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兵庫県豊岡市 天神社のトチノキ


SONY α7RIII / SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art
PENTAX K-1 / PENTAX HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW

トチノキからトチノキへ。またも兵庫県最大級のトチの巨樹「天神社のトチノキ」を目指して豊岡市、神鍋高原へと向かいます。豊岡市といえば全国的に名の知られる出石そばが有名ですが、この辺りまで離れてしまうと蕎麦処の片鱗すら感じられません。この新型コロナ流行下とあって現時点では遠征はしても外食は控えることに決めているため端から蕎麦にありつくつもりはありませんでしたが、せめて家族の土産に蕎麦でもと思っていたので予定が狂ってしまいました。結局土産として地の野菜を大量に購入。まあとにかく周辺には高原、スキー場、畑、以上。そんな立地です。


ナビに従って万場スキー場へとやってまいりました。ナビによると天神社はこの奥、ほら、スキー場ってリフトに沿って一応道があるではありませんか。たぶん業務用の。あれを登った先にあるという。ええ…マジかよと意思が鈍ります。というか本当にこの先にあるの?これ間違ってない?明らかに一般市民が突入してはいけなさそうな道なんですが。

いや、しかし目的はトチノキです。トチノキって大体山奥に生えているではありませんか。それに天神社というのも実は天神サンとか関係なく天に近い立地だから天神社だ!とそういうノリの神社なのかもしれない。そう考えると可能性としては考えられなくもないなと。ここまで来て引き返せるかよ、ということで突入する覚悟を決めました。


そうしてここまでやって来たわけですが、いやーもう史上最悪に路面が悪くてですね。当たり前ですよね。一般車両が進むことを想定してませんから。そこら中タイヤがハマったら抜け出せないような地割れやトラップのような巨大岩石だらけ。ヒーヒー言いながらリフト降り場まで到着したものの、やっぱりこれはおかしいんじゃないか?と。車を停めて徒歩で先を見に行きましたが路面は一層タフでワイルドなものになっていて、これはもうセローみたいな二輪のオフ車でもない限り突入できそうもありません。

ナビによると目的地まで約2km。うーん、徒歩で行く?とか色々考えてみたんですが、目的のトチは一応腐っても県天指定されているわけですよ。本当にこんなやべえ道のりの先にあるのなら、せめて案内板の類くらい設置されてないと不自然では?と今思い返せば「そりゃそうだ」な考えに至り、結局この先にはないだろうと踏んで引き返すことにしました。


下山してみるとほぼ目と鼻の先に巨大な社叢らしきものが。まさかね…と近くに駐車して向かってみると、ああなんだ、お前が天神社だったのかよ 笑 目的のトチノキはすぐに見つかりました。というか見つかるに決まってる。これはデカい。


先程立ち寄った「小長辿の大トチノキ」も素晴らしい巨樹でしたが、こちらもまた素晴らしい。野生の中で生きる荒々しさでは劣るものの樹勢ではこちらに軍配が上がります。雪崩をせき止めるため山奥で孤独に仁王立ちする巨大トチと、人里の守り神として親しまれてきたであろう巨大トチ。どちらの生き方が幸せなのか知るべくもありませんが対比として面白い。その生き方が表情に出るものなのだなと。


筋肉質でどっしりとした幹。山奥のトチであればポロポロと樹皮が剥がれて凄みを放っているものが多いですが、あの攻撃的とも言えるアグレッシブな迫力ではなくどちらかといえば人里のクスノキを思わせるような暖かさ、安心感が感じられます。思わずしがみつきたくなってしまうような。


巨大に成長する広葉樹といえばクスノキやケヤキが真っ先に思い浮かびますが、トチノキだって負けていないと思うのです。クスやケヤキを牛肉、豚肉に例えるならばトチは猪肉とでもいいましょうか。原始的で野性的。野趣溢れる旨味、ジビエ肉のような魅力があります。


この迫力。どこかイノシシ的ではありませんか?身近な人里に生きるクスやケヤキには多くの巨大な名木がある。愛好家としてもそれらを回っているだけでほとんど満足できてしまうんです。しかし年に数回はトチノキも見ておきたいよね…たまに見ると本当に最高なんだよ。と、何となくそんなイメージがあります。


葉の付きが尋常ではない。目がチカチカするくらいの緑、緑、緑です。
そういえな何かの幹が癒着しているようですが。


すごい、なんだこれ。ケヤキでしょうか。何故このような形になったのか全く理解できませんが、何だかものすごいものと一体化していました。


トチノキはやはり真下から眺めるのが一番気持ちいい。


訪れたのは9月、10月となった今では少しずつ落葉がすすんでいるのかもしれません。目論見どおりではあるのですが、本当に良い時期に訪問することが出来ました。あまり身近な樹種ではないけれど眺める度に毎回思う。トチノキ好きだわ。こちらも文句なしの巨樹でした。


