- 2019-03-02 (Sat) 22:10
- SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G | カシ | 京都府(京都市以外) | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別)
SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G
色々と訪問してログの整理・掲載が追いつかなくなってくるとどうしても全国的に名高い巨樹の紹介を優先してしまいがちですが、ここらで一旦小休止。いえ、全国的には名が通っていなくとも素晴らしい巨樹というのは多く存在するものです。今回紹介する巨樹も恐らくあまり名の知られていないものでしょう。京都府南丹市美山、大野ダム近くの農村にひっそりと佇む「滝神社の大樫」です。早朝で雨が上がるという天気予報を見て出発しましたが延々降りしきる雨。当日の天気くらい当ててくれや…と呪詛を唱えながら急斜面に立つカシの巨樹と対峙します。
先日紹介したビャクシン同様、そもそもカシという樹種はそこまで大きくなるものではありません。こうして見ていただいても分かるとおり、天を衝くような大きさであるとか、迫力や巨大さで圧倒してくるタイプの巨樹とは趣が異なります。
では見応えがないのか?というと当然そんなことはありませんのでご安心を。
見て下さい、この異常発達した超巨大なクルミのようなコブを。
どの角度から見てもコブ、コブ、コブ。雨露が樹皮のコントラストを強調させ、そのおどろおどろしさが一層強まっています。余談ですがカシの巨樹は今までに数本しかお目にかかっていませんが、その魅力は晴天ではなく雨天にこそ発揮されるような気がしますね。湿度を帯びてヌメヌメした巨大生物を思わせる樹皮、どことなくシイに通ずるそのホラー映画的な薄暗さは雨天下でこそ際立ちます。(晴天の日に訪問した滋賀県の「黒田のアカガシ」は何となくコレジャナイナ感があって記事にまとめる気になりません。雨の日に再訪してその姿を見てみたい。)
斜面の下から。樹高は約30m。思ったよりあるな、と思いませんでしたか?そう。写真では伝わりにくいかもしれませんが、実物は巨樹としてもそれなりに立派なんですよ。枝振りも健康的で樹勢は旺盛。カシの大木は朽ちて空洞化しているものが多いので、数値だけ見ると全国のランカークラスには及ばないものの、このクラスの大きさで健康的な巨樹は?という観点で見るとそれなりに上位に来るのかもしれません。
うん、このグッと黒が引き締まった樹皮が見事。
やっぱりカシは雨に限るぜ…なんてカシ経験数本のくせに知ったようなことを思ってしまいます。
周囲にはたくさんのカシの実が散らばっていました。アカガシ、シラカシ、アラカシ。ウラジロガシなんてのもありますね。あまり詳しくないもので私には何カシなのか判別が付きませんが、先人のログを拝見しているとシラカシ、あるいはウラジロガシではないか?ということでした。(うーん…どこを見て判別しているんだろう。図鑑が欲しい。)
斜面の上から。よくまあ身軽にひょいひょいと移動して撮影してるよな、なんて思われるかもしれませんが、ここでの撮影中に二度もシリモチを付いてます。階段で一回、ここの斜面でもう一回。痛い。ちなみに奥に見える東屋は「かやぶき観音堂」と呼ばれるお堂。特に由来のある建造物というわけではなくて休憩スペース?物置?的なもののようです。
こちら側から見た苔生した幹がまた凄い。同じドングリの実を付けるだけあって、やっぱりスダジイに通ずるところがあるように思えます。ただシイと違って葉の緑が濃いので見栄えはこちらの方が良いかもしれませんね。
全国クラスのカシとまでは行かないかもしれませんが、日本の原風景のような周辺のロケーションと相まって、非常に見栄えのする巨樹です。写真映えもしますが、腰掛けてのんびり絵なんて描いたら一層様になるのではないでしょうか。
紅葉には少し早い時期でしたが、それでも見事なものでした。ちょうど雨脚が強まってきたこともあり、かやぶき観音堂で雨宿りさせてもらいながら景色をぽけーっと眺め、しばし物思いに耽ってから次なる巨樹へと向かうのでした。
2018/11/9訪問
「滝神社の大樫」
樹齢 不明
樹高 約30m
幹周り 約5m
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コメント:4
- RYO-JI 19-03-03 (Sun) 23:12
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小休止的な巨樹は大きな驚きはないものの、しみじみその味わいが感じられていいもんですよね。
私も最近その魅力にハマりつつあります(笑)。
そういう意味でもこのカシは訪問の甲斐がありそうです!
コブもスゴイですね、これ。
何でこんなことになってしまうのかと・・・。
このカシの周囲環境は明るい感じがして大丈夫ですが、薄暗い森の中で見たらちょっと近付けないかも。
このコブも悪い呪いが詰まってる~、とか想像して更に怖くなりそうです。
以前行った三重県の青田の大カシがまさに怖いタイプのヤツで、それ以来カシの訪問に関しては慎重になってます(笑)。 - 狛 19-03-04 (Mon) 16:11
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カシは珍しいですよね。やっぱり、成長が早くないのに、材として需要があるからだと思いますね。
形は様々……うーん、でも、自分の経験を足してみても、ホラー勢が多数派なのかも……。
このカシもまた、我々の予想の及ばない造形を見せつけてきてますね。
斜面にあることで根元を逞しくしようというのはわかるんですが、カシがそれをやると、こうなるのか。
見た目は爽やかではありませんが、中身がいっぱい詰まってそうで。全体像もかなり迫力ありますし、苔むした樹皮はインパクト十分で、なるほどto-fuさんが推すように雨の日に……まあでも、僕もあの姥樫はちょっとやべえな、漏らしそうだとビビりますが。汗
個人的には、カシは、枝が蛇みたいにクネクネしているのも気になります。巨樹ともなれば、怪しげですね。
だからこそ、他の樹とはまた違って見応えがあります。
我々は写真ですが、この茅葺にあぐらで座って、絵に描いてもサマになりそうですよね。 - to-fu 19-03-04 (Mon) 19:52
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> RYO-JIさん
マイナーな巨樹もまたいいですよね。
遠出する目的地となるとどうしてもメジャーどころばかり狙ってしまいますが、往々にしてオマケ的に考えてた巨樹が予想外に良かったりするんですよねえ。それこそ本命を食うくらいに良かったり…なんてことも。
森の中のカシはもう完全にホラー系ですよね。
青田の大カシはずっと狙ってるんですけど、地図を見ると道がヤバそうなので躊躇しています 笑
巨樹以前に道にビビってどうするんだって話ですが。しかしそう聞くと行きたくなりますね…この春の目的地にします! - to-fu 19-03-04 (Mon) 21:41
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> 狛さん
そういえばそうですね。
あまり深く考えたことがありませんでしたが、そう考えると伐採を免れて巨樹にまで生長したカシというだけで十分な価値を感じます。だからこそ山深い、ちょっと面倒なところに生えていることが多いんでしょうねえ。
雨の日の姥樫はヤバそうですね。でも会ってみたい気も…山道から幹が覗いただけで逃げ出してしまいそうですが。
カシもビャクシンやカヤなんかと一緒で数値だけ見るとパッとしないので後回しにしてしまいがちですが、いざ対峙するとなかなか奥深い樹種だと思います。仰るようにシイより中身が詰まっていて重厚な感じがしますね。なかなか巨樹クラスにまで生長したカシと出会う機会がありませんが、この方もちょっと優先順位を上げて探してみようかな。
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