- 2018-07-24 (Tue) 17:34
- SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G | スギ | 大阪府 | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別)
SONY α7II / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G
暑さに…いえ、正確には暑さから来る大量の虫や先日初めて遭遇したヤマビルにびびってしまい引き籠って仕事をしていましたが、やっぱり気分転換に巨樹巡りでもしないと耐えられない。すぐさま近場に良い巨樹は無かったかとGoogle Mapを眺めていると…あった!そういえばここに行きたいと思ってたんだ。今しかない、やるしかない。
ということで洛西方面から長岡京を抜けて島本町の山中へ。ヤマビル対策はどうしたものか…と考えてみたのですが、とりあえずラッシュガードを履いておけば突破されることは無いだろうという結論に。で、靴下の網目が大きいと隙間から入り込んでくるらしいので通気性の良い厚手でローゲージの登山用ソックスではなく目の細かい蒸れそうな安物ソックスを履き、上の履き口の部分から侵入されないよう輪ゴム(流石に次回からはヘアゴムか何か用意しておこう)で足をしばっておく徹底ぶり。あと考えられるのは腰まで這い上がられて背中を吸血される可能性ですが、ラッシュガードが黒でヒルが目立つので移動しながらマメにチェックしておけば大丈夫でしょう。最後に大量の虫よけスプレーを全身に振りまいて目的地へ向かいます。
府道79号線沿い、ペニーカントリークラブのすぐ側。入口にはこの大きな案内板があるので迷うことはないでしょう。
山林に足を踏み入れるとすぐにこの「大スギ橋」の看板が見えます。そして奥には何者かの姿も。
身近なところにこんな魔物が存在したなんて…
本当に封印を破って魔界から現れた魔物としか例えようのない巨樹。これはちょっと晴れの日に来て良かったぞと胸を撫でおろすのでした。
根を保護するため柵の中に立ち入ることが出来ないのですが、それでもなお物凄い迫力。
むしろ柵が最後の封印になってくれているおかげで奴がこの地に留まってくれている。そんな安心感すらあります。いやホント雨の日に来なくて良かった。オシッコちびって逃げ帰っていたかもしれません。
根回りが凄い。なにこれどうなってるの?という感じ。
典型的なウラスギのようですが、何故この地に1本だけ植えられているのか。ちょっと調べてみたけれど結局よく分かりませんでした。大沢の集落にある4本の御神木のうちの1本のようなので、やっぱり御神木はとにかくデカくなきゃいけない!みたいな村の有力者の一声で北山杉が植えられたのかもしれません。
支幹から突き出した枝が牙のように地面を抉る。枝から根を張り増殖する「伏状更新」が見られました。ウラスギはオモテスギと違って種子から増えることが出来ないため、このようにして増殖していくのだとか。恐らくこの一帯の地中は大スギの根によって完全に掌握されているものと思われます。
周囲は全てスギの人工林。天に向かって真っすぐ直立するオモテスギたちと比べると、その異形さが際立ってよく分かります。これで同じスギだっていうんだからどうかしてるぜ。
幹を見ているともう頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになるんですよ。なにこれ。島本町はそこまで雪深い地域ではないはずですが、一体どんな理由でこうなってしまうのか。考えてみたところで、ああやっぱり魔界の力はすげえなあ…なんて脳味噌が考えることを諦めてしまうわけで、とにかく見てただ感じる。ただ畏怖して自然の雄大さを思い知ればいいのだと思います。
(改めてじっと見てたら何だか鳥肌が立ってきた。)
これなんかもう封印が解けて現世に帰還することができた魔物が天を仰いで歓喜している姿にしか見えませんから。こうしてコワモテの巨樹と向き合うのは京北の「伏状台杉群生地」以来か。毎回この手の巨樹だと疲れちゃいますが、たまにはこの油断ならない緊張感、自分が完全に被食者であることを思い知らされるかのような自然の圧倒的な力を思い知るのも悪くないものです。
大量のやぶ蚊がブンブン飛び回ってましたが、ラッシュガードと虫除けのおかげで何とか無事帰還。ヒルはいたのか不明。晴天続きだし軽装でもOKだったかもしれません。(ただ、一度襲撃された者としてはどうしても軽装で臨む気にはなれないのです。)あとはアレですね。ハチが怖い。ブーーーンって目の前でホバリングして威嚇するのやめてください。マジで怖いんで。車に1枚白シャツを放り込んでおこう。この時期はもうノーガードでは臨めませんね。しかし車の中が小さなホームセンター、というかワークマン?みたいになってきたぞ…
山林の急斜面をうろちょろしてたら汗まみれになったので10,000キロカロリー(嘘)摂取して帰宅。
