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岡山県瀬戸内市 奈良屋のソテツ


Nikon Z f / Nikon NIKKOR Z 24-70mm F4 S

瀬戸大橋を渡って本州の海側をぶらぶらと。
こちら「日本のエーゲ海」と呼ばれる(自称する?)牛窓地区にソテツの巨樹があるということで立ち寄ってみることにしました。
個人的には初めてのソテツ巨樹ということもあり、この旅の中で密かに楽しみにしていた巨樹だったりします。


まずこの瀬戸内市の牛窓地区。
無知な私は知らなかったのですが、結構有名な観光地なんですね…

美しい海と古い港町の面影が感じられる街並み。そして港から僅か数百円で目の前の前島に渡ることもできる。
カメラと財布だけ持って少しぶらぶら撮り歩きしていたのですが、これはちょっと1、2時間で見るのは勿体ないと感じたので撤収しました。
どうせなら一日かけて、最低でも半日くらいは余裕を持って改めて訪れてみたいものです。
日本のエーゲ海は伊達じゃないな。(日本には一体いくつの自称エーゲ海が存在するのか…和歌山でも三重でも見たぞ)

牛窓港周辺に数十台分の無料駐車場がありますので、車はそちらに停めればよろしいかと思います。
ただし真冬、それもド年末にもかかわらず駐車場はほぼ満車だったので行楽シーズンの駐車は難しいかもしれません。


ひときわ目立つホテル リマーニの側にある牛窓海遊文化館の中庭に目的のソテツが立っていました。
通りからもよく見えるので、巨樹巨木に興味のある方であれば「おっ!」と思われるのではないでしょうか。

しかしこれは…「でっかいソテツだ。」
初見の感想はでっかいソテツだとしか言いようがない。
いえ、非常に立派なのは間違いないのですが、ああソテツだなあと。


まずは嫌でも目に付く解説板に目を通してみる。
ソテツ、ではなく牛窓海遊文化館(旧島戸警察署本館)が国の有形文化財に指定されているらしい。
現在は牛窓地区の歴史や風俗、朝鮮通信使に関する資料を展示する博物館として利用されています。

肝心のソテツさんについては最後の一文のみ。
江戸時代の大庄屋、奈良屋の庭にあったことから「奈良屋のソテツ」と呼ばれているようです。
しかしこの解説板…何もソテツの目の前にドカッと立てなくてもいいのに。気の毒すぎる。


対峙した瞬間は本当に「でっかいソテツだなあ。」としか言いようがなかったのです。巨樹としてどう味わうべきなのか。
遠目に眺めるかぎりでは途方に暮れるより他ありませんでしたが、いざ近寄ってみるとこれが結構面白い。
見れば見るほど変な樹木だなあと。なんとなく陸上の植物よりも海藻とかサンゴに近いようにも感じられる。


ここまで遠くから眺めるのと近くでまじまじと見つめるのでこれほど印象が大きく変わる樹種も珍しい。
正直申し上げると巨樹としての迫力はさほどのものではない…まあ、何となく察していただけると思いますが。
脳内にある「ソテツ」のイメージを一変させるほどのインパクトは感じられない、あくまでもソテツの範疇と申しましょうか。

しかし撮影対象として見てみるとこれが結構面白い。
ファインダーの中にある世界とだけ向き合っていると、まるで異国に来ているかのような不思議な感覚に陥ります。
広角レンズが生きる巨樹だと思うし、モノクロ撮影してシルエットだけで表現してみるのも面白そうだ。


それにしてもまあ本当に変な奴ですよ。長い時間向き合うほどに自分が一体何を見ているのか混乱してしまう。
生態はイチョウに近いと言われていますが、たしかにそこかしこから無限増殖を繰り返す様からはイチョウに似たものが感じられます。
ソテツに関しては幹周の数値がほとんど意味を為していないような気がしますね。大体幹周って一体これのどこを測定した数値なんだ?


