- 2018-09-01 (Sat) 22:41
- SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G | サワラ | 岐阜県 | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別)
SONY α7II / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G
「千光寺の五本杉」から離れ、高山市の外れで飛騨名物のケイちゃん焼きをいただく。僕はこのケイちゃん焼きが大好きでして、飛騨に来たらこれを食わずに帰れるかという感じなのです。とにかくご飯が進むんですわ、これが。さーて食った食った…ということでチェックインまでまだ少し時間があるので、せっかくですし今回の旅では断念するしかないかと半ば諦めていた巨樹に会いに行ってみることにしました。道の駅 ひだ朝日村のすぐ近く、「七本サワラ」です。
この手の巨樹は細部を見てもいまいち伝わりにくいので、とにかくズドーンと全景を。
おお、これはなかなか。七本サワラの名のとおり合体樹ですし、実のところ1本1本の幹を見ると高さこそ立派なもののド迫力!というほどの巨樹ではありません。しかしこれだけの本数が束になると流石に壮観というもの。周囲には田園地帯が広がっていて、多少離れたところからでもこのサワラの巨樹が否応なしに目に付きます。本州から瀬戸大橋を渡ったところに「ゴールドタワー」という無駄に巨大な建造物がピョコンとそびえ立っているんですが、ふとその光景を思い出しました。(無駄に、なんて言うと香川の方に怒られそうですが。)きっと地域のランドマーク的な存在であり、地元の子供たちが今日はサワラ公園集合な!なんて待ち合わせ場所にしていたりするんでしょう。うん。いいなあ。チャリンコを停めて駆け回る子供たちの残像が目に浮かびます。いえ、勝手な妄想ですけどね。
雨風でかすれて解読困難な状態になってしまった案内板。
ざっくりまとめるとこんな感じでしょうか。「1302年に亡くなった町の名士・甲村文作の遺骸を長男・文左エ門がここに埋めました。文作には七人の息子がいたので、文左エ門はその数にちなんで6本のサワラと1本の桜を植えたのです。大正末期に桜が枯死してしまい、現在はサワラの6幹になりました。」ということで、七本サワラは実のところ六本サワラ1本サクラであり、現在は六本サワラであるということになります。ふむふむ。まあ、ややこしいし呼称は七本サワラでいいんじゃない?という感じでしょう。きっと。
それにしても何故に桜が1本?不思議ですねえ。実は七人の男兄弟ではなくて、一人だけ女の子だったんじゃないでしょうか。真実は闇の中ですが、巨樹のこういったバックグラウンドを勝手に妄想して、ストーリーを組み立てるのも巨樹巡りの楽しみですよね。(自分だけなのかもしれません)
この手の合体樹あるある。どの角度から撮っても全ての幹が写ってくれない…
本当に6本もあるの?と思われるかもしれませんが、6本ありましたよ。実際に数えたので間違いありません。
一番立派な手前の幹の樹皮が一部剥がれていますが樹勢は良さそうです。
あまりにも綺麗に樹皮が剥がれているので、これは最近人為的に剥がした跡なのかもしれません。たしかお寺さんや神社の屋根にはサワラの樹皮が用いられているので、そういった目的で剥がしたのでしょうか。黒いウレタンのようなものは傷が広がらないよう保護のために塗布されたものだと思われます。
どの幹も気持ちいいくらい色濃い緑の葉が茂っていました。
白っぽい幹と葉の強いコントラストが映えますね。
幹周9.6m。サワラの巨樹としては福島県「沢尻の大ヒノキ」に次ぐ日本第2位のサイズだということです。
ただ、まあ…ちょっと反則ですよね、これは。
遠目に見ると如何にも大袈裟であり、なかなかテンションを上げてくれる巨樹ではあるのですが、いざ近付いてみた感想を正直に申し上げるなら「うーん…もう少し重みが欲しいな…」といったところでしょうか。1本の巨樹として見ると本当に立派なんです。しかしそれぞれの幹を見てしまうと、何となく軽さを感じるなと。個人的な感覚で言うと「千光寺の五本杉」に近い感覚かもしれません。(あれよりずっと立派ですが。)まだまだ健康そうな巨樹です。あまりにも周囲が開けているので落雷だけが心配ですが、もっともっと大きくなるでしょう。200年、300年後が楽しみな巨樹だと思います。
