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OM SYSTEM OM-1の試し撮り


OM SYSTEM OM-1 / OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

いいぞこれは。
やるじゃないか、裏面照射積層型 Live MOSセンサー。
というのが30分ほど近所を撮り歩いてみた感想。

以下、ファーストインプレッション的な所感など。


というかOM-1のキットレンズ、12-100mm F4 PROが良すぎる。
フルサイズ換算で24-200mmのいわゆる便利ズームですが、実際これ一本あれば他にレンズ要らなくない?ってほどにケチのつけようがありません。最大撮影倍率はワイド端0.60倍、テレ端0.42倍。これもうハーフマクロでは?くらいに寄れますし、昨晩夜空を撮ってみたら手持ち1.3秒でもビシッとピントが来たほど強力な手ぶれ補正、さらに描写力も周辺こそ若干怪しいものの個人的には単焦点要らずかも?と唸らされるレベルで素晴らしいレンズです。

強いて言うなら開放F4というレンズの暗さ、背景のボケなさが弱点でしょうか。しかしそもそも背景ボケボケ写真を撮りたい方がマイクロフォーサーズを選択するという時点でワタクシ的にはナンセンスなので議論に値しません。フォーサーズ用にバカ高い25mm F0.95の単焦点を買うくらいなら適当なフルサイズ機の中古と50mm F1.4を買った方が遥かに有意義では?が私の持論。ちなみにこの場合のボケ量(被写界深度の浅さ)はフルサイズ+F1.4の方が上になります。適材適所、ですね。


ただでさえ正確でスピーディなAF、そしてとにかく寄れるので距離なんか一切考えず適当にカメラを向けてもスパッ!と瞬時にピントが合焦してくれる撮影の心地よさよ。日頃フルサイズばかり持ち歩いているとカメラを構える瞬間まず「えーと、ここからなら撮れるよな…」なんて無意識に測距から入る習慣ができているので、このサクサク感はわりと感動モノでした。目の前の何かに心動かされる→シャッターを押す。写真撮影においてここまでの流れは極力シームレスであるべきだと思うのです。

ただここまで持ち上げてきて何ですが、そこは小サイズのマイクロフォーサーズセンサー。解像感に関しては細部をゴニョゴニョとごまかしている感が強いです。デフォルト設定で遠景の京都タワーを撮影した写真を等倍表示してみると、シャープネスのかけ過ぎで京都タワーが直線ではなく両サイド削られたようなギザギザになっていました。やはり用途はWeb用かプリントするならA4くらいが限界なのではないかなあ、というのが率直な感想。これがラージフォーマットのGFX50S IIだと等倍表示しても遠景の人まで変態的なくらいしっかりと描写しますから比べてしまうと…です。

今のフォーサーズ、APSならフルサイズの描写に引けを取らないという意見も耳にしますが、それは流石に言い過ぎでしょう。RAWデータから仕上げようと思うとやはりデータの持つ余裕、粘りのようなものには月とスッポンくらいの差を感じます。というか物理的に考えたらどう足掻いてもセンサーサイズなりの差、壁があって当然ですね。しかしそれを補って余りあるくらいのメリットがあるのも事実。

フルサイズ機が解像感を得るためにスポイルしたものはこの快適さだったのか…と思うと、何だか「本当のところ、良いカメラってなんだろう?」みたいなことを考え込んでしまいます。本当に万人が写真を大型モニターで等倍表示してニヤニヤするために快適性を捨てることを望んでいるのか?なんて思うんですね。

現時点ではOM-1の満足度は80点くらいでしょうか。
操作系にオリンパス(OMDS)特有のクセが強く見られるのが減点対象ですが、それ以外は文句なし。いい買い物をしました。
あ、レンズは100点満点です。焦点距離よし、描写よし、さらに異常なくらい寄れるということで、至高の便利ズームとしか言いようがない。

コメント:5

22-06-16 (Thu) 9:27

フルサイズから中盤までも使い慣れているto-fuさんを唸らせるとは、やるなオリンパス。
いや、「だからこそ」フォーサーズの軽快さはくっきり差別化されて印象に残ったのでしょうね。
小センサーのメリットを尖らせて万能レンズを従えたOM-1は正統進化形態での極みなのかもしれない。これ以上のフル武装を想像できない……。
カメラメーカーもそれぞれ長い歴史がありますが、「当然のごとく良いカメラを作ってりゃいいんだ」「良いカメラってのは、良いカメラだよ!」みたいな在り方では存続できない時代になってる。
「APS-Cでもフルサイズと変わらない」ではもうダメで、もっと何か決定的に違っていた方が好ましく、それにどう意味を持たせるかまでを問われるのでしょうね。

