- 2023-03-07 (Tue) 15:32
- FUJIFILM GF 35-70mm F4.5-5.6 WR | トチノキ | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別) | 愛媛県
FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 35-70mm F4.5-5.6 WR
四国中央市の山中、富郷ダム近くの藤原集落を見下ろす「藤原のイブキ」から徒歩数分。
ここまで来たのなら当然こちらも見ておくべきでしょう。
藤原のイブキから先は農道が続いており、トチノキの手前には駐車スペースも用意されていました。
運転しっぱなしで体が固まっていた私は健康のため歩きましたが車やバイクでも訪問可能です。
謎のリスキャラがお出迎えする先には「←フジ」との案内が。こちらで間違いなさそう。
伸びきった雑草と大量のやぶ蚊に怯みますが、意を決して森の中へと足を踏み入れます。
おおお…これだ。
数年前に訪問しようとこのトチノキのことを調べていた際は、フジのみ県指定天然記念物でトチノキは無指定だった記憶が。ええ、その際は「玉取山の大カツラ」を見たところでガス欠寸前になってしまい、無念ながら伊予三島方面に下山したのでした。どうやらその後無事トチノキも四国中央市の天然記念物に指定されたようです。
巨木に巻き付いたフジが天然記念物指定されている一方で巻き付かれた巨木はイマイチな扱いを受けているという、巨樹界ではままあるこのパターン。我が京都府にもフジに巻き付かれた大ケヤキが存在し、岐阜県でも同じようなスギを見ました。巨木サイドからしたら支柱扱いされるわ、ついでに名声まで持って行かれるわで散々だなしかし。
こちらには記載がありませんがフジは幹周約1.5m、樹高約23mだそうです。
トチノキは直径1.5mなので円周を計算すると幹周はだいたい4.7mくらい。正直に申し上げるとトチの巨樹としてはまだまだこれからといったところで、見応えとしてはそこまでではありません。鬱蒼と茂った森の中で太陽の光を求めてまっすぐすらっと立っているのも損している気が。あまり太い!デカい!と印象に残るタイプではないんですよね。
しかしまあフジに絡みつかれたその姿には謎の迫力があります。トチノキ単体で見ると迫力には欠けるものの、フジを含めた立ち姿はなかなか写真映えすると言いますか、撮影はわりと楽しめたかなと。
自分でも何を撮ってるんだか訳が分からなくなりますが、これはこれでいいのではないか。
ただ、見てのとおりの立地なので撮影スペースが根元くらいしかないのがネックでしょうか。足元にでこぼこ起伏があるので三脚を設置するスペースを確保するのも難しい。(設置できても倒れてしまいそうでちょっと怖かった。)あとはトチノキの魅力といったら個人的にはあの大きな葉っぱを透かした太陽の光の美しさ、頭上に緑の天蓋が広がるようなあのダイナミックな光景なのですが、周囲に背の高い木が多すぎてそれが全く楽しめなかったのも残念でした。
頭上はこんな感じ。うーん。樹勢がどうとか全く分からない。
どれがトチの葉っぱだ?と探して何とか発見できる程度。いや、よく分かりませんよねこれ。
帰り際に遠目に見てようやく健康な樹冠!素晴らしい!と納得できました。
え?やっぱり分かりませんか?写真の右上四分の一くらいはほとんどトチの樹冠です。
はっきり言ってこのトチノキのためだけに富郷を目指すのはあまりおすすめできませんが、巨樹的には山奥に「玉取山の大カツラ」があり、すぐ側には巨大建造物富郷ダムがある。そして日本第2位の藤原のイブキを眺めてシメにこのトチとフジを…というのは悪くないように思います。なかなか風光明媚なところなので、天気の良い日にドライブ、ツーリング先として訪れると気持ちのいい一日になりそう。
2022/10/13訪問
「藤原の大トチ」
四国中央市指定天然記念物
樹齢 不明
樹高 約27m
幹回り 約4.7m
愛媛県四国中央市富郷町津根山
コメント:6
- RYO-JI 23-03-07 (Tue) 22:02
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ほう、これはこれで興味深い組合せの巨樹ですね!
