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徳島県徳島市 速雨神社のクスノキ


FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 35-70mm F4.5-5.6 WR

「草創神社のムクノキ」を離れてとくしま動物園を南下。目指すは県道33号線から少し脇道に入った田園地帯ど真ん中に屹立する巨大なクスノキでした。もう遠目に見ただけで分かる。ああ…これは来てよかったヤツだ、と。


徳島市のほとんど南端に位置する「速雨神社のクスノキ」。幹周10mクラスとあってそれなりに期待していたのは事実ですが、やはりあの心躍るような感動は現地に行かなければ絶対に得られないものですね。巨樹もさることながらロケーションが素晴らしい。ちょうど田植えの時期だったこともあって田んぼに水を注ぐ音に小鳥のさえずりが聞こえ、そして視界には青空と緑の大パノラマですよ。日頃デスクワークでPCモニターとにらめっこしている私の閉じかけた五感がビシバシ刺激されるようです。Hello world.


クスに関しては「樹勢も旺盛で、本当にデカい!」恥ずかしながら、それ以上何も考えられませんでした。

しかし感動とは本来そんなものなのではないでしょうか。小難しいことを考えられる状況というのは、それを考えるだけの余地があるということ。この場での私は「うわーデカい。立派なクスだ。ほぇー…」だけで頭の中がいっぱい。それ以上のことを考える余裕などありませんでしたから。


何度も書いているような気がしますが、心が疲れているときに巨大なクスを処方すると効果はバツグンですね。シイやカシでは違うしスギでもやっぱり少し違う。あっけらかんとした表情で大胆不敵にズシン!と構える巨大なクスノキ。大自然の中で彼(彼女かもしれない)と一対一で対峙していると、いかに人間風情の悩みやストレスがちっぽけなものであるか思い知らされる気がするのです。


興奮しながら夢中でシャッターを押し、そして少し離れてぼけーっと眺めたら帰路につく。こんなクスが近所にあったらどれだけ素敵なことだろう。コーヒーや缶ビール片手に通うだろうな、きっと。


軽トラ基準の細い坂道にぽつぽつと点在する家屋。なんとなく…ですが、とても四国らしい風景だと思います。私の生活する京都市内ではまず見ない風景=非日常でもあって、きっと地元の方には「何がおもろいねん。」とツッコまれるでしょうけど私はこの風景を眺めているだけで充分心が満たされるのです。


朽ちた支幹でしょうか。もしこの支幹が生長を続けていたら、本体と癒着して今以上にとんでもないクスノキになっていたのかもしれません。


徳島市指定天然記念物。速雨神社はこの農耕地帯という立地、そして雨という漢字から恐らく雨乞いを祈願して創建されたものであろうと想像できますが、クスノキについての由来や伝承の類は一切なし。

それでいいのだと思います。神様として過度に崇め奉られているわけではなく、かといって決して邪険に扱われることもない。徳島県のこういう大袈裟すぎない巨樹との関係は結構好きだなあ。ここ数年で徳島県の巨樹をめぐってみて、そんな思いが強くなりました。


いつ訪れても素晴らしいクスノキですが、できることなら秋冬よりは暖かい時期の方がより気持ちよく眺められるのではないでしょうか。これだけ風を遮るものがないと真冬はちょっと寒そうだな、というのもあります 笑 徳島県は国の特別天然記念物「加茂の大クス」を擁するためあまり目立ちませんが、もし加茂の大クスが存在しなければ充分県下を代表する一本にもなりうるクスノキだと思います。

2022/5/18訪問
「速雨神社のクスノキ」
徳島市指定天然記念物
樹齢 不明
樹高 約20m
幹周り 巨樹データベース1988年計測値が8.0m、2014年に実測された方によると10.3m。現在は後者の方が正確かと思われます。

徳島県徳島市八多町板東91

コメント:6

RYO-JI 22-10-11 (Tue) 21:41

これまた見ていて気持ちのいいクスですねぇ。
改めて徳島県の凄さを思い知らされましたよ。
近所にあって欲しい巨樹ナンバーワンはやっぱりクスをおいて他にありませんね。
心が疲れた時、モヤモヤする時の癒しにはもってこいだし、何よりいつまででも見ていられるのはクスですからね。
これは樹勢があって心配は無さそうですが、是非とも早めにお目にかかりたいなぁと思いました。
あの赤羽根大師のエノキが倒壊したと知って心がざわついていたもので・・・。

