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京都府京都市左京区 京都府立植物園のヒマラヤスギ


FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 32-64mm F4 R LM WR

夏は蒸し暑く冬は凍えるように寒い、でおなじみの盆地京都にもようやく秋の訪れを感じる爽やかな風が吹き始めました。
そこでのんびり歩き回ろうと久しぶりに府立植物園へ。そういえばここにはシンボルツリーがありましたっけ。
厳密には巨樹と言えるほどのサイズではない。しかし、とにかく目を引くこの存在感ですよ。
巨樹カテゴリーとして紹介するに十分なヒマラヤスギだろう!ということで進めていきたいと思います。


北大路側の正門をくぐると早速視界に飛び込んでくるこのお方。
正門を入ってすぐ右手、さらに園内マップにもマーキングされているので立地に関しては説明不要でしょう。
明らかに存在感が周辺の樹木から頭一つ抜けており、このヒマラヤスギを知らなかったとしても「なんだなんだ?」と近寄りたくなるほど目立ちます。


根元まで接近してみるとまたビックリ。なんだこの豪雪地帯のウラスギのような姿は。
まるでギリシャ神話のメデューサを思わせるこの迫力。今にも枝の一本一本がウネウネと動き出しそうではありませんか。
(実際これが動き出したらかなりホラーだと思う。)


さてこのヒマラヤスギ。大きめな公園では見かけることも少なくありませんが、そもそも一体どのような樹木なのでしょう。
原産地はもちろんヒマラヤ山脈。標高1,500~3200mの地域に生えていますが、厳しい寒さには弱いのだとか。いやいやいや。
そしてヒマラヤスギという名前なのに実はマツ科。英語でもHimalayan Cedar、つまりヒマラヤスギです。うーん、変なやつ。

まあ実際こうして見てみると樹皮はやはりマツに近いし、でっかいマツボックリだって実ります。
たまにリースに加工されているのを見かけますね。開いた形がバラの花に似ていることからシダーローズなんて呼ばれたりもします。


まじまじと見つめると葉の形状もたしかにスギではなくマツっぽい。
建材としては耐久性が高くその油には防腐性があって磨けばきれいなツヤも出る、ということでなかなか価値のある材になるようです。
ちなみにヒマラヤスギの油もアロマオイルとして一般に流通しています。バルサムかつハーバルな香りなのだとか…なるほど分からん。
これだけ聞くと日本でももっと積極的にヒマラヤスギを植林してもいいのでは?と感じますが、どうなんでしょう。(既にされているのかも)

さて、ヒマラヤスギの解説はこの辺で。


真下に立って見上げると一層メデューサ感が強まった気がします。
枝のうねり、そして樹皮の質感が実にヘビっぽい。
それぞれの大枝の太さはさほどではありませんが、これがこの先数十年成長したら…と想像するとロマンを感じます。
石川県の「御仏供杉」みたいになるのも夢ではないかも。


植物園ではたくさんの樹木、花を見ることが出来ますが、やはり花目当ての方が多いのかほとんどの方が花の前で立ち止まっています。
おお、これは良いエノキだな…なんて立ち止まっているのは正直私くらい 笑
しかしこれだけ存在感のあるヒマラヤスギですから流石に多くの方が目の前で足を止めていました。


今回あくまで散策目当てだったので三脚を持っておらず、ちょうど通りかかった方をヒューマンスケールに。
樹高約20mということですが25mくらいはありそうに見えます。

ちなみに国内に存在するヒマラヤスギの大物はほぼ横並びで樹齢100年強。
樹種としては樹高40~50m、巨大なものは60mにまで成長するらしいので、100年後には国天のスギと並ぶ大きさのヒマラヤスギが何本も見られるかもしれません。
まあ、人類がコールドスリープして数十年後に目覚めるSFのような世界が実現しないかぎり私はとっくにこの世を去っていますけれども。


こちらは別のヒマラヤスギ。
園内には他にもこのような個性派から単幹でズドンと突き抜ける正統派タイプまで様々なヒマラヤスギが植えられており、歩き回っているだけで楽しめます。
とはいえ、もちろん植えられているのはヒマラヤスギばかりではないのでご安心を 笑

「希少な絶滅危惧種や世界中の珍しい植物を、気軽に見たり触れたりできる空間」
これが植物園の理念だったと記憶していますが、まさに理念をそのまま体現した空間でとても充実した時間を楽しむことができました。


このヒマラヤスギを見るためだけに遠方から京都府立植物園まで!と気合いを入れるほどの巨樹ではないと思いますが、植物園まで含めたトータルな空間で考えると、数日間の京都観光のうち2~3時間くらい植物園で巨大ヒマラヤスギを眺めてぼんやり歩き回るのも悪くないのではないでしょうか。

