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兵庫県豊岡市 山神社のホオノキ


SONY α7RIII / SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art
PENTAX K-1 / PENTAX HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW

神鍋高原 万場スキー場近くの「天神社のトチノキ」を訪問して次なる場所へ。車で約10分程度の距離、山神社に気になる巨樹を発見しました。個人的にホオノキ(朴の木)の巨樹を見るのは初めてのこと。旅の締めに初物を持ってくるというこの選択は果たして吉と出るか凶と出るか。


今度は迷うこともなく到着。いきなりケヤキの巨樹がお出迎え。5m級のケヤキ3本、カシ、イチョウの巨樹をはじめ社叢全体が市の天然記念物に指定されています。個別で紹介はしませんが、これだけでも結構な見どころあり。早々に気分を高揚させてくれるではありませんか。目的のホオノキは拝殿裏手にあるということなので、参拝を済ませてそちらへと向かうことにしましょう。


おおお、これか。これは凄い。株立ちの炸裂したかのような立ち姿がカツラのようだ。初めて見る樹種の巨樹なのでホオノキというのはカツラのように株立ちで育つものなんだなと納得してしまいましたが、後々調べてみると奈良県の「戒場神社のホオノキ」(ちなみに私は未訪問)のように単幹のものも見られるようです。


根回り9.5mということですが幹周の記載がありません。恐らく最大株の幹周が2mに満たないとの判断から巨樹データベース未掲載ですが私の目の前の株は2m以上ありそうに見えます。大人二人でぐるっと両手を回しても僅かに足りないくらいの太さはあるのではないかと。この手の巨樹に対しては幹周を数値化する意味がないような気もしますが、ギュッとまとめたら6.5~7mくらいになるのではないでしょうか。株立ちタイプのホオノキはそもそも大きく成長すること自体が稀なのか、それとも測定が困難で巨樹とみなされることが稀だからなのか定かではないものの、巨樹として扱われたものは全国的にも珍しいようです。


根本の解説板を拡大してみました。山神社の御神体がこのホオノキで作られているため、氏子さんは朴歯下駄を用いない風習があったのだとか。まあ現在では差歯下駄自体履く機会がありませんので実感として分かりにくいですが、もしもこの神社の御神体がホオノキ製でなかったなら、とっくに材として伐採されてしまって巨樹が現存していなかったかもしれません。


ヒゲのような細い小枝が目立ち、カツラと比べるとどことなく南国っぽいイメージが強く感じられました。いえ、この地は南国どころかむしろ積雪の多い高原地帯なのですが。しかしルックスだけ見ているとアコウと並んで和歌山県の海沿いにでも生えていそうな、そんな印象を受けます。


どことなく攻撃的なフォルムですよね。それもそのはず。ホオノキには強い他感作用(アレロパシー)があり、落ち葉や根から分泌される多感物質によってホオノキの樹冠下には他の植物が育たないのだそうです。


トチノキのように大きな葉。ホオノキの葉、つまり朴葉といったらやはり岐阜県の朴葉味噌です。ホオノキの葉が持つ清涼な香りが染みた味噌の上で焼いた飛騨牛のステーキ…たまらないですねえ 笑


裏側から。実はこの場に立つまで一個体の巨樹として見るとあまり見応えのないパターンかもしれないと少々不安に感じていたのですが杞憂に終わりました。充分に巨樹としての迫力があるし、何よりも時間を忘れてしまうくらい撮影が楽しい。


樹勢は旺盛。美しい。カツラよりも葉が大きいからか日中にもかかわらず麓は夕暮れ時のように鬱蒼としており、これほどの生命感溢れる姿ながらどこかネガティブな雰囲気が漂っていました。悪くない。元気がもらえるパワースポット…巨樹巡りをしていると嫌でも幾度となく耳にするパワーワードですが、別に元気をもらうだけが自然の魅力ではないと思うのです。


空は大量の朴葉によって覆い尽くされ、その樹冠は拝殿真上にまで達するほどでした。これからの季節は多感物質を含む落ち葉の絨毯爆撃が開始され、執念で背を伸ばした雑草たちの命を刈り取って冬を迎えるのでしょう。


すらっと背の高い、やはりカツラを思わせる立ち姿。初めてのホオノキの巨樹でしたがお世辞抜きに悪くない樹種でした。身近なところではまずお目にかかることのない巨樹なので遠征の目的地としては申し分なし。近くの香美町にはさらに大きな「長瀬八幡神社のホオノキ」があるということですから、来年はそちらを目指してみるつもりです。

