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三重県津市 椋本の大ムク


SONY α7III / SONY FE 24mm F1.4 GM SEL24F14GM

2019年10月に訪問したきり記事にまとめていなかったムクノキの巨樹。この度再訪したことをきっかけに紹介してしまおうと思います。写真のほとんどは2019年時点のもの。(この1年半の間で大きな損傷が見られなかったため、初回撮影分の写真を優先的に掲載しようと思います。最下部に数点だけ2021年3月現在の写真を掲載しています。)

ふと思い立って深夜に京都市の自宅を出発、まだ薄暗い日の出前から撮影を開始しました。兵庫県の「三日月の大ムク」についで全国第2位の大きさを誇るムクノキの巨樹「椋本の大ムク」。全国2位のムクということで、視界に飛び込んできた姿はまるでケヤキか何かと見紛うほど巨大なもの。今すぐ駆け寄りたい気持ちを抑えつつ駐車スペースに車を停め、身支度しながら朝一番のホットコーヒーを淹れて巨樹の麓へと向かいます。


国指定天然記念物ですから流石に直接触れることはできません。残念ながら石垣に囲まれてはいるのですが、それにしてもこれはデカい!いや本当に遠目に見たらムクノキだとは分からないのではないでしょうか。


国指定天然記念物「椋本の大ムク」。私の好きな新日本名木100選にも選ばれています。解説板によると椋本(むくもと)というこの地名、案の定と言いますか当然このムクノキがその名の由来となっているようです。現在9.5mを誇るその幹周は当時から9mを超えていたと伝えられています。流石に1,000年以上を経て50cm程度しか成長していないとは考えにくいですが、西暦800年代初頭から既にランドマーク的な巨木であったことは間違いなさそう。樹齢1,500年は伊達じゃありません。


石垣が設置されているため、いまいちその太さ、迫力が伝わりにくいかもしれません。私も実際各方面のサイトで事前に見ていたときは正直そこまで…でしたが、やはり実物は全然違う。つい柵から身を乗り出して覗き込みたくなってしまうほどです。


本当に身を乗り出す 笑
先程も申し上げましたが本当にケヤキのようです。このクラスのムクとしては奇跡的と言っていいくらい状態も良い。


首長竜のようにぐいっと前方に傾いた立ち姿。鉄塔で支えられていますが、もし支柱がなかったらとっくに倒壊していたことでしょう。全国第2位。素晴らしい称号ですが実際のところここまで生きられるかどうかは紙一重で、地域に愛されているか、そして地域が財政的な余裕を持っているか。ランカークラスに至るか否かは結局その地に生きる人との関わり次第なのではないかと思います。これほどの存在へと至ったムクノキが偉大なのはもちろんですが、逆に人の手なくしてここまで来ることはできなかったわけで、人の力の偉大さにも感動してしまいます。


そういえば環境省の調査によると幹周9.5mということでしたが、解説板には8mとの記載がありました。実際私が見た限りでもこれは8mくらいでは…と思わなくもない。ええ、別に8mでも9.5mでもどっちでもいいじゃねえかという気もしますが、8m強のムクノキとなると全国にもそれなりの数が存在しているんですね。うちのムクは全国○位!とアピールしたい方々にとっては結構重要なポイントなのだと思うのですよ。

で、気になったのがこの盛り土。石垣で囲って50cmほど盛り土されています。恐らく盛り土以前が9.5m、盛り土後が8mなのではないでしょうか。そう仮定すると、まあ9.5mでもいいのではありませんかねえ。


以前全国1位の「三日月の大ムク」を遠目に眺めたことがありますが、あまり樹勢がよろしくないように見えました。(民家の庭に生えてるんですけど到着時刻が早すぎましてね…流石にピンポンするのは失礼すぎるので、塀の外から見上げて撤退した思い出。)奈良県の「二見の大ムク」も樹勢がよろしくないし、京都府の「天引八幡神社のムクノキ」も残念なことにここ数年衰えが著しい。ムクノキの大物は健康な個体が非常に少ないのです。この椋本の大ムクは見ていて素直に気持ちいい、生命感が強いという点で、ムクの大物として間違いなく全国でも上位に来ると思われます。


この立ち姿、壮観です。樹高こそそこまででもありませんが非常に雰囲気がいい。ここまで健康なムクノキの巨樹はなかなか見られるものではありません。本心からおすすめできます。


周辺は地域の方によって整備され、ベンチに座って巨樹を堪能することができます。コーヒー休憩には最適ですね。私はこの路地を抜けてやってきたのですが、もう到着時点で「お、これは撮影よりもまずコーヒーだな!」とお湯を沸かし始めたくらい。ちなみにヒガンバナも地域の方の手によって植えられているもの。巨樹を眺める、撮影する際はくれぐれもお花を踏まないようご注意下さい。(と、実際に現地にも注意書きがある。)


ここまで健康、樹勢が良いとべた褒めしてきましたが流石に樹齢1,000年強の巨樹ですから深刻なダメージも見られます。裏側に回ってみると大きく半身がえぐり取られていました。解説板に記載された「明治3年の暴風雨によって折れた巨枝」とはこの箇所でしょう。正面から見た限りではまだまだ健康そうなムクノキですが、ここ数年の天変地異のような天災を考えるといつ倒壊してしまってもおかしくないようにも思えてきます。