京都市民の私ももっと積極的に植物園を活用しないと。
(ちなみに入園料は200円と良心的です。)

2023/10/2
「京都府立植物園のヒマラヤスギ」
樹齢 100年以上
樹高 約20m
幹回り 4.1m

京都市左京区下鴨半木町

コメント:4

RYO-JI 23-10-03 (Tue) 21:47

学生の頃の自分に言ってやりたいですよ『暇な時に行っておけ!』と。
近くに住んでいながら完全にスルー。
というか原付でウロウロしていたので広大で邪魔な施設くらいにしか思って無かったですからね(罰当たり)。
都心にありながら格安で利用できる整備された公園でしかも珍しい植物が見られる、そう思うとメチャクチャ価値ある施設ですね。

ヒマラヤスギの巨樹って画像ですら見た記憶がないような気がします。
そういう意味でもかなり貴重な存在ではないでしょうか。
確かにメデューサ感があってとても印象的な姿。
整備された明るい公園で見るからゆっくり拝見できそうですが、これが人里離れた山奥なんかにあったらまた全然違う受け取り方になるかもしれませんね。
ソワソワして落ち着かず、足早に立ち去ってしまうかもしれません(笑)。

to-fu 23-10-04 (Wed) 11:12

> RYO-JIさん
何で行かなかったんだろう、何でやらなかったんだろう…後悔は山ほどありますね。
当時は人生は長く、時間なら無限にあると思ってましたよ。
仮に時間とお金があっても体力(若さ)がないとどうにもならないという悲しい現実を今になって痛感しています 笑

東京の新宿御苑(当時は入園150円)でも感じたことですが、ほんの少しお金を取るだけで民度が普通の公園とはまるで違うんですよね。
思った以上に気持ちよかったので植物園の運営を応援するためにももっと通おうと思いました。

ヒマラヤスギはなんとなく巨樹的に見ると影が薄い印象がありますが、実際眺めてみると個性豊かで迫力もあって、
近くにあればもっと積極的に回ってみると面白いかも、と思わせるだけの魅力がありました。狛さんが以前紹介されていた
東京の「谷中のヒマラヤスギ」なんかも機会があれば見に行ってみたいです。(昔何度も見ているはずなのに記憶が… 笑)

23-10-05 (Thu) 8:39

清々しい空気感。
ヒマラヤスギもまた、日本在来種のような暑苦しさを感じない、大きいけどサラッとした見ごたえ。
自分としても、この写真を一目見て、「谷中のヒマラヤスギ」を思い出しました。
100年ほどで巨樹になってしまった樹で、これほどではないながら太い分岐が良かったのですが、今はもう見る影もない……写真の中だけの姿になってしまいました。

寒さに強くて導入に向いているのか、東北では街中や寺社で3m級以上に育っているヒマラヤスギもそこそ見かけます。
もっとも、谷中のや、このヒマラヤスギのようにウラスギ型に分岐しないように、早くから手入れされて一本幹に仕立てられているようです。
この自由奔放な枝ぶり、絵になっていいもんですね。

植物園は言ってみれば聖域、適度にお手入れされてのびのびと育っている植物たちと波長を合わせるつもりでいれば、こちらも穏やかでいられそうですよね。
実物の木陰で樹種の雑学でも勉強して、え、おまえさん、マツなの? みたいな。笑 すごくリッチな時間です。
御苑は今や入園料500円……でもいざ入ってしまえば、それくらいの協賛はしたい気分になってきます。

to-fu 23-10-05 (Thu) 15:46

> 狛さん
暑苦しくない、ああ、すごくシックリ来ますね。
たしかにサラッと乾いた感じがする。ジメジメして蚊が湧いてそうなスダジイとは対極かも(決して貶すつもりはない)

って、ええ…検索してビックリしました。谷中のヒマラヤスギ。
狛さんが訪問された後すぐにトーテムポール化しているではありませんか。
もう行く機会のなくなった東京を偶然訪れた狛さん。撮っておいてくれ!と呼ばれていたのかもしれませんね。

動物園のパンダや水族館のイルカショーのような絶対的エースがいるわけでもない、ちょっと地味な植物園。
でも植物園だってその道のプロの方が知識皆無の一般人でも散策を楽しめるよう工夫を重ねて設計してくれているわけで、
それをたった数百円で堪能できるって考えてみたらすごいことだと思います。なんて贅沢なんだ。

文化的、アカデミックな施設はやはりまあ大きなおカネを生み出さないので現代日本では無碍に扱われがちですけど、
ろくに資源もない上に高齢化で衰退する一方の国が文化を愛でる心すら捨ててしまったら、もう何も残らない気がしますねえ。
もっと積極的に日常に取り入れようと思いましたよ。植物園散歩。

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