- 2019-12-29 (Sun) 6:17
- SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art | クスノキ | 大阪府 | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別)
SONY α7RIII / SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art
2019年も残すところあと数日。ということで今年の巨樹おさめに出かけることにしました。ええ、今年最後の巨樹めぐりです。目的地は色々考えたのですが、結局近場では最大の大物「薫蓋樟(くんがいしょう)」を再訪することに決めました。もうすぐお正月だっていうのに無理な車中泊で体調を崩したくありませんのでね。この薫蓋樟も、もう一度会いたいとずっと願い続けてた巨樹なのですよ。既にほとんどの方が年内の業務を終えていると思われ、門真エリアへの道のりは恐らく普段よりもずっと空いているのではないか、というのも大きな選定理由です。さあ9:00現着、すっかり初詣の準備が整った三島神社へ。鳥居をくぐってまずは参拝…というまでもなく即座にその目に飛び込んできます。相変わらず容赦ない。ものすごい大きさだ。
何度見てもやっぱり凄いわ。この高鳴る鼓動こそが感動という感情なんでしょう。ああ、これを味わいたくて巨樹めぐりをやってるようなものだからな。門真って近いわりに常に道が混んでて時間がかかるしアクセスに難があるのですが、この感情に満たされてしまうとそんなことどうでもよくなってしまうわけで。温泉に行くような感覚…と言えば少しは伝わりますかね。行くまでは結構面倒臭いんです。準備だって要るし、行くまでには時間もお金もかかる。でもいざ行ってみるとすっごい気持ちいいんですよ。何だよこれ、何で今まで来なかったんだろう。毎週通いたい!みたいな。結局それから毎週通うかというと、やっぱり色々あって面倒臭さも出てくるんですけど。あの感覚に近いかもしれません。
ひとまず参拝と簡単な撮影を済ませ、一時的に三島神社を離れることにしました。というのも時間帯があまり良くなくてですね…日差しが強すぎてコントラストが際立ってしまい、撮影するにはあまりよろしくない時間だったのですよ、これが。長時間の駐車は遠慮するように書かれていますが、私の他にはこの白い車が1台停まっているだけで駐車場がガラガラだったのでちょっとだけ失礼することに。申し訳ありません。
とはいえ別に近くで映画を観てきたとかパチンコに行ってきたというわけではなくて近くを軽く散歩してきただけなんですけどね。幸い雲が出始めて日差しが弱まってくれたので戻ってみることにしました。再訪はこういうのがいいですね。気持ちにも時間にも余裕があるから、今がダメならまた後でと思える。初回は大体欲張ってプランを練ってしまうので、なかなかこうはいかないんですよ。まあ単純に私が欲張りで計画性もない人間だというだけの話なのかもしれませんが。
しかしまあ何度見ても立派なもので。何だか同じことしか書いてないような気もしますね。これはもうクスノキというより岩の塊ですよ。
とてつもない存在感があるのに温かいんですよね。つい拝みたくなってしまうというか。相変わらず若い方が単独で参拝されているのをよく目にしました。他所の神社だと大体がお年寄り、若い人がいても友人同士だったりカップルだったりとあまりソロの参拝客は見かけないのですが。きっと昔からご近所に住む方で、小さい頃から通りかかったついでに拝んでいく習慣になっているのだろう…などなど想像が膨らみます。
つい触れたくなってしまう樹皮。心地良いぬくもりを感じます。
もう岩壁にしか見えないという。このクラスの国天巨樹にこれだけ近付けて、触れたりしがみついたりも出来てしまう。かといって雑に扱われているかというと全くそんなことはないんですよねえ。この良い意味での距離感の近さが、いかにも大阪の巨樹なんだなあという感じがして素敵です。本当に老若男女問わずひっきりなしに拝みに来るんですよ。
あまり考えたくありませんがこれがもし地元京都だったら当然柵に囲まれて近付くことが出来ず、英語やハングルが併記された立入禁止的な看板が立てられ、枝葉だって他所様の敷地に飛び出さないよう神経質なまでに選定されて…ああ、うん。きっとろくなことにならないな。
初詣か。三が日が過ぎて人手が落ち着いた頃にでも改めて来てみるのも悪くないかもしれませんね。結局今回も1時間以上撮影してしまいました。本当に素晴らしいクスノキだ。同じ関西圏にこのクスが存在するのだと思うと誇らしい気持ちになれるくらい。大きさや風格もさることながら、人の営みに寄り添うように生きる巨樹と、それを代々受け入れ続ける地域の人々との美しい関係性こそが何よりの魅力なのではないかと思いますね。
