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富山県富山市 西岩瀬諏訪社の大けやき


SONY α7RIII / SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art

「宮川の大ケヤキ」を離れようと思ったのがちょうどお昼時。当時は新型コロナも関東圏以外においてはほぼ終息状態でありましたが、大事を取ってコンビニ飯で済ませることにします。とはいえ移動しながら車内でコンビニ飯をムシャムシャ食べるのはあまりにも寂しすぎますから、せめて海辺にある巨樹を訪問するついでに富山湾でも眺めながら昼食休憩を取れないかと企んだわけです。(そんな適当な動機かよ。)で、その目的にビンゴ!だったのがこの「西岩瀬諏訪社の大けやき」なのでした。


まあ動機が適当であることは否定できませんが、このケヤキがなかなか凄そうなのですよ。本当に巨樹なら何でもいいと思ってやって来たわけではないのです。先日紹介した「宮川の大ケヤキ」も富山県を代表するケヤキだと思われますが、こちらのケヤキだって負けてはいません。大きさだけが全てではないと言いながらも数字を見るだけで間違いなく県下を代表する一本であろうことが想像できます。


おお…これは立派だ。やはり10mクラスになると初見のインパクトだけで心をグッと持って行かれます。まるで巨大生物の脚のような幹が今にも歩き出すのでは?というくらいの迫力。素晴らしい。海を眺めに来るついでに見るような巨樹じゃないぞこれは。(いえ、もちろん凄そうな巨樹があった!ということでこのケヤキに決めてますよ?決してついでなんかではありません。)


地上5mほどの位置から三股に分かれた幹。それらの大枝があまり枝葉を付けていないようにも見えますが、どうも弱っているわけではなくただ剪定されているだけのようです。樹齢は1,000年以上だと伝えられていますが、やはり若く見えますね。もちろんケヤキが一番生き生きしている時期だったことも影響しているとは思いますが、やはり北陸エリアはケヤキが育ちやすい環境、土壌なのでしょうか。これだけ開けたところに立ちながら目立った落雷のダメージが見られないのはちょっと信じられません。


サワサワと枝葉が揺れる音。そしてケヤキの樹冠の上の方からは絶えず小鳥のさえずりが聞こえてきます。この標準ズームでは確認できませんでしたが小鳥たちの住処になっているのでしょう。ああ、これは気持ちいいぞ。結局コンビニで買ってきたパンとおにぎりはこの神社のベンチに腰掛けて、ケヤキを眺めながら完食してしまいました 笑


解説板にあるとおり、根が隆起して板根のようになっています。がっしりと力強く地面にへばりつくケヤキは、ちょっとやそっとの台風ではビクともしないはず。クスやケヤキはこの決して動じない、仁王立ちする巨人のようなパワフルさこそ醍醐味ですね。


痛々しいと感じるほどではありませんが、空洞化して朽ちた根も若干見られます。まあ、これだけ長く生きてきて無傷という方が不気味ではありませんか。若々しい葉を付けているけどそれなりに苦労してるんだろうなあ。


かつては港として栄えたという裏手の海辺は今では海水浴場に。当時の名残は全く感じられません。


そして海岸林が広がっていたというケヤキ周辺は住宅街に。マツクイムシの影響もあって全国的に海岸林のある景色が失われていますが、何とも諸行無常の感があります。港町として栄えていた時代からずっと人間の営みを眺めてきたであろうこのケヤキは一体何を想うのか。


「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間」
何だかものすごいフレーズだなと思いつつ、正直なところ何が言いたいのか全くピンと来なかったので宿泊先のホテルで検索してみたのですが、北陸三県(福井・石川・富山)に点在する当時の風情を残した元港町の街並みが日本遺産として登録されているようですね。うーん、こんな時期でなければ車を置いてカメラ片手にのんびり散策してみたかったのですが…まあ遠いと言っても所詮は同じ日本国内。また行けばいいんです。


当時から海の男達の羅針盤として親しまれてきた老ケヤキ。健康的で立派なのに何処かアンニュイな雰囲気が漂っている…これは集落の歴史的背景を知ったからそう感じるのかもしれませんが。すぐ近くで見た宮川のケヤキとはまた雰囲気が違い、どちらにも甲乙付けがたい魅力があります。ケヤキはどちらか片方でいいや、では勿体ない。車で数十分圏内にこれほどの巨樹が揃っているなんて素晴らしいことです。

