Home > SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G | センダン | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別) | 香川県 > 再訪 香川県仲多度郡琴平町 琴平町の大センダン

再訪 香川県仲多度郡琴平町 琴平町の大センダン


SONY α7RIII / SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G

昨年末に訪問した「琴平町の大センダン」。既に落葉してしまい僅かに実を付けるだけの状態だったため、是非とも葉を茂らせた万全の状態を見てみたいと思っていたのです。絶対に再訪するつもりではいましたが、まさか一年以内に念願叶うとは。灼熱地獄の中付き合わせてしまった家族には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。それも金刀比羅宮参拝後ですからね…感謝しております。


久々に対峙する大センダンですが…やはりデカい!センダンの木自体が恐らくそこまで大きく成長するものではないはず。しかしこの巨樹に限って言えば、樹種を無視して見たとしても相当な大きさです。国内に現存する2本の国天指定されたセンダンの片割れということなんですが、正直なところこの巨樹と同列に並べられる「野神の大センダン」が気の毒でなりません。いえ、私の場合は先にこちらを見てしまったものですから、野神の大センダンを発見した瞬間のあの落胆っぷりと言ったら…もう口癖になりつつありますが、本当に巨樹そのものには何の罪も無い。だけど、ねえ。


私が前回訪問してから僅か7ヶ月の間(樹木の寿命からすると一瞬のような月日のはずです。)に大きな状況の変化があった模様です。ええ、以前も木製の柵のさらに外周を囲うようにして簡易的なロープが張られていたんですが、今回はそれよりもさらに外周が全方位杭で覆われており、センダンに全く近付けなくなってしまいました。前回は24-105mmのズームレンズでも辛うじて案内板を読むことが出来たんですけど、今回はもうどうしようもありません。バズーカのような巨大望遠レンズでもない限り案内板を読むことすら出来なくなってしまいました。正直なところ残念でなりません。


いやもうホント、全然近付けないんですよ。ここまでやるか?というくらい。センダンの巨樹の脇は観光バス専用の駐車スペースになっていて、閑散期であれば一般車両が駐車しても問題ない知る人ぞ知る無料駐車場として開放されていたわけですが、駐車場入口にもしっかりとチェーンが張られて完全に閉ざされた空間へと変貌していました。排ガス対策に車を締め出すという方向性には共感できますが、ここまで殺伐とした空間に変えてしまうのはどうなんでしょうね。


前回は見られなかった新しい支柱。ひょっとするとこの数ヶ月の間に枝が落下して誰かが怪我するような事故でも起こったのかもしれません。それにしても…うーん。アスファルトをめくり上げて柔らかな土の公園に変えてしまうとか、色々と保護の手段はあると思うのです。まあそれにしてもいくらか柵を広げる必要はあるでしょう。だからって、ここまで広げて孤立させなくても…はっきり言ってこんな大袈裟な柵は他に見たことがありません。


ヒューマンスケールとして公衆トイレの脇に立ってもらおうかな?なんて色々と試していたんですが、通りかかった近所の方が見かねたのか「子供がちょっと近付くくらい大丈夫だよ。」と笑いながら声をかけて下さったので、ここはお言葉に甘えてササッと撮影させてもらいました。うーん…惚れ惚れする立ち姿。恐らくこのお方、センダンとしては日本一立派なんじゃないですかねえ。幹周だけで語ると野神の大センダンに劣りますが、実際見比べると2~3ランクは見応えが違う印象です。


傷みが大きいというのは分かるんです。センダンの巨樹って脆そうですし。折損した枝の断面を見ると岩のような質感で強度だけはありそうなんですが、何となく粘りがあまり無さそうに見えます。


でも、そこまでナーバスに扱わなければならないほど健康状態がよろしくないかと言われると、そんな風には思えないんですよねえ。この巨樹がこれほど神経症的な保護が必要な状態なのだとすると、野神の大センダンなんかどうなっちゃうんだよ、とつっこまずにいられません。この場所こそ野神の大センダン周辺のような公園に整備するべきなんじゃないの?人里の中心にあるこの希少な財産を、その価値が損なわれてしまう前に多くの人に見てもらわないでどうすんの。全く何のための国天指定なんだか。


青々とした葉を茂らせ、たくさんの実を付けていました。次回は5月、是非とも花を付けた時期に再訪してみたいものです。野神の大センダンですらあれだけの香りを放っていたのですから、この周辺はそれはもうとんでもないことになっていたのではないでしょうか。


しつこいようですが、この素晴らしい巨樹を隔絶するだなんて勿体無いですよ。これだけ広大な空間がただ路駐して公衆トイレを借りに来るだけのスペースに変わってしまっていたことに悲しみを覚えました。誰だってオシッコを我慢してるときにセンダンの巨樹に意識を向けたりしませんって 笑 何とかならないものですかね。


普段であればたとえ勧めていただいたとしても柵の中に侵入するようなことはしたくない人間なんですが…うーん。今回思うところあってついお言葉に甘えてしまいました。地元の方も納得していない方が結構多いんじゃないでしょうかねえ。もちろん枝の落下には充分な注意が必要ですが、根の損傷を避けるための間合いとしては直近の柵の距離分離れていればまず問題ないと思うのです。あまり大きな声では言えませんけど。