かつては毎年クスの根本に四斗樽(しとだる)の酒を撒き散らして肥料にしていたのだとか。四斗樽というと鏡開きのアレですね。たしか最近は中身が少し少なめになっていて四斗も入っていないはずですが、昔の話なのできっと樽の中身はガッツリ四斗…つまり72リットルの日本酒がクスに振る舞われたということなのでしょう。あまり裕福ではなかった時代の話だと思われるので、これはもうとんでもない大盤振る舞いです。薫蓋樟が昔から人間に敬意を払われる存在であったという証拠ですね。
前回は早朝の訪問だったため断念した御朱印をいただく。
満足満足。せっかくなので近場の巨樹をもう少し回ってみようと思います。訪問ログはまたおいおい。
2019/12/28訪問
巨樹の樹齢等詳細は前回の訪問記をご参照ください。
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コメント:4
- 狛 19-12-29 (Sun) 13:30
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ああ……すごいわかる。笑 実は僕も昨日東北へ戻る(「戻る」になっている)足で福島の巨樹を再訪してきまして。
ここで大冒険は……やりたいけれどやめておこうと。こういう時だからこそじっくり再訪に時間を使おうと。
薫蓋樟はやはり何度見てもいいですねえ。そして名前も、何度出しても風情があってかっこいいと思う。
この、ヴァニシング・ポイントに大クスの幹があるという壮大な構図。その中に朱で「初詣」とある、これこそが日本文化のひとつの理想なんじゃないかな……などと。
しかもそれが身近なもので、自分が生まれた時から心の故郷としてそこにある……最高ですよね。
若い頃は「でかい樹がある」としか思わなくとも、自分が歳を経、老いていくとともに、「ここに在ってくれてありがとう」と変化していくんじゃないかなと思います。
ありがたいな……。 - to-fu 19-12-29 (Sun) 20:59
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> 狛さん
今年は大冒険についてはわりと満足してしまったような感がありますね。
思い返すと今年もお互いたくさん冒険しましたねえ。何だか年中どこかに行っていたような気もします。
しばらくいいやと思っても狛さんやRYO-JIさんのログを読んでしまうと、いてもたってもいられなくなって…なんて。
時間が空けば地図を眺めて、さて今度はどこへ行こうってそればかり考えていました。
薫蓋樟、クンガイショウ。本当に名前が素晴らしい。
これが「三島神社のクスノキ」とか「門真の大クスノキ」なんてよくある名前だったらここまで印象に残ったかどうか。
いえ、巨樹自体がここまで凄いとそりゃあ印象にも残るのでしょうが、それでもやはり現在とは随分違った形になっていそうです。
こういう故郷の木、みたいなものは何となくクスノキが一番似合うような気がしますね。あとはケヤキかな…
巨樹でなくとも狛さんのあの実家近くの砂浜とか、幼少のころから残る心の原風景みたいなものが残っているというのは
結構羨ましかったりしますね。京都にしても東京にしても自分の故郷みたいなものは再開発で跡形もなくなってしまったので。
最近になって自分にもいつか帰る場所みたいなものが欲しいなと思うようになり、今からでも心の故郷的な場所を探してみようと
いう意識で街並みを見るようにしています。今のところ敦賀なんかはお気に入りですね。 - RYO-JI 19-12-30 (Mon) 22:00
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巨樹納めに相応しい一本ですね!
うん、ものすごい贅沢な締めですよ(笑)。
この巨大岩にしか思えないどっしりした幹の圧倒的なまでのボリューム感がたまらなく忘れられません。
距離をおいて見れば、神社を覆い尽くすかのような樹冠の広がりに見惚れてしまう。
地元民に愛されている大阪らしいクスですね。
私も年末の巨樹納めをしたかったんですが、例の子供入院騒動でポシャってしまいました。
残された時間は大晦日だけ・・・このクスとまでは言いませんが、できれば近場の巨樹を見て締めたいものです。 - to-fu 19-12-31 (Tue) 23:30
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> RYO-JIさん
我々の日帰り圏内で常緑樹の素晴らしい巨樹…と考えると、まず候補に上がってくる1本ですよね。
それこそ落葉している時期でなければ「野間の大ケヤキ」でも良かったんですけど。
家族の協力あっての趣味ですからね。と言いますか、実際私も同じ状況になったら趣味のことなんて考える余裕も
なくなってしまうと思います。いやホント巨樹めぐりも他の趣味も、体さえ健康なら別にいつでも出来ますから。
大事に至らなくて本当に安心しましたよ。来年もどうかよろしくお願いします!
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