2020/9/10訪問
「山神社のホオノキ」
豊岡市指定天然記念物
樹齢 不明
樹高 目測20~25m
幹周り 目測6.5~7m(根回り9.5m)

兵庫県豊岡市日高町山宮409番地3

コメント:4

20-10-11 (Sun) 10:01

好きです、モクレン科(また言ってる)。
ホオノキの巨樹とはまたレアであり、オツだなあと思います!
西の国は視界の外でノーマークなわけですが、ホオノキのような樹種はそれこそ見ようと思ってよく探さないと出会えない樹種だと思います。
トチノキのすぐそばだったということで、縁があったのかもしれませんね。

僕もすぐにカツラを想像しました。苔に覆われているところをみると、周りが日陰で湿気が多いのでしょう。
それゆえに傷みやすいのか……しかし、旺盛な生長で負けず、ひこばえを量産してこのような姿を作り上げた。
……というストーリー的にもまるでカツラみたいですね。
主幹1本というわけにはいかず、しかしそれゆえに独特の造形の物々しさがあって、前に立てば、御神木としての威圧感がありそうです。
でも、頭上にはこのきれいで大きな葉の天蓋。これまた独特ですね。御神木がホオノキとは珍しいはず。
下駄のくだりも興味深いですね。巨樹と古来の日本の文化のつながりは本当に面白いです。

触発され、自分の巨樹サイトにもホオノキの巨樹を掲載(再掲)してみました。笑
https://journeytotrees.com/2020/09/25/kyoju075/
秋田に行かれる際にはto-fuさんにもぜひ見ていただきたい樹です。
トチもそうですが、広葉樹はとてもバリエーション豊かで良いものですね。
これぞ生物多様性という感じがします。この感じを味わうため、樹種指定で探すのも面白いですね。

RYO-JI 20-10-11 (Sun) 17:22

はぁ~、自分が知っているホオノキの姿とはまったく違っていて驚きました。
ほんとまるでカツラみたいな佇まいで、葉っぱを見るまではホオノキとは信じがたいです。
樹種判別が苦手な私でもホオノキは間違えません(笑)。
晴れた日にあの大きな葉っぱを見上げると、トチノキと似た心地良さがありますよね。
実は我が家の庭にもホオノキが生えておりまして(もちろん小さいですが)、時々あの心地良さを味わってます。
そんなことからホオノキにはポジティブな印象しかないんですが、これくらいの巨樹になるとまた違う側面もあるようですね。
ぽっと出の庭樹とはその歴史や背負っているものが違いますからね(笑)。
そういえば「戒場神社のホオノキ」は樹勢は良くない(弱っている)感じでしたが、庭樹にはない貫禄や重みがありました。

to-fu 20-10-11 (Sun) 19:33

> 狛さん
モクレン科は良いですよね。季節感があって自分も好きですよ。
トチノキの大物を2本回った後だったこともあって、ただデカい巨樹よりは個性的だったり珍しい樹種だったり
そういうものはないかと探した結果このホオノキに辿り着きました。

すぐ真横に小川が流れてるんですよ。そんな育成環境も含めてカツラっぽいなと思いました。
株立ちのカツラのしなやかで女性的な立ち姿とは違って、ホオノキはどちらかと言えば荒々しい男性的なイメージでした。
カツラもいいですがホオノキもいいですね。トチノキ以上にレアなのが難点ですが。

10mオーバーのホオノキとはまたとんでもないですね。規格外すぎてイメージが湧かないくらいです。
葉っぱを見ないと何の巨樹だか分からないくらいですよ。いえ、前情報無しにたまたま訪問していたら葉っぱを見ても
ホオノキだとは信じられないかも。これは見たい…日本最大のイチョウといい、秋田って意外と粒揃いですよねえ。
嫁帰省のタイミングで一度行かないとなあ。

to-fu 20-10-11 (Sun) 19:39

> RYO-JIさん
ご自宅にホオノキまであるんですか!クスが植えられている、というのはお聞きした記憶がありますが…すごい!(クスが勘違いだったらすみません 笑)
本当にこれがホオノキ?と信じられない思いです。ホオノキの巨樹なんて想像出来ませんでしたが、株立ちで成長するものなんだなと。
見た目の迫力もなかなかのものでしたが、この樹種がこうなるの!?という驚きがありました。
やはり「戒場神社のホオノキ」は訪問済みですよね。私も今回の件で興味が湧きましたので、次に近くを通る際には必ず立ち寄るつもりです。
近くの針テラスに続く369号線は何度も通ってるんですけどねえ。随分もったいないことをしていました。

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