いつまでもこの地を見守っていただきたいものです。
そして近所にここがある、という環境が本当に羨ましい。


LEICA M10 / LIGHT LENS LAB V2LC 35mm F2 周八枚

さて。そんなこんなで初回訪問以降、あのムクは元気だろうかとずっと気になっていました。今回那智勝浦から海沿いを北上する機会があったため、寄るなら今しかない!ということで立ち寄ってきました。訪問は3月。暖冬だったため少しくらい新芽が見られるかも…なんて期待して来ましたが流石にそう甘くはありませんでした。


まあ寂しいといえば寂しい。それは間違いないのですが、これはこれで樹形がはっきり分かって面白い気もします。元気そうな立ち姿を見ることができたし、立ち寄ったことに後悔はありません。初回訪れるならわざわざ落葉の時期を選ばなくても…とは思いますが。


当たり前ですが10月と3月では随分と印象が違いますね。
ところで手前の木製の支柱が経年劣化で損壊していますが3月14日に撤去予定、と書かれていました。(訪問は3月11日)恐らくすぐに新しい支柱が設置されるはず。こんな立ち姿にも関わらずベンチに腰掛けて1時間ほどのんびりしてしまいました。いい巨樹ですね。

初回2019/10/2訪問、2021/3/11再訪
「椋本の大ムク」
国指定天然記念物・新日本名木100選
樹齢 1,500年以上
樹高 18m
幹周り 9.5m

三重県津市芸濃町椋本692

コメント:4

RYO-JI 21-03-17 (Wed) 22:30

おおー、やはりいいですねぇ、このムクは。
to-fuさんともあろう方がこのムクを見過ごす筈が無いと思っていましたが、やはりずっと以前に訪問されていたんですね。
私が訪問したのはこの趣味を始めた頃だったのですが、いまだに印象深い巨樹です。
今思えば当時は見る目も巨樹撮りもイマイチ磨かれていなかったですね。
少しは経験も積んだし機材もパワーアップしたので、再訪すべき巨樹だと感じます。
いや、撮影抜きで眺めるだけでも再訪の価値は充分あるムクでしょう。

いまなお地元の温かい支援があるのが嬉しいですし、訪問の際はその有難味を忘れないようにしなくちゃいけませんね。
地元の人との関わり合いがあってこその巨樹で、なおかつその恩恵を我々愛好家は享受できる訳ですから。
いやぁ、感謝です。

to-fu 21-03-18 (Thu) 13:11

> RYO-JIさん
我々の住む土地で巨樹リストを眺めていると、どうしたってこの御方が目に付きますよね。
私もずっと気になっていながら、このムクと大阪の薫蓋樟だけはいざというときに取っておこうと後々まで訪問を我慢していました。
まあ、結局どちらも我慢しきれずとっくに訪問してしまったんですけど 笑

やはり三重県の風土は京都とも奈良とも違う気がする…ということで、三重は近場でありながら旅気分を味わえるのでいいですね。
しかしせっかく遠くに行くからには何か目玉となる目的地が欲しい…このムクノキはそんなときに最適だと思います。
あのベンチから見上げるムクはとにかく最高ですね。スカッと晴れた日にあのベンチでパンとコーヒーを味わえたら…
そんなことを想像しているだけで、今からでも三重に向けて出発したくなってしまいます。何かのついでに立ち寄れる
立地ではありませんが、私もあのエリアには他にも再訪したい巨樹が色々あるんですよねえ。長太の大楠なんかも前回は
ちょっと酷い状態のときにお邪魔してしまったので、改めて再訪したいなと。今年は三重方面がアツい!かもしれません 笑

21-03-18 (Thu) 19:11

どんな樹種でもトップクラスのものは特有の迫力がありますが、このムクは全く、嵯峨天皇時代の逸話も疑う気にもならないくらい堂々としていますね。これは大きい。そして古い。
スギやクスは巨大になっても若々しいものがあって、ほんとに千年? と思うことしばしばですが、ムクの巨樹はその一生の苦労がにじみ出ているような老い方を見せてくれて、またそこが渋いです。

主幹というよりは大枝で生きているような恰好ですが、樹勢もよさそうですね。
茨城の静のムクは季節でもこれほどの葉はついていませんで、青々とした樹冠に豊かな気持ちになれそうです。
昆虫さんからしたら大変うまそうに見えるんじゃないでしょうか(元気のいいエノキやムクにはどうしてもそう思ってしまう)。
眺めながらの珈琲も大変オツです。良さがわかる男って感じで、なんかカッコいい。笑
コロナも色々な戦法で攻めてきてますが、ぶらぶらゆっくり樹(しかもムク)を眺めてて文句言われることはありませんね。

to-fu 21-03-19 (Fri) 16:27

> 狛さん
スギやクスと比べるとどうしても目立ちませんが、目立たないからこそ伝承の類に信憑性がありますよね。
こう言っては失礼ですが、わざわざムクの素性を盛るか?という。
スギやクスなんかは目立つが故に盛りまくられてチートキャラみたいになっていることも…いえ、止めておきましょう 笑

静のムクは訪問できていませんが、たしか静神社の近くの小さな神社に生えているムクノキでしたよね?
一度静神社と絡めて行ってみようと思ったものの、静神社の宮司があまりにアレだというレビューが散見したので
やめてしまったのでした。今思えば宮司の人間性なんて旅の思い出話にしかなりませんし、行っておけばよかったなあと。
またあの辺りを狛さんに案内していただきたいものです。他にも行ってみたい巨樹は山ほどあるんですよ。
我々もいつまで健康に生きていられるか分かったものではありませんし、コロナなんかに負けてる暇はありませんね。

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