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兵庫県丹波市 常瀧寺の大イチョウ 再訪

常瀧寺の大イチョウ
SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G

常瀧寺の裏山を登りきって見た光景。
藪を抜けるときの高まる期待とは裏腹に、それは悪い意味で自分の予想を裏切られる形になりました。
紅葉にも当たり年外れ年がありますが、今年の近畿圏の紅葉は近年稀に見る外れ年だと言って間違いないでしょう。


いきなり全体像から載せてしまいますが、思った以上に黄葉が進んでいません。まだ早すぎたのか?とも思いましたが、この常瀧寺がある大名草の集落に来るまでに見た何本ものイチョウはとっくに黄葉を進めており、黄葉に有利なはずの標高の高いところに生えているこの大イチョウだけが黄葉しない理由が時期によるものだとはちょっと考え難い。


いくつかの大枝が地面に転がり、葉にもどこか瑞々しさが感じられない。そんな状況を見るに、やはり先日訪問した「丹波国分寺跡のオハツキイチョウ」同様に台風の被害によるダメージの一環なのではないかと想像します。近くでじっと見つめてみると葉は黄色くなる前に力を失ったかのように萎れ始めており、これでは黄葉する前に散ってしまうんじゃないかという印象でした。黄葉しているものも元気が無さそうで、どこか色味が薄い。

そう、地元京都の紅葉にも同じ現象が起きています。いわゆる紅葉の名所と言われるような場所の紅葉って、例年ならペンキをぶち撒けたかのような、これホントに自然の色なの?おかしくね?と疑いたくなるくらい鮮やかな発色をしているのに対して、今年はどうも色が浅いんです。誰かがPhotoshopで彩度だけ抜いちゃったんじゃないの?という具合に。


しかしそれはそれ。黄葉は黄葉、イチョウの巨樹はイチョウの巨樹で別腹です。
やっぱりこのイチョウは文句無しに凄い。この姿には初見でなくとも興奮してしまいます。
せっかく来たのだからこの大イチョウを存分に満喫して帰ろうではないか。


あまりに巨大すぎて何処から撮っても収まりきらない。
そして何処から撮っても絵になってしまう。

常瀧寺の大イチョウ
別れているように見えますけど、これ全部1本のイチョウですからね。
左側の幹?枝?が右下の地面に接触して根を張り、そこからググッと別ん巨大な幹に成長している。ちなみにご存知のとおりイチョウには雄木と雌木が存在します。この大イチョウはギンナンのならない雄木なのですが、近くにイチョウの木は1本も存在しないんです。つまり雌木が存在しないので、本来であればこうして子孫が残ることは起こりえない。現地案内板によると、これは実は謎多きイチョウ界の中でも結構稀有な事例なのだそうです。(あ、また案内板の写真撮ってないや。興奮しすぎてつい…また行かないと 笑)

常瀧寺の大イチョウ
しかしこの神々しい姿、何度見ても惚れ惚れしてしまいます。
見ようによっては結構おどろおどろしい外見なので立地次第では巨大オバケ的な怖さを感じる存在になっていたのかもしれませんが、幸いここは大昔に旧常瀧寺があった跡地。周囲が大きく開けているので、そのような怖さは全く感じられません。


横に伸びる幹の上に更に幹が生じている。何が何だか分かりませんが、これはもう本当に物凄い巨樹だなと思います。勢力拡大のためには手段を選ばない。自然界の中で何百年、千年以上も生き抜くにはそんな心構えが必須なのでしょう。

常瀧寺の大イチョウ
触手のような根回り。この辺りの地中を覗いてみたい。きっとこの大イチョウの根が数十メートル単位で周囲の土壌を掌握しているものと思われます。


麓に鎮座する法道仙人さんも元気のないイチョウに少し寂しそうな様子。来年こそは素晴らしい黄葉を見せてもらいたいものです。大事を取って11月下旬に訪問する方が良いかもしれませんね。


前回訪問時は「常瀧寺の人イチョウ」とマヌケな表記になっていた棒ですが、しっかりと上からテープを張って修正されていました。というかあれ、作った人も設置した人も誰も気付かなかったのが凄いよ。人イチョウてなんやねん!てなるでしょう普通。一体どうなってんの。


イチョウの巨樹としては近畿圏ナンバーワンだと思うんですよね。
(岡山県の「菩提寺のイチョウ」というのも凄そうなので関西ナンバーワンとは言わない。)
これからもずっと元気でいてもらいたいものです。

・前回の訪問記事(2018/5/30)はこちら。

常瀧寺の大イチョウ
兵庫県指定天然記念物
樹齢 約1,300年(伝承による)
樹高 約30m
幹回り 約11m

「常瀧寺」 兵庫県丹波市青垣町大名草481

コメント:4

18-11-16 (Fri) 10:23

横着して昨年撮った西蓮寺のイチョウの黄葉を載せようかな……と思っていたのですが、このような例を見ると今年の有様が気になってきますね。
ちなみに、写真のデータからすると昨年の霞ヶ浦湖畔では12月1日にピークだったようです。
今年は台風のせいで塩気の強い風が吹き付け、色づかずに落ちてしまうという例がケヤキでも多いようです。

周囲のイチョウたちがもう色づいているとすると、確かに何かあったのではないかと心配になります。
それも、この大イチョウだからこそなおさらですね。
唯一無二のこの巨大さ、塊感は他の樹では味わえないものであろうと察します。
巨樹を見慣れない人を連れてって衝撃を与えてやりたいですね。
たかが樹だろ? と思って油断してると腰を抜かすぜ。笑

to-fu 18-11-16 (Fri) 19:46

> 狛さん
紅葉の名所=人が多い、なので人が多いところを嫌う自分としては紅葉とか桜って全然見に行きたいと思わないんですが、巨樹的にこのお方だけは見ておかねば!と行ってきました。山奥だけに人も居らず巨樹を楽しめましたが、季節モノとしてのイチョウは今年は完全にダメみたいです。

西蓮寺のイチョウというとあの二本のアレですよね。いや、ぜひ行って下さい!(自分が見たいだけだという)
今思えば出島のシイを訪問した際、真夏だろうがとりあえず行ってみればよかったと後悔しています。
超ド級の巨樹はきっと巨樹に興味のない人に対しても衝撃を与えますよね。
狛さんと伏条台杉群生地に行った僕がまさにそうでしたから。こんなにはまっちゃうなんてなあ。

RYO-JI 18-11-17 (Sat) 22:24

イチョウというのは、巨樹好きとっては世話のかかる樹種ですよねぇ。
一番楽なのは常緑樹ですが、落葉樹でも葉がある時と無い時の2回で済むのに、
イチョウはそれに加えて黄葉時にも見ないと満足できませんからねぇ(笑)。
自分も再訪でアレ?という色付きを最近経験しましたからお気持ち察します。

でもまぁ黄葉具合はともかく、このイチョウは見に行って損するどころか、
何度でも見たくなるような別格の魅力があるんでしょうねぇ。

to-fu 18-11-18 (Sun) 16:21

> RYO-JIさん
そうですねえ。全く世話が焼ける奴です。
スギさんなんかはもう年中いつ行っても同じような姿を晒してくれますが、イチョウさんはそうも行きませんからね。
冬は冬で雪化粧された姿も見てみたいし、やっぱり艶のある雨の日の姿も…ああキリがない 笑

ここはイチョウに到達するまでに本当にゲンナリするくらいの山道を登らないといけないんですが、むしろそのハードルのおかげで人もあまり寄り付かない特別な場所を演出してくれているのかもしれません。やっぱり来年もまた見に行くんだろうなーという気がしています。

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