個人的にはこの角度から見た姿が一番気に入りました。旅先でまでコンビニ飯かあ、なんて考え出すとちょっと気分が滅入りましたが、この巨樹のおかげでとても美味しくいただくことが出来ました。次回もまたここでコンビニ飯でもいいくらい。いや、でもやっぱり最低でも道の駅で地元の名物弁当くらい買って食べたいですよねえ、ええ 笑

2020/6/22訪問
「西岩瀬諏訪社の大けやき」
富山県指定天然記念物
樹齢 伝承1,000年以上
樹高 30m
幹周り 9.3m

富山県富山市四方西岩瀬222

コメント:4

20-07-21 (Tue) 19:52

とても良い大ケヤキですね。躊躇いなくデカく、巨樹と呼ぶのに何の遠慮も要らず、清々しい。
板根と説明されていますが、ケヤキの根張りとしては珍しい形ですね。このおかげか、大きな空洞もなさそうだし、安定感が増して樹高もかなり稼げていそうですね。
海上から目印にされていたというのも稀に見かける表現ではあるので、まあまあ、そういうことなのか……といなしておいて……ん? 待てよ、ケヤキが? と遅れて違和感に気づきました。
海とケヤキ。こういう取り合わせは新しいですね。笑 しかも巨樹としてしっかり注目すべきこの大きさとは。
地図でも見てみましたが、本当に海っぷちで、これは実際目印にされた可能性が高い。
写真に目を戻せば、周囲は確かに潮風が漂っていそうな風景。この場所でケヤキのあの涼しい木陰に入れるというのは、夏には格別だろうなと思います。
行ってみたい。こういう雰囲気に身を任せて、縁のない港町をさまよい歩きたいです。

RYO-JI 20-07-21 (Tue) 22:04

海と巨樹・・・私もこの取り合わせに違和感を感じました。
山の民ということもありますが、海と巨樹が同時に楽しめるだなんて素晴らし過ぎます。
しかも船乗りの目印になるほどのサイズですよ、いや、これは是非見てみたいです。
健康そうですし、ただただ見ていて爽快、気持ちの良いケヤキだと思いました。
そんな環境ですからコンビニ飯でも全然OK、むしろ贅沢にすら感じます(それは言い過ぎ)。
もちろん地元飯を味わえれば最高ですが、こういうご時世なので色々と気遣いや工夫が必要ですね。
最近は自炊セットを車に常備しておこうと準備しております(使う機会が早く来て欲しいです)。

日本遺産も街並みも撮り歩きしたいですね。
巨樹を巡る旅はその土地の食・文化・街並みをも堪能できる贅沢な趣味だと改めて思いますよ。

to-fu 20-07-22 (Wed) 20:21

> 狛さん
指摘されるまで全く気付きませんでしたが、たしかに海沿いのケヤキというのは珍しいですね。
あまりに自然な景色だったので普通に受け入れてしまいましたよ。いやいやいや、異常事態ですねこれ 笑
潮風とか、地中もきっと汽水に近い状態だろうし…それでもここまで大きく育つものなんですね。樹木の生命力って凄い。

そう、本当に真裏がすぐ海なんですよ。ケヤキから100mも離れていないのでは?
港町というとやはり、富山や敦賀よりもまず狛さんに案内していただいた銚子の街並みが思い浮かんでしまいます。
そうですね。きっと狛さんからすると幼少の頃から見てきたあの街並みとはまた違った気持ちで撮り歩けるのだと思うと、
その撮り歩いた写真を是非とも見せていただきたいものです。あれから何年も経ちましたが、風情ある路地裏というのは
いいものですねえ。お互いに写真との向き合い方が随分変わったような気がしますが、実は根っこの部分はそこまで
変わってないのかもしれないな、とも思います。良いものは良い。うまいイシガミはやっぱり何年経ってもうまいんです(意味不明)

to-fu 20-07-22 (Wed) 20:30

> RYO-JIさん
内陸民からするともう、海が見える景色というだけで一気に童心に帰ってしまいますからね 笑
海が見えたあの瞬間の興奮はきっと我々が老人になっても変わらないのではないかと思います。
関西のケヤキというとあの「野間の大けやき」は別格として、健康で見ごたえのある巨樹があまり思い浮かびません。
ここまでピンポイントなエリアに県代表クラスのケヤキが2本も立っている環境はやはり羨ましく感じてしまいます。
もしここが近所だったら週何回かはパンとコーヒーでも提げて、自転車でやって来るんですけどねえ。

私もコロナ以降また少しずつ車内のアウトドアグッズを拡充中です。やはり極力お店に寄らず済ませたいですからね。
外で食べると何を食べても美味しく感じますし、こんな日々だからこそそんなささやかな楽しみを持って過ごしたいものです。

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