街歩きを兼ねて散策していたので横着して三脚を持参しなかったことが悔やまれる。
実情を明かすと駐車スペースを探している際にソテツがちらっと見えて、軽率にもまあ三脚はいいかと判断してしまったのですが。

巨樹としてのインパクトを求めるなら別の巨樹をおすすめしたいところですが、写真撮影も兼ねた趣味なら立ち寄って損のないソテツだと思います。
24mmでも窮屈に感じられたので、出来ることなら20mmくらいの超広角レンズで臨みたいところ。
目の前の解説板さえちょっと移設してもらえたら、もっと色々な角度から南国のバケモノ的写真を撮影できるんですけどね…
牛窓自体がとてもいいところだったので満足度は高いです。お土産に買ったレトルトのバナナカレーが子供たちに好評でした 笑

2023/12/28訪問
「奈良屋のソテツ」
樹齢 320年以上
幹周 5.8m
樹高 4m

岡山県瀬戸内市牛窓町牛窓3056

コメント:4

RYO-JI 24-03-31 (Sun) 19:50

今日ソテツの巨樹を見てきたばかりの私にはおおいに頷けるポイントがあって楽しめます。
巨樹というにはアレですが、よくよく見ると本当に変な奴で撮っていてジワジワ面白くなってくるという(笑)。
幹周にはあまり意味が無く、全体像の大きさがすべてのような気もしますね。
ソテツは他所から移植したという話を他でも聞きますし、巨大な盆栽をイメージしてしまいますよ。

一枚目のポップな建物とソテツ、その対比がミスマッチなのかマッチしているのかさえわからなくなる不思議な写真ですね。
どーんと立ち尽くす解説版が巨樹ファンには残念でなりませんが、建物が主役扱いなのでこうなってしまったのでしょう。
にしても他の場所でもええやん?と思わずにはいられませんよ。

to-fu 24-03-31 (Sun) 23:02

> RYO-JIさん
まさかのソテツ巨樹!タイムリーすぎますね。
イチョウのように各地にばら撒かれたそうですが、それこそギンナンが実るわけでもないし材として重宝するわけでもない。
一体何を目的にソテツが広まっていったのか興味があります。いえ、たしかに見てる分にはとても面白い植物だと思いますが。

ソテツにどんな建物が合うかと言われると…ああ、やっぱり何も思い浮かびません 笑
お寺に植えてあることが多いですが、だからといってお寺の景観にマッチするかと言われると別にそうでもありませんし。
解説板はもうちょっと何とかなるだろ!と思うんですけどね。よりによってそこに立てるか?と。

24-04-01 (Mon) 20:43

千葉県の海っぺりでは見かけましたが、東北では本当に見ないヤツですね。
かなりモンスター味の強い幹(?)周5.8メートル、いったいどのくらいの年月でここまで成長するものやら、イチョウ以上に見当がつかない。
そういえば素性をあまり知らないぞと調べてみましたが、自生北限が宮崎県とか、日本の樹木離れしてますね。
飢饉時の南西諸島でソテツを食糧にしてたという話も本で読みましたが、毒性に関しても、発癌性やらALSの原因物質やらで……けっこうヤバいなと。
しかし、この姿を南方のサンゴやヒトデみたいだと連想すると不思議と納得がいくような。
自然の驚異を感じ、一度意識してしまうと目が離せなくなる樹種かもしれませんね。

ソテツと切り離せないような南国情緒が素敵なこの建物も、東北では全く見ないやつだ。笑
「奈良屋の庭にあったものである。」というこの書き方、そこからソテツを掘って持ってきたのか、はたまたここが元は奈良屋の屋敷だったのか気になりました。
まあ後者かなと思うものの、静岡の「能満寺のソテツ」は、家康が気に入って城に持ってったとかあって驚きました(そして戻した)。
他の樹木より根張りが浅そうなので、そういうケースさえもありそうに思えてきました。
「変さ」に唸らされてしまいますね。

to-fu 24-04-01 (Mon) 23:15

> 狛さん
この南国然としたルックスからして東北の冬には耐えられそうもありませんね 笑
しかし自生北限が宮崎県ってとんでもないですね。たしか巨樹としては福井県の常神半島の先っぽにある「常神のソテツ」が
北限だったように記憶しています。何度も近くを通りつつ、ソテツだしなあ…とスルーしており。そろそろ見に行かないと。
って、ソテツを食ってた時代があるんですか?私だったらソテツを食べるくらいなら河原のぺんぺん草の方が…
(調べてみたら奄美の方では今でも食文化の一つとして引き継がれているとか。センチメンタルバリューは一番の調味料ですねえ。)

牛窓は気候も街並みも南国情緒溢れるところで、自分が岡山県にいることを忘れてしまうような場所でした。
紀伊半島とか房総半島の先端のように県内でも独自の文化圏が築かれていて、ソテツ抜きにしても改めて
街歩きしてみたいエリアです。岡山県といえば倉敷の美観地区が有名ですがこんなところもあったんだなと。

って家康サンの逸話に吹き出してしまったではありませんか。戻すなよ 笑

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