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兵庫県豊岡市 万劫の大カツラ


FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 32-64mm F4 R LM WR

香美町で「長瀬八幡神社のタブノキとホオノキ」を眺め、目指した巨樹がこちら神鍋高原エリアの山中に位置する「万劫の大カツラ」。

なお県道258号線が最短ルートに見えますが超絶悪路のため、一度ぐるっと西回りに迂回して蘇武トンネルを抜けた先、東側からアクセスしました。
258号線は落石倒木だらけの未舗装路です。バイクのオフ車ならともかく車で突撃すると場合によっては転回もできず完全に詰みます。ご注意を。


県道482号線から258号線に入り、GoogleMapsに「神鍋渓谷公園」と登録のある場所までやって来ました。
ここまでは何の問題もありません。さて、問題はこの先です。

この写真の場所右手前にきれいに舗装された駐車場あり。
通行禁止と書かれているものの車の轍のようなものが見え、これは突入しても問題ないのでは?と悪い考えが浮かびます。
が、もちろん私は徒歩を選択しました。まあ結果的に大正解でしたね…(そもそも通行禁止だから突入してはいけない。)

轍は明らかにジムニーのようなタフネス系軽自動車のもので、普通車はまず通行できないと思います。
この先一気に極細の狭路になる上にそもそももう道じゃない 笑
ドロドログチョグチョの未舗装路で巨大な落石というか岩石、ぶっとい倒木だらけ。
たとえジムニーでもノコギリやサンダーなんかの工具を積んでいないと完全に詰むでしょう。


10~15分ほど歩くと左手に「←万劫の大カツラ」の看板を発見。
どうやらこの小川を渡る必要があるみたいです。川幅は約1.5mくらいでしょうか。

私はカメラと三脚をたすき掛けしておっさんジャンプしましたが、自信のない方は周りの落石(いくらでもある)を積んで橋を作ればいいかなと。
水量の多い日の訪問は素直に諦めるが吉だと思います。渡渉以前にクマ鈴の音がかき消されたりと色々な意味で危ないので。


先程の川をジャンプした目と鼻の先に立っている立派なトチノキ。
すごいところに来たなとテンションが上がります。

なお、川をジャンプして左手(川下側)に進むとすぐ垂直に合流する小川にぶつかりますが、その小川を渡らずに右へ。
つまりその小川の川上へと数分登ると目的の巨樹が見えてきます。

文章にすると分かりにくいので簡単にMapに補記するとこんな感じです。
道中にチェックされている「七品のかつら」はまた後日紹介するので無視してください。


余談ですが野生動物の気配がとんでもない…正直かなり怖かったです。
クマ対策装備必須はもちろんのこと、出来ることなら単独での訪問は避けた方がよいでしょう。
余程の物好きでもないかぎり、こんなところまで同行してくれる人がいるのか謎ではありますが。


おお…ようやく見えた!あれに違いない!
既に訪問済みなので冷静沈着、クールに書き進めておりますが、実際どこにあるかよく分からなかったため不安だったのです。
大量にまとわりつくアブ軍団を払いのけ、クマへの恐怖も忘れて駆け寄ってしまうほどの興奮でした。


イイ!!
幹周10mオーバーのカツラが点在する兵庫県において幹周9.0mは特別目立つ数字ではありません。しかしこれはイイ。

例えば県内の「別宮の大カツラ」も本当に素晴らしいカツラですが、あちらはどこか御神木的に人の手が行き届いている感がある。
しかしこの「万劫の大カツラ」にはもっと野性味がある。野良カツラ的な迫力こそが一番の魅力であろうと感じられました。

「別宮」が新日本名木100選的な巨樹なら「万劫」は森の巨人たち100選的な巨樹。
優劣を論じることに意味はなく、どちらも文句なしの会いに行って後悔の無い巨樹だと言えましょう。


とても背が高い。
開いた傘のように樹冠を広げるタイプではなく、周辺の樹木に負けじと天高く幹を伸ばすタイプの樹形です。
根元に立って空を見上げると「うわあ…」と声が漏れるほどの迫力。


裏側から。斜面を駆け上がるように伸びるひこばえが映える。
こういうのも人の手が入るとある程度剪定されてしまいますが、在るがままの姿で育っているのがイイ。
自然と枯れるべきひこばえは枯れ落ち、残った強いひこばえが新たな幹として育つのでしょう。


それぞれの幹を単体で見ると巨樹的な迫力に欠けるものも少なくないカツラの巨樹。
しかしこの質感ですよ。毎年降り積もる豪雪の重みに耐えて数百年生きる幹が「迫力に欠ける」なんてことあるわけがない。


