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兵庫県たつの市 揖保川堤防のクスノキ


SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G

昨年11月に訪問。透明度の高い一級河川揖保川に面した旧家の美しい白壁、遮蔽物のない広大な青空、そして樹冠の美しいクスノキ。非常にロケーションに恵まれたクスが目を惹くではありませんか。天然記念物無指定でありながらもこの光景が強く印象に残っており、近くを通る機会があれば是非訪れたいと思っていたんです。現地には案内板など一切無く、正式な呼称も(恐らく)存在しません。先人の名付けた名称に従って私も「揖保川堤防のクスノキ」として紹介させていただこうと思います。


ロケーションに恵まれたクスノキ…ですが、決してその立地が恵まれているというわけでもなく。すぐ根本(本当にすぐ根本、としか言いようがない)が車通りの激しい街道に面しているため、落ち着いて観察することは困難です。いえ、まあ正直なところ全く落ち着きません。というかどうもここは抜け道になっているのか、制限速度が設けられる理由なんて理解できないに違いない知性と民度を兼ね揃えたドライバーがビュンビュン飛ばすものだから結構危ない。とてもではありませんがカメラを持ってまったり観察できるような感じではありませんでした。


一応クスノキに敬意を持っているであろうことが窺え、この部分だけ車が離合出来ない細さに道を絞ったような形になっています。車やバイクにガリガリ削られたりしそうで心配になりますが、幸い現時点ではそのような痕は見られません。


凄い立地ですよね…車1台通るともう歩行者が歩ける程度の隙間すら残らない。これでよく普通に成長を続けられるよなと感心してしまいます。余所者からすると天然記念物指定して周囲のスペースを確保し、隣の歴史的価値の高そうな白壁と合わせてもっと手厚く守ってやってほしい…なんて考えてしまうんですが、慢性的な渋滞と付き合っている地元の方々からすると邪魔なクスを切って道を広げろや!という声の方が大多数を占めるであろうことは想像に易い。サイズや立ち姿だけ見ると市天に指定することも容易いクスですが、天然記念物指定してしまうと色々面倒だから…という市の方の本音が透けて見えて来るような気がします。


しかし植物というのは逞しいものです。足下を1トン以上の鉄塊が昼夜問わず通り抜けているにも拘わらず、それが原因で痛んでいるであるとか不健康そうに見えるといったことは全く感じられません。それどころかこの樹冠、健康そのものではありませんか。


車道ギリギリに立つクス。これで大丈夫なんだから恐れ入ります。ホント。車に突っ込まれたりしないんでしょうか。こういう姿を見てしまうと、自分も日頃根本を痛めないように…なんて巨樹の側をおそるおそる歩いてみたりと気遣いしたような気になっていますが、巨樹にとっては実はそんなのあんまり関係ないんじゃねえかな?と思ってしまったりもしますね。(いえ、一応それでも気は遣いますが。)


うん、本当にロケーション抜群なんですよ。この辺りまで来ると揖保川も下流域になるはずなんですが、素晴らしい透明度です。泳げるんじゃない?ってくらい。こんな立地でも健康でいられる秘訣はその良い土と良い水にあるのかもしれません。


隣の旧家の中に見えるのはシイでしょうか?巨樹データデースにも登録されていないようなので詳細は分かりかねますが、相当な大きさに見えます。うーん…絶対巨樹クラスだよなあ。


馬鹿の一つ覚えのように連呼して申し訳ありませんが、本当に素晴らしい光景ですよねえ…
近くで細部を凝視するのではなく、河川敷に降りて水の流れを聞きながら、のんびり眺めるのが正しい作法なのかもしれません。ちょうどお昼頃に訪れたと記憶していますが、車通りの少ない夜明け直後の訪問が最もおすすめです。夕方も…きれいだと思いますが交通量が気になりますよね。うーん、やっぱり天然記念物指定してあの交通量を何とかしてくれたら…樹形の美しい立派なクスノキなのに、本当に勿体ない。