センサーサイズについて面白いなあと感じるのは、無意味に思える細部解像が実は写真全体の説得力を左右する……ことがある……かもしれないということです。
でも、センサーがデカくなってくるとほんの些細なブレや細部の粗も気になってくるし、そもそも機材の鈍重化は撮る機会を減らす。
つまりは、最も高性能かつ厄介なのは人間の目や脳みそ……。
ハード性能が頂点に達し、感性を懐柔するエンジンやRAW現像にいつか飽きるとなると……それって銀塩時代に化学反応に求めてたのと同じテーマに還っちゃうんじゃねえの? と。
鋭い機械を物差しにすると、自分という存在がいかにジュクジュクしたものか実感します。笑

沙門 22-06-17 (Fri) 11:53

OM-1、高評価ですね!
描画力は空気まで映すと感じているフルサイズには遠く及ばない代わりに手軽さを求めたのがフォーサーズだと思っていたので、オリンパスの撤退は残念でした。
ハーフサイズカメラを作った頃とは色々な事が違ってしまっていたんでしょうねぇ。

しかしながらto-fuさんに「やるじゃないか」と言わせるとは。
10年前のE-M5を使い続けている私ですが、もしまたカメラを更新するときはOMDSにしようと思いました。

先月修学旅行にそのE-M5を持って行った子供が写真に興味を持ってくれると嬉しいなぁ。

沙門 22-06-18 (Sat) 1:14

to-fuさん

帰宅時、久しぶりにヨドバシに寄りOM-1を触ってきました。
カメラとしての重厚さにグッときましたが、思った以上に物々しい印象でした…
何につけコンパクト方面にシフトしがちな私としては、E-M5くらいの大きさが合っていそうです。

to-fu 22-06-18 (Sat) 7:10

> 狛さん
取り回しの良さも機材選びの大切な要素の一つですよね。
下で沙門さんが書かれているように、購入時にコンパクトさを最重視する方は決して少なくないと思うんです。
数年前まではフルサイズこそ至高!な価値観がはびこっていた感がありますが、センサーやマウント径の大きさを考えると
小型化にも限界がありますからねえ。APSやフォーサーズは機材を肥大化させてガチ勝負するよりも、そっちの利点を活かせば
いいのにと思っておりました。スマホとの差別化が難しくなるのだとは思いますが…

しかし巨大センサーで撮影すると仰るように妙な説得力を生むことがあるのも事実ですよね。
青空みたいな繊細なグラデーションを撮影するとそれが顕著で、そういう写真が撮れると「こりゃあフルサイズを買って
正解だったぜ…」なんてニヤニヤしてしまいます。まあ全てにおいて完璧な機材なんてこの先もきっと現れることは
ありませんから、各々が自分にとってのモアベターを追求して行くしかないのだと思います。一番の問題なのは、そのとき
我々に機材の選択肢は残っているのだろうか…という。ええ、カメラメーカーには何とか潰れないように頑張っていただきたいものです。

to-fu 22-06-18 (Sat) 7:19

> 沙門さん
完全に同意です。今のフォーサーズはちょっと仰々しすぎて、自らの利点をわざわざ潰しているような印象を受けますね。
私も以前E-M5 IIの購入を検討したことがありますが、E-M5とかE-M10くらいのサイズ感がフォーサーズ機としてのベストバランスでは
ないかと感じます。ショルダーバッグにポイッと放り込める、くらいが理想なんですけどねえ…
(余談ですがE-M5 II導入に至らなかった理由は、防塵防滴対応のレンズが巨大で高価なものしか存在しなかったためです。)

OM-1を触っていて画質や機能面では本当に「これ以上必要か?」というところまで来ていると感じましたので、
今後この性能が小型機にも下りてくると楽しみになりますね。私も「うちはフルサイズには手を出さない。」とまで
言い切ったオリンパス…を引き継いでくれたOMDSを応援しています。

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