やはりカツラの巨樹を眺めるなら春から夏の時期にかぎります。
ふわっとメープル臭の香る秋の黄葉も推したいところですが、カツラは黄葉から落葉までが早すぎて見頃が読めないのが難。


クマへの恐怖も忘れて圧倒的マイナスイオンのシャワーを浴びる。気持ちよすぎる…

しばし目を瞑って深呼吸していたら肘にチクッとした痛みが。
ええ、あのスズメバチそっくりなアカウシアブですよ。まんまと吸血されているではありませんか。
(まあアブでよかった。一瞬スズメバチかと思って「うわああぁぁ!」なんて情けない声で叫んでしまいました 笑)


一言にまとめると「素晴らしいカツラです」以上。他に言うべきことがない。
とにかく荒々しくも壮大なカツラ。

人の来ない山奥ですから、どうぞただ驚いて「うおー!」なり「ヤッホー!」なり大声で叫んで帰ってください。
日常のストレスなんて一発で吹き飛びます。

「人里の巨木たち」さんが”悪路と渡渉という二つの難関があるのだが、トライする価値は十分にある”と書かれていますが、私も全く同じ感想です。

2023/7/3訪問
「万劫の大カツラ」
豊岡市指定天然記念物
樹齢 推定200年以上
樹高 30m
幹回り 9.0m

兵庫県豊岡市日高町万劫

コメント:4

23-11-02 (Thu) 22:31

悪路の上、川ジャンプまであるとは。まだ新しい難関が出現するとは……。
浅いリサーチでこんな川に行く手を阻まれたとしたら、諦めるのか、変な覚悟を固めるのか……。

そして、これはまさにその先にあるにふさわしいカツラ巨樹だと感じました。
カツラ巨樹それぞれ、削れたり抉れた土地にあるものですけど、そこに地方性が加わるようにも思います。
このカツラにはどこか「藤坂の大カツラ」にもあった中部~西日本っぽさがあるような、そりゃそうだってもんですが、明らかに東北や北海道のカツラとは毛色が違いますね。
バラけがちな幹をギュッと集めて固めたような立ち姿。ストレートに巨樹だ!とぶつけてきてくれそうです。
カツラあるあるですが、この派手な枝折れでも全く動じていない感じがまた素晴らしいです。

to-fu 23-11-03 (Fri) 17:06

> 狛さん
まさに今回手探りの訪問だったので色々と衝撃的な巨樹でした 笑
県天クラスなのに市天止まりにしてあるのが分かる気がします。あまり注目を集めると救助要請が多発しそう…

立地から何から西日本らしさを感じるカツラですよね。
この辺りは湧水量が豊富な上に土だっていかにも肥沃そうで、きっとカツラが育つには最適な環境なのでしょう。
(京都市内に点在する恵まれない子供たちみたいに瘦せ細ったカツラの木とも大違いだ。)

枝の枯損が目立つし形だって歪、しかしそれこそがこのカツラ最大の魅力となっているように思えました。
この手の巨樹は表立って万人にオススメし難いですが、狛さんやRYO-JIさんには是非とも見ていただきたいです。

RYO-JI 23-11-03 (Fri) 21:56

クマへの恐怖心を忘れるくらい・・・その表現だけでいかに素晴らしいカツラであったかが充分伝わってきますよ(笑)。
車を降りて歩き出すあたりからすでに撤退の二文字が脳裏に浮かんできそうな立地ですが、勇気を持って進んだ先にコレですか。
それはもう感動もひとしおでしょうね!
苔生した幹が野性味感に貢献しているようにも思えます。
そしてやっぱり新緑溢れる姿がまた美しい。
山奥にひっそり静かに佇むカツラの良さを知らずにいる大多数の人にも見てもらいたいと思ってしまいました。
もちろん私も絶対に見たいです。
しかし兵庫県はカツラの宝庫ですね。
これが県天でないというのが層の厚さを感じさせます。

to-fu 23-11-04 (Sat) 20:35

> RYO-JIさん
大物巨樹と向き合っている時間だけは「今この瞬間クマに襲われても後悔はない!」と強気になりますね。
実際目の前に現れたら後悔と恐怖しか残らないと思いますが 笑

以前RYO-JIさんが訪問されていた熊野の「大又のカツラ」なんかもそうだと思いますが、所在のあやふやな山奥の
巨大カツラは発見した瞬間のインパクトが凄まじいですね。あの鮮やかな緑を見ると来てよかった!と心底感じます。

このカツラ、県天指定されていないのは地元的にあまり人を集めたくないからでは?と邪推してしまいました。
県道258号線は数年前の台風以降ずっと通行禁止のまま放置されていますが、こういうところも整備が必要になりそうですし…
ごく一部の愛好家だけがこっそりと楽しむ巨樹というのも、なかなか贅沢なものだと思います。

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