- 2022-04-30 (Sat) 16:44
- FUJIFILM GF 35-70mm F4.5-5.6 WR | クスノキ | 巨木たち(地域別) | 巨木たち(樹種別) | 徳島県
FUJIFILM GFX50S II / FUJIFILM GF 35-70mm F4.5-5.6 WR
阿波国一宮の大麻比古神社を後にしてやってきたのがこの徳島市の外れ、鮎喰川南岸の「春日の大楠」。ほとんど前情報無しに、それこそ大した期待もせずにやってきたのが申し訳なく感じるほど居心地の良いクスノキの巨樹でした。
春日の、ということなので当然春日神社のご神木なのだろうとばかり考えていたところ、既に春日神社はなくなっていました。こちらはかつて春日神社の境内だったということです。現在は春日神社の跡地であることを示す石碑と、少し離れたところに戦没者の慰霊碑が建てられているのが確認できるのみでした。
吉野川沿いの国道は慢性的に渋滞していますがそこを一本逸れると長閑な田舎道が続いている、徳島県はそんな印象。この辺りもとても静かなところで、パッとこの全景が目に飛び込んできた瞬間にこのクスと地域が気に入ってしまいました。まるで「加茂の大クス」をミニチュアにしたような…いえ、この幹周8.6mのクスだって充分に大きいわけで失礼な話ですが。樹高が約16mと小ぶりなため何となくコンパクトに見えます。
先程のツートンカラーのお宅の裏手にある「cafe komorebi」。実際にお話を伺ったわけではありませんがkomorebiが大クスの木漏れ日から来ていることは間違いないでしょう。もちろん私もこちらでコーヒーを…いえ、残念ながら早朝ということで営業時間前。ドアにはしっかり準備中の看板が掲げられていました。皆様はぜひともkomorebiへ。
うん、大きい。そして何よりこの美しい樹形よ。クスの巨樹としては理想的な形状なのではないか。眺めていて本当に惚れ惚れしてしまいました。今のご時世ルッキズムが云々と叩かれてしまいそうですが、形が整っている様は純粋に美しい。そう感じるのだから仕方ありません。
全方位に張り出した枝ぶりも良し。目立った傷みも見られず非の打ち所がありません。
もちろん雨の日の巨樹も美しい。しかしなんだかんだと言い訳したところで、結局青空と緑の樹冠が織りなす美しさを見てしまうと…ねえ。
裏側から見ても目立った欠損もなく樹勢は旺盛。
南方の険しい山々を臨む。あの山中にも「久保の大杉」や「神山妙見杉」などの気になる巨樹がいくつも存在しますが、なかなか険しそうで未だ踏み込めておりません。
日が昇り、まさにkomorebiが射し込み始めました。この時間帯の心地よさは異常。一時撮影を中断して持参したパンを展開し、こちらで朝食といたしました。控えめに言っても最高というより他ない。新型コロナの流行から早2年以上。今では外食を控えることがむしろ当たり前の日常になってしまいましたが、これはこれで良いのではないですかねえ。どうしても立ち寄りたいお店には入ればいい、でもそれ以外は現地の空気を吸いながらの軽食でいいじゃないかと今では素直にそう思います。
木漏れ日が射し始めるとまた表情が変わってきます。風が吹き抜ける、サワサワという音がまた心地いい。何だこの多幸感。
「加茂の大クス」のようなレジェンドクラスに会って圧倒されるのは素晴らしい体験です。が、だからといって小ぶりな巨樹が無価値なわけでは無い。「春日の大楠」はもっと身近な存在。よお、とかやあ、とか声をかけたくなるような。ええ、とてもいいです。こんな巨樹が身近なところにある暮らしが羨ましく感じました。もし近所に住んでいたらここでクスを眺めてkomorebiで一服、というのが定番のコースになるでしょうねえ。
小ぶりだのミニチュアだのと酷い例えをしてきましたが、もちろんサイズも相当なものです。徳島県に滞在していると何とも感覚が狂ってくるのでいけません。訪れるならぜひとも晴天の日にどうぞ。komorebiをご堪能あれ。樹勢は素晴らしく良好で環境も良く、今後まだまだ大きくなるクスノキだと思います。
2022/4/20訪問
「春日の大楠」
徳島市指定天然記念物
樹齢 推定800年
樹高 約16m
幹周り 8.61m
徳島県徳島市入田町春日138
コメント:4
- 131 22-05-01 (Sun) 8:44
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お疲れ様です
春日の大クスは成長速度も速く後20年もすれば幹回り10mに達するであろうサイズで
徳島市の巨木としては最大クラスなのですが造形や樹勢の良さからやはり自分もミニ加茂の大クスだと感じてました
徳島市の巨木で現在幹回り10m以上あるのは現状自分が知る限り速雨神社の大クスや竜王さんの大クス
程度しか無いので大事にしてほしい所です
まだこの近辺にいらっしゃるのでしたら草創神社のムクノキもお勧めです
幹回りは6m超程度ですけどムクノキらしく根回りが非常に発達してますので
何故かこの神社で唯一保存木指定されてるのは幹回り3m超程度のこじんまり剪定されてる銀杏ですが・・・ - to-fu 22-05-01 (Sun) 11:05
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> 131さん
こんにちは。本当に樹形の美しいクスで、ついつい見惚れてしまいました。
育成環境は申し分ないと思われますから、これからも地域の方々に大切にしてもらえると嬉しいですね。
普段鳴門から板野方面を経て西へ向かうことが多く徳島市内の巨樹はまだまだ回りきれていないのですが、
もちろん速雨神社の大クスも竜王さんの大クスも私の「目的地リスト」には加えています。どちらも楽しみなクスです。
残念ながらもう関西に戻ってしまったのですが、次回は徳島市内中心部を抜けて草創神社に立ち寄ってみたいと思います。
そのまま速雨神社へ…というルートはなかなか満足度が高そうですね。こういった地元の方の生の声は本当に助かります。多謝。 - RYO-JI 22-05-01 (Sun) 20:49
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ミニ加茂の大クス・・・とは上手い表現だなぁと思わせてくれる姿ですね!
ところが幹周8オーバーって、こっちにあれば間違いなくランカークラスの大物。
徳島の層の厚さを感じます。
と同時に、加茂の大クスの凄さにも改めて打ちのめされてしまいます(笑)。
そしてやっぱりクスほど晴天の似合う樹木はないですよねぇ。
見ているだけで力が漲ってくるような感覚、あるいは気持ちがとても前向きになりますから。
旅の始めにこういうクスを見ると、その後の計画・時間が有意義になりそうな気がしてなりませんよ。 - to-fu 22-05-02 (Mon) 20:54
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> RYO-JIさん
流石は巨樹王国徳島!と唸らされますよね。このクスですら凄いサイズなのに、では加茂の大クスは何なんだ?と。
そういえば奈良も京都と同じであまりクスの巨樹を見かけませんね。
盆地はあまりクスに適していないのでしょうか。すぐ隣の大阪にはそこら中にクスの巨樹があるんですけどねえ。
クスの巨樹は比較的開けたところに生えて…と言いますか、やはり目立つのでわざわざ周囲のスペースを設けてくれているところが
多いですから、どうせ訪問するなら抜けるような青空を背景に眺めたくなりますね。クスは他のどの樹種よりも元気をもらえる気がします。
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