SONY α7RIII / SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art
LEICA Q
熊野三山の一つ、熊野速玉大社。こちらに日本一の梛(ナギ)の木があるということは知っていましたが、こう言っては何ですけど巨樹的に見たら所詮ナギだしな、とあまり期待していなかったのです。元々そんなに大きくなる樹種ではありませんからね。しかしせっかく熊野三山を巡るのだからナギの木も見ておくべきだろう…って、何だこれは!これがナギなの?
ええ、期待値を遥かに上回る興奮を与えてくれたダークホース的存在。
驚きと興奮の度合いで言えば間違いなくこの日ナンバーワンの巨樹でした。
しかしこうして改めて見ても、やはりこれがナギだとは信じ難い。
本当に驚きましたよ。
幹周は4.61m。巨樹としては最低ラインのサイズではありますが、数値以上に立派に見えます。樹種がそう見せるのか、それとも樹齢1,000年と言われるその風格をオーラのようにまとうことで実物以上に大きく見えているのか。こちら国天指定の巨樹ですが、新日本名木100選にも選定されています。流石にお目が高い。
ナギの木としてはギネス級の長寿ではないかと思うのですが、それを感じさせない樹形の美しさに惚れ惚れしてしまいます。その美しさには巨樹なんて興味もない一般の参拝者の方もほとんどの方がナギの前で足を止めてしまうほど。余談ですが、この頃(2020年2月)はまだ外国人観光客で賑わっていたんですよねえ。私の他はほとんどアジア系の観光客ばかりで、こんなところまで外国人だらけなのか…とやや辟易した記憶があります。こんなところ、とは失礼ですが。
ヒノキやサワラを思わせる枝ぶりの良さ。間近に寄ることはできませんが、それでも眺めていて飽きることがありません。
解説板によると平重盛公お手植えのナギなのだとか。あれ?微妙に樹齢1,000年との整合性が…いえ、900年も1,000年も我々からすれば同じようなものでしょう 笑
解説板にも書かれていたとおり、ナギの葉といえば「お守り」なのです。かつては熊野詣に赴く際、安全を祈願してナギの葉を一枚ちぎって持って行ったというのは有名な話。熊野三山でもそれぞれ牛王宝印(所謂おからすさん、魔除けのお札)と一緒にこのナギの葉が手渡されたのだとか。
樹形も美しく老いを感じさせないナギですが、そうは言っても樹齢約1,000年。背後に回ってみると相応の傷みが見て取れました。裂けてしまわないよう4本の支幹はワイヤーで繋がれ、主幹の内部も空洞化しているのか雨水で腐らないよう蓋がされています。
世界平和を祈る梛の御神木。「どうか心静かに手を合わせ、全ての命あるものを慈しみ、世界の平和をお祈り下さい。」ということです。コロナウイルスが蔓延するとともに憎悪や悪意が蔓延しつつありますが、心静かに全ての命あるものを慈しむ、その心を忘れないよう気を付けたいものです。
本殿の背後に並ぶクスもなかなか立派なもののように見えます。
もちろん御神域ですから立ち入ることは出来ず、詳細は不明ですが。
2020/2/5 初回訪問、2021/3/5・2021/4/20再訪
「熊野速玉大社のナギ」
国指定天然記念物・新日本名木100選
樹齢 伝承1,000年
樹高 20m
幹周り 4.61m
和歌山県新宮市新宮1
コメント:4
- RYO-JI 21-09-11 (Sat) 21:26
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あぁ、このナギは見に行かなかったことを後悔している一本です。
新宮に行った際に候補には挙がっていたものの、近くの酒造を優先してんですよねぇ。
巨樹としては平凡なサイズだし、柵が高くてじっくり観察&撮影できないだろうなぁと判断してしまったのは間違い。
後日to-fuさんの感想を知ってから自分の愚かさをずっと悔いています。
翌年にまた行けばいいや・・・そう思っていたらコロナで二年連続行けず仕舞いです。
行ける時に行っておかないとダメですね。
他所で目にした姿よりも断然大きく立派に見えますね。
場所柄なのか風格があるように感じます。
樹齢もさることながら、新日本名木100選は伊達じゃないですね。
その姿、いつか必ず目にするぞと改めて思いました。 - to-fu 21-09-12 (Sun) 10:38
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> RYO-JIさん
このナギは私も期待値ゼロでしたから気持ちは分かりますよ。まあ、ナギですからねえ 笑
幹周に関しては私、書かれているのはかなり古い数値で、実際には5m台なのではないかなあと疑っています。
新日本名木→車で気軽に立ち寄れる巨樹、森の巨人たち→ストイックでダイハードな立地という認識ですが、
どちらの100選も見ておいて損はないものが多いですよね。残念ながら情報が古く枯死しているものが多いので、ぜひとも
令和最新版に更新していただきたいところです。もちろん、こちらのナギも例に漏れずオススメです! - 狛 21-09-12 (Sun) 19:34
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さすが聖地熊野のナギですね。その昔、僕もここへ行ったと思うんですが、巨樹を見る目を持ち合わせてませんで。
残念どころの話じゃねえなと思いました。何見に行ったんだ。苦笑
熊野神社といえばナギらしいですが、こんなに神々しい巨樹になっているとは。
これ、ほんとに4.61mしかないんでしょうかね。貫禄のせいか、それどころではない迫力です。
樹勢も良さそうに見えるし、千年近く生きたと言われている存在が、今この瞬間も全く手を抜くことなく全力で生きているという様に胸打たれます。
幹をアップで見ると、かなりの老樹ですね。
この先も倒壊したりせず、熊野の象徴として存在し続けてほしいものですね。 - to-fu 21-09-14 (Tue) 18:45
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> 狛さん
例の昔旅されたというあれですね。私もいつか紀伊半島を一周してみたい!羨ましいです。
あれほど長閑な景色が続く地域ですから、当時の狛さんのように時間をたっぷり取ってバスを乗り継いでいくのが正式な楽しみ方に思えます。
しかし本当に、くそー当時巨樹に興味があったら!と思うことって多々ありますよね…
実際見てきた感覚からしても幹周4.6mは過少申告しすぎでは…という気がしました。
かの有名な伊勢湾台風にも耐えたくらいなので健康状態に関しては期待したいところですが、やはり直近の驚異は南海トラフ地震でしょうか。
もし本当に大震災クラスの地震が発生すると海辺に集落が集中する紀伊半島は壊滅しかねないので、それだけは本当に心配です。
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