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【再訪】大阪府三島郡島本町 大沢のスギ


PENTAX K-1 / PENTAX HD PENTAX-D FA 24-70mm F2.8 ED SDM WR

京都府と大阪府の県境ギリギリにそびえる「大沢のスギ」。近くのお寺さんに紫陽花を見に行こうということで、もちろん立ち寄ることにしました。京都市内から近いことは近いのですが、えいやっと一歩踏み出さない限りなかなか通ることのない立地。しかしこれは…ああ、やっぱり良いわ、大沢のスギ。


ペニーカントリークラブを過ぎてすぐの路肩に車を停めて森の中へ。早速飛び込んでくるこの姿に息を呑みます。そうだ、そういえば凄いスギだったんだ。なんでもっと早くやって来なかったんだろう。それこそコロナ最盛期の巨樹めぐりなんて到底出かけられないような頃に来ていたら、最高のストレス発散になっていただろうに。(近隣の巨樹を見に行こうなんて考えもしませんでした。やっぱりあの頃はこんな自分でも多少なりとも心が塞いでいたんでしょうねえ。まあ何となく、感染の可能性関係なしに他人が楽しむこと自体許さないような空気が漂っていたので、自重したのも大きいんですけどね。)


既に一度紹介している巨樹なので多くは語りませんが、このイバラのような形状は本当にスギなのか?と思わずにいられません。タフでエネルギッシュな北陸のウラスギともまた違う、一体どう生長したらこのような姿を形成することになるのか。もっとこう、闇に生きてますよね。このトゲトゲの中におとぎ話のお姫様でも幽閉されていそうな雰囲気。そう、王子様だけがこのイバラを切り裂いて突き進めるのです。本当に「スギ」という存在の奥深さにはただただ唸らされるばかりです。


全景を。ええ…私もどう説明してよいか分かりません 笑
主幹たる部分は地上から数メートルの辺りで分岐していますが、落雷によってダメージを受けたようにも見えないし積雪の重みに耐えかねて横への広がりを見せたとも考えられない。この辺りは雪が全く降らないわけではありませんが、冬季通行止めになるほど雪が積もるわけでもないのです。すぐ横にゴルフ場があるくらいですから。前回訪れた際は積雪によるものか?とも考えたんですが、そこまで雪深いところではありませんからねえ。京都というと「夏は暑くて冬は寒い」的なイメージが先行しますし、まあ実際そのとおりではあるのですが、雪がガンガン積もるのは右京区、北区、左京区の果てにある山間部くらいのものですから。

それではどういった過程でこんな形状になってしまうのか…前回この大沢のスギを訪問してから多くの巨樹を見てきたつもりですが、それでも私には想像すらできません。何なんだろうこのスギは。


いくら雄弁に語ろうと、結局は写真一枚に語ってもらうのが一番早いという話。どうです?ちょっと実物を見てみたいな、なんて思ってしまいませんか?


樹皮のほとんどが剥がれ落ち、スギの生肉とも言える部位を晒している。どんな生き方をしてきたのかは定かではありませんが、この姿を見るだけでもそれが壮絶なものであっただろうことは想像に易いわけです。


地上5mの辺りから一斉に拡散して天を目指す。周囲は今だからこそ綺麗に植林された杉林ですが、恐らく100年、200年前はそうではなかったのではないでしょうか。このスギと同じようにタフな荒くれたちがひしめき合っていて、僅かでも日光を得ようと戦い抜いた結果がこの姿なのではないか。


ところでこのスギ、本当に生きてるの?と思われたかもしれません。樹勢が旺盛…とは言い難いですが、それでも少しでも多くの日光を浴びようとたくさんの枝葉を伸ばしています。実際に対峙した印象は健康と言えないまでも水分をしっかりと蓄えており、直ちに倒壊してしまいそうな危うさは感じられませんでした。


このスギの一番の見どころはやはりこの枝ぶりなのではないかと。きっと今この記事を読まれているような、少なからず樹木・巨木に興味のあるような方ならいざ知らず、普段意識して樹木を見ないような方にこの写真を見せて「これ何の木だと思う?」と聞いてスギだと返ってくるかどうか、怪しいのではないですかねえ。