2018/11/23訪問
「揖保川堤防のクスノキ」
樹齢 不明
樹高 約20m
幹周り 6.2m

コメント:4

19-03-31 (Sun) 8:47

道と建物と巨樹がおりなす景観がなんともいいですねえ。
100年も200年も、このクスは似たような境遇で生きてきたのかなあ……なんて思ってしまいました。
ごく若木の頃から交通量の多さに踏まれて、そういうもんだ……って育ったのかもしれません。
ということは、古来からここらは交通量が多い道で、このクスが植えられて育てられた理由も、ひょっとすると交通や道幅そのものを制限する目的があったのでは?
……などと深読みをしてしまいます。
当たっているかどうかはともかくとして、樹と人間の関係をこれほど密接に感じられるところ、この写真数枚にそういう歴史を読むことができるのも、日本ならではで面白いなあと思います。
目立たせるためにも、ダミーでもしめ縄と祠かなんかくっつけてあげるのがいいなと思いますね。
それが100年もすると本当の神社になっちゃう。笑
それくらい先の展望を想像するのも楽しみになるような人里の巨樹ですね。

to-fu 19-03-31 (Sun) 16:46

> 狛さん
巨樹単体で見るともっと立派なクスがいくらでもありますが、この景観がなかなかのものなんですよ。
ゆっくり眺められる立地ではないので実際足を運んでみた感想としてはオススメ度2〜3くらいかな…と、ちょっと厳しめの評価になってしまいますが、写真映えする巨樹部門(そんなのあるのか)にノミネートしたら結構いいところまで行くかもしれません。僕の中での評価は以前RYO-JIさんも訪問されていた三重県の「長太の大楠」に近いです。積極的に再訪したい巨樹ではないけれど、天候や時間帯等のシチュエーションがハマったら凄く綺麗な写真が撮れるんだろうなと。写真コンテスト向けの巨樹ですね。

ダミーのしめ縄や祠は良いですね!
そういえば立ちション対策に外壁に鳥居のイラストが描いてあったりしますが、あれと同じ効果が期待出来そうです。
数百年後には是非とも「高僧が杖をぶっ刺したところ、その杖はみるみる巨大なクスノキへと成長し、道路はクスを避けるかのように自然と曲がってしまった。」であるとか、伝説も書き添えていただきたいところです 笑
一度事故なんか起きてしまうとクスを切断するべきだという声が高まるだろうと思いますので、そうなってしまう前に何とか上手く保護してあげてほしいですね。

RYO-JI 19-03-31 (Sun) 22:51

この記事を読んで見てバカみたいに普通の感想ですが、ほんと気持ちのいい景観ですね(笑)。
いやー、これはイイ。
確かにあの長太の大クス的な気持ち良さですよ。
晴れた日に、ちょっと離れた所から眺めつつ弁当でも食べたい感じです。
でいればアルコールも(笑)。

このクスノキの元気ぐらいからすれば、ぶつかった車の方が大破して終り・・・でしょうね。
そうなってクスノキが伐採されないことを祈るばかりです。
あと、隣のシイ?
更に大きそうでめちゃくちゃ気になりますね(笑)。

to-fu 19-04-01 (Mon) 16:29

> RYO-JIさん
河川敷にシートなんか広げて弁当とアルコール…最高ですね!
近所だったら絶対やっていると思います。RYO-JIさんにもお声がけして 笑
長太の大楠も写真映えする巨樹ですよね。このクスにも言えることですが、いつもの「至近距離から広角レンズ」の手持ちスナップスタイルよりも三脚を構えて遠距離から長玉でビシッ!ビシッ!と1枚ごと集中して撮影するスタイルの方が向いている巨樹だと思います。

隣のシイは気になりますよねえ。絶対スダジイの巨樹だと思うんですが。
撮影とまでいかなくても、一度庭からほんの少しでも覗かせていただきたいですねえ…

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