国の天然記念物といったら国の宝ですよ。もちろん次の世代へと大切に遺していくことが我々の責務ではありますが、あまりにも高尚な存在へと祭り上げてしまうとその良さ、本質のようなものは損なわれてしまうのではないでしょうか。眺めて、近付いて、そして触れてみる。五感で、肌で感じないと分からないことが巨樹にはたくさんあると思うのです。だって巨樹はツボや掛け軸とは違う、れっきとしたイキモノなんですから。「木は神様でも何でもない、人間と同じ一つの生き物なんだ。」という某平山さんの言葉を思い出します。

2018/12/26 初回訪問時のログはこちら。

「琴平町の大センダン」
国指定天然記念物・新日本名木100選
樹齢 約300年
樹高 18m
幹周り 6.85m

香川県仲多度郡琴平町129-1

コメント:4

RYO-JI 19-07-31 (Wed) 21:43

いやー、やはり見事なセンダンです。
改めて葉のある時の姿を見ると、落葉樹は見る時期を選びますねぇ。
裸状態の姿でももちろんいいんですが、やっぱり・・・ねぇ。
しかし残念なのはここまで隔離してしまう必要があるんかい?ってことですね。
もっと身近な存在にして欲しいなぁと。
折角人目に触れることができる立地にあるのに。
センダンの健康状態を心配してというより、枝なんかが落ちて誰か怪我でもしたら・・・という責任問題的な措置なのかと。
そう思うと巨樹ファンとしては寂しい限りですが、自分だったら怪我しても本望(意気込みだけは)。
それはそうと、いつかこの目で見たい素晴らしい巨樹だと思います!

to-fu 19-08-01 (Thu) 20:41

> RYO-JIさん
本当に素晴らしい巨樹ですよ!自分はこの木を見て初めてセンダンに興味が湧いたんです!
前回も感じたことなんですが、ここの自治体はこの巨樹を人々に鑑賞してもらおうという気が全く無いんじゃない?
と思うんです。天然記念物に指定されてるから下手に切れないし邪魔、枝が落ちて怪我でもされたら敵わん。本当にそれだけ。
近くに知名度抜群の観光資源があるし、きっと厄介者としてしか見てないんでしょうね。
柵を広げる際に案内板も見やすいように一緒に移動するとか、そんな簡単な気遣いすら見られない。
全国的に見ても非常に価値のある巨樹がこのようなぞんざいな扱いを受けているのを見ると、やっぱりちょっと悲しくなってしまいますね。

19-08-05 (Mon) 16:26

「野神の大センダン」と「琴平町の大センダン」、ほんとに対照的な2本ですね。
両者の状態と、人々からの関心の度合い……野神の大センダンにかかわっている人も、当然、琴平町の大センダンのことは意識しているでしょうが、この樹勢はほんとにうらやましく思っているでしょうね。
しかし、当の琴平町では、こうして、活かす気がなさそうだという……。皮肉なものです。
周囲を囲むのは当然のことだとしても、これはちょっと殺風景すぎますね。
巨樹を見る時、周囲の環境や人の輪も含めて評価したい身としては、改めて頂きたい! と願います。
うーむ、管理してる方々に、平山サンのお宅や柏原町や、その他、巨樹を宝にしているところへ研修に出かけて頂きたい。
何かしら気づきがあると思うんですけどね。笑
おそらく、けが人だかクレームだかがあってのことだと察しますが……観察もできないってのは、ちょっとどうしようもないですね。

to-fu 19-08-06 (Tue) 11:05

> 狛さん
樹勢、その扱い。まさに対照的な2本ですよね…
この巨樹の周辺こそ、野神の大センダンのように地域の方の寄り合い所的な公園にすべきではなかったのかと。
こんぴらさんお膝元の商店街は狛さんも御存知のとおりあまりにも昭和の観光地的、カネの匂いがキツすぎる。
このような立地だからこそ、ほっと一息つける公園が必要なように感じます。

急ごしらえの支柱といい、恐らく枝の落下について何らかのクレームが入ったのでしょうね。
そんなこと言いだしたらクスの巨木立ち並ぶ金刀比羅宮の境内なんか危なくて全面立入禁止ですよねえ。
社務所の目の前には文句無しにでっかいクスの巨樹がありますし、危険度で言ったら大差ねえよ、と。
結局のところカネになるなら危険度も黙認、ならないなら臭いものに蓋をという判断基準にしか思えず、価値あるイキモノに対する扱いとしては残念としか言いようがありません。

コメントフォーム
Remember personal info

トラックバック:0

このエントリーのトラックバックURL
https://withphotograph.com/wp-trackback.php?p=10334
Listed below are links to weblogs that reference
再訪 香川県仲多度郡琴平町 琴平町の大センダン from with photograph

Home > SONY FE 24-105mm F4 G OSS SEL24105G | センダン | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別) | 香川県 > 再訪 香川県仲多度郡琴平町 琴平町の大センダン

CATEGORIES

Return to page top