やっぱり巨樹巡りはいいものだ。真夏は真夏でいい。
大沢のスギ
大阪府指定天然記念物
樹齢 推定800年
樹高 約20m
幹回り 6.7m
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コメント:4
- RYO-JI 18-07-25 (Wed) 21:55
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おおー、万全のスタイルで山に入っていますね。
私は、ヒルもハチも怖いので、奴らがいなくなる時期まで山は避けようかと(笑)。
そしてこのスギ。
スギの巨樹としては小柄ながらも、そのオーラは凄まじいですね。
大阪にあるスギの巨樹としては珍しいのと、その形相からいつかは行かねばと思っています。
にしても、これは一人で対峙しにいくにはヒルやハチとはまた違った勇気がいりますね。
気が飲み込まれそうなほどの恐ろしさを感じます。
でも、そんな怖さを押し殺してでも見てみたいのが本音です。
あと、天一は胃が受け付けません(汗)。 - 狛 18-07-26 (Thu) 9:05
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何という禍々しいフォルムなんでしょう……。
これを見ちゃ、並みいるハッピーな方々も、パワーもらいましたとか、暖かい幸福感に包まれましたとか、流石にないだろ……見れば見るほど、ここまでやるかという……。
柔軟さが主張する裏杉だと飴細工みたいな印象も受けますが、この方は鋭さとトゲトゲしさもすごい。
緑があまり見えませんが、そのせいもあって、角、牙、アバラ骨をむき出しにして威嚇しているかのようです。
伏状台杉でもそうでしたが、ディテールを見ていると、そこに働いた力の巨大さとか、貪欲すぎる生命感などが襲いかかってきて、自分でも意識しないタイミングでゾワゾワゾワーっと来るんですよね。
こんなとこにじっとしてないで早く帰れ! と自分の内側が言ってくる感じ、魔物に対する恐れとどこが違うの? と思います。
モブ的な植林杉との対比は、かなり色々深読みしてしまうような強烈な一枚ですね。
まっすぐな若い杉を威嚇しているようでもあり、魔物に対して正常な林が距離を置いているようでもある。
これが同種なんて誰も信じないんじゃないでしょうか。
杉の真実を理解する上でも、記憶しておきたい一本だと思いました。
山蛭のプレデターぶりを考えると、確かに万全をもって臨みたいところですね。
どうしても藪に入るので、僕も何かしら装備を追加したいところです。ダニも怖いですよね。
たまに濃いのを食べるんなら天一くらいやらかしてしまいたいんですが、東京を去って以来お目にかかってません。
旅先でラーメン食べるのも楽しいですね。 - to-fu 18-07-28 (Sat) 0:19
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> RYO-JIさん
結構山(というかヤブだな…)を舐めてたんですけど、恐ろしいですね。ヒルもハチも。
正直言うと僕も本当に奴らが怖いんですが近隣の巨樹で良さそうなものを見繕うとコレ系の場所しかないんですよね。
とうとう最後の砦、門真方面を攻めるしかないのか…
そうなんですよ。大阪にスギの巨樹なんてあったの?という感じなんですよね。
虫の猛攻はもうどうにもならない勢いでしたがアクセスはわりと容易だったので、涼しくなったらぜひ攻めてみて下さい。
この辺りのスギの巨樹としては個性もインパクトも文句なしの1本だと思います。
そして天一は腹を壊す覚悟で食べるものですよ 笑 - to-fu 18-07-28 (Sat) 0:31
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> 狛さん
パワースポット巡りしてるようなハッピーそうな方々も失禁モノだと思いますよ。こいつは。
仰るように緑が少ないのが印象的だったんですけど、きっとこの柵なんかが整備されるまでは周囲もヤブが茂っていて、少しでも光を受けようと何百年も全身でもがき続けた姿がこれなんでしょうね。苦労や経験が人間を強くするとは言いますが、この方の立ち姿からは苦悩に満ちた人生(樹生?)の凄みを感じずにいられません。もっと早い段階から人の手が入っていたら良くも悪くもこの姿は見られなかったのだろうと思うと、日頃「この巨樹を助けてやってほしいなあ」なんて軽々しく考えがちな者としては何とも複雑な感情です。
そういえば山林のプレデターといえばマダニさんも忘れちゃいけませんね。
奴の場合は噛まれたら下手すると死に至るらしいので、山林に特攻する際は人体に影響あるだろそれってくらいに主成分ディートの虫除けスプレーを浴びるようにしています。
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