県内随一との記載がありますが県内最大ではありませんので悪しからず。「小長辿の大トチノキ」の方がサイズは大きい。ただし樹勢の良さなども加味すると、どちらが良い巨樹かというのは評価が分かれるところだと思います。どちらも訪問して後悔することはない素晴らしい巨樹。周辺はトチノキの根の保護のため自動車での走行をご遠慮下さいということなので、神社の鳥居付近に駐車してトチノキまでは徒歩でどうぞ。

2020/9/10訪問
「天神社のトチノキ」
兵庫県指定天然記念物
樹齢 推定350年以上
樹高 30m
幹周り 7.6m

兵庫県豊岡市日高町万場

コメント:4

20-10-06 (Tue) 19:18

えっ、どんな立地なのよ……と地図を見てしまいましたが、見事にすっぽ抜けたようですね、ナビさんは。笑
しかし、痛いほどわかります。トチの巨樹であるなら、そこらの平野よりもはるか向こうに見える尾根にあってしかるべきだ。
おそらくto-fuさんもトチを訪ねると予定を立てた段階で覚悟は完了しており、それがために空回りしてゲレンデを登ったのだと察しますが……正解はそこそこ市街地のようでしたね。笑
いや、この道中の苦労、記事から外してほしくないなと思います。これこそ探訪の醍醐味ですよ。

頭上すべてを覆うトチの葉の明るい緑色が実にきれいです。
確かにケヤキやクスに一歩及ばないながら、トチには独特な濃い良さがある。ジビエとは言いえて妙です。
一度この良さを理解すると欠かせないものになるんだよね、みたいな。
トチというと山の中を思い浮かべるようになりましたが、マロニエというと街路樹ですもんね。
もっと身近に増やして欲しいものですが……やはり大きな葉が落葉し、実も落ちるしで管理に手が要るのでしょうか。

それにしても、このエイリアン着生?はものすごい形相ですね。
一見すると、この太いトチが怒りのアッパーカットを見舞ったようですが、そんなはずはないから、エイリアンが上に下にとすごい早さで伸びたのでしょうか。
植物ってすげえなあと思う眺めです。

to-fu 20-10-07 (Wed) 7:39

> 狛さん
まんまとやられました 笑
完全にすっぽ抜けてますよね。ナビが指した場所には一体何があったのか…それはそれで気になります。

街路樹のマロニエはそれこそメタセコイアみたいにすらっと背の高いものが多いのに、国産のトチノキはずんぐりむっくりしていて
山奥に生えている、そんな土臭いイメージが強い。国産モノも街中に植えたら洋モノのようにすらっと成長するものなんですかね。
一度見てみたいものですが、仰るように管理が大変なのかもしれませんね。栃もちがもっと身近に手に入るようになれば言うことナシなんですけど 笑

エイリアンは本当に意味不明なんですよ。
現地でも色々考察してみましたが、どう解釈しても結局強烈なアッパーカットをお見舞いしているようにしか見えませんでした。
本当に代々地元で大切にされてきたトチなんだろうな、という歴史が表情に現れた巨樹で実に気持ちいい時間を過ごすことができました。
高原地帯に生きる人々にとってトチは我々にとってのケヤキやイチョウのように身近な樹種なのかもしれません。
このトチが葉を付け始めると春の訪れだな、なんて四季を感じたりして。ちっぽけな島国の中にも本当に様々な暮らしがあるものですねえ。

RYO-JI 20-10-07 (Wed) 21:56

ナビに疑問を抱きつつもそれを信じて山奥に向かってしまうのはトチノキならではですね。
これがクスノキとかなら騙されることはないでしょう。
しかしそんな苦労の後に出会う巨樹は格別で、ましてやこの見事なトチノキですから印象深い出会いだったと推察します。
時期的にもギリギリいいタイミングですね。
本当に緑がキレイで心が洗われます。
「小長辿の大トチノキ」とまた違うタイプで同日に見比べることができるのもいいですね。
トチノキ=猪説、面白い例えで笑ってしまいましたが、大いに納得できます。
牛や豚はもう間違いなく安定的に美味いんですが、猪のあの独特の美味さを知ってしまうと病み付きになるという(笑)。

to-fu 20-10-08 (Thu) 10:55

> RYO-JIさん
ええ、仰るようにこれがクスだったら間違いなくスキー場の敷地に入る以前に引き返してますね 笑
とはいえこういうのも旅の醍醐味だなと…いえ、タイヤがパンクしそうですし、そこまで行くと困ってしまいますけど。
トチノキの巨樹は市街地では見る機会がないので、あの巨大な葉っぱを眺めているだけでも遠くに来たんだなあという
気持ちになれて好きな樹種です。旅情が感じられる樹種というとトチ意外にもシイやカシなんかも同様に好きですね。

そうなんです。牛も豚も美味しいんですよ。イノシシなんて食べなくても生きていくのに困らない。
でも一度味わってしまうと、やっぱり年に一度くらいは食べておかないと落ち着かなくなってしまうんですよねえ。
トチノキにはそういう味わいがあると思うんです。あの汗っぽい複雑怪奇な花の香りといい、あれは絶対ジビエですよ 笑

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