七本サワラ
岐阜県指定天然記念物
樹齢 約700年
樹高 30m
幹回り 9.6m
コメント:4
- 狛 18-09-01 (Sat) 23:11
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おおー、これは見事ですね。
根が発達してのし上がっているようなところ、周囲で一番高いモノであるというような自信に満ちた姿、見所があるなあと思いました。
実際自分の目でも見てみたいです。
to-fuさんが感じた軽さというのは、やはりこう、もうちょっと密着してくれていると良かったかもしれませんね。笑
樹種ゆえというのもあるかもしれません。
その点でいうと、単幹で巨大な「沢尻の大ヒノキ」はおすすめです。これでサワラか!? と思うようなところが。
ナンバー2のこのサワラ(たち)も、7本を説明している伝承がちゃんとあるのはいいですね。
そう、僕も桜の説明としては瞬時に同じことを考えました。笑
兄妹たちがお弔いで木を植えてるシーンとかはちょっと物語性もあっていいと思うので、ぜひこの解説文を修繕して欲しいところ。読めねえって。
樹皮は結構深く削ってあるみたいだし、多分治療中なんじゃないかと思います。これからキニヌールを……。
けいちゃんタレ、ありがとうございました。
我が家で随分重宝しています。他調味料との変なブレンドなんかも生み出されてトリがうまい……岐阜にまた行きたいですね。 - RYO-JI 18-09-02 (Sun) 21:33
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確かに子供達の集合場所になってそうな感じですね(笑)。
7本の説明、なかなか興味深いです。
こういう合体樹って、当時の人の切なる思いというかいたずら心というか、
そういうのが感じられて想像すると楽しいですよね。
絶対に合体するのがわかっててやってるんだろうなぁ・・・とか。
桜が枯れてしまったのは残念ですね。
重みはなくともこれだけ立派な巨樹に、春になると桜の花がつく姿ってスゴイ見応えありそうです。
まだまだ元気そうに見えますが、ワイヤーで引っ張られてそうなのが心配です。 - to-fu 18-09-03 (Mon) 18:59
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> 狛さん
1本の巨樹として見ると本当に立派なんですが…仰るとおりで、どうもスカスカ感があるからか僕にはこれを一つの個体として認識することが出来ませんでした。樹種によるところもあるのかもしれませんね。スギと違って樹皮に立体感が出てこないので、なんとなくフワフワして見えたんです。もっとギュッと密着して、より個体感が強くなれば印象が変わりそうですが、自分が生きているうちに見るのは無理そうですね。残念です。
沢尻の大ヒノキ、やばいですね!福島は良い奴が揃ってるんだよなあ…次回は福島1泊コースかなあ…
けいちゃん普及活動の一環です。ぜひご家族にも広めておいて下さい 笑 - to-fu 18-09-03 (Mon) 19:06
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> RYO-JIさん
この由来良いですよね。どうせどこかの坊さんが戯れにお箸を7本ぶっ刺したんだろうなーと想像してましたが、予想に反してしっかりしたストーリーがあって驚きました。そうなんですよね。僕も植える時点できっとこの姿を想像してたと思います。出来るわけないですけど、今のこの姿を見せてあげたいですねえ。(どうせ見せるなら桜が健在な頃の方がいいか 笑)
サワラの巨樹はあまり見た経験が無いので樹種としての寿命がどの程度なのか分かりませんが、見た限りでは葉の色も若々しく、まだまだ成長出来そうでしたよ。このまま地域の目印として成長を続けてほしいですね。
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