幹周5.7mと紹介されているサイトが多いですが、実際見た限りでは2000年に環境省によって行われたフォローアップ調査で実測されたこの数字が最も納得のいくものでした。というか私の撮影した比較画像を見ても樹高20m台、幹周5.7mは流石に「アリエナイ」のがお分かりいただけるかと思います。

愛知県豊田市大野瀬町ヤナジ 付近

コメント:4

RYO-JI 20-06-20 (Sat) 21:36

これは文句無しに素晴らしいカツラですね!
カツラのお手本の最上級といったところでしょうか。
幹周・樹高・樹冠、全てにおいてパーフェクトだと感じました。
あと立地ももの凄くイイですよね。
上から見下ろせる巨樹自体が少ないですから、これはそういう意味でも見る者を楽しませてくれる巨樹でしょう。
周遊道もきちっと整備されているようですし、沢も見たいのでこのto-fuさんルートを選ぶのがベストですね。
で、階段の上り下りのくだりは大いに笑わせてもらいました(笑)。
そんなエピソードがあると余計に記憶に残るでしょうね!

to-fu 20-06-22 (Mon) 17:55

> RYO-JIさん
本当に素晴らしいカツラでした。そこそこの冒険が必要で巨樹も立派という、まさにお手本のような巨樹ですね。
上から見下ろせるカツラというと、他には「岩間寺のカツラ」くらいしか考えられませんよね。あれは上からと言うより
上からしか眺められない巨樹なので、じっくり堪能してさらに上からも!というのは実に新しい体験でした。
センパイ方は高齢の方が多いので皆さん車で上から攻める方が多いみたいですが、絶対に周遊道がオススメです!
本当にこれを登るのかよ…という一歩を踏み出す必要もありますし、カタルシスが全く違うと思います!

20-06-22 (Mon) 21:39

立地といい、立ち姿といい、美しい桂の巨樹ですねえ。
to-fuさんも書かれていますが、まだこれから、ひこばえ同士が融合して再度巨大な幹を構成しそうに見えます。
その後数百年でまた主幹崩壊し、まばらなひこばえの時代があって……と繰り返していくのかもしれませんね。
月瀬の大杉にしても、スギはああしてごっつい幹を擁して樹高を得ているのに、同じだけのそれを、この細い幹で成し遂げてしまっている。
ここまで縦横比が極端だと重力に反して伸びているように見えます。互いに支えあっているわけでもなさそうだし、不思議な樹です。それだけに魅きつけられますね。
お礼の壺酒がいっぱい下がっている光景というのも、想像するだに面白いエピソード。

しかし、Wi-Fiもつながらない状況での渾身の一枚……大変魅力的な出来です。これぞ巨樹。唸りました。
どうやって撮ったか……そりゃもうあれしかないですよね! ケーブルレリーズ!(おい)

to-fu 20-06-24 (Wed) 8:40

> 狛さん
この立地はいいですよね。それこそ新緑の時期なんかにお弁当を持って、ぽけーっと眺めたい巨樹です。
背後にちょっと土砂崩れの跡が見られるので、カツラ鑑賞のためにスギの植林をバッサリと行ってしまった手前側の斜面が
崩落しないといいんだけど。と、巨樹を思うとちょっと心配になってしまいますが、今後もグングン大きくなってもらいたいものです。
あの月瀬の大杉と併せてタイプの違う二つの大物を堪能できるという、かなりお得なエリアだと思います。
近くのいなぶ温泉で汗まで流せてしまうし、もう少し近かったら通っているに違いありません。

どこかのメーカーが100m級のケーブルレリーズでも作ってくれませんかねえ 笑
稀にとんでもない急斜面だったりして何度も往復するのが危険極まりないことがあるので、冗談抜きに数十m届くリモコンとか
あったら便利なんだけどなあと思うんですけど、あまり需要がないんでしょうかね。残念です。

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