おっしゃるように単体では魅力に欠けるかもしれませんが、攻めるフジvs守るトチ的な静かな闘いが繰り広げらている様に惹かれます。
絡みつく系の樹木は不気味な存在に映るうえに、それが太いとなると尚更迫力が増して怖いくらいです。
一方のトチはいい迷惑でしょうけど、立派な樹冠をしているくらいですから元気そうでやはり陽のイメージ。
そんなイメージが相反する二種が何の縁かわかりませんが絡み合っている姿は是非見てみたいものです。 - 狛 23-03-08 (Wed) 9:12
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想像しただけで濃密な探訪だとわかる土地柄、コース。
やっぱり四国の山間には言い知れないロマン(とおっかなさ)がありますね。
写真からしても山の濃さが違うから、無闇にワクワクしてきます。
フジもまた日本人にとって特別思い入れの強い樹種と言えそう。それが天然記念物指定のランクに表れているな、と。
毒性≒薬効から転じて魔除けの意味もあったようですけど、実際のこの、おまえが魔物じゃねえか! と突っ込みたくなる獰猛ぶりは置いといていいのか……。
このフジも、「まあ今のところ手加減してやってる」的、妙な余裕を感じるのは僕だけでしょうか。
とはいえ幹周5メートル近いトチも、特色に乏しいとはいえ、今や貴重な存在ですよね。
フジパイセンにこうも粘着質に絡んでこられると、この先の成長が心配ですが……。
初夏にはそれぞれの葉と、個性的な花を競ってさぞ見応えがありそう。
アクセスできるなら、僕もぜひ探訪リストに加えたいコンビです。 - to-fu 23-03-08 (Wed) 13:37
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> RYO-JIさん
そうですね。トチ単体で見るとまだまだ…としか言いようがありませんが、フジとの攻防は見応えがありました。
やはりこういうのを見ると和歌山の締め殺し先生、あのアコウの巨樹を思い出します。
なかなか簡単に行ける立地ではありませんが、未掲載のまま写真を放置している巨樹もたくさんあるので
改めて和歌山東部エリアを回ってみたいです。(しかしもう数年前のような体力すら残っているか怪しい今日この頃…) - to-fu 23-03-08 (Wed) 13:50
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> 狛さん
そちらにもニッポンの背骨のような大山脈がそびえていますが、普段低山ばかり見ている関西人からすると濃密な山林を
見るとそれだけで死のイメージが思い浮かんでしまいます。散策路を外れたら生きて帰れる気がしません。
フジはやはりその形状だけでも見栄えがするのか、天然記念物指定されているものが非常に多いですよね。
あの獰猛な大蛇のような幹からは想像できないような美しい花を付ける。そのギャップが魅力なのでしょうか。
フジも宿主が倒れたら困ってしまうからなのか、しっかり手加減している感が伝わってきますね。
宿主の命?奪ってナンボや!と殺意に満ちた強盗のようなアコウさんと比べると結構人情派なのかもしれません 笑
仰るとおりで、まずトチノキ自体があまり身近なところで見られないため、トチの巨樹というだけで優先的に
ルートに組み込みたくなってしまいます。初夏のトチノキ…桑平の大トチを思い出さずにはいられませんねえ。
あの山奥でかいだ汗くささのような不思議な香り。たしかに初夏のフジの花と汗くささのマリアージュを堪能してみたいです。 - 123 23-03-10 (Fri) 1:03
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雰囲気のある場ですねえ
見てる側としては藤との絡み合いは実に面白く見えますが
絡まれる木としては成長の枷になるわ重量物に伸し掛かわれるわでたまった物ではないのでしょうね
流石に藤やキヅタは絞め殺しの木とも言われるアコウらに比べたら大分マシなのでしょうが・・・
しかしこの両木の生存を掛けたプロレスは下手したら人間の寿命が尽きても尚今後も
続いていく可能性もあると考えるとなかなか壮大かも・・・? - to-fu 23-03-11 (Sat) 11:01
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> 123さん
どことなく徳島の神山町あたりに雰囲気が似ているように感じます。
四国の山側は通行量も少ないので、今くらいの時期は窓全開で運転しているだけで気分が晴れそうで羨ましいです。
(スギ花粉症の方には地獄のようなドライブになるかもしれませんが…)
仰るようにこのトチとフジが数十年、あるいは数百年後どうなっているのか非常に興味深いですね。
桑平の大トチのように巨大になったトチに絡みついたフジがたくさんの花を咲かせる。そうなったら実に圧巻でしょうねえ…
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