巨樹という存在。ええ、読んで字のごとく「巨大な樹木」です。明確に幹周や樹高といった数値でそのスケール感を表すことができるわけで、それなら単純に上位陣だけ見て回れば良いのではないか…いえいえ、そう思わせるところが罠なんですね。この大沢のスギにしたって幹周は6.7m。数値だけで見たらスギの巨樹としては下の上、あるいは下の中といったところです。しかしこの迫力!いえ、迫力は実際この場に立たないことには分からないかもしれませんが。それでも数字では測りきれない「個性」はお分かりいただけるのではないかと思います。


樹木保護のため柵の中には立ち入ることが出来ません。が、もし柵が無かったとしてもこの巨樹の放つ気に当てられながら接近できるものか…私にはちょっと自信がありません。それでもやはり文句無しに凄いスギですから、怖いもの見たさ半分でまた会いに行きたくなるのでしょう。


詳細な情報は前回の訪問記を参照していただくとして、念のため解説版の写真だけは掲載しておきます。(まあ、この画像の中に全ての情報が収まっているのですが 笑)大杉周辺は大阪方面からも京都方面からもやや狭路となっていますので、運転には充分お気をつけください。

コメント:4

20-07-05 (Sun) 19:08

どの角度から見てもダークファンタジー感すさまじい形状ですね。
きっと、物理法則やそれなりの納得できる理由があってこの形になっているのでしょうが、変に水平に伸びている枝なんか、向こうから幹に突き刺さってきているようにも見えますね。
肉が削ぎ落とされて骸骨を見ているかのような異様さ。面白いです。

書かれている通りで、巨樹は幹周囲の大きさ順に見ていけば全てOKというわけではありませんね。
生来のチャーシューは最後にとっておく主義もあって、間に中級のものを挟もうという感覚でしたが、今はむしろ、個性派はこのクラスにこそ多い、こういうのが見たいなあと思っていますね。
森林の中にあっても決して埋もれることのない存在、それが巨樹なんだなあと。しびれますね。

to-fu 20-07-06 (Mon) 14:04

> 狛さん
一見理解不能な彼らの姿にもきっと彼らなりの理由があるんでしょうねえ。
一昔前に犬の言葉を人間の言葉に翻訳するアプリ?(検索してみたらバウリンガルって奴でした)がありましたけど、
いつかは技術革新で樹木の考えが聞けるようになったりするんでしょうか。「おいてめえ、写真撮るのはいいけど肥料よこせよ。」みたいな。
後で狛さんと一緒に再訪しようものなら「こいつこの前ハチに追いかけられて泣きそうになってたぜ。」なんてバラされたり。嫌だなあそれ 笑

中堅の巨樹群には超大物クラスとはまた違った魅力がありますよね。
実は現地の案内板に面白い謂れがあったり。念入りな下調べをして臨まないことが多い分、驚きや感動との出会いもまた多い。
近いから一応寄ってみた的な巨樹が予想よりずっと、下手すると本命よりも良かった!そういう体験もこの世界の面白さだと思います。

RYO-JI 20-07-06 (Mon) 21:35

禍々しさが一層増してやしませんか?
魔力がパワーアップして見えますよ。
対峙すると自分のエネルギーが吸い取られそうな怖さを感じます。
梅雨時期ということで水分をたっぷり蓄えているからそう見えるんでしょうけど、
いや、それを差し引いてもやっぱりスゴイ迫力に気圧されそうです。

to-fu 20-07-07 (Tue) 9:00

> RYO-JIさん
訪れたのが雨上がりだったこともあって、このスギの本当の姿を垣間見たような気がします。
奈良県の八ツ房杉、あとカシの巨樹なんかも。雨で樹皮がツヤツヤすることで大幅にパワーアップする巨樹がいますが、この巨樹もそのタイプでした。
こういう強烈な個性を持った巨樹に出会うと、やっぱりサイズじゃないな、うんうん…なんて嬉しくなってしまいます。
まだまだ日本中にこういう目立たないクセモノがたくさんいるんでしょうねえ。出会うのが楽しみでなりません。

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