123 22-10-11 (Tue) 23:21

速雨神社のクスノキはロケーションが良いんですよねえ
私も個人的に幹回りを測りましたがその際は10,5mでしたので2014年に計測された方の方が合っていると思います
しかし赤羽根大師のエノキが倒壊したんですね
私が見た時も枝枯れが多く、主幹も菌類だらけだったので危ないとは感じてましたが・・・残念です

三好市池田町に赤羽根大師のエノキに勝るとも劣らないサイズのエノキが
もう1本あるようなのでそちらはしっかり管理して欲しい所です
こちらはアクセスがかなり悪いようで自分では見に行けないのですが・・・・

22-10-12 (Wed) 8:01

徳島のクス、レベル高いですよねえ。九州勢にも見劣りしないと思います。
九州勢がなかば信仰の対象みたいになっている一方で、四国のクスはあくまで自然体で、近所にありそうなところがいいですね。
「ウチの大クス」みたいな感じで思い入れを強くできそう。
……にしても、この塊感あふれるボテッとした根幹、巨樹としてもかなり立派で見ごたえありますね。
枯れて空洞になった部分に新たな太い根が覗いている部分、力強いです。


同じく、赤羽根大師の大エノキのニュース。
つるぎ町のシンボル的な国天でしたから、現地でもさぞ残念に思われていることだろうと。
ここのところ急激な多雨でしたし、気候変動に弱い樹種にはこれからも影響が出ていきそうですね……。

to-fu 22-10-12 (Wed) 15:46

> RYO-JIさん
ええっ?そんな馬鹿な…赤羽根大師のエノキが倒壊しただなんて知りませんでした。
ショックすぎますが、あの時点で既に満身創痍でしたからね。あの時行けたことに何か運命じみたものを感じます。

大阪にはあんなにたくさんクスの巨樹があるのに何故だか奈良と京都にはほとんど見当たらない不思議。
このクスはとても良かったですよ。大物ぞろいの徳島県ですが間違いなくトップ層に食い込む実力者だと思います。
徳島市南部は自転車で回ってみても気持ちよさそうなんですよねえ。問題は自転車だとカメラをどうするか…なんですが。

to-fu 22-10-12 (Wed) 15:53

> 123さん
徳島の巨樹は他県と比べてロケーションのよいものが目立ちますが、このクスの周辺は特に素晴らしかったです。
恐らく現在は123さんの測定された10.5mまで成長しているのでしょうね。今後もまだまだ大きくなりそうで期待大です。

赤羽根大師のエノキはこちらにコメントいただいているRYO-JIさん、狛さんと訪問した巨樹で特に印象に残っています。
仰るように茸まみれだったので内部が腐朽しているだろうとは想像していましたが、いざ倒壊してしまうとショックでなりません。
現在は根を残した切り株の状態で復活を試みているようです。上手く生き延びてくれることを願います。

to-fu 22-10-12 (Wed) 16:04

> 狛さん
九州には神話レベルのご老体クスがゴロゴロしてますから、やはり歴史や神話と絡めて語り継ぎたくなるのが人情なんでしょうね…
徳島のクスは大阪のクスと扱いが似ている印象ですが、徳島の方が大阪よりもさらに自然に扱われているように感じます。
地元の人も「クスの伝説?平家のナントカが植えたとかよく知らねえけどすごいクスだろ、これ。」みたいな。

いやホント、ここ数年の豪雨や台風は異常ですから、我々が訪問した他の巨樹もいくつかは人知れず被害を被っているのでは
ないでしょうか。山奥のトチやカシなんか倒壊してもニュースでは報道されないでしょうから…狛さんが先日書かれていたように、
どうしても巨樹との向き合い方について再考してしまいますね。ヒトの世にも色々ありましたし以前のようなスタイルには
もう戻れないのかも。とはいえ倒壊した巨樹なんかもやはり「見ておいてよかった!」という思いが強いので、偉大な存在を
少しでも多くこの目に焼き付けておきたいものです。

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